グリューワインの知られざるあれこれ
前回はグリューワインの歴史や作り方を見てきました。 ほっとするような温かさと、ちょっとピリッとするスパイスの風味を感じつつもほのかな甘さで思わず一息ついているとふと疑問に思うことがいくつかあります。グリューワインのアルコール度数ってどれくらいなのか、いつ飲むものなのか、そもそもグリューワインってワインなのか?今回はこんな疑問の数々に焦点を当てていきたいと思います。 グリューワインは”ワイン”なのか? グリューワインはワインをベースにしてはいますが、複数の香辛料や砂糖、もくしはハチミツによって味を整えられた …
二酸化硫黄無添加ワインの作り方
二酸化硫黄、もしくは亜硫酸、という単語は、最近の日本のワイン業界では蛇蝎のごとく忌み嫌われる不健康ワードの代表のようになってしまっている印象を受けます。その一方で、これらの酸化防止剤を添加しない、二酸化硫黄無添加ワインの人気が高まってきており、自然派ワインとかナチュラルワインとかといった名前とともに消費者の関心をかっていることは、おそらくこの業界内にいる人であればすぐに思い当たることなのではないでしょうか。 この酸化防止剤無添加、というキャッチフレーズについては、そもそも二酸化硫黄を添加する目的は決して酸 …
徹底解説 ワインと木樽 | 樽熟成の主役 オーク樽の基礎
ワイン、特に赤ワインに関してよく聞く言葉があります。 新樽比率、フレンチオーク、バッリクでの樽熟成。これらはすべて、ワインの醸造時に使われる木製の樽に関係したものです。 ワインと樽は歴史的にも長い関係を持ってきました。各地で様々な大きさと形の樽が作られ、今でも変わらず使われています。 バリック (Barrique) といえば赤ワイン醸造で使用する代表的なオーク樽ですが、ボルドーでは225L、ブルゴーニュでは228L、コニャックでは300Lとそれぞれサイズが違い、形状も微妙に異なっています。バリックよりも大 …
ろ過していれば大丈夫? | 清澄剤の残留とヴィーガンワイン
ワインといえばブドウから造られているので、菜食主義の方であっても安心して飲めるもの。 この考え方は必ずしも正しくはないことをご存じの方は多いと思います。 なぜ正しくないのか。 ワインの原料はブドウであっても、ワインを造る工程の中で動物性由来の材料を利用している可能性があるからです。動物由来の材料の多くは”清澄剤”と呼ばれる種類のものに使われており、その代表例が卵白であり、カゼインです。 こうした材料はヴィーガンにとっての問題としてだけではなく、より深刻なアレルギー物質としてたびたび取り沙汰されています。 …
ワイングラスとスワリング | ワインあるある
ワインが注がれたワイングラスをクルクル回す、スワリング。ワインのある場所ではとてもよく目にする光景です。人によってはこれでもか、というくらいにクルクル、クルクルしています。 このスワリング、やった方がいいという方とやらない方がいいという方がいらっしゃいますし、やるにしても最初はダメ、という方もいらっしゃいます。とあるSNS上で時々、思い出したように話題になる程度にはいろいろな意見のある行為です。 スワリングをする、もしくはしない理由はいろいろと耳にしますが、科学的な根拠の話になると話題の盛り上がりの割には …
ワインボトルの保管方法 | 縦置きと横置き、どちらが正解なのか
ワインを保管するときにおそらく誰もが一度は疑問に思うこと。それがボトルの置き方でしょう。 ワインのボトルは横置きにしなくてはいけないのか、縦置きにしてはいけないのか。 少し調べてみると、コルクで密閉しているボトルに関してはコルクの乾燥を避けるために横置きにするべき、という説明を多く見かけます。一方でスクリューキャップのものやプラスチック系の樹脂を使った合成コルクを使用しているボトルでは乾燥による劣化が生じないので横置きの必要はないとされています。 こうした、ある意味における世の中の常識とも思われている保管 …
ブドウ畑の冷害対策
先日ブドウの芽吹きが早まることにより冷害リスクが高まる、という記事を書きましたが、この冷害への対策にはどんなものがあるかご存知でしょうか? 冷害対策のいろいろ もっとも伝統的な対策は、”焚き火”です。 ブドウ畑のあちこちで火を焚くことで空気を温めるのと同時に、上昇気流を作ることで空気を撹拌することが目的です。昔は火の維持が大変でしたが、最近ではBBQで使うような、長時間にわたって強い火力を維持できる固形燃料が使われるようになっています。 2つ目の手段が、”ヘリコプター”。 ヘリコプターを畑の上空でホバ …
