濁ったワインは何が悪いのか
「濁りワイン」 日本では意外に市民権を得ている印象の強いワインのカテゴリーですが、これは日本独特な動きと言えます。 もちろん世界にも醸造過程を通してフィルターろ過を行わない「unfiltered」のワインは多く存在していますし、一部ではこのようなスタイルがブームのようにもなっています。しかしこれらのワインはあくまでもろ過をしていないことが大事なのであって、「濁っている」ことが重要なわけではないことに注目しなければいけません。 なぜ、世界では「濁り」に焦点を合わせないのか。この点について今回の記事ではお話を …
引き算で考えるワイン造り
ワイン造りは難しい。そう思ってはいないでしょうか。 確かにワイン造りを細かく見ていこうとすると、そこには微生物学の知識や化学の知識が必須です。ブドウの栽培からお話を始めると、ここにさらに植物生理学や土壌学、気象学、物理学など必要となる知識は増える一方。とてもワイン造りは簡単です、とはいいにくいのが実情です。 ただそんな細かい知識が求められるのは本職の人間だけ。ワイン造りの基礎を学ぶのであれば、このような知識は実は不要です。 むしろそんな面倒くさい話をされれば、人間、好きなものも嫌いになってしまうのが道理と …
ワイングラスとスワリング | ワインあるある
ワインが注がれたワイングラスをクルクル回す、スワリング。ワインのある場所ではとてもよく目にする光景です。人によってはこれでもか、というくらいにクルクル、クルクルしています。 このスワリング、やった方がいいという方とやらない方がいいという方がいらっしゃいますし、やるにしても最初はダメ、という方もいらっしゃいます。とあるSNS上で時々、思い出したように話題になる程度にはいろいろな意見のある行為です。 スワリングをする、もしくはしない理由はいろいろと耳にしますが、科学的な根拠の話になると話題の盛り上がりの割には …
ワインとアレルギー
ワインには意外と多くのアレルゲンが含まれている可能性があることをご存知でしょうか。 頭痛の原因となる可能性のあるアセトアルデヒドや生体アミンはワインの種類やその醸造方法を問わず、どのようなワインにでも含まれている可能性があります。一方で、一部の条件に当てはまるワインにのみ含まれる可能性があるのが、カゼインや卵白です。 ワインといえばブドウだけから造られているので、アルコール以外にアレルギーの心配はないと思われがちです。 ところが事実はこのような認識からは少し離れたところにあります。この記事ではまだ一般的に …
徹底解説 ワインと木樽 | 樽熟成の主役 オーク樽の基礎
ワイン、特に赤ワインに関してよく聞く言葉があります。 新樽比率、フレンチオーク、バッリクでの樽熟成。これらはすべて、ワインの醸造時に使われる木製の樽に関係したものです。 ワインと樽は歴史的にも長い関係を持ってきました。各地で様々な大きさと形の樽が作られ、今でも変わらず使われています。 バリック (Barrique) といえば赤ワイン醸造で使用する代表的なオーク樽ですが、ボルドーでは225L、ブルゴーニュでは228L、コニャックでは300Lとそれぞれサイズが違い、形状も微妙に異なっています。バリックよりも大 …
US市場を見通す一つの手段 | TERRY THEISE’S GERMANY VINTAGE REPORT
ワインのマーケットは世界中に存在しています。 その数ある市場の中でも特に存在感が大きいのが英国で、世界中のワインメーカーがこの市場における自身のワインの評価に注目しています。 この一方で、特にドイツワインにとって無視できない市場がアメリカ市場です。ドイツワインの輸出に関する統計を見ると、米国市場は2位以下に金額ベースで倍以上の差をつけての断トツのトップです。 現にアメリカ向けの出荷が多い小規模のワイナリーではその生産のほとんどをこの市場向けが占めており、造ると同時に売り切ってしまう、などという例も決して少 …
ワイヤーヒーター、新しい霜害対策となるのか
