ワインと樽と抽出物 | フェノールと樽香
「樽香」 日常生活では聞きなれない単語ですが、ワインをお好きな方にはとても馴染みのある言葉なのではないでしょうか。 「樽香 (たるこう)」とはワインから感じられる、樽に由来する香りを指しています。主にアルコール発酵が終わったワインを木の樽に保管し熟成させることで、本来は樽についていた香りがワインに移るのがワインから樽の香りがする理由です。 樽香は複数の香りの種類をまとめた表現方法です。一般的に樽香には次のような香りが含まれています。 ヴァニラ チョコレート ココナッツ・ミルク スパイス / クローブ アー …
世界で最も高価な白ワイン
ランキングに関する話題が連続してしまいますがせっかくなのでこちらの記事、”Die 10 teuersten Weissweine (最も高価な白ワイン10種)”もご紹介したいと思います。 この記事はやはりインターネットメディアであるCaptain Cork Buchというサイト上に公開されたものですが、データ自体はwine-searcherのものを引用しています。Captain Corkはドイツのサイトということもあってドイツワインがランキングされていた白ワインのみの紹介となっていましたが、ここではせっか …
酸化防止剤が頭痛の原因というのは本当か | ワインあるある
最近は耳にすることが幾分か減ってきている気もしますが、ワインに含まれる酸化防止剤、つまり亜硫酸や亜硫酸塩と呼ばれる添加物がワインを飲んだ際に生じる頭痛の原因だとする言説があります。 まことしやかに囁かれ未だに信じている人も多いであろうこの説ですが、本当に正しいのでしょうか? 今回はワインを飲む際に生じる頭痛の原因についてまとめるのと併せて、それらと酸化防止剤との関係についてまとめます。 そもそも酸化防止剤とはなんなのか まずはおさらいです。 ワインに添加される酸化防止剤とは一般的には二酸化硫黄と呼ばれる化 …
ハイブリッド品種は「不味い」のか | フォクシーフレーバーを考える
ワインの旧世界と呼ばれる欧州から日本のワイン業界を見ていると感じる大きな違いの一つに品種に関するものがあります。 国や地域によって栽培しているブドウの品種は違うものの、EU圏内のワイン法によってワインを生産している国では「ワイン」として認められるためには最低限、Vitis viniferaと呼ばれる種に区分される系統のブドウ品種でなければならないとされています。一方で日本ではVitis labruscaなど、アメリカ系品種と呼ばれる品種やこうした品種との直接交雑種であるハイブリッド品種を使ったワインをよく …
ワインのボトルは何で閉めるか
棚に並んでいるワインのボトルを見ていると、実に様々な種類の栓を使ってボトルが密閉されていることがわかります。コルク、合成コルク、スクリューキャップなどなど。最近は技術の発展に併せてシリコン系のものも出てきています。 どんなワインにどんな栓を使うのか。 そこにどんな意味があるのか。 もしくはどんなワインにはどの栓を使えばいいのか。 ワインを楽しむ側も、造る側もそんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか? ふと気になってデータを調べていたところ、少し古いですが2017年にドイツで使われていた栓の種類とそ …
ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の壱
先日書いた二酸化硫黄を添加しないワインの作り方の記事について、大変ありがたいことにご質問をいただきましたので、今回はそのご質問にお答えする形でもう少し具体的に二酸化硫黄無添加ワインの作り方についてみていきたいと思います。 このテーマについては内容が長くなりますので、2度に分けて記事にします。第1回目の今回は、ナチュラルワインとはどんなものであるのかについてみていきます。 二酸化硫黄無添加ワインの作り方に関する記事はこちら ⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方 ナチュラルワインってなんだろう? 今回いただいた …
ワインのオフフレーバー | UTA / ATA
ワイナリーやワインショップで試飲して気に入った白ワイン。買って帰ってきたけれど、まだ飲み頃には少しだけ早い気がしてもうしばらく自宅のセラーで寝かせることにした。 その後半年経ったある日の食卓。 本当はもう少し寝かせておいた方がいいと分かっていながらもついつい我慢できずに取り出してきたのがこのワイン。まだ早いんだろうなぁ、と頭の片隅で考えながらもコルクを抜いて、さぁお楽しみの時間!と思ったらなんだか違う。 まるで何年も寝かせていたような、酸化したようなニュアンスがある。自分の保管方法が悪かったのだろうか?ち …
