Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

栽培

2021/3/30

除葉の季節

2018年のドイツは暑く、ブドウの生育が例年を遥かに超えて早く進んでいます。 その影響を受けて、ブドウ畑ではワイヤーがすでに一番上の位置まで上げられていますし、場所によってはすでにブドウの実の結実も確認され始めています。そんな状況を受けて、一部の畑では除葉作業が始められています。 除葉とはなにか? 除葉とは、文字通りにブドウの樹にある葉の一部を除去してしまう作業のことをいいます。以前はほぼ完全に人の手で行われていた作業ですが、最近は機械で行うことも多くなってきました。 植物にとって光合成を行う上でとても大 ...

栽培

2021/3/30

ぶどう畑の苦難

すでに何度もこのBlogでも書いてきましたが、今年のドイツは本当に暑く、まだ5月だというのに日中の気温が30度を上回る日が続いています。場所によっては洪水が起きるくらいに大雨が降っている一方で、ラインガウ近辺では雨が極端に少ないわりに湿度が高い、雨が降りそうで降らない毎日です。 こんななか、ぶどうは順調すぎるほど順調に成長しています。順調、というと聞こえは良いのですが、実際には速すぎる、というのが実感でもあります。ぶどうの高さはすでに2mを超えるほどになり、ワイヤーは柱の一番高い位置に設定する必要が出てき ...

ナチュラルワイン

2021/3/30

ナチュラルワインを買う理由

der deutsche Weinbauという雑誌にとても興味深い記事が掲載されたため、その内容を紹介したいと思います。 印象か、感覚か まずこの記事のタイトルは"Image vs. Sensorik"。敢えて少し意訳すると、"印象か、感覚か"となります。 この記事はとある調査結果について書かれたものでした。 その調査の内容は、 というものでした。なお、この調査における被験者はいわゆるワインの愛好家100名で、平均的なワイン消費者ではありませんでした。つまり、平均以上にワインに詳しく、かつワインの消費行動 ...

仕事の流儀

2021/3/30

ぶどうの開花

今日、驚くべき一報が入りました。ドイツの一部地域で、すでにぶどうが開花したというのです。 確かに今年の天候は近年に増して少々異常で、雨が極端に少なく、気温の高い日々が続いていました。今日などは場所によっては最高気温が30度程度まで上がっていたほどです。しかし、だからといって5月のこの時期にすでにぶどうが、しかもリースリングが開花するなど聞いたことがありません。 [circlecard] ぶどうの開花時期 例年のぶどうの開花時期は、ラインガウ地域で6月の半ばです。 ぶどうの開花は大体、その枝に葉が12~13 ...

栽培

2021/3/30

フィロキセラとの戦いは困難さを増すのか?

以前、ブドウの天敵としてフィロキセラという昆虫がいることを紹介しました。 フィロキセラ対策の一番の方法は台木を使うことなのですが、この一方で一部の薬剤もこの害虫に対して効果があるとして使用されていました。それがネオニコチノイドといわれる系統の薬剤です。 薬剤を使う意味 台木があるのだから薬剤など不要ではないか、そんな声も聞こえてきそうですが、その考え方は残念ながら楽観的に過ぎます。 確かに台木は今のところは有効な手段として利用されていますし、実際にこれによってフィロキセラの被害の拡大は抑えられています。し ...

仕事の流儀

2021/3/30

ワイヤー上げでの注意点

今日も今日とて芽掻きとワイヤー上げに従事しています。 昨日の記事、”なくなる余裕”を書いていた時点ではまだ芽掻き組とワイヤー上げ組は別れて作業を行っていたのですが、今日はいよいよ余裕がなくなってきたので全員でワイヤーを上げつつ、芽掻きをしながら進んでいく、という作業に変わりました。ぶどうの成長が速すぎて、来週にはもうワイヤーをもう1段階上げるようなのではないかと感じているくらいです。 [circlecard] ワイヤー作業で避けられないリスク さて、昨日の記事でも触れましたが、ぶどうの枝はとても脆く、本当 ...

仕事の流儀

2021/3/30

なくなる余裕

昨日の記事、”芽掻きの時期はまだ続く”で複数の作業が並行して行われていることを書きました。 この記事ではあくまでも準備として扱っていたのですが、一部の畑ではすでにぶどうが筆者の身長(約180cm)以上の長さまで成長している樹がちらほらと見え始めたことから、急遽、作業を行っていた畑を変えてワイヤー上げの作業を開始しました。しかもこの畑ではぶどうの品種が比較的成長の遅いものでもあったことから、芽掻き作業も後回しにしており、大慌てで芽掻きも行うという一日になりました。 [circlecard] 成長が約2週間速 ...

仕事の流儀

2021/3/30

芽掻きの時期はまだ続く

幹から出てくる新芽の除去をはじめてから今日で一週間になりますが、まだこの作業に終わりはきていてません。 合計で10 haを超える広さの畑を3人で手がけているから、ということがもちろん絶対的な理由としてあるのですが、それ以外にも畑のワイヤーを下げる作業などを並行して行っていることもまたこの作業に時間がかかっている理由の一つとなっています。 [circlecard] 雨のあとは作業量が増える ”雨降りがもたらすもの”という記事で書きましたが、ここに来て断続的ではありながらも降雨が続いています。 この、雨のあと ...

仕事の流儀

2021/3/30

雨降りがもたらすもの

今年のドイツでは降雨量が例年と比較してもかなり少ないのですが、昨日、今日と雷を伴った断続的な雨が続いています。日本で言うゲリラ豪雨ほどの勢いがあるわけではないのですが、それでも二日間の合計ではそれなりの降水量にはなっているようです。 [circlecard] 雨のもたらすもの ぶどうに限らず、植物の成長に雨は欠かせません。雨が降り、それが土壌に吸収されることで初めて植物は根から水分を吸収し、成長を行っていくことができるようになります。 これが樹齢を重ねた樹であれば、根の到達深度がそれなりになっているため水 ...

ランキング

2021/3/30

ドイツの赤ワイン

ここしばらく、急にドイツの赤ワインに関する記事を目にすることが増えたように思います。そして、その多くが近年におけるドイツの赤ワインの品質向上と、世界的な地位の向上を伝える内容となっています。 躍進中のドイツ赤ワイン 筆者自身も4月の末にMainzで開催されたVDP主催の試飲会で複数の赤ワインを試してみて、その変化には驚きました。特に、今までSpätburgunder (シュペートブルグンダー、Pinot Noir)の赤を造るには寒すぎる、とされていたMoselのワイナリーにも関わらず、とても品質の高い赤ワ ...