ワインにとって土壌とはなんなのか、を考える
さて、突然ですがちょっとブラウザを立ち上げて、「ワイン 土壌」とでもキーワードを入力して検索をかけてみてください。おそらくあっという間に検索結果が画面に表示されていると思います。 それでは、そこに出てきたいくつかのサイトの記事を流し読みでいいので読んでみてください。どうでしょう、粘土質の土壌はボルドーの右岸で有名なのはシャトー・ペトリュス、石灰岩土壌はシャブリやブルゴーニュのPinot Noirが代表的で酸やミネラル感のあるエレガントなワインを生み出す、というようなことが書かれているのではないでしょうか? …
土壌というもの
日本でワインの紹介する際に、ワインの個性の1つとしてどのような土壌の畑で栽培されたブドウから造られたワインなのかに言及されることが多いように感じます。こういった傾向はもちろん日本だけに限った話ではないのですが、それでも日本ではその傾向が強いように思えます。 またテイスティング・ノートを見ていても花崗岩が、とか、堆積岩が、という記述に続いて、だからワインの味が、香りが、という所見が語られているのを見かけます。事程左様に日本では土壌というものがワインを見ていく上で重要視されている印象が強いわけですが、この土壌 …
ワインのオフフレーバー | UTA / ATA
ワイナリーやワインショップで試飲して気に入った白ワイン。買って帰ってきたけれど、まだ飲み頃には少しだけ早い気がしてもうしばらく自宅のセラーで寝かせることにした。 その後半年経ったある日の食卓。 本当はもう少し寝かせておいた方がいいと分かっていながらもついつい我慢できずに取り出してきたのがこのワイン。まだ早いんだろうなぁ、と頭の片隅で考えながらもコルクを抜いて、さぁお楽しみの時間!と思ったらなんだか違う。 まるで何年も寝かせていたような、酸化したようなニュアンスがある。自分の保管方法が悪かったのだろうか?ち …
ワインと土壌とテロワール | 粘板岩の色とワインの個性
ワインの持つ個性を説明する時、よくテロワールと関連付けて話をされます。 そうしたテロワールを構成する要素の1つが、土壌です。 土壌にはいくつもの種類があります。 粘土や石灰岩と並んで土壌の一角を占めているのが、シーファー (Schiefer) です。日本語では粘板岩、英語ではスレート (slate) やシスト (schist) と呼ばれます。 シーファーの土壌はドイツに多く、ワイナリーではシーファーの種類ごとにワインを分けて仕込んでいる場合も多く見られます。そう、シーファーには種類があります。 シーファー …
栽培技術 | ブドウ栽培における病気への対策 – 防除の方法
本格的な夏が近づき、日々気温が高くなるこの時期、ブドウはぐんぐんと成長していきます。 ブドウの成長が進むと畑では芽掻きやワイヤー上げ、副梢の除去などに加えて下草の刈り込みや土の鋤起こしなどやることが膨大になりますが、その中でもとても重要なのが病気への対策です。 病気への対策方法はいくつかありますが、今回はそのなかでも中心的な位置にある薬剤の散布について取り上げます。 病気の防除として薬剤を散布することをスプレーと呼びます。この記事でも以下、スプレーという単語を使って話を進めていきます。 なおスプレーの内容 …
徹底解説 | ロゼワインの醸造手法とその特徴
以前、ロゼのワインは産地や品種が分かっていても内容が想像しづらい、という話題を見かけたことがあります。 これはとても興味深い半面、ワインを実際に造っている側からすると、「あぁ、まぁそうかもしれないな」と納得できてしまう点でもありました。ではなぜ、ロゼは仮に飲む前から産地や品種が分かっていてもそこと実際のワインを結び付けることが簡単ではないのでしょうか? 今回はそんな疑問に対して、「ワイン造りの方法に基づく理由」に焦点を当ててみていきたいと思います。 普段からロゼを飲んでいてどうもモヤモヤすることがある、と …
甘口ワインの造り方
年末年始が近づくにしたがって需要も増えてくるイメージがあるのが、甘口のワインです。 甘口のワインといってもその種類は様々。口に含んでほのかに甘さを感じるくらいのものから、貴腐ワインやアイスワインと呼ばれる極甘口のものまであります。またポートワインなどで知られる、フォーティファイドワイン (酒精強化ワイン)と呼ばれる変わり種のワインにも甘口のものが存在しています。 こうした特に甘いタイプのワインはデザートワインとも呼ばれています。 貴腐ワインやアイスワインはその希少性から比較的造り方も知られていますが、そう …
