ブドウの収穫が開始 | 2021年ハーヴェストの幕開け
ここ数年間の夏と比較すると冷夏と表現できるほどに涼しい日の続くドイツですが、この気候の違いを如実にあらわすように昨年から遅れることおよそ2週間、ついに2021年最初の収穫の報告が入りました。 DWI(Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) によると、8月23日にラインヘッセンのリェルツヴァイラー (Lörzweiler) という町で今年最初のブドウの収穫が行われたそうです。また同日中にPfalzでも最初の収穫が行われたとDWIのプレスリリースには記載されていま …
ワインの添加剤と補助剤
醸造に関わらない方にとってはあまり身近な話ではありませんが、ワイン造りの過程において果汁中、もしくは発酵が終わった後のワインに入れられるものは次の2つに大別されます。 傍から見る分にはどちらも果汁中、もしくは発酵後のワインに「添加」されるものであるため大した違いはないように思われるかもしれません。しかしこの両者の間には非常に大きな違いがあります。 添加剤と補助剤の違い 添加剤と補助剤、一体何が違うのでしょうか。 この両者の違いは最終的なボトルの中に「残る」か「残らない」かの違いです。最終的にボトル内に何ら …
グリューワインの知られざるあれこれ
前回はグリューワインの歴史や作り方を見てきました。 ほっとするような温かさと、ちょっとピリッとするスパイスの風味を感じつつもほのかな甘さで思わず一息ついているとふと疑問に思うことがいくつかあります。グリューワインのアルコール度数ってどれくらいなのか、いつ飲むものなのか、そもそもグリューワインってワインなのか?今回はこんな疑問の数々に焦点を当てていきたいと思います。 グリューワインは”ワイン”なのか? グリューワインはワインをベースにしてはいますが、複数の香辛料や砂糖、もくしはハチミツによって味を整えられた …
Sauvignon Blancの躍進
先日の記事、存在感を増すSouvignon Blancで、以前はドイツで栽培される品種としてあまり聞かれることのなかったSouvignon Blancが最近その地位を上げてきている、ということを書きました。 実際にその後に訪れた、4月末にマインツで開かれたVDP主催の試飲会ではヴュルテンベルクをはじめとして複数の産地のワイナリーから、合計で29種類のSouvignon Blancで造ったワインが出展されていました。VDPに加入するワイナリーからこれだけの数の出展があったということに、Souvignon B …
二日酔いを避けるために。アルコールの分解を知ろう!
日本でもドイツでも年末年始は普段に増してアルコールを飲む機会が増えます。機会が増えれば飲む量も自然と増えるもの。 今回はそんなアルコールの分解と、上手に二日酔いを避けるための方法についてです。 アルコールはどう分解されるのか ワインをはじめとしたアルコール含有飲料を飲むことによって体内に摂取されたアルコールは基本的に肝臓で最終的に水と二酸化炭素にまで分解され、尿として対外に排出されます。この時に実際にアルコールを分解する役割を負っているのが肝臓内に存在する各種酵素です。 なお、アルコールの分解は加水分解反 …
アイスワイン | 希少性の上がり続けるその理由とは
まず皆さんに質問です。 世界的に見て、最も造りにくいワインといえばどんなワインかわかるでしょうか? 例えば、ドイツワインを見てみましょう。 今までにも何度か見てきたように、ドイツワインには以下のような等級があります。 等級としてはTBAとも呼ばれるトロッケンベーレンアウスレーゼが最も高い位置に置かれています。等級の高いワインということは取りも直さず希少性の高いワインということでもあります。希少性が高く、等級が最も高いトロッケンベーレンアウスレーゼが一番造りにくいワインなのでしょうか? 実は、違います。 上 …
土壌というもの
日本でワインの紹介する際に、ワインの個性の1つとしてどのような土壌の畑で栽培されたブドウから造られたワインなのかに言及されることが多いように感じます。こういった傾向はもちろん日本だけに限った話ではないのですが、それでも日本ではその傾向が強いように思えます。 またテイスティング・ノートを見ていても花崗岩が、とか、堆積岩が、という記述に続いて、だからワインの味が、香りが、という所見が語られているのを見かけます。事程左様に日本では土壌というものがワインを見ていく上で重要視されている印象が強いわけですが、この土壌 …
ワイン用ブドウの栽培 | クローンを知る
ワインの勉強をしていると「ブドウのクローン」という言葉に遭遇することがあります。 クローン。 最近ではワイン以外の分野で耳にする機会も増えてきた単語ですが、まだまだ一般に広く認識されているようなものではありません。しかもワインの分野では醸造面よりも栽培面での意味が大きく、テイスティングの場で注目されることはあまりありません。 クローンがなんなのか、何となくはわかっていても理解しきれていない場合も多いのではないかと思います。一方でこだわる人はこだわり抜くのがこのクローンでもあります。 この記事ではブドウのク …
