熟成香か欠陥臭か アセトアルデヒドを知る | 醸造と熟成がもたらす香りの要素
アセトアルデヒド、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。エタナール (ethanal) とも呼ばれる物質です。 アルコール (エタノール: ethanol) の最初の代謝物で、お酒を飲むと体内でアルコールが分解されていく過程で生成されてもいます。 二日酔いを避けるために。アルコールの分解を知ろう! https://nagiswine.com/alcohol-01/ 体内でエタノールがアセトアルデヒドに分解される際にはアルコール脱水素酵素 (ADH) と呼ばれる酵素が働きます。この一方で、アセトアルデヒド …
樽に入ってるワインはいいワイン? | ワインあるある
ワイン、特に赤ワインを飲んでいると、時々 「このワインには樽香が…」 なんてコメントを聞きませんか?もしくは「樽香」というワインから離れるとなかなか耳にしない単語を知らなくても、樽を使っているワインはいいワインだと、なんとなく思っている、もしくは思っていたことはないでしょうか? 同じワイナリーの同じようなワインでも片方は樽を使っていないもの、もう片方は樽を使っているもので飲み比べてみると確かに味が違う。ただお値段も違っていたりして、しかも樽を使っている方はお値段がお高くて。 なんとなく、それだけでも樽を使 …
ドイツワイン ベスト50
今回、falstaffというドイツ国内の雑誌上でドイツワイン ベスト50というランキングが発表されました。この雑誌が発表したドイツワイン ベスト50の上位10位は下記のようなものでした。 ざっと見ても納得のビッグネームが並ぶ結果になっているのですが、それ以上に気になるのは上位10位すべてがリースリングであり、実に7点がアウスレーゼもしくはトロッケンベーレンアウスレーゼと極甘口のワインになっていることです。 人気のトレンドは辛口に ここだけを見ると、やっぱりドイツワインは甘口なのね、と思ってしま …
ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の弐
今日は前回のこちらの記事の続きで、甘いナチュラルワインが存在しうる具体的な理由についてのお話をしたいと思います。前回の記事をまだご覧になっていない方はぜひそちらからご確認ください。 ナチュラルワインの定義に関する記事はこちら ⇒ ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の壱 甘いナチュラルワインは存在し得る 前回、ナチュラルワインに二酸化硫黄を使うことは禁止されていない、というお話をしました。Decanterが定義したナチュラルワインの定義には、さらに、ナチュラルワインが必ずしも辛口でなけれ …
リースリングにおけるMLFの実施をどう考えるか
先日Twitter上で、リースリングのMLFについてのPostをしました。 行わない、なら分かるけど、行えない、と言ってしまうのは違うかな… <RT実際のところはMLFしているリースリングもあります— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) September 25, 2020 リースリングといえば酸が特徴的なブドウ品種でもあるので、酸を抑えてしまう方向に動くMLFはしないものと思われている方も多いと思います。またMLFによって生じるバタースコッチ様の香りがリースリングとは相性が悪い …
泡が抜けてもスパークリングワインが美味しい理由 | ワインの小噺
フランスのシャンパーニュ、ドイツのゼクト、スペインのカヴァ。世の中にはたくさんの美味しいスパークリングワインがあります。華やかな印象があり気分を盛り上げてくれるスパークリングワインはお祝いやパーティーには欠かせない存在です。 スパークリングワインの一番の特徴はなんといってもその泡。フルートグラスのなかで立ち昇る泡は見た目にも美しいものですが、口に含んだ時の爽快感もスパークリングワインの醍醐味です。 https://nagiswine.com/bubble-01/ ところでこの泡、抜けてしまった後でもそのス …
除葉の時期とその効果 | 開花前の除葉がもたらす色への影響
ワイン用のブドウ栽培で重要な作業の1つに除葉があります。 除葉とは読んで字のごとく、ブドウの樹から葉を除去する作業のことです。 葉は植物が光合成をするための重要な器官。にも関わらずその葉を取り除いてしまうなんて、と思われるかもしれません。しかしこの作業はブドウの栽培をするうえで重要な意味を持っています。 除葉についてはいろいろな議論がされています。手で行った方がいいのか、機械でやってしまった方がいいのか。どれくらいの量の葉を除去するのが適切なのか。そして、いつやるべきなのか。 こうした議論のいくつかはすで …