発酵途中の温度管理 | 液温を上げるタイミングとその温度
ワインの醸造を行っていく場合に、ブドウを絞ったジュースや発酵後もしくは発酵中のワインの温度を意図的に上げたり下げたりすることがあります。 ジュースやワインの温度を下げるケースに関しては、「発酵途中の温度管理 – 液温を下げる」という記事でまとめました。 今回はこのケースとは逆のケース、温度を上げる場合についてそのタイミングと設定する温度について解説します。 発酵前に液温を上げる手法はもちろん白ワインの醸造においても意味を持つものですが、特に赤ワインの醸造において大きな意味を持ちます。中でもブドウの健康状態 …
誤解だらけの赤ワイン醸造 | Remontage, Pigeageはなんのため
白ワインと赤ワイン。 この両者のもっとも大きな違いはその色にあります。 ほとんど色味を持たない白ワインに対して、赤ワインは目に鮮やかな赤い色をしています。これは赤ワインには赤い色をした成分が含まれているから。 赤ワインを造る時にはブドウからこの赤い色味の成分を取り出すために、果皮や種子を果汁に漬け込んでいます。 徹底解説 | 赤ワインはなぜ赤いのか? https://nagiswine.com/phenol-01/ ワインにフェノールとタンニンを増やす是非 | 延長マセラシオン https://nagis …
ワインの味に関する規定
ワインの味に関する規定、と聞くとなんのことか分からないかもしれませんが、これは単純にどういうワインを辛口といったり甘口といったりするのか、というお話です。 この味に関する規定というものは国ごとに違いがあると思われますが、ここではドイツワインに関してのみ記載します。 ドイツワインにおける味の種類 さて、ドイツ国内でワイン法に基づいて規定されている味の種類は以下のものがあります。 基本的にこれらの味はワインに含まれる糖分の量(残糖)によって規定されていますが、トロッケンとハルプトロッケンに関 …
酵母はワインの味を「変えて」しまうのか
連日、ワインの醸造を続けています。 ドイツ国内、もしくは私が所属するワイナリーと同じ地域のワイナリーでもすでに収穫収量の声があちらこちらで聞こえ始めており、我々も来週には2020年の収穫を完了させる予定でいます。今のペースで行くと、ケラー内のワインがすべて発酵を終えるのは11月末くらいになる予定です。 今年の醸造ではボスの意向もあり、複数のタンクで自然発酵、いわゆる野生酵母を使用した発酵を行っています。 この野生酵母を使った醸造ですが、最近の流行りの一環、という様相です。一部ではいいワインでは部分、もしく …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#23 | 徹底解説 ワインと糖
https://www.youtube.com/watch?v=4Vh-uAzcqQE 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#3 | ワインと栽培
https://youtu.be/S_zzTaGs4B4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#6 | ワインと添加物
https://youtu.be/3vpP23Xs-YU 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#35 | ワインと温度
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第35回のテーマはワインと温度。 ワイン造りの現場ではブドウを収 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#2 | ワインと土壌
https://youtu.be/TR6KBoMKLv8 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#29 | ワインが開くって、なに?
https://www.youtube.com/watch?v=StnuV_Cv-T0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …




































