徹底解説

全房発酵のウソ、ホント | ブドウの茎がワインに与える影響

05/09/2022

ワイン造りの方法で、除梗もしくは全房発酵という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

どちらもワインを造るときにブドウをどういう状態で使うのかを表した言葉です。

ブドウの房は緑色をした茎のようなものにブドウの粒がたくさんついた形をしています。この茎の部分のことを果梗 (かこう)、もしくは単に梗 (こう) といいます。

ワイン造りの現場では、ワインを造るときにこの梗を取り除いてブドウの粒の部分だけを使う造り方を除梗といい、梗も含めて房ごと使うことを全房といいます。全房発酵とは、梗を含めた房の全てを入れた状態で果汁を発酵させるのでこう呼んでいます。

全房発酵は主に赤ワインで使われる醸造技術です。

白ワインを造る場合、基本的には収穫してきたブドウをすぐに絞ってしまうため、果皮も種も梗もすべてプレス機の中に残り、果汁だけがタンクに移され発酵に回されます。作業工程上、発酵のときにはほぼ必ず果汁だけになっているため、全房発酵のしようがないのです。

赤ワインに関しても、必ずしも使われる技術ではありません。

もちろん昔は違いました。昔は除梗しようにも手作業でするしかなかったので、多くのワイナリーが全房でワインを造っていました。しかし最近では技術が発達し、作業が機械化できるようになったため赤ワインであってもむしろ除梗するのが当たり前、という流れになっていました。

でもこの流れ、最近になってまた変わってきています。世界各地で赤ワインの醸造に全房発酵を取り入れるワイナリーが増えてきているのです。自然派ワインと呼ばれる、醸造に人的な介入をしないで造るワインが人気になっていることもこうした流れの背景にあるのかもしれません。

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元を辿ればワイン造りの源流ともいえる全房発酵ですが、実はあまり詳しい効果がわかっていないワイン造りの手法の1つでもあります。

この記事では最近行われている検証の結果をもとに、全房発酵がワインに与える影響とはなんなのかを一問一答形式で見ていきます。

ブドウ品種に向き不向きがある

本当です。ブドウ品種によって、全房での醸造に向いている品種、向いていない品種があります

全房発酵とは簡単に言ってしまえばブドウの果汁がアルコール発酵するときに果皮や種子と一緒に梗も果汁に漬け込んでしまえ、という造り方です。

イメージはラーメンのスープに入れる骨です。博多の豚骨スープを思い浮かべてください。

豚の骨は食べられません。ブドウの梗も同じく食べられません。でも、両方とも何かしらエキス分を含んでいます。ラーメンのスープでは長時間煮込むことでこれを取り出しますが、ワインでは漬け込むことで取り出します。これを抽出、と呼びます。

要は全房発酵とは、梗に含まれる成分をワインの中に抽出することを目的に行われます

一方でスープを煮込むときに灰汁を取り除くのと同じで、ブドウでも必ずしも望ましい成分ばかりが抽出されてくるわけではありません。本来なら抽出されて欲しくない、望ましくない成分も抽出されてきてしまいます。ワインの醸造でいえば、抽出されて欲しい成分の代表がフェノール類、抽出されて欲しくない成分の代表がメトキシピラジン (Methoxypyrazines) です。メトキシピラジンがワインに入ってしまうと草やハーブ、パプリカなどの野菜様の香りがするようになります。

ワインにおけるメトキシピラジン量と環境要因

このメトキシピラジンですが、ブドウ品種ごとに含有されている量が違うことがわかっています。赤ワイン用の品種ではCabernet Sauvignon (カベルネ・ソーヴィニヨン) や Cabernet Franc (カベルネ・フラン) などに多く含まれています。こうした品種では全房発酵をするまでもなく、ワインに草やハーブといったメトキシピラジンを原因とした香りが感じ取れます。そのため、これらのブドウ品種で全房発酵をしてしまうとこうした香りが強くなりすぎてしまいます。

強すぎるメトキシピラジンの香りはネガティブと受け取られますので、これらの品種では全房発酵は向いていません。一方でブドウに含まれるフェノール類の量が少ないPinot Noir (ピノ・ノワール) やメトキシピラジンやロタンドン (Rotundone) が品種の特徴香として働くSyrah (シラー) は全房発酵に適した品種とされています。

全房での醸造は常に0か1で行われる

間違いです。仮に全房発酵を醸造工程に取り入れようとしたとしても、ワインを造るときに仕込むブドウの全量を必ずしも全房で使用する必要はありません

「全」という単語が使用されているため全房発酵のイメージはなんとなく、仕込んだブドウの全量を全房で使用しているように受け取られがちです。ワインショップやレストランでワインの説明を受ける際に、「全房発酵で造られています」といわれると、なんとなく一切除梗していないブドウで造っている印象を持ってしまいます。

