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ドイツワインランキング | 年間優秀ワイナリーを探す

12/23/2019

年の瀬が近づくと活発になるのが、各種ワインガイド等によるワインおよびワイナリーのランキングの発表です。

ワインを点数評価することについては賛否両論ありますが、それでも世の中に星の数ほどあるワインの中から自分の気に入りそうなワインを選ぶ際にはやはり役に立つもの。参考にしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

一方で悩ましいのが、評価媒体の多さです。

それぞれの媒体がそれぞれ独自の基準に基づいて発表している評価・ランキングですので、その内容は一部では共通していながらも、一部では大きく異なっていることが珍しくありません。このため自分の好みのワインを選ぶためには、まず自分の好みの方向性に合った評価方針を持った媒体を選ばなければならない、なんてことも起こりうるのがこのランキングというもの。

世界的にはミシュラン・ガイドやパーカーポイントで有名なロバート・パーカー氏が設立したワイン・アドヴォケイト、ジャンシス・ロビンソン女史など有名な媒体、人物がおりこれが標準のように思われていますし、実際に権勢も誇っています。一方でこの光景はドイツでは少し違います。

ドイツでは上記のようなメディアよりも、GaultMillau、Vinum、Feinschmecker、Falstaff、Eichelmannという5つの媒体の方が知名度、信用性ともに高く、ワイナリーでもこれらの媒体に向けた対応がより重要視されている場合が多くあります。

今回の記事ではこれらの媒体に発表された内容をいくつかご紹介したいと思います。

Eichelmannに掲載された2種類のランキング

最近のドイツのワインガイドでは各ワイナリーのワインを点数評価する以外にいくつかの分野における国内トップワイナリーを選出し、ランキングを作ることが多くあります。Eichelmannでも毎年このランキングを掲載しています。

ランキングのカテゴリーには

  • 白ワイン部門
  • 赤ワイン部門
  • 高級甘口部門
  • スパークリングワイン部門
  • Rising Star oft he Year
  • Discovery of the Year
  • クラシック部門
  • 生涯功労賞

の8部門があります。

最新となる2020年版の冊子では以下のワイナリーがそれぞれのカテゴリーに選出されました。

白ワイン部門: Weingut Bischel, Appenheim (Rheinhessen)

赤ワイン部門: Weingut Klopfer, Weinstadt-Großheppach (Württemberg)

高級甘口部門: Weingut Dr. Corvers-Kauter, Oestrich-Winkel (Rheingau)

スパークリングワイン部門: Sektkellerei Andres & Mugler, Ruppertsberg (Pfalz)

Rising Star oft he Year: Weingut Jülg, Schweigen-Rechtenbach (Pfalz)

Discovery of the Year: Winzerhof Linder, Endingen (Baden)

クラシック部門: Kirchberg Oberrotweil Spätburgunder GG, Weingut Salwey, Oberrotweil (Baden)

生涯功労賞: Werner Näkel, Weingut Meyer-Näkel, Dernau (Ahr)

Eichelmannによる最高評価ワイナリー

Eichelmannによるワイナリーの評価は他のワインガイドと同様に5つ星採点方式を採用しています。ここでは続いて、2020年版ガイドにおいて5つ星を獲得した34のワイナリーを紹介します。

AHR

Meyer-Näkel、Jean Stodden

BADEN

Bercher、Dr. Heger、Berhard Huber、Franz Keller (Schwarzer Adler)、Michel、Seeger

FRANKEN

Rudolf Fürst、Luckert – Zehnthof、Horst Sauer、Rainer Sauer

MOSEL

Clemens Busch、Clüsserath-Weiler、Markus Molitor、Schloss Lieser、Weingut Fritz Haag

Nahe

Dönnhoff、Emrich-Schönleber、Schäfer-Fröhlich

Pfalz

Christmann、Knipser、Rebholz

Rheingau

Georg Breuer、Peter Jakob Kühn、Leitz、Robert Weil

Rheinhessen

Bischel、Klaus Peter Keller、Raumland、Wittmann

Württemberg

Gerhard Aldinger、Dautel、Schnaitmann

Vinumの2つのランキング

Vinumに掲載されたランキングからはEichelmannと同様のランキングと併せて5つ星評価で最高の5つ星を獲得した12のワイナリーをご紹介します。

カテゴリー別トップワイナリー

Vinumではその年のトップワイナリーを3つのカテゴリーで選出しています。そのカテゴリーは、

  • Winemaker of the year
  • Rising Star of the Year
  • Discovery of the Year

となっており、賞の名前は一部でEichelmannのものと同様になっています。

各カテゴリーの受賞ワイナリーは以下の通りでした。

Winemaker of the year: Matthias and Hansjörg Aldinger (Weingut Aldinger, Württemberg)

Rising Star of the Year: Carl Ehrhard (Weingut Ehrhard, Rheingau)

Discovery of the Year: Carsten Saalwächter (Weingut Saalwächter, Rheinhessen)

5つ星獲得ワイナリー

続いてワイナリーとして最高評価となる5つ星を獲得した12のワイナリーを地域別に整理しました。

Ahr:
なし

Baden:

Bernhard Huber

Franken:

Rudolf Fürst

Hessische Bergstrasse:
なし

Mittelrhein:
なし

Mosel:

Egon Müller, Schloss Lieser

Nahe:

Emrich-Schönleber, Schäfer-Fröhlich

Pfalz:

Bürklin Wolf, Knipser, Ökonomierat Rebholz

Rheingau:

