Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。ドイツのワイナリーで醸造責任者を歴任。栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーの醸造家兼栽培醸造コンサルタントとして活動中

醸造

2023/2/7

加水しない低アルコールワインの造り方

ここ数年、世界の冬は温かく、夏は暑すぎるようになりました。以前は30℃でも暑いと言っていた日常が、今では40℃で暑いという日常に変わりました。 世界の温暖化、気候変動。そうした単語を聞く機会が端的に増え、そろそろこうした日常は”異常”なものではなくまさに”日常”的なものになりつつあります。そしてこうした恒常的な変化は確実にワイン造りを変えてきてもいます。 例えばフランス。使用できる品種に厳格な規定を持っているAOCボルドーが2019年に新しい品種の使用を正式に認可したことが大きなニュースになりました。理由 ...

ワインあるある

2023/1/25

グラスの形状とワインの味 | グラスの形はワインの楽しみを変えるのか

自宅の食器棚を眺めてみると、数多くのワイン用グラスで溢れている、そんな方も実は少なくないのではないでしょうか。もしくはいくつも異なる種類のグラスでワインを提供してくれるワインバーに好印象を持っている、なんて方もいるかもしれません。 世の中には本当に数多くのワイングラスがあります。ボルドー用、ブルゴーニュ用、リースリング用、ニューワールドのピノノワール用…。それぞれ異なる形状をしたグラスがあり、さらには手吹きとマシンメイドの差もあります。中には何が違うのかちょっとよくわからない、なんてものもあったりします。 ...

Youtube

2023/1/15

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#13 | 自然派ワインの真実

https://youtu.be/Z-SccwUyehI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...

スパークリングワイン

2023/1/10

泡が抜けてもスパークリングワインが美味しい理由 | ワインの小噺

フランスのシャンパーニュ、ドイツのゼクト、スペインのカヴァ。世の中にはたくさんの美味しいスパークリングワインがあります。華やかな印象があり気分を盛り上げてくれるスパークリングワインはお祝いやパーティーには欠かせない存在です。 スパークリングワインの一番の特徴はなんといってもその泡。フルートグラスのなかで立ち昇る泡は見た目にも美しいものですが、口に含んだ時の爽快感もスパークリングワインの醍醐味です。 https://nagiswine.com/bubble-01/ ところでこの泡、抜けてしまった後でもそのス ...

スパークリングワイン

2022/12/30

泡の秘密 | スパークリングワインの魅力の裏側を知る

クリスマスや年末年始に限らずパーティーやお祝い事に欠かせないのがスパークリングワイン。フルートグラスに立ち昇る泡を見ているだけで華やいだ気持ちになれます。 スパークリングワインは世界中で造られています。最近ではイギリスで造られているイングリッシュ・スパークリングが注目されているほか、ドイツのゼクトも売り上げを伸ばしています。そうした中でも不動の地位を気づいているのが、シャンパーニュ。フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインです。日本はアメリカ、イギリスに次いで輸入量が多く、シャンパンの名 ...

醸造

2022/12/18

熟成の化学 | メイラード反応の基礎知識

メイラード反応 (Maillard reaction) という化学反応があります。アミノ・カルボニル反応とも呼ばれる反応です。肉を焼いて焼き色がつくのも、クッキーやトーストを焼いて美味しそうなキツネ色になるのも、みりんを使った魚の照り焼きがいかにも食欲をそそる色目になるのも、すべてはこの化学反応のおかげです。 メイラード反応は褐変反応とも呼ばれており、食品の色が茶色く変わる原因の大きな部分を占めています。その一方で、人体をはじめとした生体内でも発生しており、AGEs (Advanced Glycation ...

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2022/12/23

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#12 | ワインの「熟成」の真実

https://youtu.be/qf4EbX5JysQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...

醸造

2022/12/4

コンクリートはワイン造りを変えるのか

コンクリートの中で発酵、熟成させるワインに注目が戻ってきています。 コンクリートは現代人にとってとても馴染みのある建築材料です。どちらかといえば建築物の外壁などに使われているイメージの強いコンクリートですが、ワイン造りにおいてはタンク用の素材です。 コンクリートで作られたタンクはかつても使われていました。そのためコンクリートはワイン造りの現場にとって特に新しい存在というわけではありません。ただ、最初に訪れたコンクリートの波はその後に登場したステンレスタンクに置き換えられる形で姿を消していきました。それが今 ...

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2022/12/4

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#11 | ワインの「容れ物」徹底解説!

https://youtu.be/7LK4jS0kSRk 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...

用語集

2022/11/12

カーボニックマセレーション | ワインの用語集

表記 Carbonic maceration (英), Kohlensäuremaischung (独), Macération carbonique (仏), 炭酸浸漬 (日) 意味 通常ブドウを破砕して流出してくる果汁に果皮を浸漬するマセレーションとは異なり、ブドウの粒を破砕せず果汁に浸漬されない状態で無酸素環境下にブドウを静置することで抽出を行う醸造手法。酸素の代わりに炭酸ガスで容器内を充填することからカーボニックマセレーションと呼ばれている。 ブドウの周囲から酸素をなくすことで果粒内における酵素的 ...