ナチュラルワインの定義とそこに見る意味
先日、フランスでナチュラルワイン、いわゆる自然派ワインとかナチュールと呼ばれている種類のワインが具体的にどういうものであるべきかの定義が公式に決まった、という報道がありました。 https://www.decanter.com/wine-news/natural-wine-receives-formal-recognition-vin-methode-nature-435358/?fbclid=IwAR0s7vQayGJrNC-fWgxTqV4NYCX7EY7Vcpk_RMdzLuTVOK8eGojS_R ...
存在感増すSauvignon Blanc
2018年2月に行われたMUNDUS VINIの春の国際ワインコンクールには世界44カ国から6,770のワインが出品され、大賞33品、金賞1,102品、銀賞1,575品の合計2,702品がメダルを獲得しました。このうち290品がドイツからの出品であり、大賞が3品、金賞が105品、銀賞が182品という結果となりました。 ちなみに、メダル獲得数はイタリアの640品が最多であり、これにスペイン(590品)、ポルトガル(321品)が続きました。ドイツはポルトガルに次ぐ4位で、フランスは267品の5位でした。 ドイ ...
徹底解説 | スパークリングワインの造り方
シャンパンに代表されるスパークリングワイン。パーティーなど華やかなシーンでは欠かせない存在です。 この炭酸ガスを含んだ発泡性のワイン、一体どうやって造っているのか疑問に思ったことはないでしょうか? 造り方の説明はよく見かけますが、具体的な工程の流れをおさえて解説している日本語の記事は意外に少ないようです。具体的な造り方を知っているとそれぞれの方法で造られたスパークリングワインの持つ特徴も分かりやすくなります。 そこでこの記事ではそれぞれの製造手法の工程をおさえつつ、そこから生まれる特徴や違いを解説していき ...
数字からみる南アフリカワイン | なぜ南アフリカワインは安くて美味しいか
南アフリカワイン。 安くて美味しいワインとして今や欠かすことのできない存在です。一時期は「安くて美味しい」といえばチリワインが代名詞でしたが、最近は南アフリカがこのカテゴリーの筆頭に挙げられることも増えてきたように思います。 南アフリカワインを語る時によく耳にする三拍子が次のようなものではないでしょうか。 フルーティーで果実味がしっかり感じられる甘さもあるけれど酸味もしっかりしているコスパがいい さらにこれにセットで、ワイン用ブドウの栽培に適した気候、地球最古の土、低コストでプレミアムワインを造る最適な環 ...
ドイツワインランキング | 年間優秀ワイナリーを探す
年の瀬が近づくと活発になるのが、各種ワインガイド等によるワインおよびワイナリーのランキングの発表です。 ワインを点数評価することについては賛否両論ありますが、それでも世の中に星の数ほどあるワインの中から自分の気に入りそうなワインを選ぶ際にはやはり役に立つもの。参考にしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 一方で悩ましいのが、評価媒体の多さです。 それぞれの媒体がそれぞれ独自の基準に基づいて発表している評価・ランキングですので、その内容は一部では共通していながらも、一部では大きく異なっていることが珍 ...
[速報] ブドウの収穫が開始 | 2020年ハーヴェストの幕開け
Foto: DWI 熱波の影響で30℃後半の気温が続く暑いドイツですが、本日、さらにホットなニュースが駆け抜けました。 DWI(Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) によると、本日8月10日にプファルツのヴァイゼンハイム (Weisenheim) という町で今年最初のブドウの収穫が行われたというのです。 [circlecard] Erste Trauben für Federweißen gelesen 2019年の最初の収穫はRheinhessen (ライ ...
ワインが造れなくなる日
2018年という年は少なくとも欧州におけるワイン業界では極めて良好な、歴史的な大豊作のヴィンテージになったと振り返られています。 確かに2018年は欧州としては考えられないほど暑く乾燥した夏が驚くほど長く続いた年でした。このためブドウは例年以上に健康的な状態のままに熟成期を迎え、そのままに高い糖度を持つに至りました。この傾向はかつてはワイン用ブドウ栽培の北限と言われたほどに気温が低く、ブドウの熟度が上がりにくいとされていたドイツでも同様でした。 収穫が終わった今になって振り返ってみれば、2018年という年 ...
