2018年のドイツは暑く、ブドウの生育が例年を遥かに超えて早く進んでいます。
その影響を受けて、ブドウ畑ではワイヤーがすでに一番上の位置まで上げられていますし、場所によってはすでにブドウの実の結実も確認され始めています。そんな状況を受けて、一部の畑では除葉作業が始められています。
除葉とはなにか?
除葉とは、文字通りにブドウの樹にある葉の一部を除去してしまう作業のことをいいます。以前はほぼ完全に人の手で行われていた作業ですが、最近は機械で行うことも多くなってきました。
植物にとって光合成を行う上でとても大事な器官である葉をとってしまうことは実が甘くなることを邪魔する行為のようにも思えますが、ブドウ栽培をしていく上ではとても重要な作業となっています。
除葉はいつするのか?
除葉の作業にはこれといって決められたタイミングはありません。というのも、除葉を行う時期によって得られる効果が異なるからです。このため、ブドウ栽培家は自身が望む効果を得るのに最も適した時期を見計らってこの作業を行うことになります。とはいっても、大体の時期はやはり決まっていて、そのタイミングの一つが開花の前後であり、結実の直前でもあります。
今というタイミングを見ると、すでに開花からはある程度の日数を数えていますので、タイミングとしては結実直前、という時期を選んでいることになるでしょうか。
除葉の意味
植物にとって葉とは極めて重要な器官で、これをなくしてしまうと光合成も呼吸もできなくなってしまいます。このため、除葉作業でも手当たり次第に葉を毟り取ればいい、というわけではなく、一定のルールに基づいて作業を行う必要があります。
そうしたルールに従って葉の量を減らすことで得られる効果は様々です。除葉の影響のいくつかを挙げてみると、
- 微小気候の改善
- カビ被害の減少
- 実の小型化
- 実における含有成分量の変化
などといったものがありますし、上記以外にもリスクを含め多数の部分に影響が及びます。その影響の中には決して軽視すべきでは無いものも含まれています。
また、除葉の影響はブドウ品種によっても異なる部分があるため、ブドウ栽培者は自身が扱っている品種がこの作業から受け得るメリットとデメリットを把握した上で、どのタイミングで、どの程度、どのような方法でこの作業を行うのかを決める必要があります。
除葉の仕方
除葉作業の基本はもちろん、人間が人の手で行うことなのですが、このやり方は呆れるほどに時間がかかります。このため、この作業も今では機械で行うことができるようになってきています。
機械で行う場合でもいくつか方法があり、ワイナリーは自分たちの好みに合う方法を選ぶことができます。ただ、それぞれのやり方で当然ながら異なる機材が必要となりますし、その価格も様々なのであれもこれも試してみてから最も良いものを選ぶ、というやり方は難しいのが現実ではあります。また、一度機械を導入してしまえばコストの面からそうそう簡単には変えられない、ということもあります。
機械で行う作業は多くの場合で人手で行うよりも粗い仕上がりになりがちなのですが、一方で、人手で行うよりも事故が少ないというデータも存在しています。
この場合の事故とは、葉だけを取るつもりで枝を折ってしまったり、せっかく結実した実まで取ってしまう、というケースを指しています。
機械でこの作業を行う場合、確かに葉を千切ってしまって綺麗に除去できていない場合なども多いのですが、一方でこの作業の目的は葉が葉としての役目を果たせないようにすることでもあるため、キレイに取り去られていようと若干荒々しく千切られていようと、目的を達成できているという点では変わらないともいえます。そんな仕上がりのキレイさよりも、せっかくの枝や実を無駄にしないことのほうが重要なのは言うまでもないことです。
もっとも、機械でやればやったで実が傷ついてしまうようなケースもあるので、結局のところはどっちもどっちでメリットもデメリットもあります。このため、この作業を機械化するかどうかは、現実的に必要となる面積あたりの作業時間と、作業しなければならない面積の関係でどこにより重要さを見出すのかによって判断することになります。
大事なことは、この作業によって減る可能性のある実の量を把握しておくことと、その量を見越して作業を行うことです。