ワインと樽と抽出物 | フェノールと樽香
「樽香」 日常生活では聞きなれない単語ですが、ワインをお好きな方にはとても馴染みのある言葉なのではないでしょうか。 「樽香 (たるこう)」とはワインから感じられる、樽に由来する香りを指しています。主にアルコール発酵が終わったワインを木の樽に保管し熟成させることで、本来は樽についていた香りがワインに移るのがワインから樽の香りがする理由です。 樽香は複数の香りの種類をまとめた表現方法です。一般的に樽香には次のような香りが含まれています。 ヴァニラ チョコレート ココナッツ・ミルク スパイス / クローブ アー …
ナチュラルワインを買う理由
der deutsche Weinbauという雑誌にとても興味深い記事が掲載されたため、その内容を紹介したいと思います。 印象か、感覚か まずこの記事のタイトルは”Image vs. Sensorik”。敢えて少し意訳すると、”印象か、感覚か”となります。 この記事はとある調査結果について書かれたものでした。 その調査の内容は、 というものでした。なお、この調査における被験者はいわゆるワインの愛好家100名で、平均的なワイン消費者ではありませんでした。つまり、平均以上にワインに詳しく、かつワインの消費行動 …
アイスワインを造るというギャンブル。果たして気温は下がるのか
異様なまでに暑く、乾燥した夏を経験した2018年のドイツ。そんな気候から一転して湿度の高い冬に、多くのワインメーカーが頭を抱えています。 最近は世界的にも辛口のワインが存在感を増してきているとは言っても、外から見たらまだまだ甘口ワインの印象が強く残るドイツのワイン。そんなドイツの甘口ワインの中でも毎年その生産の可能性が話題になるのが、アイスワイン(Eiswein)です。 アイスワインは凍らせるものではなく、凍ったもの そもそもこのアイスワインというワイン、”アイス”という名前が付いているがために凍らせるワ …
ブリティッシュ・スパークリングワイン | ブドウ栽培北限の国の戦略
ワインの勉強をしているとほぼ確実に耳にするであろう、”ワイン用ブドウ栽培の北限”と呼ばれる地域が最近、従来北限と言われていた国よりもさらに北にシフトしつつあることを以前の記事で書きました。これは主に世界中に影響を及ぼしている気候変動に伴う温暖化が原因となっており、最近における新たな北限はイギリスであったりスウェーデンであったりしています。 一方でこれら、新たなワイン用ブドウ栽培における北限の国々におけるブドウの栽培は楽なものではありません。ブドウを栽培できることと、ワインとして満足できる品質を確保できるこ …
ここが分かりにくいよ、ドイツワイン | もっと優しくドイツワイン
これまで分かりにくいドイツワインを優しく解説シリーズと銘打ってドイツワインを解説してきました。 前回はドイツワインを分かりにくくしている大きな原因の一つと思われる、VDPの等級について説明をしました。ここまでですでに皆様、ドイツワインのラベルを見ても何がどういうワインなのかわかるようになってきていらっしゃるのではないでしょうか。 そんななか、今回の分かりにくいドイツワインを優しく解説シリーズは少し踏み込んだ内容に入ります。 今回の記事を読み進めていただくには、少しだけ事前の知識が必要です。そのような知識に …
ワインと酸 | ワインの有機酸を考える3つの視点
ワインには欠かすことのできない要素があります。 アルコール? お酒ですからアルコールは必須です。これがないとせっかくお酒を飲んでいるのに酔えません。 タンニン? 赤ワインには適度の渋みが欲しいですね。赤ワインの色味にも影響しています。フェノール、とまとめて表現する場合もあります。 甘味? デザートワインのように深い甘さを持つワインも絶品ですが、オフドライのほのかな甘みも飲みやすさを増してくれます。ちなみにワインの関係者はよくこの甘味を指して、残糖や残糖分と表現します。 こうした成分はもちろん大事です。そし …
ブドウの収量制限とはなんなのか | 考え方、方法、そして注意点
ブドウに限らず果樹や野菜の栽培をしていると、ほぼ必ず出くわす言葉があります。 収量制限 この言葉に聞き覚えはないでしょうか?ブドウの場合においては特にグリーンハーベスト(green harvest)、などと言われたりもします。今回はこの収量制限というものについて解説をしていきます。 収量制限という取り組みは品質の向上を含めた多岐にわたる要素と非常に密接に関連しています。このため、意味をとり間違えてしまっている例も意外に多く見受けられます。 この記事では収量制限というものを少し厳密に規定し、その他の要素と区 …
ワイン用ブドウの剪定|基礎と歴史からみる樹液流と長寿化という視点
ブドウ畑で行われる極めて重要な仕事の1つが剪定です。剪定とは伸びた不要な枝を切り落として必要な枝だけを残す作業を指し、主に冬から春先にかけて行われます。 剪定の歴史は古く、古代ローマ時代にはもうこの作業の必要性が明確に述べられていたといいます。ブドウはつる性植物であるため、放っておくと際限なく枝を広げていってしまいます。そんなブドウを畑という限定された空間のなかで栽培していくためには、剪定は欠かすことのできない必須の作業なのです。 剪定時期をめぐる議論。ブドウの枝はいつ切るべきなのか – Nagis wi …
ワインにおけるメトキシピラジン量と環境要因
はじめまして。 読者の中にはもしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。Nagi’s Wine Worldのライターとして招待して頂いた奥村嘉之と申します。 私の初投稿となる今回の記事はメトキシピラジンという化合物について。 この化合物に関してはかつて自身のnoteでも取り挙げているのですが、ここでは当時より1回り以上踏み込んだ話ができればと思っています。 そもそもメトキシピラジン(Methoxypyrazines)という化合物をご存知でしょうか。 そういった基本の部分から、その化合物がどのように …
フィロキセラとの戦いは困難さを増すのか?
