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鉄の味はどこからくるのか | ミネラルの一端に迫る

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先日、とあるワイナリーさんで試飲をさせていただいた時のことです。

日本は山梨の塩山。その一角に居を構えていらっしゃるそのワイナリーさんの持つラインナップのうちの数点を試飲させていただいたのですが、その時に強く感じたのが、鉄の味

造り手の方に聞いてみると、その味を感じたワインに使われているブドウ畑は元々の鉄鉱山の近くにあるということを教えていただきました。近くを流れる川底の土が明確な赤色をしているほど鉄分を含有しているそうです。

 

畑の土壌には鉄分が多量に含まれており、ワインにはその味を明確に感じることが出来る

 

こうなるとついつい考えてしまうのが、ブドウの樹の根が土中の鉄分を吸い上げ、その結果果汁内に鉄分が蓄積。ワインの味に表れている、ということではないのでしょうか?しかしこれは残念ながら違う、というのが現在の定説です。

 

しかし実際に鉄分を豊富に含んだ土壌で栽培され、そして収穫されたブドウから造られたワインに鉄分の味を感じていることは間違いのない事実です。これはどういうことでしょうか。

今回はこの点について解説を行います。

 

なおこの記事を読み進めていただくのに先立って、用語などの理解をしていただくため、「土壌というもの」の記事に目を通していただくことを強くお勧めします。

土壌というもの

メモ この記事は2018年4月23日に公開したものに加筆修正を行った記事となります   日本でワインの紹介する際に、ワインの個性の1つとしてどのような土壌の畑で栽培されたブドウから造られたワ ...

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ワインに含まれるミネラルというもの

ワインのテイスティングをしていると「ミネラルが~」という表現によく出会います。この場合の「ミネラル」については多くの議論がある点ですが、今回はテイスティング的な意味ではなく、純粋に化学的な視点からワインに含まれる「ミネラル」というものに注目してみます。

端的に結論から言うと、ワインには「ミネラル」と称される物質が多かれ少なかれ複数種類にわたって含まれています

 

この場合の「ミネラル」とはより正確に言えば電荷を負った金属イオンのことです。ワインという括りの範囲内においては例えば以下のようなものが挙げられます。

カリウム
マグネシウム
カルシウム
ナトリウム

アルミニウム
亜鉛

 

「土壌」に含まれるミネラル

一方でワインの原料となるブドウが栽培されている畑の土壌中にも「ミネラル」というものが含まれています。これは「土壌というもの」の記事でも触れたとおり、その土壌の元となっている地質由来のもので、100種類を超える物質が存在しているとされています。

地質の分布自体が均一なわけではないために、場所によってその地質に由来しているミネラルにも存在分布の差がありますが、一般に含まれているものとしては以下のようなものがあります。

シリカ
アルミニウム

マグネシウム
カルシウム
カリウム
ナトリウム

 

根からくるとは限らない「ミネラル」

上記に挙げた含有物質はいずれも一例にすぎません。しかし、それでもカリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、アルミニウム、そして鉄はワイン中および土壌中のいずれにも含まれていることが分かります。

こうなると、これらの物質は根を経由して土壌から摂取されたもの、と考えたくなります。

 

実際にカリウムなどはブドウの果皮部分に多く分布しており、ブドウの育成過程において蓄積されていることは明らかです。こうしたケースについてはこれらの物質は根を経由して吸収され蓄積されている可能性は高いと判断できます。
一方で考えなければならないのが、コンタミネーションという可能性です。

 

重金属はコンタミネーション由来

上記のワインに含まれるミネラルとして列挙した物質のうち、鉄、アルミニウム、亜鉛は重金属に分類されます。

 

そしてこれらの重金属は根を経由して吸収されるわけではありません

 

詳細は「ワインと重金属」の記事に書いていますが、これらの物質は主にコンタミネーションという経路をたどってワインに含有されます。顕著な例としては醸造所内で使用されている醸造設備の素材由来のケースが挙げられます。

直接ワインと接触する可能性のある部分としてはタンクやタンクに付属のコック、間接的な要因としては水道の蛇口周りなどに使用された鉄やアルミニウム、亜鉛が直接ワインと接触して、もしくは洗浄時等の水を介してタンク側面に付着しそれがワインに混入するという可能性です。

ワインと重金属

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試飲ワインの「鉄」はどこから来たのか

翻って冒頭に紹介した、山梨で試飲させていただいたワインに感じた「鉄分」はどこからきたのでしょうか。これに関しては上記のような醸造設備由来のコンタミネーションではないであろうことは明らかです。

もし仮にこの鉄分が醸造設備由来であるとしたら、基本的にはそこで造られているワインすべてに同様のニュアンスがなければなりません。もちろんタンクやそこに付属している設備由来であればそのタンクに入れられたワインだけに出る可能性は捨てきれませんが、それにしては鉄のニュアンスが強すぎました。

またアルミニウムなどと比べて鉄は腐食しやすいためタンクやその付属設備に使用することは多くないこともそのような判断をする根拠の一つとなります。



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