ここ20年ほどで欧州においてブドウが遅霜による被害を受ける事例が増えてきています。ドイツで見てみれば、1997年、2003年、2011年、2017年と4度もの大被害を記録しているのです。 今年も4月に入ってフランスやドイツのあちこちで夜間の冷え込みが強くなることが予想され、霜の被害を受ける可能性が高くなったことから畑で火を焚いたり送風機を用意したりという事例が報告されています。 こういった被害の背景にあるのは冬の気温の上昇に伴うブドウの発芽の早期化です。 ブドウの発芽の早期化については「早すぎる程に早いブ …
目に見える違いは取り除くべき違い | 栽培の心構え
先日の「ワインは畑ごとに味が違う、は本当か?」と題した記事で、ワインの味はブドウの実一粒単位で味が違うところをたくさん重ね合わせることでその違いを平均化しながら表現したものですよ、と書きました。 こちらの記事をTwitterでシェアさせていただいたところ、拡散してくださる方も何人かいらっしゃり、結果多くの方に読んでいただくことが出来ました。拡散してくださった皆様、どうもありがとうございました。 もしまだ読んでないよー、という方はぜひ一度目を通してみてください。 ところで、前回の記事ではこの「違い」が具体的 …
除草剤をめぐって
今日は先日と同様に、幹の部分に出た芽の除去を継続して行ってきました。なにしろこの作業、ブドウ畑に植わったすべての樹を一本、一本相手にしていきますのでとにかく時間がかかります。ブドウの品種や樹齢によっても芽の出方はかなり違うとはいっても、結局、一本一本を実際に視認しながら作業を行っていくことには変わりなく、また、この作業と並行して副梢の除去なども行っているので、時間は飛ぶように過ぎていってしまいます。 ここ数日でそれなりの数をこなしてきているとはいっても、もともとのブドウの本数が多いので、まだしばらくはこの …
優良畑はいつまで優良か | ブドウ畑の立地
先日の9月12日に筆者が勤めるワイナリーで2019年シーズン初となるブドウの収穫がありました。ブドウの成長が異常に早く、それに伴い例年よりも1か月近くも収穫が早まった2018年ほどではないものの、2019年もやはり長期平均の視点から見ればかなり早いシーズンの幕開けとなりそうです。 このようなブドウの成熟の早期化の背景には年間平均気温の上昇があります。 地球全体での気候変動が叫ばれて久しいですが、実際にブドウの成熟過程を通して日々その変化を目にしているとその影響の大きさがまさに身をもって実感できます。 そし …
ワイン用ブドウの栽培 | クローンを知る
ワインの勉強をしていると「ブドウのクローン」という言葉に遭遇することがあります。 クローン。 最近ではワイン以外の分野で耳にする機会も増えてきた単語ですが、まだまだ一般に広く認識されているようなものではありません。しかもワインの分野では醸造面よりも栽培面での意味が大きく、テイスティングの場で注目されることはあまりありません。 クローンがなんなのか、何となくはわかっていても理解しきれていない場合も多いのではないかと思います。一方でこだわる人はこだわり抜くのがこのクローンでもあります。 この記事ではブドウのク …
ビオディナミ基礎講座|3つの質問から知るビオディナミ
ビオディナミもしくはバイオダイナミック(Biodynamic)という単語が近年、急速に市民権を持つようになりました。特にワインの関連では世界的に高い評価を得ている生産者がこの手法を取り入れているケースが多く、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 一方でビオディナミに関してはその特徴からか多くの偏った情報が存在しています。そうしたなかには正確性を欠くものもあります。そこで今回はビオディナミとはなんなのか、その基礎を3つの質問をもとに解説していきます。 ビオディナミとはワイン造りの方法の1つ? 試 …
加水しない低アルコールワインの造り方
ここ数年、世界の冬は温かく、夏は暑すぎるようになりました。以前は30℃でも暑いと言っていた日常が、今では40℃で暑いという日常に変わりました。 世界の温暖化、気候変動。そうした単語を聞く機会が端的に増え、そろそろこうした日常は”異常”なものではなくまさに”日常”的なものになりつつあります。そしてこうした恒常的な変化は確実にワイン造りを変えてきてもいます。 例えばフランス。使用できる品種に厳格な規定を持っているAOCボルドーが2019年に新しい品種の使用を正式に認可したことが大きなニュースになりました。理由 …
発酵に酸素は必要か?