ブドウ畑が直面している見落とされた危機|フィロキセラ禍の再来を防止する取り組み
気候変動やそれに伴う温暖化は、ワイン造りにかつてないほど大きな影響を及ぼしています。短く温かい冬はブドウの萌芽時期を早め、遅霜や雹による被害は拡大し続けています。降雨時期と降雨量の変化はブドウの病気を広げる一方で灌漑を必須のものとし、暑すぎる夏は日焼けや着色不良を引き起こしています。糖度が上がっていく中で、下がらない夜温が酸量を低下させ、果汁のpHは上がり続けています。 気候変動、もしくは地球温暖化という話のなかで耳にする多くは、ワインの品質の変化に関する内容です。しかし実際には、そうした地球規模の変化は …
柱にみる考え方の違い
先日、”畑に柱を立てる”という記事をアップしました (関連記事: ブドウ畑に柱を立てる)。そちらの記事では触れていなかったのですが、この時に使った柱には、実際は杭といってもいいくらいのものなのですが、素材の違いも含めて多くの種類があります。それぞれの柱には長所や短所があり、どの柱を使っているのかでそのブドウ畑の特徴や、造り手の考え方を知ることが出来ることを皆さんはご存知でしょうか? 一度作ったブドウ畑は30年間変わらない 一度新しい畑を作ると、その畑はよほどの理由がない限りは20年から30年はそのままの形 …
目に見える違いは取り除くべき違い | 栽培の心構え
先日の「ワインは畑ごとに味が違う、は本当か?」と題した記事で、ワインの味はブドウの実一粒単位で味が違うところをたくさん重ね合わせることでその違いを平均化しながら表現したものですよ、と書きました。 こちらの記事をTwitterでシェアさせていただいたところ、拡散してくださる方も何人かいらっしゃり、結果多くの方に読んでいただくことが出来ました。拡散してくださった皆様、どうもありがとうございました。 もしまだ読んでないよー、という方はぜひ一度目を通してみてください。 ところで、前回の記事ではこの「違い」が具体的 …
除葉をどこまでやるか?
2018年のドイツの夏は本当に暑く、雨の降らない日が続いています。このためブドウの生育は例年よりも遥かに早く進んでおり、ワイナリーにおける仕事もその分、前倒し、前倒しで進められています。しかし仕事の前倒しには常に時間と労力の確保が必須であるために、その時間や労力を確保できているワイナリーと、出来てないワイナリーとで現在行っている仕事の内容に差が出てきているのが現状です。 そんな中で現在筆者が日々、畑で行っているのが除葉の作業です。 今やる除葉の目的 以前にも除葉に関する記事は書いたため、除葉そのものに関す …
徹底解説 | フィロキセラ
Phylloxera (Viteus vitifoliae). Woodcut engraving from the book “Gartenbau-Lexikon (Encyclopedia of Horticulture)” by Th. Rümpler. Published by Paul Parey, Berlin (1882) 2019年3月5日、オーストラリアのヴィクトリア州ヤラ・ヴァレーのブドウ畑で新たにフィロキセラによる被害が発生した、というニュースが流れました。 フィロキセラといえばブド …
ワインの移動手段 | ポンプと重力
ワイン造りの現場では果汁やワインを移動するのは日常茶飯事です。こうした際には頻繁にポンプを利用するのですが、最近はこれ以外の方法も使われるようになってきました。Gravity flow (グラヴィティ フロー) です。 Gravity flowとは、Gravity (重力)flow (流す)という名前の通り、機械を使わずに重力で液体を移動させる手法のことを指しています。簡単にいえば、液体を高いところから低いところに流すことで移動させる技術です。 なぜいま重力を使うこの方法に注目が集まっているのかといえば、 …
除梗がワインにもたらす影響
1年かけて育て上げ、収穫したブドウが醸造所に届いたときに最初に醸造家が頭を悩ますのが、そのブドウをどうやってワインに仕上げていくのか、です。 この「どうやって」にはいろいろな意味が含まれています。 そんな中の1つが、「どうやって搾るか」です。 実はこの問いかけにもさらに多くの内容が含まれているのですが、今回考えるのはそうした中でも最初の方に位置する質問である、「除梗をするのか、しないのか」です。 除梗の意味と目的 除梗とは読んで字のごとく、梗を取り除くことをいいます。ブドウはたくさんの粒が緑色をした茎のよ …