ブドウの病気 | 黒とう病を知る3つの視点
ブドウは世界中で栽培されている果樹作物で、その栽培面積は地球上でも最大規模だといわれています。 北はイギリスやカナダから南はニュージーランドまで、地球の表面をほぼ覆うほどの規模で栽培されていますのでその栽培条件も様々です。年間通して涼しく乾燥した地域もあれば、一年中暑くて湿度の高い地域でもブドウは栽培されています。 そうした土地の違いを端的に表すのが、病気です。 ワインの旧世界と呼ばれる欧州ではブドウの病気といえば、ベト病、ウドンコ病、そして灰色カビ病です。最近はESCAも無視できない重要な病気として捉え …
ビオディナミ基礎講座|3つの質問から知るビオディナミ
ビオディナミもしくはバイオダイナミック(Biodynamic)という単語が近年、急速に市民権を持つようになりました。特にワインの関連では世界的に高い評価を得ている生産者がこの手法を取り入れているケースが多く、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 一方でビオディナミに関してはその特徴からか多くの偏った情報が存在しています。そうしたなかには正確性を欠くものもあります。そこで今回はビオディナミとはなんなのか、その基礎を3つの質問をもとに解説していきます。 ビオディナミとはワイン造りの方法の1つ? 試 …
ブドウ畑の冷害対策
先日ブドウの芽吹きが早まることにより冷害リスクが高まる、という記事を書きましたが、この冷害への対策にはどんなものがあるかご存知でしょうか? 冷害対策のいろいろ もっとも伝統的な対策は、”焚き火”です。 ブドウ畑のあちこちで火を焚くことで空気を温めるのと同時に、上昇気流を作ることで空気を撹拌することが目的です。昔は火の維持が大変でしたが、最近ではBBQで使うような、長時間にわたって強い火力を維持できる固形燃料が使われるようになっています。 2つ目の手段が、”ヘリコプター”。 ヘリコプターを畑の上空でホバ …
ワインとサスティナビリティ | ローマ時代のブドウ畑は甦るのか
一見、クラシカルなものの典型にも思えるワインの世界ですが、業界内では様々なブームやトレンドがあります。 長年続いているものもあれば気が付けば翌年には忘れ去られているようなものもあります。 そうした玉石混交ともいえる潮流の中ですでに長い期間にわたって支持され、徐々に存在感を増してきているのが原点回帰思想とでもいうべき一連の流れです。 現代的なワイン造りを否定し、中世に行われていたようなワイン造りのスタイルに戻っていこうとでもいうべきこの動き。古代の壺であるアンフォラの醸造容器としての使用、白ワイン用ブドウを …
優良畑はいつまで優良か | ブドウ畑の立地
先日の9月12日に筆者が勤めるワイナリーで2019年シーズン初となるブドウの収穫がありました。ブドウの成長が異常に早く、それに伴い例年よりも1か月近くも収穫が早まった2018年ほどではないものの、2019年もやはり長期平均の視点から見ればかなり早いシーズンの幕開けとなりそうです。 このようなブドウの成熟の早期化の背景には年間平均気温の上昇があります。 地球全体での気候変動が叫ばれて久しいですが、実際にブドウの成熟過程を通して日々その変化を目にしているとその影響の大きさがまさに身をもって実感できます。 そし …
もっと発酵を語ろう | 酸素は酵母に必要か
記事をお読みいただく前に この記事では説明の都合上、学術用語としての“発酵”と一般的なアルコール生成手段としての意味での“発酵”が同一文章内に特に断りなく混在して使用されています 何度か発酵についての記事を書いてきました。発酵とはぶどうジュースがワインになるために絶対に欠かすことのできない、とても重要な工程です。 発酵にはいくつか欠かすことのできない要素があります。そのもっとも代表的な存在が、酵母です。 一方で、ワインに対して酸素が大敵であることは周知の事実です。酸素 = 酸化というイ …
ワイン醸造の暗部?補糖は悪なのか | シャプタリザシオンをめぐって
日本酒における醸造用アルコールの添加、ワインにおける補糖。 これらは随分と敵視されていることが多いように感じます。行ってみれば醸造酒の暗部、アンタッチャブルな領域、という印象でしょうか。 おそらく日本酒にしてもワインにしても、本来は栽培や醸造の結果として得るはずの糖度やアルコールを外部から補填することに対して、その目的および理由の如何を問わず、なんらかの悪印象を受けている結果からきているのだろうと思います。 もしくは一部の国地域において高品質ワインを謳うカテゴリーで補糖が禁止されている点をもって、補糖する …
