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ワインの評価方法

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このBlogでも時々、ワインに関するランキングや評定結果についての記事を書いています。これらの記事は注目度が比較的高いようで、読んでくださっている方も多くなる傾向があります。

 

そんな関心の高いワインの評価に関するお話ですが、実際にその内容についてお話をしていると、結果はご存知でもその評価がどのような審査方法を経て付いたものなのかはご存知でない方が多いように感じます。しかし、実際の評価方法を知っておくことはその結果を見ていく上で実は重要です。

 

今回は先日発表された、Decanter誌の”Decanter World Wine Awards 2018”を例にその評価方法を見ていきたいと思います。

 

過去のランキングや評価に関する記事はこちらからご覧いただけます。

→ ドイツの赤ワイン

→ Sauvignon Blancの躍進

→ 存在感増すSauvignon Blanc

→ ドイツワイン ベスト50

 

ワインの区分方法

多くのワインの評定イベントではすべてのワインを何の区別もなく横一線に並べて評価する、ということはまずありません。大概の場合においてエントリーされたワインはある一定のルールに基づいて区別されています。

 

今回のDecanter誌の場合では、エントリーされたワインは以下のようなルールに基づいて区分されていたようです。

 

”Wines are organised for tasting by country, region, colour, grape, style, vintage and price”

(ワインはテイスティングのため、国、地域、色、ぶどう品種、スタイル、ヴィンテージそして価格帯に基づいて準備された)

 

この上で各ワインは同等のもの同士のなかで比較、評価されています。ちなみに価格帯に関しては、

  • Entry Level (price band A): up to £7.99
  • Mid-Range (price band B): £8 to £14.99
  • Premium (price band C): £15 to £29.99
  • Super-Premium (price band D): £30 to £59.99
  • Boutique/Icon (price band E): £60

という分け方になっていたようです。

 

審査員も選ばれている

選考過程において各ワインが上記のように区分され、それぞれのカテゴリーで評価されているように、ワインを評価する審査員もそのカテゴリーの専門家が選ばれています。

実際に、Decanter誌の選考にあたっては、次のように明記されています。

 

”Judging is organised into categories, initially based on region.For example, Champagne will be judged by a panel of Champagne experts.”

(審査員は地域のカテゴリーに準じて選択される。例えば、シャンパーニュはシャンパーニュの専門の審査員によって審査される)

 

またその審査の際に関して審査員が知りうる情報としては、以下のように書かれています。

 

”They know the region, style and price bracket, but they don’t know who produced the wine or the brand name.”

(審査員は地域、スタイルそして価格帯については事前に知らされるが、生産者およびブランド名について知らされることはない)

 

ちなみに今回のDecanter誌の審査のおいて、審査前にぶどう品種まで審査員が知っていたかどうかについては書かれていません。

 

この審査方法をどうみるか

すべてのワインは”ワイン”という名称のもとに一括りにすることは確かに可能ですが、それこそエントリーレベルの安価なワインとプレミアムラインの高価なワインを同列に比較することは平等とはいえません。

 

安いワインには費用を抑えるための工夫がされていますし、高いワインには高いなりの理由があります。それらは味や香りに明確に現れますし、これを品質の善し悪しという視点で語ることは間違っています。ですので、エントリーされたワインをある程度のルールに基づいて区分し、そのカテゴリーの中で比較する、という方法は当然、避難されるようなものではありません。

 

ただこの一方で、そのワインの評価結果が良くも悪くもそのカテゴリー内で終始してしまう可能性があることもまた否定できない事実です。

 

人間の味覚や嗅覚はどちらかといえば、相対的なものです。ですので、あるカテゴリー内ではものすごく良く感じたものが、別のカテゴリーのものと比較したときには全く違った印象を残す可能性は大いにあります。ある条件下ではこれはいいけど、別の条件ではちょっとね、ということは日常生活において本当によくあることだと思います。

 

別にこのことをもって各ワイン評価の評価結果をどうこう言おう、というつもりはまったくありません。評価結果に対する信頼性が揺らぐこともありません。ただ、各ワインの評価は多くの場合において、何かしらの限定された条件の中で付いたものなんだ、ということは知っておいて損はない。そう言いたいだけです。

 

そのことを知った上で評価結果を見てみると、なにかまた別の新しいものが見えてくるのではないでしょうか?

 

 

 

Decanter誌の審査方法の詳細ついては以下のリンクからご覧いただけます。

3. How the judging and medals work

 

Decanter World Wine Awards 2018の結果一覧へのリンクはこちら。

Decanter World Wine Awards 2018: Full results now available

 



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Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。フリーランスとしても活動中

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