山と川は必要か?ブドウ畑の立地条件
先日、当サイトの記事を読んでくださっている方から「ブドウ畑やワイン生産者における山や川の重要性」についてご質問をいただきました。せっかくですので今回はこのテーマについて筆者の個人的な見解に基づくものになってしまいますが、解説したいと思います。 この記事では といった疑問にインデックスという概念からお答えします。 山や川の役割とはなんなのか、ということをこの記事で理解していただき、ソムリエ試験のための勉強の補助としていただければ幸いです。 [circlecard] 前提条件!山や川は動かせない まず最初にご ...
ブドウ栽培の北限の現在
当サイトの”ドイツはブドウ栽培の北限の地か…?”という記事がありがたいことに非常に多くの方に興味を持っていただき、読んでいただけています。 こちらの記事で指摘したことなのですが、最近のワイン用ブドウの栽培における世界地図を語るうえで、北限、もしくは南限はドイツがブドウ栽培の北限と呼ばれていたころと比較して、気候変動を背景により北へ、南へとシフトしています。今回はこの栽培地シフトの様子を、もう少し具体的な状況を交えつつ、見ていきたいと思います。 以前の記事はこちらから。 昔の北限はドイツだった まずはおさら ...
Ecoの隣りにある問題
前回は主にドイツにおけるEcoとBioの違い、そしてEcoの認証をとるために求められる条件についての説明をしました。 今回は、ワイナリーが苦労して取得したEcoの認証が最近ではかえって問題になっているケースについてお話しをしたいと思います。これらの問題は、場合によってはワイナリーの経営自体を揺るがす可能性もある問題であり、決して軽く考えることの出来ないものです。ワイナリーはこの問題に際して、Ecoの認証を守るべきなのか、その認証を捨ててでも対応するのか、重要な決断を迫られています。 物議を醸す、銅の散布量 ...
ブドウの日焼け対策 | カオリンは救世主になり得るか
ブドウの芽吹きから2か月弱が過ぎ、畑では新梢が日に日に長くなってきています。これにあわせるように、1日の最高気温が高くなり、すでに夏を思わせるような気温になる日も出てきています。 この6月頭には最高気温が28℃にもなる日が数日続き、今夏の厳しい暑さを早くも予感させています。こうなると心配させるのが、ブドウの日焼けです。 ぶどうの日焼け https://nagiswine.com/winegrape-01/ 特にここ数年は気候変動の影響を受け、ドイツでも夏が非常に暑くなっています。もともとドイツはブドウ栽培 ...
成長点をいつ落とすか
ドイツ各地では南部地域を中心に相変わらず雹の被害が報告させており、悲惨としか言いようのない被害を受けた畑の写真なども目にします。特に枝が十分に長くなり、それにあわせてワイヤーを上げ、枝の整理も始めていたらしい畑でそのような被害があった写真をみると、本当に心が痛みます。 このような被害が出ている一方で、雹の被害を受けていない地域では順調すぎるほど順調にブドウは成長を続けており、枝の長さは2メートルをゆうに超えるほどになっています。 そうなると、ブドウ栽培者はいつ枝の先端を切り、高さを揃えるのかの判断をする必 ...
発酵途中の温度管理 | 液温を下げる
白ワインの発酵は低温でする。 こんな話を聞いたことがある方、多いのではないでしょうか。ではなぜ白ワインは発酵を低温でするのでしょうか。赤ワインでは温度を下げなくてもいいのでしょうか。おそらくこうした疑問は多くの方が一度は持ったことがあると思います。 ワイン造りにおける温度管理の理由や影響はいろいろな要素と密接に関わり合っていて複雑です。温度を上げたり下げたりすると同時発生的にあっちにもこっちにも影響が出ます。そうした影響の内容が、白ワインでは醸造過程で温度を下げることが多いのに赤ワインではあまりやらない理 ...