非サッカロミセス系酵母の基礎的理解:現代ワイン醸造における新たな選択肢
現代のワイン醸造において、技術の選択には絶えず変化が見られます。その中でも特に顕著な変遷を示すのが酵母の選択です。品評会での好成績や業界での推奨により、特定の酵母が注目を集め、次のヴィンテージではその採用が急速に拡大するという現象が繰り返されています。 醸造用酵母の選択肢は多岐にわたり、カタログに掲載されているすべての酵母を網羅的に検証することは現実的ではありません。さらに、野生酵母による自然発酵という選択肢も加わることで、使用される酵母株の多様性は年々拡大し続けています。このような状況において、造り手が …
ワインと酸と乳酸菌 | MLFを知る
ワインにとって酸は欠かせない要素です。 ただ、酸は多すぎても少なすぎてもダメ。全体とのバランスがとても大事です。 ワインには複数の酸が含まれていますが、ワイン造りの視点から見て特に重要なのは酒石酸とリンゴ酸です。この2つの酸はワインに含まれている酸の中でも特に量が多く、ワインの持つ酸味にも強く影響を与えています。 ワインと酸 | ワインの有機酸を考える3つの視点 https://nagiswine.com/acid-01/ ワイン造りの過程で味を調整するために酸味のバランスを取ろうとするとき、多くの場合は …
ワインにフェノールとタンニンを増やす是非 | 延長マセラシオン
ワインを造る時に使われる醸造技術の1つにマセラシオン (Maceration, マセレーションとも) があります。日本では「醸し」とも呼ばれる技術で、果汁やワインにブドウの皮や種を数時間から数日、長ければ数か月にわたって漬け込んでおく手法を指しています。 「スキンコンタクト」や「果皮浸漬」と呼ばれる手法も基本的にはこのマセラシオンの別名です。 いろいろな呼ばれ方をするマセラシオンですが、その目的は大雑把にいえば「抽出」です。ブドウの皮や種子からその中に含まれているいろいろな成分を果汁やワインの中に引き出す …
ブドウを凍らせる醸造手法
果物は新鮮さが命。ワインを造るにしてもそれは一緒。だからこそ、収穫したブドウは1分でも1秒でも早くワインにするための加工をするべき。 ワイン造りにはこんなイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。今回取り上げるテーマはそんなイメージの180度逆をいくお話です。新鮮なブドウを敢えて凍らせる。今回はそんな醸造手法について見ていきます。 鮮度を維持するためではない凍結処理 果物や野菜を新鮮なうちに凍らせる、という考え方は日本で生活していればそれほど違和感を持たないのではないでしょうか。冷凍技術に優 …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#27 | ワイン醸造のすべて
https://www.youtube.com/watch?v=Jlv9JRVw9JQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#30 | なぜやるのか?なにが起こるのか?醸造家が徹底解説 MLF
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第30回のテー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#31 | ボジョレー・ヌーボーで有名な手法を醸造家が解説!マセラシオンカルボニックの真実
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第31回のテー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#12 | ワインの「熟成」の真実
https://youtu.be/qf4EbX5JysQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#4 | ワインと有機栽培
https://youtu.be/e-9WqBsic_E 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#18 | ワインの栓
https://www.youtube.com/watch?v=n3zMZ20Y9eI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …




































