二酸化硫黄無添加ワインの作り方
二酸化硫黄、もしくは亜硫酸、という単語は、最近の日本のワイン業界では蛇蝎のごとく忌み嫌われる不健康ワードの代表のようになってしまっている印象を受けます。その一方で、これらの酸化防止剤を添加しない、二酸化硫黄無添加ワインの人気が高まってきており、自然派ワインとかナチュラルワインとかといった名前とともに消費者の関心をかっていることは、おそらくこの業界内にいる人であればすぐに思い当たることなのではないでしょうか。 この酸化防止剤無添加、というキャッチフレーズについては、そもそも二酸化硫黄を添加する目的は決して酸 …
ワインに品質管理は不要!?半端な自然派という無法地帯が広がる危機感
とある自然派ワイン愛好家の方が書いていた文章で興味深い内容のものを目にしました。 その記事は自然派微発泡ワインである「ペティアン・ナチュール」を説明するものです。その記事で書かれていたことをざっくりと要約すると、 という内容が書かれていました。 なお念の為修正をしておくと、ここに書かれている“瓶内で二次発酵が生じる”という記載は誤りで、正確には一次発酵が瓶詰め後も継続される、です。 このような記事を読むと、「自然派」という言葉が最近のワイン業界における一つの免罪符になりつつあるように感じます。 泡立ってい …
酵母はワインの味を「変えて」しまうのか
連日、ワインの醸造を続けています。 ドイツ国内、もしくは私が所属するワイナリーと同じ地域のワイナリーでもすでに収穫収量の声があちらこちらで聞こえ始めており、我々も来週には2020年の収穫を完了させる予定でいます。今のペースで行くと、ケラー内のワインがすべて発酵を終えるのは11月末くらいになる予定です。 今年の醸造ではボスの意向もあり、複数のタンクで自然発酵、いわゆる野生酵母を使用した発酵を行っています。 この野生酵母を使った醸造ですが、最近の流行りの一環、という様相です。一部ではいいワインでは部分、もしく …
US市場を見通す一つの手段 | TERRY THEISE’S GERMANY VINTAGE REPORT
ワインのマーケットは世界中に存在しています。 その数ある市場の中でも特に存在感が大きいのが英国で、世界中のワインメーカーがこの市場における自身のワインの評価に注目しています。 この一方で、特にドイツワインにとって無視できない市場がアメリカ市場です。ドイツワインの輸出に関する統計を見ると、米国市場は2位以下に金額ベースで倍以上の差をつけての断トツのトップです。 現にアメリカ向けの出荷が多い小規模のワイナリーではその生産のほとんどをこの市場向けが占めており、造ると同時に売り切ってしまう、などという例も決して少 …
ビオとエコは違うのか?
世の中のワイナリーを見渡していると、通常のワイナリーの他にビオロジックとエコロジック、ビオディナミッシュ(英語:バイオダイナミクス)というような区分を見つけることが出来ます。 今回はこの中でも、ビオロジックとエコロジックについて注目してみたいと思います。なお、筆者がこれらの単語をカタカナで表記することにどうにもならないほどの違和感を感じるため、以後はそれぞれ、Bio、Ecoと表記することにしたいと思います。 BioとEcoの違いは何か? そもそも日本ではこの辺り、特にEcoの概念に対する定義が曖昧なことが …
濁ったワインは何が悪いのか
「濁りワイン」 日本では意外に市民権を得ている印象の強いワインのカテゴリーですが、これは日本独特な動きと言えます。 もちろん世界にも醸造過程を通してフィルターろ過を行わない「unfiltered」のワインは多く存在していますし、一部ではこのようなスタイルがブームのようにもなっています。しかしこれらのワインはあくまでもろ過をしていないことが大事なのであって、「濁っている」ことが重要なわけではないことに注目しなければいけません。 なぜ、世界では「濁り」に焦点を合わせないのか。この点について今回の記事ではお話を …
優良畑はいつまで優良か | ブドウ畑の立地
先日の9月12日に筆者が勤めるワイナリーで2019年シーズン初となるブドウの収穫がありました。ブドウの成長が異常に早く、それに伴い例年よりも1か月近くも収穫が早まった2018年ほどではないものの、2019年もやはり長期平均の視点から見ればかなり早いシーズンの幕開けとなりそうです。 このようなブドウの成熟の早期化の背景には年間平均気温の上昇があります。 地球全体での気候変動が叫ばれて久しいですが、実際にブドウの成熟過程を通して日々その変化を目にしているとその影響の大きさがまさに身をもって実感できます。 そし …
ブドウの開花と栽培面における意味
ブドウ畑における収穫量を決める重要なポイントは選定である、とよくいわれます。確かに剪定は重要です。ブドウの果実は枝になります。しかも1本の枝につく実の数は大体、決まっています。つまり、枝の数が予めわかっていれば、1本の樹から収穫できるブドウの量はおおよそ決まります。その年に1本の樹から何本の枝を伸ばすのかを決めるのが剪定という作業ですので、剪定がその年の収穫量の大枠を決める、というお話には納得です。 一方で、いくら剪定を通してその年の収穫量の大枠を決めていたとしても、そのまま素直に予定通りにさせない存在が …
気温の上昇で被害が続出 | ブドウの日焼けとはなんなのか
夏の時期を迎え、畑ではブドウの樹が成長を続けています。 これをうけて今畑では伸びた副梢の除去や除葉、そして成長点の切り落としなどの作業が同時並行的に進められています。 そんななか、去る6月26日および6月30日の2日にわたってドイツでは最高気温が40℃に迫る、もしくはところによってこれを超える事態となりました。 もともと冷涼な土地といわれているドイツにおいて6月末のこの時期にこれほど気温が高くなるのは極めて異例なことです。加えてこれ以前から雨が少なく非常に乾燥した状況であったことも災いし、ブドウ畑では若い …
成長点をいつ落とすか
ドイツ各地では南部地域を中心に相変わらず雹の被害が報告させており、悲惨としか言いようのない被害を受けた畑の写真なども目にします。特に枝が十分に長くなり、それにあわせてワイヤーを上げ、枝の整理も始めていたらしい畑でそのような被害があった写真をみると、本当に心が痛みます。 このような被害が出ている一方で、雹の被害を受けていない地域では順調すぎるほど順調にブドウは成長を続けており、枝の長さは2メートルをゆうに超えるほどになっています。 そうなると、ブドウ栽培者はいつ枝の先端を切り、高さを揃えるのかの判断をする必 …
