Member 品質管理 徹底解説

ワインの天敵、硫化臭の正体と取り除き方

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注意ポイント

金属系化合物のワインへの添加に関しては食品衛生法等の法律によって規制されている場合もあります。

行う際にはこれらの法律を遵守し、適正な方法および量に注意した上で実行してください。

 

ワインの醸造をしていると、どんなに気をつけていても何らかのエラーが発生してしまうことがあります。

そんなエラーの中でも特に発生頻度の高いものの一つが、硫化臭です。

 

硫化臭はいわゆる腐ったタマゴの匂いであり、臭いの種類としてとても目立つものでもあります。ボトルを開けたときにこの臭いが出てしまうとそれだけでワインに対するイメージを低下させる可能性の高いものでもありますので、ワインを造る側としては絶対に避けたいオフフレーバーの一つです。

 

そんなワイン造りにおいて厄介な硫化臭ですが、予防する手段発生してしまっても取り除く手段があります。

この問題は発生頻度が高いだけに、ドイツに限らず多くの国のワイナリーでも行われていることです。

 

今回は硫化臭の発生を予防する手段と発生してしまったときの対策方法をご紹介します。

 

どちらかといえばワインの造り手の方に対して重要な内容になりますが、飲み手の方にも応用していただくことが可能な内容です。

この方法を知っていれば、仮にワインに硫化臭が出てしまってもそれを取り除き、美味しくワインを楽しんでいただくことができますのでぜひおさえておいてください。

 

硫化臭の原因物質

硫化臭の発生する原因は、ワインに硫黄系の化合物が存在することにあります。

この硫黄系の化合物は複数の経路によって生成される可能性があるもので、そのすべては実はまだ完全にはわかっていません。

 

しかしそんな中でも代表的なものが以下の4つの起点です。

 

天然由来の硫化系化合物

硫化系結合を含んだアミノ酸の存在

ブドウ畑にて散布された硫黄系薬剤

醸造過程にて添加された亜硫酸

 

これらの硫化物質をもとに酵母などの代謝によって硫化水素 (化学記号: H2S) が生成されます。なお硫化水素は還元的な酵素反応によっても生成されることがわかっています。

酵母によって生成されるケースでは酵母が分裂を繰り返す際や、発酵の終了間際における生成量が多くなる傾向にあります。

 

またアルコール発酵が終わってからも発酵容器の底に沈殿した酵母と接触することによっても合成される点には注意が必要になります。

 

なおこの硫化水素の閾値はワインのスタイルによって幅があり、10~100 um (マイクログラム) / l 程度と言われています。

 

硫化水素の段階における主要な臭いはまさに硫黄系のものですが、この硫化水素がさらにアルコールと反応することによってチオール (thiol, メルカプタン cercaptansともいう) へと反応されます。

この段階になると玉ねぎや焦げたゴムのような臭いに変わってきます。

 

3 H2S + 3 CH3CH2OH (Ethanal) → 3 CH3CH2SH (Ethylmercaptan / Thioalcohol)

 

さらにこのチオールが酸化することによってジメチルスルフィド (dimethylsulfid) およびジエチルスルフィド (diethylsulfid) を含むジスルフィド (disulfide) へと変わります

ここまでくると臭いは緑のアスパラガスや焦げたトウモロコシのようなものになります。

 

C2H5-SH         C2H5-S

     →              | + H2O

C2H5-SH         C2H5-S

 

またメルカプタンはワイン中の酢酸と結合することでチオ酢酸-S-エステルという物質にもなります。

これ物質自体はワインのエラーとして認識されることはありません。

しかし時間が経ってから再度この結合物質からメルカプタンが遊離し、反応の起点となることでボトリング後に瓶内でオフフレーバーを発生させる原因となり得ます。

 

硫化臭の発生を予防する方法

硫化臭の発生を予防する方法ですがいくつかあります。

 

亜硫酸の添加

発酵前のジュースの清澄

発酵補助剤の添加

適切な発酵管理

 

一つずつ内容を解説します。



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