剪定時期をめぐる議論。ブドウの枝はいつ切るべきなのか
ワイナリーの仕事といえばワインを造る醸造がメインの仕事のようにも見えますが、ワインの醸造を中心に行っている期間は長くても3ヶ月ほど。この期間に多くの作業と責任が集約されますのでとても濃密な期間ではありますが、時間的にはそれほど多くの割合を占めているわけではありません。 一方でブドウ畑での仕事はほぼ一年間を通して休みなく続きます。そうした畑での作業でも特に多くの労働量を占めるのが、剪定です。 今回の記事では実務的にも精神的も、そして経済的にもかかる負担が増加してきている剪定についてみていきます。 ブドウの枝 …
ぶどう畑の苦難
すでに何度もこのBlogでも書いてきましたが、今年のドイツは本当に暑く、まだ5月だというのに日中の気温が30度を上回る日が続いています。場所によっては洪水が起きるくらいに大雨が降っている一方で、ラインガウ近辺では雨が極端に少ないわりに湿度が高い、雨が降りそうで降らない毎日です。 こんななか、ぶどうは順調すぎるほど順調に成長しています。順調、というと聞こえは良いのですが、実際には速すぎる、というのが実感でもあります。ぶどうの高さはすでに2mを超えるほどになり、ワイヤーは柱の一番高い位置に設定する必要が出てき …
ワイン造りを取り巻く環境 | 果たして変わらないものはあるのか
同じ畑で収穫された同じ品種のブドウを使って造った収穫年違いのワインを飲み比べてみるテイスティングの方法を、「垂直試飲」といいます。この垂直試飲の目的は2つです。 1つは新しい年のワインと古い年のワインとを比較して、その畑のブドウから造られたワインの熟成の仕方や癖を知ること。そしてもう1つが、各年の気候の違いなどがブドウに与えた影響と、その結果としてワインにどのような違いが出たのかを知ることです。 私はワインを造っている仕事柄、この垂直試飲を比較的よく行います。そうした中で、最近、自分はこの垂直試飲を通して …
フィロキセラとの戦いは困難さを増すのか?
以前、ブドウの天敵としてフィロキセラという昆虫がいることを紹介しました。 フィロキセラ対策の一番の方法は台木を使うことなのですが、この一方で一部の薬剤もこの害虫に対して効果があるとして使用されていました。それがネオニコチノイドといわれる系統の薬剤です。 薬剤を使う意味 台木があるのだから薬剤など不要ではないか、そんな声も聞こえてきそうですが、その考え方は残念ながら楽観的に過ぎます。 確かに台木は今のところは有効な手段として利用されていますし、実際にこれによってフィロキセラの被害の拡大は抑えられています。し …
ワインにフェノールとタンニンを増やす是非 | 延長マセラシオン
ワインを造る時に使われる醸造技術の1つにマセラシオン (Maceration, マセレーションとも) があります。日本では「醸し」とも呼ばれる技術で、果汁やワインにブドウの皮や種を数時間から数日、長ければ数か月にわたって漬け込んでおく手法を指しています。 「スキンコンタクト」や「果皮浸漬」と呼ばれる手法も基本的にはこのマセラシオンの別名です。 いろいろな呼ばれ方をするマセラシオンですが、その目的は大雑把にいえば「抽出」です。ブドウの皮や種子からその中に含まれているいろいろな成分を果汁やワインの中に引き出す …
熟成の化学 | メイラード反応の基礎知識
メイラード反応 (Maillard reaction) という化学反応があります。アミノ・カルボニル反応とも呼ばれる反応です。肉を焼いて焼き色がつくのも、クッキーやトーストを焼いて美味しそうなキツネ色になるのも、みりんを使った魚の照り焼きがいかにも食欲をそそる色目になるのも、すべてはこの化学反応のおかげです。 メイラード反応は褐変反応とも呼ばれており、食品の色が茶色く変わる原因の大きな部分を占めています。その一方で、人体をはじめとした生体内でも発生しており、AGEs (Advanced Glycation …
ろ過していれば大丈夫? | 清澄剤の残留とヴィーガンワイン
ワインといえばブドウから造られているので、菜食主義の方であっても安心して飲めるもの。 この考え方は必ずしも正しくはないことをご存じの方は多いと思います。 なぜ正しくないのか。 ワインの原料はブドウであっても、ワインを造る工程の中で動物性由来の材料を利用している可能性があるからです。動物由来の材料の多くは”清澄剤”と呼ばれる種類のものに使われており、その代表例が卵白であり、カゼインです。 こうした材料はヴィーガンにとっての問題としてだけではなく、より深刻なアレルギー物質としてたびたび取り沙汰されています。 …
カビネットって甘いんですよね?
