ブドウ栽培に限らず、農業や園芸の資材棚でバイオスティミュラント(Biostimulant)という言葉を見かける機会が増えました。学術文献では生体刺激剤と訳される資材です。売り場に並ぶ説明は、植物を元気にする、活性化させる、といった書き方が多いです。栄養を与えたいときには肥料があり、病気を防ぎたいときには農薬があります。肥料と農薬の間に置かれたこの資材が何をするものなのかは、その文言からは読み取れません。
読み取れないのは書き方が悪いからではありません。制度がそこを説明させていないためです。バイオスティミュラント(以下 BS)という区分は、主張してよい効果の種類を一覧で指定する一方、なぜ効くのかの説明を求めていません。輪郭が曖昧に見えるのは、指定されている部分と免除されている部分が混ざったまま語られているからです。
効果は指定、機序は不問
EUでは、BSは法定の製品区分です。肥料製品規則(Fertilising Products Regulation、規則 (EU) 2019/1009、以下 FPR)が、製品機能区分(Product Function Category、PFC)の6番目にBSを置いています。この PFC 6 の製品が主張してよい効果は、4項目に限定されています。養分利用効率の向上、非生物的ストレス耐性の向上、品質形質の改善、土壌または根圏における養分可給性の改善です。非生物的ストレスとは、乾燥・高温・低温・塩害・湛水・紫外線・養分欠乏といった、生物以外に由来する負荷を指します。病害虫はここに入りません。
4項目は例示ではなく限定です。5つ目の効果を観測しても、それをラベルに書けばBSとして上市できません。
一方で、その効果がどのような成分のどのような作用で生じるのかは問われません。有効成分を特定する義務も、作用機序を提示する義務もありません。海藻抽出物を散布して非生物的ストレス耐性の向上が確認されたなら、海藻抽出物の中の何がどう効いたのかを答えないままBSとして販売できます。
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両立しないのは農薬だけ
BSは肥料でも農薬でもない、という説明を目にすることがあります。半分は正しく、半分は正しくありません。
EUの PFC 6 は、FPR の中の一区分です。制度上、BSはEU肥料製品の一種として置かれています。日本のガイドラインも「バイオスティミュラントの中には、肥料法で定める肥料や、地力増進法施行令で指定された土壌改良資材に該当するものがある」と明記しています。該当する場合は、それらの法律を守ったうえでガイドラインに沿うよう求めます。肥料や土壌改良資材との関係は排他ではなく、追加の義務が乗る形です。
排他になるのは農薬との関係だけです。病害虫や雑草の防除、農作物の生理機能の増進・抑制は農薬取締法の農薬の定義に入るため、その効果を主張する資材はBSではありません。BSであるための必須条件は、農薬に該当しないことにあります。
日本ではこの該当性の判定が、表示だけでは終わりません。ガイドラインは、効果を表示しなくても原材料・含有成分・使用方法から農薬に該当することがあると書き、判定の中身を疑義資材通知(平成19年11月22日付け19消安第10394号)に置いています。農薬登録のある有効成分を、登録農薬と同程度以上の濃度で含み、栽培・管理のために使用される製品は、防除効果を一言も書かなくても農薬としての登録義務が生じます。表示を抑えることで農薬への該当を避けることはできません。
EUは4項目、日本は3項目
効果の決め方は一致しています。主張してよい効果を列挙で決め、なぜ効くかは問いません。日本のガイドラインの定義は「欧米における定義を参考に」したものだと農林水産省自身が書いています。偶然の一致ではありません。
違いは列挙の本数に出ます。
日本のガイドラインが定義に挙げる改善対象は、土壌中の栄養成分の吸収性、農作物による栄養成分の取込・利用効率、非生物的ストレスに対する耐性の3つです。1つ目はEUの4番目にあたる土壌・根圏の養分可給性に対応する内容で、農林水産省自身がEU定義との対照表を置いています。EUの4項目に対して日本は3項目、落ちているのは品質形質だけ、と読むほうが条文に近いです。