引き算で考えるワイン造り
ワイン造りは難しい。そう思ってはいないでしょうか。 確かにワイン造りを細かく見ていこうとすると、そこには微生物学の知識や化学の知識が必須です。ブドウの栽培からお話を始めると、ここにさらに植物生理学や土壌学、気象学、物理学など必要となる知識は増える一方。とてもワイン造りは簡単です、とはいいにくいのが実情です。 ただそんな細かい知識が求められるのは本職の人間だけ。ワイン造りの基礎を学ぶのであれば、このような知識は実は不要です。 むしろそんな面倒くさい話をされれば、人間、好きなものも嫌いになってしまうのが道理と ...
酵母はワインの味を「変えて」しまうのか
連日、ワインの醸造を続けています。 ドイツ国内、もしくは私が所属するワイナリーと同じ地域のワイナリーでもすでに収穫収量の声があちらこちらで聞こえ始めており、我々も来週には2020年の収穫を完了させる予定でいます。今のペースで行くと、ケラー内のワインがすべて発酵を終えるのは11月末くらいになる予定です。 今年の醸造ではボスの意向もあり、複数のタンクで自然発酵、いわゆる野生酵母を使用した発酵を行っています。 この野生酵母を使った醸造ですが、最近の流行りの一環、という様相です。一部ではいいワインでは部分、もしく ...
コンクリートはワイン造りを変えるのか
コンクリートの中で発酵、熟成させるワインに注目が戻ってきています。 コンクリートは現代人にとってとても馴染みのある建築材料です。どちらかといえば建築物の外壁などに使われているイメージの強いコンクリートですが、ワイン造りにおいてはタンク用の素材です。 コンクリートで作られたタンクはかつても使われていました。そのためコンクリートはワイン造りの現場にとって特に新しい存在というわけではありません。ただ、最初に訪れたコンクリートの波はその後に登場したステンレスタンクに置き換えられる形で姿を消していきました。それが今 ...
白ブドウとの混醸がもたらす赤ワインの色への影響
ワイン醸造の手法の1つに混醸 (co-fermentation) と呼ばれるものがあります。 混醸とは2種類、もしくはそれ以上の数の種類の異なるブドウ品種を同じ容器の中でまとめて醗酵させる醸造方法です。醗酵が終わったワイン同士をブレンドする手法に対して醗酵前にブレンドしてしまうことが特徴です。 なお、フィールドブレンドは同じ畑の中に複数の品種のブドウを取り混ぜて栽培する、混植をさします。フィールドブレンドの畑で収穫されたブドウの醗酵は必ず混醸になりますが、混醸自体は別々の畑から収穫された異なる品種のブドウ ...
ワイン造りと清澄 | デブルバージュの意味と方法
ワインの勉強を始めると普段の生活ではあまり耳慣れない言葉に出会うことがあります。その1つが「清澄」ではないでしょうか。 清澄という単語を辞書で調べてみると、「澄みきっていて清らかなこと。また、そのさま」(デジタル大辞泉より引用) と出てきます。ワイン造りの現場でこの言葉を使う時には主に、濁った状態の果汁やワインを何らかの方法で濁りのない状態、もしくは濁りの少ない状態にすることを意味しています。清澄剤とはこの清澄作業の際に補助剤として果汁もしくはワイン中に添加するもののことです。ちなみに濾過もこの清澄作業の ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#4 | ワインと有機栽培
https://youtu.be/e-9WqBsic_E 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#20 | ワインの劣化と欠陥
https://www.youtube.com/watch?v=DPSM7Aviq_o 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#15 | ロゼワインの秘密
https://www.youtube.com/watch?v=9UvZKM8BR2g 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#13 | 自然派ワインの真実
https://youtu.be/Z-SccwUyehI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#22 | ワインの畑 徹底解説
https://www.youtube.com/watch?v=O9hVTlhyZDc 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#8 | ブドウの発酵前処理
https://youtu.be/oyUoBADN1s0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...