全房の使用率は様々な要素によって変わりますが、多いのはブドウの15 ~ 20%を除梗せずに全房で使用し、残りの80%前後を除梗して使用するケースです。

品種の向き不向きの項目でも書いたことですが、全房発酵をする場合、必ずしも望ましい成分だけが抽出されてくるわけではありません。また仮に成分としては望ましいものであったとしても、量が多くなりすぎるとネガティブに働くものもあります。

さらにブドウの梗に含まれる成分の種類や量は毎年変わりますし、ブドウ自体の味も毎年違います。今年のブドウの味では梗を多めに使っても味のバランスが取れたからといって、来年も同じだとは限りません。

全房で使用されるブドウの割合は、品種ごと、畑ごと、年ごと、造りたいワインのスタイルごとに細かく変えられています

全房発酵したワインはフレッシュで酸味が抑えられる

本当ですが、注意書きが付きます。

ブドウの梗を果汁中に入れると、梗に含まれるカリウムも抽出されます。抽出されたカリウムはブドウ果汁中の酒石酸と反応して酒石酸カリウム (Potassium tartrate)、俗に酒石と呼ばれる結晶となって容器の底に沈殿します

ワインの酸味の原因でもある酒石酸が酒石として沈殿してしまうと、その分、ワインからは酸がなくなります。そうなると、ワインの味は酸味が抑えられるようになります。

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一方でここで1つ目の注意書きが付きます。全房発酵を行ったワインでは100%、pHが高くなります。すべての検証結果でこの傾向が示されています。

これは梗から抽出されたカリウムなりカルシウムなりが酒石酸と結合することで除酸効果が生じている裏付けです。しかしその一方で、滴定酸量に変化がないケースがいくつか報告されています。つまりpHの上昇で除酸効果が生まれているであろうことは間違いないのに、ワインに含まれる酸の量に変化がなく、ワインの味は変わっていないケースがあるのです。

梗から抽出されるカリウムはワインの酸を減らす効果を持ちますが、一方で梗には酸はほとんど含まれておらず、酸が抽出されてくることはほぼありません。つまり、梗をワインの醸造工程中で使用するとワインの酸味が減ることはあっても増えることはありません。実際に検証レポートを見ても、酸量が増加した報告事例はありません。

しかし全房発酵をしたワインの官能評価結果では「フレッシュさ」が有意に高い割合で指摘されています。

ワインにおけるフレッシュさは一般には酸量に基づくと考えられています。ドイツのRieslingのように、冷涼地域の酸が多いワインでフレッシュさを感じた経験をお持ちの方も多いと思います。

全房発酵ではワインの酸の含有量は多くの場合で減り、少なくとも増えることはないのはすでに見てきたとおりです。これが2つ目の注意書きです。にもかかわらず、味わいにフレッシュさが指摘される。この理由はまだはっきりした回答がありません。現時点においては、梗から抽出されるグリーンなニュアンスやハーブのような香りを持つ各種化合物、果実の香りなどが複雑に関係しあって生み出されているものだろうと考えられています。

全房発酵ではこのケースのように、ワインの化学的な組成には大きな違いはないのに官能評価では大きな差が出ることが往々にしてあります。

梗の利用はアルコール度数調整の奥の手になる

絶対にないとはいえませんが、本当とも言えません。

梗がブドウの房に占める割合は重量比では3 ~ 7%、体積比ではおよそ30%といわれています。さらに梗の55 ~ 80%は水分です。このためブドウを全房で使用すると梗に含まれる水分も果汁中に抽出され、出来上がるワインのアルコール度数が下がるといわれています。

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一方で検証結果を見る限り、全房で醸造をしたからといって明確にアルコール度数が下がっている報告は見当たりません。確かに多少、アルコール度数が低いケースはあるのですが、その場合には残糖量が多くなっており、発酵の程度が低かったためにアルコールの生成量自体が少なかった可能性の方が高いと考えられます。

そもそも、梗が漬け込まれている果汁のほとんどは水です。確かに発酵が進む前は糖度が高いため浸透圧の関係で梗から水が抽出されるかもしれませんが、発酵が終われば梗はアルコールを含んだ、密度の低い液体に漬け込まれている状態になります。そうなると、逆に梗が水を吸収する可能性が高くなります

出来上がったワインのアルコール度数の測定結果以上の検証データはありませんが、梗を浸漬することで水分が抽出され、アルコール度数が下がるというのはあまり現実的ではないように思えますし、実測のデータがそのことを裏付けているとも言えます。