除葉の時期とその効果 | 開花前の除葉がもたらす色への影響
ワイン用のブドウ栽培で重要な作業の1つに除葉があります。 除葉とは読んで字のごとく、ブドウの樹から葉を除去する作業のことです。 葉は植物が光合成をするための重要な器官。にも関わらずその葉を取り除いてしまうなんて、と思われるかもしれません。しかしこの作業はブドウの栽培をするうえで重要な意味を持っています。 除葉についてはいろいろな議論がされています。手で行った方がいいのか、機械でやってしまった方がいいのか。どれくらいの量の葉を除去するのが適切なのか。そして、いつやるべきなのか。 こうした議論のいくつかはすで …
徹底解説 | ワイン酵母のキホンのキ
ワインを造るために欠かすことのできないモノが2つあります。 1つは原料となるブドウ。そしてもう1つが、酵母です。 酵母はワインやビール、日本酒といった醸造酒を造る以外にもパンの記事を醗酵させる時にも使いますので誰にとっても比較的身近な存在です。イースト (yeast) とも呼びます。 一方で、「酵母ってなに?説明して」といわれたときに皆さんは迷うことなく説明できるでしょうか。 今回は酵母の基本をおさらいします。 酵母とはなにか 酵母は一般的に「菌」と呼ぶ種類の微生物の一種です。 微生物学的にいえば細胞壁を …
ビオとナチュラル | 醸造面から見たその違い
筆者がTwitterで時々、思い出したようにPostしてはそのたびに(筆者のアカウントとしては)軽くバズったような状態になるキラーワードがあります。それが「ナチュラルワイン」です。 最近、特に日本でよく聞くようになったこのワードですが、実はよく分からない、という方も多いのではないでしょうか? 自然派ワインとも呼ばれるため、漠然とビオなどと同じように身体にいい、健康的なワインのこと、と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。 ところが、ビオとナチュラルは同じワインであってもその実態は大きく異なっています。 …
発酵が止まってしまったら | 再発酵の方法を考える
ワインを造っていると、さまざまな問題に出くわします。何事もなく、造っている本人も驚くほどスムーズにすべてが終わる時もあれば、何かしらの問題が起きてそれを解決したらすぐさま次の問題が起きる、などという悪夢ような時もあります。 とはいっても、ブドウの果汁がワインになるための一番大事なステップであるワインの発酵段階におけるトラブルは実はそれほど多くありません。 もしかしたら微生物汚染という言葉をお聞きになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれは厳密に言えば発酵の前後の時点で起きるもので、発酵段 …
カーボニックマセレーションという醸造手法
何かとフランス語の借用が多いため、分かりにくく馴染みにくいのがワインの醸造関連用語。 ですが、そんななかにあって“カーボニックマセレーション”という名前を何となく耳にしたことがある人は意外と多いのではないでしょうか? カーボニックマセレーションとは、一般にはシャンパーニュ(シャンパン)と並んで日本でもひときわ知名度の高いワインである、「ボジョレー・ヌーヴォー」の生産手法として広く知られている醸造手法のことです。 日本ではカーボニックマセレーション (Carbonic maceration) と英語からの訳 …
発酵に酸素は必要か?
以前の記事”二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2”で酸化は酸素と結合することではない、という内容のことを書きました。この内容自体は正しいことなのですが、この一方で、酸素の存在が”酸化”という現象を引き起こしやすいことは事実です。 つまり、そこに酸素があることで電子の移動が生じやすくなる、ということです。 酸素を完全に排除すれば酸化は防止できるのか ワイン造りの工程のすべての場所から酸素を排除することができれば、確かにワインの酸化はほぼ防止することが可能です。ただし、酸素の介在がなかったとしても電子の移 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#38 | ワインは仕様でどう変わる?栓とフィルターの効果
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyoサイト: Nagi wines Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#2 | ワインと土壌
https://youtu.be/TR6KBoMKLv8 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#31 | ボジョレー・ヌーボーで有名な手法を醸造家が解説!マセラシオンカルボニックの真実
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第31回のテー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#17 | オレンジワイン
https://www.youtube.com/watch?v=Mcpyp04qzCQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#34 | 乳酸菌
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第34回のテーマは乳酸菌。 ワイン醸造にとって乳酸菌といえば、M …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#14 | スパークリングワインの真実
https://www.youtube.com/watch?v=vpIPCHWLtME 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …



