以前、ブドウの天敵としてフィロキセラという昆虫がいることを紹介しました。 フィロキセラ対策の一番の方法は台木を使うことなのですが、この一方で一部の薬剤もこの害虫に対して効果があるとして使用されていました。それがネオニコチノイドといわれる系統の薬剤です。 薬剤を使う意味 台木があるのだから薬剤など不要ではないか、そんな声も聞こえてきそうですが、その考え方は残念ながら楽観的に過ぎます。 確かに台木は今のところは有効な手段として利用されていますし、実際にこれによってフィロキセラの被害の拡大は抑えられています。し …
ブドウの台木を知る基礎講座
OIV (International Organisation of Vine and Wine) という団体の発表している統計情報によれば、ワイン用ブドウだけではなく、生食用、ドライフルーツ用、ジュース用などすべての用途を含めた2022年時点における世界のブドウの植栽面積は730万ヘクタールだとされています。730万ヘクタールと言われてもピンときませんが、例えば北方四島を除いた北海道の面積がおよそ78400平方キロメートル、784万ヘクタールですので北海道本島よりもやや小さいくらいの面積でブドウが栽培さ …
徹底解説 | ロゼワインの醸造手法とその特徴
以前、ロゼのワインは産地や品種が分かっていても内容が想像しづらい、という話題を見かけたことがあります。 これはとても興味深い半面、ワインを実際に造っている側からすると、「あぁ、まぁそうかもしれないな」と納得できてしまう点でもありました。ではなぜ、ロゼは仮に飲む前から産地や品種が分かっていてもそこと実際のワインを結び付けることが簡単ではないのでしょうか? 今回はそんな疑問に対して、「ワイン造りの方法に基づく理由」に焦点を当ててみていきたいと思います。 普段からロゼを飲んでいてどうもモヤモヤすることがある、と …
ワインは菜食主義者に優しくない
ワインはブドウから作られているので菜食主義の方が飲んでも問題ない。そんな風に思っていませんか? ワインにも動物由来のものが使われる可能性 これは必ずしも正しくない認識です。一部のワインではその醸造過程で動物性の製品が使われています。ただ、このことを知らずに無防備にワインを飲んでいる菜食主義の方がいるのもまた事実です。 ここで自体をややこしくしているのが、敢えて”ヴェガン向け”と謳っていなかったとしても、そのすべてのワインが動物性の製品を使っているわけではない、ということです。 基本的にワインはブドウのみか …
ブドウの香りとワインの香りはどうして違う | 揮発性化合物と前駆体
ワインを楽しむうえで欠かすことのできない要素。香りは間違いなくその重要な要素の1つです。 ワインをグラスに注ぐ。いきなり口に含むことはせず、まずはグラスを鼻に近づけて立ち昇ってくる香りを楽しむ。時にはグラスを回してさらに香りの変化に集中する。そうしてからやっとワインを口に含んで味をみる。 この一連の流れはもはやワインを味わうときの儀式といってもいいかもしれません。 ワインには数百種類を超える種類の香りが含まれているといわれています。とんでもない量と思われるかもしれませんが、ヒトの嗅覚器官はその十倍、数千種 …
ワインの発酵期間
誰もがそんな事は知ってるよ、とおっしゃるかもしれませんが、ワインはブドウの果汁を発酵させて造られています。 発酵という工程は醸造酒と呼ばれるアルコール飲料にとって欠かすことのできない、もっとも重要なものです。逆にいえば、原料になるブドウを発酵さえさせられれば他には何もなくてもワインは出来上がります。 発酵について語ろう https://nagiswine.com/fermentation-01/ そんなワイン造りの中心部分を担う発酵ですが、今日摘んできたブドウが明日には発酵を終えてワインになるわけではあり …
ロゼ?ワインのいろいろ、知っていますか? 其の壱
醸造的な意味から厳密なお話しをすると、ロゼはロゼであっていろいろは基本的にないのですが、それでも2つ、3つはヴァリエーションが存在していますし、さらには醸造的な条件を知らなければロゼとなんの違いもない、むしろ、飲む側のイメージとして持っているロゼに合致しているように感じるものなんてものもあります。この辺り、ドイツの厳密さというか、細かさを感じなくも無いところです。飲む側からすれば、美味しいと感じるかどうかが全てなので、この細かさに意味があるのかはちょっと疑問、という印象も無きにしもあらず、なんですが。 今 …
発酵途中の温度管理 | 液温を上げるタイミングとその温度
ワインの醸造を行っていく場合に、ブドウを絞ったジュースや発酵後もしくは発酵中のワインの温度を意図的に上げたり下げたりすることがあります。 ジュースやワインの温度を下げるケースに関しては、「発酵途中の温度管理 – 液温を下げる」という記事でまとめました。 今回はこのケースとは逆のケース、温度を上げる場合についてそのタイミングと設定する温度について解説します。 発酵前に液温を上げる手法はもちろん白ワインの醸造においても意味を持つものですが、特に赤ワインの醸造において大きな意味を持ちます。中でもブドウの健康状態 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#5 | 気候変動とワインの未来
https://youtu.be/zmiYlbO4pb4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#9 | 発酵
https://youtu.be/aFW2RzrAOW4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#28 | 未来のワインの話をしよう。
https://www.youtube.com/watch?v=643ux6CPr4w 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#16 | 甘口ワイン Deep解説
https://www.youtube.com/watch?v=N6K5gBKPHHA 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#13 | 自然派ワインの真実
https://youtu.be/Z-SccwUyehI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#30 | なぜやるのか?なにが起こるのか?醸造家が徹底解説 MLF
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第30回のテー …




