以前の記事”二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2”で酸化は酸素と結合することではない、という内容のことを書きました。この内容自体は正しいことなのですが、この一方で、酸素の存在が”酸化”という現象を引き起こしやすいことは事実です。 つまり、そこに酸素があることで電子の移動が生じやすくなる、ということです。 酸素を完全に排除すれば酸化は防止できるのか ワイン造りの工程のすべての場所から酸素を排除することができれば、確かにワインの酸化はほぼ防止することが可能です。ただし、酸素の介在がなかったとしても電子の移 …
カーボニックマセレーションという醸造手法
何かとフランス語の借用が多いため、分かりにくく馴染みにくいのがワインの醸造関連用語。 ですが、そんななかにあって“カーボニックマセレーション”という名前を何となく耳にしたことがある人は意外と多いのではないでしょうか? カーボニックマセレーションとは、一般にはシャンパーニュ(シャンパン)と並んで日本でもひときわ知名度の高いワインである、「ボジョレー・ヌーヴォー」の生産手法として広く知られている醸造手法のことです。 日本ではカーボニックマセレーション (Carbonic maceration) と英語からの訳 …
ワインの味と酸の関係 | ワインを丸くする2つの方法
ワインにとって欠かすことのできない、とても大事な要素の1つが酸です。 国や地域、ブドウの品種を問わず、美味しいワインには必ずと言っていいほどそれなりの量の酸が含まれています。逆に酸がたりないワインではそれがどんなに有名な産地のワインであったとしても高い評価を得ることは難しくなります。ワインの味の中心は糖分と酸とアルコールのバランスで形作られているといえます。 またワイン含まれる酸の量はワインの熟成に対しても少なくない影響を与えます。このため、いいワインであればあるほどそこに含まれている酸の量が重要になるの …
プレスのはなし
ワインを生産するために欠かすことの出来ない装置、というものは複数存在しています。そんな中でも特に重要度の高いものがプレスでしょう。 赤ワインでは多少状況は変わるのですが、概要的にみれば狭義のワイン造りはぶどうを搾り、ジュースを得ることから始まります。この、ぶどうを搾る、という行為に欠かすことの出来ない装置、それがプレスです。 プレスの種類 プレスにはいろいろな種類があります。 これは製造メーカーの種類、という意味だけではなく、その機構の種類、という意味でも同様です。 昔、むかし。プレスの起源の頃に遡れば、 …
ワインとpH | pHの変化はワインに何をもたらすか
ワインを造るときにとても重要といわれる要素にpHがあります。 pH。中学校の時の理科や高校の化学で習った記憶のある方も少なくないと思います。でもこれがワインになると、何がどう関係しているのか分かりにくいのではないでしょうか。 ワインとpHの関係は調べてみると大量に出てきます。ただそうした中には少し勘違いしているものや、もう少し整理してほしい、というものもあります。こうした状況のせいか、ワインの造り手でも時々勘違いをしている場合があります。 そこで今回はワイン造りの基礎であり、かつ極めて重要なpHとワインの …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#34 | 乳酸菌
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第34回のテーマは乳酸菌。 ワイン醸造にとって乳酸菌といえば、M …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#12 | ワインの「熟成」の真実
https://youtu.be/qf4EbX5JysQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#9 | 発酵
https://youtu.be/aFW2RzrAOW4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#25 | ワインの酸
https://www.youtube.com/watch?v=qD2os2_2jmo 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#8 | ブドウの発酵前処理
https://youtu.be/oyUoBADN1s0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#16 | 甘口ワイン Deep解説
https://www.youtube.com/watch?v=N6K5gBKPHHA 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …




