Peter Jakob Kühn

Rheinhessen:

Keller, Wittmann

Saale-Unstrut:
なし

Sachsen:
なし

Württemberg:
なし

ドイツのミシュラン・ガイド、Gault Millau

続いてドイツのミシュラン・ガイドともいうべきGault Millauによる選出ワイナリーを見ていきます。

Gault Millauでは以下のカテゴリーでその年のワイナリーを選出しています。

  • Winemaker of the Year
  • Rising Star of the Year
  • Discovery of the Year

それぞれのカテゴリーにおける選出ワイナリーは、

Winemaker of the Year: Mathieu Kaufmann

Rising Star of the Year: Weingut Corvers-Kauter (Rheingau)

Discovery of the Year: Philipp Kettern, Daniel Niepoort (Mosel)

なお今回、Winemaker of the Yearの賞がはじめてワイナリーにではなく、個人に対して授与されました。これは今までになかったことで非常に珍しいケースとなっています。

Gault Millauによる最高評価ワイン

また2020年版のGault Millauでは3本のワインが100点満点中で100点を獲得していましたのでそちらも併せてご紹介します。

  • 2018 Weingut Kühling-Gillot, Nackenheimer Rothenberg, Riesling Wurzelecht, Großes Gewächs, Rheinhessen
  • 2017 Weingut Franz Keller, Achkarrer Schlossberg, Spätburgunder, Großes Gewächs, Baden
  • 2018 Weingut Robert Weil, Kiedricher Gräfenberg, Riesling, Trockenbeerenauslese. Versteigerungswein, Rheingau

Falstaffに掲載されたトップワイン

Falstaffでも同様に100点満点によるワインの採点システムが採用されています。ここではおよそトップワインとの評価に相当する、100~96点までのワインをご紹介します。

100点満点

  • 2018 Kiedrich Gräfenberg Riesling Trockenbeerenauslese Goldkapsel, Robert Weil (Rheingau)
  • 2018 Saarburg Rausch Riesling Trockenbeerenauslese »#2«, Forstmeister Geltz-Zilliken (Saar)

99点

  • 2018 Oestrich Lenchen Riesling Trockenbeerenauslese, Peter Jakob Kühn (Rheingau)

97点

  • 2017 Pünderich Marienburg Felsterrasse Riesling GG, Clemens Busch (Mosel)
  • 2017 Forst Pechstein Riesling GG, Reichsrat von Buhl (Pfalz)
  • 2018 Schlossböckelheim Felsenberg Riesling GG, Weingut Schäfer-Fröhlich (Nahe)
  • 2018 Nackenheim Rothenberg Riesling »wurzelecht« GG, Weingut Kühling Gillot (Rheinhessen)
  • 2015 »Present« Spätburgunder trocken, Weingut Solveigs (Rheingau)

96点

  • 2017 Stetten Mönchberg Berge Lemberger GG, Karl Haidle (Württemberg)
  • 2018 Würzburg Stein-Harfe Silvaner GG, Weingut Bürgerspital zum Hl. Geist (Franken)

各ワインガイドの結果をどうみるか

以上見てきましたが、それぞれの媒体によって同じ名目の賞でも受賞しているワイナリーは様々です。

ここでもう一度、同じ名称の賞が各媒体によってどのような結果になっていたのかを整理してみます。

Winemaker of the Year

  • Eichelmann: Werner Näkel, Weingut Meyer-Näkel, Dernau (Ahr, 該当する賞がないため生涯功労賞より)
  • Vinum: Matthias and Hansjörg Aldinger (Weingut Aldinger, Württemberg)
  • Gault Millau: Mathieu Kaufmann

Rising Star of the Year

  • Eichelmann: Weingut Jülg, Schweigen-Rechtenbach (Pfalz)
  • Vinum: Carl Ehrhard (Weingut Ehrhard, Rheingau)
  • Gault Millau: Weingut Corvers-Kauter (Rheingau)

Discovery of the Year

  • Eichelmann: Winzerhof Linder, Endingen (Baden)
  • Vinum: Carsten Saalwächter (Weingut Saalwächter, Rheinhessen)
  • Gault Millau: Philipp Kettern, Daniel Niepoort (Fio wines, Mosel)

それぞれに掲載されている結果に共通点がなく、実際問題どのワイナリーが良いワイナリーなの?!となってしまいそうですが、実際にワインごとの細かい評価を見ていったり、ある程度のカテゴリーごとにおける受賞ワインなどを見てみると、例えばGault MillauでRising Star of the Yearに選出されているCorvers-KauterがEichelmannの高級甘口部門でも選ばれていたりとそれぞれの間で共通点を見つけることが可能です。

やはり良いものは誰がみてもいいということなのでしょうが、各ガイドブック全体で見ていくと案外傾向は似通っていることが多くあるのです。

一方で各ワインガイド間での違い以外でも、同じガイドブックであっても編集面の変更等によって評価の傾向がある年から突然変わったりすることがあります。このような変更があると、その変更の原因を知らないとワイナリー側の事情で変わったのか、編集側の事情で変わったのかを判断することが出来ません。

ワインを選ぶためにワインガイドを使おうとしているのに、ワインガイドの事情をまずは把握しなければならないというのもどこか皮肉な話ではあります。

そういった手間を省くためにも、各ワインガイドの内容はあくまでも1つの意見、という程度の理解に留めておくのが良さそうです。

   

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  • この記事を書いた人

Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

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