ドイツワインでカビネットやシュペートレーゼと聞くと、ほぼ自動的に甘いワインのこと、と思ってしまう方はワインの勉強をしている方でも多いようです。ワインの説明をしていると、たびたび聞かれます。でもこれ、半分正解ですが、半分は残念ながら間違いなのです。 甘いワインがカビネットやシュペートレーゼであることが多いのは事実ですが、カビネットやシュペートレーゼが必ずしも甘いわけではありません。 、、、ややこしいですね。このややこしさの正体を知るためには、ドイツにおけるワインの等級の格付け制度と発酵の基本を知る必要があり …
徹底解説 | ワイン酵母のキホンのキ
ワインを造るために欠かすことのできないモノが2つあります。 1つは原料となるブドウ。そしてもう1つが、酵母です。 酵母はワインやビール、日本酒といった醸造酒を造る以外にもパンの記事を醗酵させる時にも使いますので誰にとっても比較的身近な存在です。イースト (yeast) とも呼びます。 一方で、「酵母ってなに?説明して」といわれたときに皆さんは迷うことなく説明できるでしょうか。 今回は酵母の基本をおさらいします。 酵母とはなにか 酵母は一般的に「菌」と呼ぶ種類の微生物の一種です。 微生物学的にいえば細胞壁を …
ワインの添加剤と補助剤
醸造に関わらない方にとってはあまり身近な話ではありませんが、ワイン造りの過程において果汁中、もしくは発酵が終わった後のワインに入れられるものは次の2つに大別されます。 傍から見る分にはどちらも果汁中、もしくは発酵後のワインに「添加」されるものであるため大した違いはないように思われるかもしれません。しかしこの両者の間には非常に大きな違いがあります。 添加剤と補助剤の違い 添加剤と補助剤、一体何が違うのでしょうか。 この両者の違いは最終的なボトルの中に「残る」か「残らない」かの違いです。最終的にボトル内に何ら …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#3 | ワインと栽培
https://youtu.be/S_zzTaGs4B4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#39 | 日本で自然派ワインを造れるか?醸造家と考えてみた。
ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第39回のテーマは日本で自然派ワインを造る方法についてです。 動画の概要 このYouTube動画は、ワインブロガーと醸造家が「日本で自然派ワインを造る難しさ」を深掘りする対談です。特に、日本の高温な気候がワインの品質と安定性に与える悪影響に焦点を当て、微生物の活動増加やワインのpH上昇といった課題が論じられています。彼らは、自然派ワインの明確 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#12 | ワインの「熟成」の真実
https://youtu.be/qf4EbX5JysQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#36 | 日本でのワイン造り
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第36回のテーマはrecap 2024。 2024年8月末に日本 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#6 | ワインと添加物
https://youtu.be/3vpP23Xs-YU 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#18 | ワインの栓
https://www.youtube.com/watch?v=n3zMZ20Y9eI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …


































