コラム

 

ワイン法の改定内容

EU農相とEU議会との会談が行われ、EUのワイン法の一部改定が話し合われました。現時点では決定事項ではありませんが、その内容は一部に非常に重要なものを含んでいます。

今回の議題として上げられているのは以下のような内容です。

 

  1. ラベル表示義務内容の変更
  2. ブドウの新規植え付け許可制度の延長
  3. 対象ブドウ品種の拡大
  4. ノンアルコールワインの取り扱い
  5. 補酸の容易化
  6. アルコール濃度規定

 

この中でも特に重要と思われるのが、ラベル表示義務内容の変更、ブドウ品種の拡大、そしてノンアルコールワインの扱いです。

実はこれらは非常に大きな内容でありながら、一部では今更感のある内容でもあります。なぜなら、一部はすでにこれまでにも自主的に、また一部ではすでにそれに近しいことが事実上行われてきているからです。つまり今回の動きはこうしたすでにはじまっていた動きを法的に明文化しようとするものとも捉えられるのです。

 

新たな表示義務

ワインのラベル上に新たに表示されるべき内容として、カロリー量と添加物が検討されています。

カロリー量はワインボトルに貼付されるラベル上に明記されなければならないのに対して、添加物リストは必ずしもラベル上でなければならないとはされておらず、ラベル以外の貼付物や2次元バーコードなどを利用してのインターネット上での表示も許可される方向で議論されているようです。

 

ワインは補糖 (チャプタリゼーション) への誤解や、残糖量との関係などから「ワインを飲むと太るのか?」との疑問の声をよく耳にします。こうした一般消費者の方が持つことが多いであろう疑問への解消という意味では、カロリー量の表示義務付けは決して悪いことではありません。

一方で、これまで明確には示されていなかった正確なカロリー量を目にすることで消費者の方の手が伸びにくくなる、もしくはそれに対応するために低カロリーを謳うワインが造られるようになる、という可能性は否定できません。またカロリーの測定は従来のワインの一般測定項目には含まれていませんでしたので、これを測定するコストや、従来のラボの機材での対応可否などは新たな仮題となってくるであろうことも想像されます。

 

ワイン用ブドウ品種の拡大

今回の改正議論における最大のポイントと言えるのが、ワイン用ブドウ品種の拡大です。

 

次のページ以降では以下の内容に沿って説明を続けます。

  • ワイン用ブドウ品種の拡大
  • ノンアルコールワイン用区分の新設
  • 今回のまとめ | 生産側だけに留まらない変化



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