除梗をしないとワインのフェノール含有量が増える

ほとんどの場合で本当です。しかし絶対とはいえないようです。

ブドウを除梗せずに使う一番の目的は、梗に含まれるタンニンをはじめとしたフェノール類の抽出を行うことです。このため全房発酵をしたワインではフェノール類の含有量が増えてくれないと意味がないのですが、増えなかった事例の報告が何件かあります。こうした傾向は全房率が低かった、逆にいえば使用したブドウのほとんどを除梗していたケースで顕著です。しかしそれにしても数%という話ではありません。20%程度を全房で使用した事例でもフェノール類の含有量の増加が確認されなかったケースがあります

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全房率が50%を超えているケースでフェノール類の含有量増加が確認されなかった事例はありませんが、単に「全房発酵です」といわれる場合にはその割合はわかりません。もしかしたら中には全房発酵も採用しているけれど、フェノール類の含有量という点からは効果が見られなかったワインもあり得る、ということです。

シルキーなタンニン

全房発酵の特徴としてよく言われることの1つが、シルキーなタンニン、です。全房発酵を行うとタンニンのとげとげしさが軽くなり、代わりに口当たりの滑らかな、まるでシルクのようなニュアンスが得られるようになるといわれます。

この理由についての言及はほぼ行われていませんが、1つ、根拠として可能性が高いと思われる要素があります。それが、高分子アントシアニン濃度の上昇です。

ブドウを梗ごと使って醸造したワインを分析すると、ほぼ確実に高分子アントシアニンの含有量が増えていることがわかっています。アントシアニン (Anthocyanin) は赤ワインが赤い色をしている理由となる、フェノール化合物の1つです。このアントシアニンはタンニンと結合して高分子化します。

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梗にはブドウの果皮や果肉に含まれるよりも多くのフェノールが含まれています。またその種類も異なっています。こうした種類の異なるフェノールが大量に果汁中に入ってくることによってワインの中で通常は起こらない化学反応が起こります。アントシアニンの高分子化もその事例の1つです。

タンニンがアントシアニンと結合すると、タンニンの持つ渋みや苦み、収斂感が弱くなります。こうした結果、シルキーな口当たりと感じるようになっている可能性があります。

面白いのは、全房で造られたワインではほとんどの場合で渋みや苦み、収斂感が強くなったと指摘する官能評価結果が出されています。またこうした点が、特にPinot Noirのようなフェノールの含有量が少なく軽くなりがちなワインに厚みを持たせるとして全房発酵が注目されている理由でもある点です。

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全房発酵はワインに独特な香りを持たせる

いい意味でも悪い意味でも本当です。ワイン醸造に茎を取り込むと、ワインの味や香りに変化が出ます

全房発酵を取り入れたワインを飲むと、多くの場合、特に説明されなくてもすぐにそのワインが全房で造られていることがわかります。独特な香りがあるからです。

そうした香りの出処は主に2つです。

1つは梗からの抽出

ブドウの果皮や果肉には含まれていない香りやニュアンスが梗には含まれています。こうした香りやニュアンスをワインに感じると、それはほぼ自動的に、梗を醸造に使った証拠となります。香りやニュアンスが強いほど、全房の割合が高かったのだろうと予想できます。

もう1つが酵素的反応です。

ボジョレーヌーボーの造り方として有名な醸造手法にカーボニックマセレーションと呼ばれるものがあります。酵母を使ったアルコール発酵の前段階で除梗も破砕もしていない全房のブドウを密閉型のタンクに入れ、タンク内を二酸化炭素で満たすことでブドウの中で酵素による反応を引き起こすことで独特な香りを持ったワインを造るための方法です。

カーボニックマセレーションという醸造手法

全房発酵を行う場合、少なくとも発酵槽の中のブドウの何割かは破砕されていない状態を保っています。果皮は破れておらず、果汁も外に出てきていません。一方でそうしたブドウの周りでは、破砕されたブドウの果汁が発酵を始めています。

発酵が始まったタンクの中は、発酵によって生じる二酸化炭素ガスで満たされます。タンク内に酸素がなくなり、全房でタンクに入れられたブドウはカーボニックマセレーションと同じ環境に置かれることになります。セミカーボニックマセレーションと呼ばれるものですが、やっていることはカーボニック・マセレーションと同じです。

カーボニックマセレーションと違い、酵素の反応が起きるのは使われているブドウの一部だけですが、そうした一部のブドウから生じる独特のフルーティーであったり、スパイシーであったりする香りがワイン全体に複雑さを持たせることになります。

一方でカーボニックマセレーションで得られる香りはあまりに独特なため、時にその香りがブドウが持つ本来の香りを覆い隠してしまう場合があります。カーボニックマセレーションの持つリスクの1つです。