もっとも、品質と収量は日本の定義にも出てきます。日本の定義は、上記の3つを改善するものであり「結果として農作物の品質又は収量が向上するもの」と続きます。品質向上は、養分の吸収・利用効率や非生物的ストレス耐性を経由した下流の帰結としてなら書けます。EUのように品質形質そのものを独立した主張の対象にはできない、という形です。この差は残りますが、品質を謳うことがガイドラインで禁じられているわけではありません。
収量についても同じ整理が要ります。収量の増加それ自体は主張してよい効果の一覧に入っていません。ただしガイドラインは、効果の評価にあたって収量・生体重・栄養成分の吸収量などの定量的指標を用いるよう明文で求めています。収量は、主張する効果を裏づける指標としては使えます。
日本に法定区分なし
効果範囲と並ぶもう1つの違いが、制度上の位置づけです。EUのBSは規則という法令の中にあります。日本のガイドラインは局長通知(令和7年5月30日付け7消安第1353号)として出された文書で、法定の区分を作っていません。解説資料が「事業者による自主的な取組を促す」と自ら書くとおり、この文書自体に規制権限はありません。日本で実際に規制として働くのは、農薬取締法・肥料法・地力増進法の既存3法です。
したがって、日本でBSを名乗ることに法令上の事前手続きはありません。既存3法のいずれにも該当しないことが唯一の条件で、これさえ満たせばBSを自由に自称できます。これに対してEUでは、PFC 6 の製品をCEマークで上市するために第三者機関による型式検査が必要です。
資材の限定は微生物系のみ
効果が出ればどんな中身でもよい、というわけではなく、中身の側にも一部だけ限定がかかっています。EUの PFC 6 は微生物系の 6(A) と非微生物系の 6(B) に分かれ、名指しのリストによる限定がかかるのは 6(A) だけです。2026年時点では Azotobacter、Azospirillum、Rhizobium、菌根菌の4分類群に限られ、Bacillus 系や Trichoderma 系は入りません。
非微生物系の 6(B) にこの種の限定はなく、海藻抽出物、タンパク質加水分解物、腐植酸、キトサン、動植物抽出物などが広く含まれます。研究では主流はこちらの側です。
注意が要るのは、この4分類群の限定がEUの規定であって、日本のガイドラインには対応する限定がないことです。日本側の解説資料は原材料として腐植物質・海藻抽出物・アミノ酸・ミネラル・微生物等を挙げるにとどまります。日本で Bacillus 系の製品をBSとして流通させることを妨げる規定はありません。
なぜこの4分類群なのかは、条文が4つを挙げているという事実より先に辿れません。効果の4項目のほうは、機能で定義する案が採られました。既知の養分や植物成長調整物質(Plant Growth Regulator、PGR)では説明できない性質を定義の核に置く対案は、実証の欠如を理由に落ちています。その経緯は文献に残っています。資材側のリストには、それに相当する記録が見当たりません。
同じ資材が両方の区分に入るとき
BSの規定が成分を問わないため、同じ資材が2つの区分のどちらにも入りうる状態が生じます。例えばキトサンがこれにあたります。
キトサンは非微生物系のBSに数えられる資材です。同時に、植物の防御応答を誘導して病害を抑える目的でも使われます。この2つの働きが植物の側では共通の経路を通ることは、研究で示されています。制度はそれを分けており、非生物的ストレスへの耐性はBSの範囲に、病害への効果は農薬の範囲に入ります。
したがってキトサンをBSとして売るなら、防除効果を表示できません。防除を謳うなら、EUでは植物保護剤としての上市許可、日本では農薬登録が要ります。同じ資材でも、どちらの効果を書くかで踏むべき手続きが変わります。要求される内容の量に差があるため、BSとして出す側に傾く理由があります。
ただし区分の判定は、表示より先に成分の側で決まることがあります。基準は、登録農薬と同程度以上の濃度を含み、栽培・管理のために使われるかどうかです。効き目の閾値ではなく、既登録製品との濃度比較になります。この判定が働くのは、その成分を有効成分とする登録農薬がある場合に限られます。
