仕事の流儀

ブドウ畑を支える縁の下の力持ち。~アンカー打ち

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先日の仕事 (関連記事: ブドウ畑に柱を立てる)の続きとなる今回は、まさに畑を支える重要な部分であるアンカーの打ち込みと、そこにつながるワイヤーを集約する支柱の打ち込みでした。アンカー自体の打ち込みは特に問題なく進むのですが、とにかく時間がかかるのがそこにつながる支柱の打ち込みです。今日の作業だけによらず、柱の打ち込み作業全体に言えることなのですが、ここはとにかく作業者の性格が出るところなのです。

角度と高さにこだわり抜いた末の美しさ

人によってはある程度の水平と、前後の並びをあまりこだわることなく目視で決める場合もありますが、人によっては水平器や照準器まで持ち出してこだわり抜く人もいます。ここに関してはある程度の誤差は誤差として許容できるところでもありますし、ブドウが育ってくれば水平などは自然とずれてしまったりもすることのある部分でもあるのですが、それでも構わず、こだわりにこだわり抜く、という人は決して少数派ではありません。ちなみに、柱の高さに関しては、これはしっかり統一していきます。

作業的には多少ずれてもいいんじゃないの、と思いがちなこの作業、しかしながらとことんまでこだわって、整然と規律正しく打ち込まれた柱を見ると、本当に美しいと思えます。ただ、作業時間は本当にバカにならないのですが。

 

ワイヤーの留めかたは人それぞれ

私が参加している畑での作業を取り仕切っているのはこのとことん細かいところまでこだわり抜く、という性格の持ち主で、出来上がった柱の列は本当に美しかったです。ただ、我々作業者たちはその美しさにいつまでも感動している暇もなく、早々に次の作業、打ち込んだ支柱とアンカーをワイヤーで固定する作業にはいります。

ブドウ畑を実際に訪問した方ならご存知だと思うのですが、このアンカーと繋がれる斜めに打ち込まれた支柱はその列に引かれるワイヤーと、そこにかかるすべての重さを最終的に支えている存在です。このため、この支柱はブドウ畑の中でも極めて重要で、もし仮にこの支柱が倒れてしまうとその列全体のブドウを支えることが出来なくなってしまいます。また、支柱の角度がワイヤーに引っ張られて立ってしまってもワイヤーが張れなくなってしまうため、ブドウは支えを失うことになります。

このような理由から、支柱にかかる重さを分散し、支柱が起き上がったり抜けたりすることを防ぐためにアンカーを地面に打ち込み、そのアンカーと支柱をワイヤーでつなぐのです。

たまに列の中に通しているワイヤーが支柱に巻きつけられ、さらにアンカーにつながっている、と思われている方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。ここは別々に繋がれています。

さて、そんな重要なアンカーと支柱の接続ですが、実はその方法には正解といわれるものがありません。極端な話、アンカーが抜けてしまったり、支柱の角度を含めて打ち込んだ状態を維持できるのであればそれでいいものなので、結ぶ人によって極端な個人差が出ます。このアンカーの結び方の違いを見ながら畑を歩いてみるのも意外に面白かったりします。

 

全体の重さは考慮しなければならない

アンカーと支柱をワイヤーで留めるとめ方に個人差があると言っても、その一方で考慮されなければならないことはあります。それは、列の長さと最終的に支柱やアンカーにかかってくる重さです。

列が短かったり、予想される重さが軽かったりする分には支柱の留め方が多少、ゆるくても問題にならない場合もあるのですが、列が長かったり、かかる重さが重かったりするとこれは話が変わります。このような場合にはあまり緩くしてしまうと支柱を固定しきれなくなるのです。

そんなわけで、本日、我々は合計4本のワイヤーで支柱とアンカーを結ぶことにしました。ただ、同じ支点でワイヤーをつなぐのではなく、畑の列から支柱に入ってくるワイヤーを繋ぐ部分とアンカーをつなぐことで高強度化をすることにしました。

今日は合計、48本の支柱をこだわりを持って打ち込み、すべての支柱とアンカーを繋ぐ作業を完了しておよそ11時間の仕事を終えました。



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Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。フリーランスとしても活動中

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