ワイン

 

リースリングにみるNorisoprenoid系化合物

モノテルペン類にしてもノルイソプレノイド誘導体にしても各化学物質がそのままブドウの中に存在していることは余り多くありません。これらの化学物質はその多くが糖と結合した配糖体、グルコシド (Glucoside)として存在しています。

配糖体として存在している状態ではその化学物質は無味無臭な状態ですので、そのままではワインに含まれていても香りを感じることはありません。このためこれらの芳香系化合物が実際にその香りを出すためには何らかの方法でこれらの配糖体が糖と芳香系成分に分割される必要があります。

 

特にノルイソプレノイド誘導体はほとんどのブドウ品種で配糖体を形成した結合状態でのみ存在しています。しかしこれに対して、リースリングでは遊離型のノルイソプレノイド誘導体が有意に多く存在していることが確認されています。

また結合型の含有量もシラーやシャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、マスカット品種よりも多くなっています。

 

複数の研究結果を横断的に比較してみると、遊離型と結合型の合計の含有量ではセミロン (Semillon) が265 μg/kg ともっとも多かったのですが、リースリングではこれに次いで214 μg/kg となっていました。

メモ

この比較の対象となったノルイソプレノイド誘導体は、Hydroxy-3-ß-Damascenon, oxo-3-α-Ionol, oxo-4-ß-Ionol, Hydroxy-3-ß-Ionol, Hydroxy-3-dihydro-7,8,-ß-Ionolです

 

ここからはモノテルペン類やノルイソプレノイド類がどうやってワインの中に入ってくるのか、どのような過程を通して香りを感じられるようになるのか、といった点を見ていきます。



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