EUにも同じ向きの要求があります。農薬効果が知られている物質を低い用量でBSとして使うこと自体は認められますが、欧州委員会は製造者に文書での立証を求めます。農薬として有効な用量より有意に低いことを示すか、農薬機能がないことを実験データで示すか、そのいずれかです。
資材がどの区分に入るかは、表示する効果と、含まれる成分の濃度の両方から決まります。同じ資材であっても、表示する効果か濃度のどちらかが変われば、区分も変わることになります。
拡大の理由は規制と市場の設計
BS市場の拡大を伝える数字は多く出回っています。民間の調査会社による推計で、2025年の世界市場規模はおよそ31億ドルから45億ドルの間に置かれています。会社によって数字は割れますが、拡大が続いている点では複数の推計が一致しています。
拡大の理由は資材の側にはありません。規制と市場の設計の2つが、それぞれ別の向きからBSを押し出しています。
一方は、使える手段を減らす規制です。EUは2030年までに化学農薬の使用量とリスクを半減し、農地の25%を有機農業にする目標を掲げました。日本も2021年5月のみどりの食料システム戦略で、2050年までに化学農薬の使用量をリスク換算で50%、化学肥料を30%減らし、有機農業を耕地面積の25%に広げる目標を置きました。EUで目標を義務に変えるはずだった持続可能な農薬使用規則案(Sustainable Use Regulation、SUR)は2024年に撤回されています。掲げられた目標値は、拘束力を持つ形になっていません。
もう一方は、市場に入る経路の整備です。FPR以前のEUで調和されていたのはほぼ鉱物質肥料に限られ、BSは各国法と相互承認の下にありました。国をまたぐたびに別の手続きが要る状態でした。FPRは調和の範囲をBSに広げ、域内全域へ一度に出る経路を作りました。産業側が求めたのは効果の証明ではなく、市場に入る1つの入口だったと読めます。
市場が広がる間に、機序の実証が進んだ形跡はありません。既知の要素で説明できない性質を核に据える案が2017年に「明確な実証は存在しない」と記録され、2022年のメタ解析でも同じ空白が確認されています。規制も市場の設計も、BSがどう作用するかが分かったことを前提にはしていません。
バイオスティミュラントは「効く」のか
BSが実際に効果をもたらすかどうかは、条件によって結果が割れます。資材の種類、施用方法、測定する指標、対象とする作物のいずれかが変われば、報告される結果も変わります。ひとまとめに効く、効かないと言える状態にはありません。
作物をまたいだメタ解析では、正の値が出ています。測られているのは収量です。制度が主張の対象に置いていない指標が、効果を確かめる側では中心に来ています。180研究から集めた1,087件の対比較、つまり処理区と対照区を1組にした比較を統合した2022年の解析は、可販収量(販売可能な状態の収量)で+17.9%を報告しました。資材カテゴリー別では海藻抽出物がおよそ+16.5〜18.0%、腐植酸系やタンパク質加水分解物を含む区分が+14.8〜17.1%です。解析全体では、市販品が+14.4%、非市販品が+21.8%でした。
ただしこの数字が及ぶ範囲は限られています。解析の対象は非微生物系で、菌根菌や細菌製剤の効果量は入っていません。指標は可販収量だけで、品質形質は対象外です。対象とした研究の作物別の内訳も本文に示されていません。統合した後も研究間のばらつきが大きく、次の1試験の結果がどの範囲に入るかを示す値も報告されていません。平均値から個別の圃場の結果を予測することはできません。
差が出ないことと効果がないこと
有意差が認められなかったという結果は、効果がないことの証明ではありません。ここは読み違えが起きやすい箇所です。
試験の結果は、効果の大きさの推定値と、その値が揺れうる幅として出てきます。幅が広いまま0をまたいでいる状態は、大きな正の効果も負の効果もその中に収まりうることを意味します。これは分からないという答えです。同じであると言うには、どこまでの差なら実質的に同じとみなすかを先に決め、その差を検出できる反復数を確保し、同等性を検定する設計が要ります。BSの圃場試験でこの手順が踏まれることは、ほとんどありません。