全房発酵でもこのリスクが伴います。造り手によってはこの香りを嫌って酵素的な反応が起きないようにしつつ、梗からの抽出だけをしようとする人もいます。

未熟なフェノールでワインが青臭くなる

全房発酵には多くのリスクがつきまといます。そうした中で最も注意すべきことが、ワインに青臭い、草のようなニュアンスがついてしまうことです。

この原因として、よく未熟なフェノールが挙げられます。全房発酵で抽出されるものはフェノール。そして熟してないから未熟。未熟だから青い。そんな発想からでしょう。しかし、これはおそらく違います。

ワインに草や野菜、ハーブのような香りを持たせる化合物はhexanolなどのアルコール類やメトキシピラジン、マッシュルームのような香りは1-octen-3-ol という不飽和アルコールです。いずれもフェノール化合物ではありません。

こうした化合物の中でもメトキシピラジンは特に閾値が低く、認識のされやすい物質です。しかも梗には多く含まれています。ほかの草やキノコの香りを持つアルコール類の抽出が確認されなかった場合にもメトキシピラジン類の抽出は確認されている事例は多く存在しています

またクローブ様のスパイシーな香りを持つケイ皮酸エチル (ethyl cinnamate) や野菜のニュアンスを持つベンズアルデヒド (benzaldehyde) も全房発酵を行うことでワイン中における濃度が高くなることがわかっています。こうした化合物もワインに植物様の香りを持たせる原因になっていると考えられます。

梗がよく熟すようになったので全房率が上げやすくなった、というのは、実際にはフェノールとは関係なく、植物細胞の木質化が進むようになって抽出がされにくくなったということのほか、果実の熟度の上昇にともなって含有されるメトキシピラジンの濃度が下がり相対的に植物系のニュアンスが付きにくくなった、ということでもあるのだろうと思います。

ワインの色が薄くなる

本当のことが多いですが、ヴィンテージによる影響の方が大きいようです。

全房発酵を行ったワインでは色味が薄くなるとよくいわれます。これは果汁やワインへの浸漬を通して、梗の表面にワインの色の成分であるアントシアニンが吸着されてしまうためと考えられています。

実際にPinot Noirでの検証では色が薄くなっているケースが多く確認されています。一方で別の品種では逆に全房発酵を行った場合の方が色が濃くなったという報告もあります。

Pinot Noirであっても年によっては色に変化がない場合や、やはり濃くなっている事例もあり、現状では全房発酵を行っているかどうかよりも、ヴィンテージ毎や品種ごとの違いのほうが影響が大きいとの結論づけがなされています。

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高い全房率は美味しいワインの絶対必要条件か?

残念ながら間違いです。全房発酵の採用は美味しいワイン、もしくはいいワインといわれるワインが出来上がることを約束しません

すでに見てきたように、梗からの抽出は必ずしもワインにいい影響だけをもたらしません。果実を破砕しないことで起きる、カーボニックマセレーションの影響も同様です。

高い全房率は確かに独特なワインを造りますが、それが必ずしも品質的に高く、味も美味しいという保証はどこにもありません。むしろ、醸造上の品質管理の面からはリスクの方が大きいとも言えます。

すでに説明したように、全房のままブドウを使って醸造を行うとワインのpHが上がります。ワインのpHが上がると俗に酸化防止剤や亜硫酸として知られている二酸化硫黄、SO2の効きが劇的に悪くなります。微生物も活動しやすくなります。これにはブレタノマイセスのような腐敗酵母も含まれます。

二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1

ワインの欠陥臭ブレットを生む酵母 | ブレタノマイセス

さらに全房率を上げるとそれだけ出来上がったワインに含まれる揮発酸の量が増えることがわかっています。これは果帽中に梗が含まれることによって生じる空間に酢酸菌などのバクテリアが繁殖してしまうことによってもたらされています。揮発酸はブレットと同じく場合によっては少量であればワインの個性ともいわれますが、基本的には典型的な欠陥臭、オフフレーバーです。

つまり高い全房率は微生物汚染のリスクを引き上げるのです。

誤解だらけの赤ワイン醸造 | Remontage, Pigeageはなんのため

もちろん全房発酵を行う意味がないわけではありません。複雑で奥行きのある香りやストラクチャーはいいワインの条件ともいえます。全房発酵がもたらす独特な香りやニュアンスはこうした複雑さ、奥行きを作り出すには有効な方法であることは間違いありません。

一方でそうした複雑さや奥行きが除梗したブドウから作れないわけでもありません。どういう道をたどって目的地に行きつくのか。それは造り手個人個人の好みや考え方によっています。

全房発酵によるワインへの影響はオンラインサークル向けの記事およびnoteのマガジン向け記事でより詳細に解説していく予定です。

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  • この記事を書いた人

Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

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