醸造に関わる測定項目
ぶどうの収穫から始まるワインの醸造は、知らないとその意外さに驚くほど科学的(化学的)に進めていきます。その代表的なものが、各種項目の測定です。 もちろん醸造家によっては、昔ながらの経験に基づく勘であったり、その意味をわかった上での哲学的もしくは信条的な判断に基づいて細かい測定を行わずにワインを醸造していく場合もありますが、全体から見ればそれはごく少数の、稀なケースに分類されます。 何よりもまず知らなければならないもの まず、もっとも知らなければならない数値、それがぶどうの果汁糖度です。 果汁糖度はぶどうの …
ワイン造りと清澄 | デブルバージュの意味と方法
ワインの勉強を始めると普段の生活ではあまり耳慣れない言葉に出会うことがあります。その1つが「清澄」ではないでしょうか。 清澄という単語を辞書で調べてみると、「澄みきっていて清らかなこと。また、そのさま」(デジタル大辞泉より引用) と出てきます。ワイン造りの現場でこの言葉を使う時には主に、濁った状態の果汁やワインを何らかの方法で濁りのない状態、もしくは濁りの少ない状態にすることを意味しています。清澄剤とはこの清澄作業の際に補助剤として果汁もしくはワイン中に添加するもののことです。ちなみに濾過もこの清澄作業の …
プレスのはなし
ワインを生産するために欠かすことの出来ない装置、というものは複数存在しています。そんな中でも特に重要度の高いものがプレスでしょう。 赤ワインでは多少状況は変わるのですが、概要的にみれば狭義のワイン造りはぶどうを搾り、ジュースを得ることから始まります。この、ぶどうを搾る、という行為に欠かすことの出来ない装置、それがプレスです。 プレスの種類 プレスにはいろいろな種類があります。 これは製造メーカーの種類、という意味だけではなく、その機構の種類、という意味でも同様です。 昔、むかし。プレスの起源の頃に遡れば、 …
ワイン酵母を使った日本酒
今更、と言われるかもしれませんが、ワイン用酵母を使用した日本酒というものがあることを知りました。 以前の記事で書いたとおり、日本酒用途に使用されている酵母とワイン用途に使用されている酵母は同じSaccharomyces系統のものです。このため、それぞれの酵母をそれぞれの用途に向けて使用することはさほど難しいことではありません。 酵母に関する記事はこちらもご覧ください。 ⇒ 酵母ってなんですか? ワイン用酵母を使うとフルーティな仕上がりが期待できる 特にワイン用の酵母はおそらく日本酒用酵母よりもフルーティー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#2 | ワインと土壌
https://youtu.be/TR6KBoMKLv8 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#27 | ワイン醸造のすべて
https://www.youtube.com/watch?v=Jlv9JRVw9JQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#24 | 濁ったワインを考える。
https://www.youtube.com/watch?v=OTzEuC5E_YU 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#30 | なぜやるのか?なにが起こるのか?醸造家が徹底解説 MLF
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第30回のテー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#21 | ブドウの樹齢とワインの品質
https://www.youtube.com/watch?v=E0wQKhRQPcA 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#35 | ワインと温度
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第35回のテーマはワインと温度。 ワイン造りの現場ではブドウを収 …




































