- Nagis Wineworld >
- Nagi
Nagi
ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。ドイツのワイナリーで醸造責任者を歴任。栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーの醸造家兼栽培醸造コンサルタントとして活動中
フェノレ、という言葉をご存知でしょうか? ワイン、それも赤ワインをお好きな方なら馴染みのある言葉かもしれません。 また、フェノレには馴染みがなくてもブレットという言葉なら知っている方は多いのではないでしょうか。 これらは一般的に同じワインのオフフレーバーを指しています。 ブレタノマイセスによる「フェノレ」 フェノレ (phénolé) とはワインに生じるフェノール性の異臭 (オフフレーバー) の名前です。原語であるフランス語では「フェノール性の~」を意味する形容詞だそうですが、これがそのまま名詞として使わ ...
年末年始が近づくにしたがって需要も増えてくるイメージがあるのが、甘口のワインです。 甘口のワインといってもその種類は様々。口に含んでほのかに甘さを感じるくらいのものから、貴腐ワインやアイスワインと呼ばれる極甘口のものまであります。またポートワインなどで知られる、フォーティファイドワイン (酒精強化ワイン)と呼ばれる変わり種のワインにも甘口のものが存在しています。 こうした特に甘いタイプのワインはデザートワインとも呼ばれています。 貴腐ワインやアイスワインはその希少性から比較的造り方も知られていますが、そう ...
さて皆さんはワインが と呼ばれる場面に出会った経験はあるでしょうか? この呼び方が世界共通のものかどうかは残念ながらわかりません。しかし少なくとも筆者はドイツでワインの教育を受けている期間、何度かワインをこう表現する場面に出会いました。 発酵させたぶどうジュース。なんとも言い得て妙な呼び方です。 個人的にはとても好きな呼び方で、時々使ってもいました。しかし最近ではこの呼び方をすると、ワインではない、別の製品カテゴリーのことだと思われることが増えてきました。 "ノンアルコールワイン" です。 ノンアルコール ...
ワインを造っていると、さまざまな問題に出くわします。何事もなく、造っている本人も驚くほどスムーズにすべてが終わる時もあれば、何かしらの問題が起きてそれを解決したらすぐさま次の問題が起きる、などという悪夢ような時もあります。 とはいっても、ブドウの果汁がワインになるための一番大事なステップであるワインの発酵段階におけるトラブルは実はそれほど多くありません。 もしかしたら微生物汚染という言葉をお聞きになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれは厳密に言えば発酵の前後の時点で起きるもので、発酵段 ...
メインのサイトでは一部の記事で閲覧に会員登録を求める仕様にしている。ある一定より先の内容を読みたければ事前に登録した内容でログインしてね、というよくあるあれだ。 このログインのシステム自体はいくつかの方法を検討したが、最終的にプラグインで実現することにした。このプラグインの導入についてはまた別の機会に紹介したい。今回はこのログインシステムの採用にあわせてページネーションを取り入れることにしたので、そのページネーションのやり方について書いておく。 ページネーションとは ページネーションとは、ページ送りのこと ...
先だってこんなTwitter上にこんなPostをしました。 今週はこの2枚の写真に関係する内容で久しぶりにきちんとした醸造関連の記事を書く予定でいます仮題: 「自然?なワインの造り方」 pic.twitter.com/wNDzg58DQh— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) November 7, 2020 この記事を読んでくださっている皆さんは、この2枚の写真の違いがお分かりになるでしょうか? 今日はこの写真とそこに関わる「自然な?」ワインの造り方についてです。なお、この記事ではあくま ...
同じ畑で収穫された同じ品種のブドウを使って造った収穫年違いのワインを飲み比べてみるテイスティングの方法を、「垂直試飲」といいます。この垂直試飲の目的は2つです。 1つは新しい年のワインと古い年のワインとを比較して、その畑のブドウから造られたワインの熟成の仕方や癖を知ること。そしてもう1つが、各年の気候の違いなどがブドウに与えた影響と、その結果としてワインにどのような違いが出たのかを知ることです。 私はワインを造っている仕事柄、この垂直試飲を比較的よく行います。そうした中で、最近、自分はこの垂直試飲を通して ...
連日、ワインの醸造を続けています。 ドイツ国内、もしくは私が所属するワイナリーと同じ地域のワイナリーでもすでに収穫収量の声があちらこちらで聞こえ始めており、我々も来週には2020年の収穫を完了させる予定でいます。今のペースで行くと、ケラー内のワインがすべて発酵を終えるのは11月末くらいになる予定です。 今年の醸造ではボスの意向もあり、複数のタンクで自然発酵、いわゆる野生酵母を使用した発酵を行っています。 この野生酵母を使った醸造ですが、最近の流行りの一環、という様相です。一部ではいいワインでは部分、もしく ...
先日Twitter上で、リースリングのMLFについてのPostをしました。 行わない、なら分かるけど、行えない、と言ってしまうのは違うかな... <RT実際のところはMLFしているリースリングもあります— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) September 25, 2020 リースリングといえば酸が特徴的なブドウ品種でもあるので、酸を抑えてしまう方向に動くMLFはしないものと思われている方も多いと思います。またMLFによって生じるバタースコッチ様の香りがリースリングとは相性が悪い ...
気候変動の影響で地球全体で気温が上がり、それにともなってワイン用のブドウの生長が速くなってきています。 冬が暖かくなったためにブドウの芽吹きが早まり、さらに暑い夏を通して今まで以上に熟したブドウを収穫できる。なんとも夢のある話に聞こえますが、ワイン造りの現場ではこの一見いいことのように思える動きに頭を抱える機会が増えてきています。 それが、ブドウの過熟によるワインのアルコール度数の上昇です。 年々早まる収穫の時期 https://twitter.com/Gensyo/status/130870782014 ...