Twitter上でPostした、ドイツ国内で赤ワインと白ワインを混ぜてロゼが造れるってお話は間違いですよ、というPostが意外に反応が多かったので、念のため一次情報と合わせて記載しておきます。
あぁ、分かった
ロゼではないケースの話か...ロゼとして売ってはいけないものはワインとしても”ロゼ”ではないので、これをロゼの製造方式として考えてはダメなやつですね
誰が広めたのか知りませんが、完全に解説ミスだと思われます
”ロゼ”は赤と白の混合は認められていません
ご注意ください— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) April 25, 2020
一部でドイツではRoseの生産に赤ワインと白ワインの混合が認められた、という記載を見かけましたが、、、 実際にドイツで施行されている条文を確認してもそんな内容はどこにもないのですが、どこからの情報でしょう? こちらで確認したのは2019年1月1日時点での現行条文となります
あぁ、分かった ロゼではないケースの話か... ロゼとして売ってはいけないものはワインとしても”ロゼ”ではないので、これをロゼの製造方式として考えてはダメなやつですね 誰が広めたのか知りませんが、完全に解説ミスだと思われます ”ロゼ”は赤と白の混合は認められていません ご注意ください
現時点におけるドイツのワイン法の現行版は2019年1月1日に施行が確認されているものになります。
まとめられているものがこちらからダウンロードできますのでご興味がありましたらご確認ください。
こちらの条文内で、今回の件に該当する箇所は2か所です。
まずは上記のPDFファイルの3ページ目、上の方にある箇条書きの1つ目の部分です。
Bei Wein ohne Herkunftsbezeichnung wird künftig ein Verschnitt weiß-rot möglich.
Diese Weine dürfen allerdings nicht, wie ursprünglich einmal vorgesehen als Rosé vermarktet werden.
この条文を適当な翻訳サイトなどでご自身で訳していただけば内容はほぼ一緒になると思いますが、訳は以下のようになります。
生産地呼称をしないワインであれば白と赤の混合が可能。しかしながら、これらのワインについてはロゼとして販売することは禁止
まず「白と赤」の混合が可能、とはされていますが、これが白と赤の何なのかは明示されていません。ワインなのか、果汁なのか、ブドウなのか分かりません。ですので、この時点で「白ワインと赤ワイン」を混ぜていいよ、ということには厳密にはなりません。
この一方で、この白と赤を混ぜたワインを「ロゼ」とすることは明確に禁止されています。
つまり、この白と赤の混ぜ合わせは”ロゼの造り方”では明確にありません。
次に見るべき条文があります。
上記PDFファイルの7ページ目、上部にある「Rosé und Weißherbst」という項目です。この項目ではそれぞれのワインがどのようなものでなければならないのかが定義づけられています。
Rosé muss nicht mehr wie Weißherbst aus hellgekeltertem Most von Rotweintrauben hergestellt werden. Rosé muss demnach ausschließlich aus Rotweintrauben hergestellt werden und von blass- bis hellroter Beschaffenheit sein.
ロゼはもはやヴァイスヘルプスト向けのような着色のない (状態の) 赤ワイン用ブドウ果汁から造られてはならない。ロゼは100%赤ワイン用ブドウの果汁から造られなければならず、その果汁は淡い程度から明るい赤程度の範囲の色合いでなければならない
ロゼ用に使うことのできる果汁の色味が定義されるのと同時に、原料は100%黒ブドウでなければならないことが明記されています。
この条文と上記の条文より、ドイツでの”ロゼ”の醸造は今でも100%赤ワイン用ブドウ、つまり黒ブドウしか使えないことが明確になっています。TwitterでPostしたように白と赤の混合は、生産地呼称を記載していようとしていまいと”ロゼ”ではありませんのでご注意ください。
奇しくも昨日公開した記事「なぜロゼワインは分かりにくいのか」にも書きましたが、”ロゼ”と”ピンク色をしたワイン”は同じものではなく、別物なのだ、ということです。
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徹底解説 | ロゼワインの醸造手法とその特徴
以前、ロゼのワインは産地や品種が分かっていても内容が想像しづらい、という話題を見かけたことがあります。 これはとても興味深い半面、ワインを実際に造っている側からすると、「あぁ、まぁそうかもしれないな」 ...
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