読み違えは、資材を勧める側と批判する側の両方が踏みます。勧める側は有意差なしを安全性や同等性の根拠に使い、批判する側は効果なしの根拠に使います。同じ1つの誤りです。
さらに手前に、もう1つの問題があります。差が検出された場合でも、それを生体刺激としての作用に帰属できるとは限りません。海藻抽出物やタンパク質加水分解物には窒素をはじめとする養分が含まれます。養分等量の対照区を置かなければ、収量が上がった理由が生体刺激なのか窒素の追加なのかを分けられません。微生物製剤なら、死んだ菌体や培地成分の寄与を除くために死菌対照が、処方由来の効果を除くために担体のみの対照が要ります。こうした対照区を備えた試験は多くありません。窒素・リン・カリウムの量を海藻抽出物に合わせた区を置いた試験では、その区そのものが無処理区に対して樹体の指標を有意に上げました。生体刺激の効果として報告されうる大きさが、養分を足しただけで出ているということです。
ブドウ栽培への影響
ブドウを対象とした圃場試験では、結果のばらつきが目立ちます。資材と測定した指標のどちらが違っても、出てくる結果は変わります。施用方法については、ブドウで土壌に施した試験が見当たらないため、比べる材料がありません。
海藻抽出物の葉面散布では、収穫時の収量・果汁糖度・酸量に有意差が検出されなかった報告があります。同じ試験で葉面積には差が出ており、樹体の側には変化が現れています。光合成の指標が動いたのは2年のうち1年だけです。品種、産地、年次のどれかが変われば、同じ資材と施用法でも結果は違います。
収量が動いた報告もあります。腐植酸とアミノ酸を葉面散布した醸造用品種の試験で、収量が1株あたり11.22 kgから13.20 kgへ増えました。ただしこの試験の対照区は水のみで、資材に含まれる養分と等量の窒素を与えた区が置かれていません。増えた分を生体刺激としての作用に帰属させることはできません。
果実成分では、別の試験で差が出ています。海藻抽出物を用いた試験で、3つの醸造用品種すべてで果皮アントシアニンが有意に増えました。この試験も対照区は水散布のみで、養分の寄与は分けられていません。
一方で、同じ処理が形質ごとに逆を向いた例もあります。収量が増えた上記の試験では、最も収量が伸びた区の可溶性固形分が、処理区の中で最も低い群に入りました。別の総説は、収量が最大になる用量と色素が最大になる用量が一致しない事例を集めています。1つの形質が伸びた区で、別の形質が下がっている場合があります。
ブドウにBSを施した結果は、安定していません。伸びる形質もあれば動かない形質もあり、向きは形質によって分かれます。同じ資材を同じように使っても、圃場、年次、見る形質のいずれかが変われば結果は動きます。使う側から見れば、投入に対して何が返ってくるかの見当が立たない状態です。
期待される用途と制度の枠
ブドウ栽培でBSに期待される用途は、EUの4項目とうまく噛み合いません。最も切実な用途が定義から外れ、4項目のうち2つは、この作物では成果を出しにくい位置にあります。
有機栽培のべと病防除は銅に依存しています。その銅をめぐる規制は、使用量の上限だけでなく、使い方の条件の側で厳しくなる方向にあります。フランスでは2025年に銅系殺菌剤34製剤の販売許可が個別に再審査され、審査を通ってブドウ用途を保ったのは2製剤でした。この2つには、1回あたりの用量、散布間隔、開花期の散布禁止といった条件が付いています。上限値そのものは動いていないのに、使い方の条件で使える場面が狭まる、という形の変化が始まっています。
条件の厳格化は、総量の削減とは別の形で防除を難しくします。年間の使用量に余裕が残っていても、必要なタイミングで必要な回数を打てなければ、病害圧の高い年には防ぎ切れません。防除の結果は発病するかしないかで決まるので、打てない期間があることは総量が足りないことと同じ意味を持ちます。
防除の条件が狭まる中で関心が向かうのが、薬剤で病原を叩く以外の方法です。樹体側の抵抗性を高めて発病を抑えられるなら、防除回数の制約を補えます。BSへの期待の一部は、ここに向いています。
