規模の大きなところから小さなところまで、星の数ほどワイナリーが存在するドイツ。その多くは本当に小規模な家族経営によるもので、すべてを網羅することはほぼ不可能です。
一方でそんな数多あるワイナリーの中でも有名どころというものはやはり固定する傾向にあり、誰による、どんな評価やランキングを紐解いてみても必ず出てくる名前、というものも存在しています。
今回はドイツでも有名なワインガイドの一つが掲載しているドイツワイナリーのベストランキングをご紹介します。
今後、ドイツワインを選ぶ際の参考にしてみてください。
ドイツ国内における有名ワインガイド
ドイツにも多くのワインガイドが存在しています。
そんな中でも特に有名なのが、Gault&Millau Weinguideと今回ご紹介する記事が掲載されている、eichelmann Deutschlands Weineです。
Gault&Millau Weinguideはワイナリーのランクをブドウの房の数で、eichelmannは星の数でそれぞれ表現しています。
この二つのガイドブックはドイツ国内ではとても高い信頼をもって受け入れられており、他の国では圧倒的な支持を集めている著名ワインジャーナリストらによる評価などよりも重要視されています。
eichelmann Deutschlands Weineによるドイツワイナリーベスト29
今回は上記の2つのガイドブックのうちeichelmann Deutschlands Weine 2019において星5つを獲得した29のワイナリーをご紹介します。
星の数はある程度安定してはいますが毎年変動しています。そんななかでも星5つを獲得したワイナリーの数が29というのはここ数年のなかでは最大の数になっており、ドイツワインの品質の向上具合が背景に見てとれます。
2013年以来の星5つを獲得したワイナリーの数は以下の通りです。
2018: 28軒
2017: 27軒
2016: 28軒
2015: 27軒
2014: 26軒
2013: 28軒
それぞれの年のランキングにご興味がある方は以下のブログを参考にしてみてください。
参考
Germany's 28 Best Winemakers - Eichelmann WeinGuide Deutschland 2018
Germany's 27 Best Winemakers - Eichelmann WeinGuide Deutschland 2017
Germany's 28 Best Winemakers - Eichelmann WeinGuide Deutschland 2016
Germany's Top 27 Winemakers: 5 out of 5 Grapes - Eichelmann WeinGuide Deutschland 2015
Germany’s 26 Top Winemakers - Eichelmann WeinGuide Deutschland 2014
Germany’s Best Winemakers (5 Stars) - Eichelmann WeinGuide 2013
それでは以下、地域ごとに選定されたワイナリーを見ていきます。
もしそれぞれのワイナリーのワインを買ってみたいというご要望があれば当方にて購入代行も出来ますのでお気軽にご相談ください。
AHR (アール)
ドイツでも赤ワインの生産地域として特に有名なAhrからは2つのワイナリーが星5つを獲得しています。
BADEN (バーデン)
ドイツにある13の認定ワイン生産地のなかでももっとも南に位置するBadenからは今回最多となる6軒のワイナリーが星5つを獲得しています。
FRANKEN (フランケン)
何種類か存在しているドイツワインのボトルの中でも、ボックスボイテルという名称で呼ばれている特に特徴的なボトルを使っていることでも知られるFranken。地域的にはSilvanerが有名な地域でもあります。
こちらからは4軒のワイナリーが選ばれています。
MOSEL (モーゼル)
Rheingauと並んでドイツを代表する、ある意味でドイツワインの代名詞的な存在でもあるMosel。綺麗でシャープな酸と甘みのバランスが絶妙で、Egon Müllerなどドイツで最も高価な部類に属するワインの多くはこの地域で造られています。
NAHE (ナーエ)
複雑に入り組んだ地層を持ち、様々なブドウ品種が栽培されているのがNaheです。
若いワインメーカーが新しくワイナリーを始めることが比較的多い地域でもあり、ドイツのワイン産地の中でも変化の大きい地域ともいえます。
この地域からは世界的にも有名なワイナリーが安定して選出されています。
PFALZ (プファルツ)
ドイツで2番めに大きく、地中海性気候に似た温暖な気候をもったワイン生産地域であるPfalz。世界最大のリースリングの生産地域でもあるこの地域からは1軒のワイナリーが選ばれています。
RHEINGAU (ラインガウ)
ドイツワインを語る上で、Moselと並んで外すことの出来ない生産地域がこのRheingau。ライン川に面した畑は基本的に南向きとなっており、長い日照時間を確保することが出来ます。この地域で造られるリースリングは特有な酸を持ち、極めて品質の高いワインとなります。
今回選ばれた4軒のワイナリーはまさにRheingauの代表としてもよく名前の上がるワイナリーです。
RHEINHESSEN (ラインヘッセン)
ドイツ最大のワイン生産地域であり、植栽品種の多様さでも図抜けているのがRheinhessenです。ドイツのなかでも比較的乾燥した気候を持つこの地域からは、ドイツワインの代表格である2軒の著名ワイナリーが選ばれています。
WÜRTTEMBERG (ヴュルテンベルク)
バーデン・ヴュルテンベルク地方とも呼ばれるようにドイツ南方に位置し温暖な気候をもっていることから、Ahrと並んで赤ワイン用ブドウ品種の栽培面積が大きいWürttemberg。シラーワンと呼ばれるロートリングが造られることで有名な地域でもあります。
この地域からは2軒のワイナリーが5つ星を獲得しています。
なお、今回のランキングではSachsen (ザクセン)、Mittelrhein (ミッテルライン)、Hessische Bergstrasse (ヘッシッシェ ベルクシュトラッセ)、Saale Unstrut (ザーレ ウンシュトルート)の4つの産地からは星5つのワイナリーは選ばれていませんでした。
今回の結果から見えるもの
eichelmannの掲載した内容からベストワイナリーをご紹介しました。
あくまでも筆者の個人的な見解ですが、eichelmannによる選定はブドウの熟度が高いことを裏付けとした力強く抽出物量の多いワインを好む傾向が強いように感じています。この印象は、今回の結果でもBadenから選出されたワイナリーの数がもっとも多かったことにも繋がります。
以前から度々記事にしてきたことではありますが、近年の温暖化の影響を受けてドイツでも平均気温が上がる傾向が顕著になってきています。
これによってブドウの熟度が高くなりつつあり、以前は難しかったより力強いワインの生産が可能となってきました。
このような傾向が今後も続くとすると、来年以降もガイドブックで高評価を得られるワイナリーの数は徐々に増えていく傾向になるのではないかと予想されます。