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成長点をいつ落とすか

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ドイツ各地では南部地域を中心に相変わらず雹の被害が報告させており、悲惨としか言いようのない被害を受けた畑の写真なども目にします。特に枝が十分に長くなり、それにあわせてワイヤーを上げ、枝の整理も始めていたらしい畑でそのような被害があった写真をみると、本当に心が痛みます。

このような被害が出ている一方で、雹の被害を受けていない地域では順調すぎるほど順調にブドウは成長を続けており、枝の長さは2メートルをゆうに超えるほどになっています。

 

そうなると、ブドウ栽培者はいつ枝の先端を切り、高さを揃えるのかの判断をする必要が出てきます。

枝を切ることは成長点を落とすこと

ブドウの枝の成長点は枝の先端にあります。これはつまり、ブドウの樹の中でもっとも細胞分裂が活発な部分が枝の先端だということです。そしてこの成長点の位置は不可逆であり、枝の状況によって変化することはありません。

 

何を言っているのかというと、仮に枝を途中で切り落とした場合、切り落とした状態における枝の先端、切り口の部分が改めて成長点になることはない、ということです。このことは枝の先端を切り落とした場合、その枝はそれ以上長くなることはないという意味でもあります。仮に2メートルの位置でブドウの枝が切りそろえられた場合、そのシーズンにおける枝の高さは2メートルに固定されます。ときにブドウ畑を見ていると、一度は高さが低くなったのに数日するとまた高くなっているように感じることがありますが、これは成長点を落とした枝が伸びたのでなく、その枝から伸びた副梢が伸びた結果、枝が伸びたように見えているのです。

 

この成長点の存在はブドウの樹における栄養素の流れをコントロールする一因もまた担っています。成長点が存在しているうちは栄養素は枝の先端に向かって積極的に、一方通行に近い形で流されますが、成長点がなくなるとこの流れの方向性が変わり、根に向かって流れ始めます。このことが果実の成長に対して大きな影響をもたらす要因となります。

 

早い時期に成長点をおとすと果実は大きくなる

前述のとおり、成長点の存在はブドウの樹における栄養素の流れに大きな影響を与えます。

 

成長点があるうちは栄養素は一方通行で枝の先端に向かいますが、成長点がなくなると、この方向が逆転します。このことは成長点があるうちは果実へは積極的に栄養が供給されることはないのに対して、成長点が落とされると今度は果実に対して積極的に栄養素が供給され始める、という意味でもあります。栄養が供給され始めた果実は、それまでの栄養の供給がなかった時と比較して明確にその成長を速めます。

 

つまり、果実が大きくなる傾向が強くなるのです。

 

果実を大きくすることはいいことか?

単純に果実が大きくなる、と聞くととてもいいことのように思えるかもしれません。しかし、以前の記事、大豆は大粒、ブドウは小粒でも書いたとおり、ブドウの果実が大きくなることは必ずしも望ましいこととは言えない面があります。



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