すでに以前、ロゼやそれに類するワインについて似たような記事も書きましたが、ドイツワインのエチケット上にはまだまだ、正体不明の表記を見かけることがあります。
Classic (クラシック)、Selection (セレクチオーンもしくはセレクション)、Feinherb (ファインヘルプ)、Mild (ミルドもしくはマイルド)、Erstes Gewächs (エアステス・ゲヴェックス)などがこれに当たります。場合によってはこれにCharta (カルタ)、Großes Gewächs (グローセス・ゲヴェックス)まで加えてもいいかもしれません。
皆さんはこれらすべての意味するところをご存知でしょうか?
ロゼやそれによく似たワインについての記事はこちらから。
すべてワインの味に関する名称
これらは基本的にはすべて、ワインの味に関する名称です。
それぞれはある程度のグループ分けをすることが可能で、上記のものではクラシックとセレクションがワイン法に基づくもの、エアステス・ゲウェックスとカルタがラインガウ地方に独特のもの、グローセス・ゲヴェックスはVDPの定める規格で、ファインヘルプとマイルドは法的もしくは団体的な背景のない、慣例的に使われているもの、となります。少し前まではクラシックなどはそこそこ目にしていましたが、最近はあまり見かけなくなりました。逆に最近目にする機会が多いものとしては、グローセス・ゲヴェックスやファインヘルプでしょうか。
なお、グローセス・ゲヴェックスについては別途VDPについての記事にまとめる予定ですので、この記事では詳しく取り扱いませんが、これは等級畑から収穫されたブドウから造られた辛口ワインに使われる肩書です。
最近見かけなくなってきた、ClassicとSelection
この2つの名称はドイツのワイン法によって決められたものですので、正体不明、とは本来言えないのですが、正直な感想として存在感が薄く、知っている人のほうが少ないのではないかと思うこともあるほどです。
まず基本として、これらの2つの名称が付けられたワインは辛口のみです。中辛口や甘口のワインにこれらの名称が付記されることはありません。この上で、それぞれに要求される条件は以下の通りとなります。
Selection
- 高価格帯の高級ワインに対してつける肩書
- 単一の畑から収穫されたブドウのみで造られていること
- 法的に定められたブドウ品種を使用していること
- 60 hl/ha の収量制限を守っていること
- 収穫時のブドウの糖度が最低90エクスレ以上であること
- ブドウの品質を最高のものとするための明確な管理を行っており、品質を維持していること
- ワインとして官能面における高い品質を誇っていること
Classic
- 高いこだわりを持って敢えて中価格帯に据え置いているワインのための肩書
- ブドウの栽培において標準以上のこだわりをもって取り組んでいること
- その土地独特のブドウ品種を使用していること
- 近代的でブドウへのストレスの少ない手法を用いて醸造していること
- 低温発酵していること
- 一貫した品質管理を行っていること
どちらもかなりふわっとした表現がされているところがあり、これだけだとクラシクやセレクションといったワインがどのようなワインなのか、明確に表現するは難しいです。一方でどちらのものにしても、この肩書が適用され得るワインの中では”標準以上”であることを要求してきていますので、これらの肩書のついたワインは同一水準内においては上の方のワインである、ということは明確です。このはっきりとしない曖昧なところがこれらの肩書のついたワインを見る機会が減ってきた理由かもしれません。
今日はいったん、ここまでにします。続きはまた次回。