ところがこの用途は、EUでも日本でもBSの範囲に入りません。病害への効果は生物的ストレスの側にあり、BSの定義から外れているためです。BSとして買った資材で防除を語ることは、制度上できません。効くかどうか以前に、名乗れません。
養分利用効率と土壌の養分可給性の向上は、EUの4項目のうち2つを占めます。もっともワイン用ブドウ栽培では、そもそも施肥量が多くありません。投入量が少なければ、その利用効率を高めても動く幅は限られます。4項目の半分が、この作物では成果の出にくい領域を指していることになります。
BSの定義にそのまま収まるのは、乾燥や高温への耐性です。果実成分の改善は、EUでは品質形質として主張できますが、日本では養分の利用効率や非生物的ストレス耐性を経由した結果としてしか書けません。ワイン用ブドウで関心が向かうのは色素や香気前駆体といった果実成分の側なので、日本の定義とは重なりが小さくなります。
ワイン用ブドウ栽培から見ると、EUの4項目のうち正面から使えるのは非生物的ストレス耐性と品質形質の2つです。日本では品質形質が独立した主張にならないので、残るのは非生物的ストレス耐性だけになります。期待が集まる用途と、制度が用意した枠が重なっていません。このずれが近く解消される見込みも、いまのところありません。
ワインへの影響は不明
ブドウを対象とした栽培試験の多くは、果実の分析までで終わっています。その果実を仕込んでワインを分析した例は、数が限られます。キトサンを含む処理区の果実を醸造し、ワインのアントシアニンとフェノールおよび官能評価に有意差を報告した例、海藻抽出物についてワインと微生物叢まで評価した例があります。
試験が果実で止まりやすいことには、制度の側の理由もあります。BSが主張できる効果は、ブドウの樹と果実に対するものです。ワインの成分や香りは、定められた効果範囲に入っていません。醸造まで進めても、BSとして表示できる内容が増えるわけではないので、主張の裏づけとしては果実までで足ります。
BSがワインにどのような影響を及ぼすのかは、現時点でほとんど分かっていません。栽培で使った資材が発酵の挙動やワインの成分にどう表れるか、表れるとして良い方向なのか悪い方向なのかを判断する材料がありません。ワインまで評価した報告が数えるほどしかないので、不明である、というのが現在の状態です。
判断の質が、ワインの質になる。
栽培・醸造における技術的判断を整理し、現場の改善に継続的に関与します。迎合でも代行でもなく、前提の確認・リスクの指摘・修正提案を、根拠とともに示す立場から。
判断の主体は、常にあなたに。
判断のための材料
BSは、農薬に該当しないことを条件に、あらかじめ指定された種類の効果を主張できる資材の区分です。EUでは肥料製品規則の中の法定区分として、日本では既存3法の外側に置かれた呼称として運用されています。主張してよい効果の種類は決まっている一方、その効果がなぜ生じるのかの説明は求められません。
ブドウ栽培に引きつけると、状態は3つに整理できます。施用した結果はばらついており、向きは形質によって分かれます。期待が向かう用途の多くは、効果範囲の外にあるか、この作物では成果を出しにくい位置にあります。そして栽培で使った資材がワインにどう表れるかは、報告が数えるほどしかありません。
それでも、この資材群を選択肢から外して済む状況ではありません。農薬と化学肥料の使用を減らす方向は各国の政策から消えておらず、銅をはじめとする既存の手段には使い方の制約が加わりつつあります。手が減る以上、代わりを探す動きは続きます。
使うかどうか、使うとして何を確かめるか。判断は個々の圃場と経営の条件によります。そのうえで、判断の前に押さえておける事柄がいくつかあります。その製品が主張している効果は、制度が指定する効果の種類のどれにあたるのか。その主張は何を測った試験に基づくのか。示された試験は自分の圃場と近い条件で行われたものか。そして、自分の圃場で何が変われば導入の成否を判定できるのか。最後の1つは、資材を選ぶ前に決めておく必要があります。制度が効果の再現を保証しない以上、確かめる手立ては使う側が用意することになります。




