ここ数年間の夏と比較すると冷夏と表現できるほどに涼しい日の続くドイツですが、この気候の違いを如実にあらわすように昨年から遅れることおよそ2週間、ついに2021年最初の収穫の報告が入りました。
DWI(Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) によると、8月23日にラインヘッセンのリェルツヴァイラー (Lörzweiler) という町で今年最初のブドウの収穫が行われたそうです。また同日中にPfalzでも最初の収穫が行われたとDWIのプレスリリースには記載されています。
Erster Federweißer bald erhältlich
2021年最初の収穫は例年よりも涼しい今年の夏を表しているかのように、ここ数年間では最も遅い始まりとなりました。去年はPfalz (プファルツ) で8月10日に、2019年は今年と同様にRheinhessen (ラインヘッセン) で8月13日にそれぞれ始まっています。
また天候の影響は収穫の開始日だけではなく、収穫時の果汁糖度にも表れています。
今年最初に収穫されたのは昨年同様に早熟品種として知られるSolaris (ソラリス) でしたが、収穫時の果汁糖度は70エクスレ弱、およそ17Brixほどにとどまりました。暑かった昨年の収穫時の果汁糖度は100エクスレでしたので、ブドウの熟度もかなり違っていることがわかります。
今年のブドウの熟成状況はここ数年では最も遅く、80年代の状況に近いそうです。
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なお今年も最初のブドウはフェーダーヴァイサーに使われる予定となっているものです。
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2021年の本収穫はいつ始まるか
2021年の本収穫は今のところ早くても9月の中旬以降になるものと見込まれています。
今年は今までのところブドウ栽培にとって容易な年ではありませんでした。春先は気温が低く湿度の高い日が続き、ブドウの発芽が例年よりも遅くなりました。またBadenやWürttembergの一部では遅霜の被害も出ています。
その後も5月には例年通りの猛暑を思わせる30度に迫る気温の日が続き、7月はじめにかけてブドウの急激な生長が進んだかと思えばブドウの開花時期は例年よりも遅くなりました。また降雨量も多く、多くの産地でベト病の被害が拡大しています。
こうした中で収穫の開始見込みもまた見込まれる収穫量も今後の天候次第、という部分が強くなっています。
現状における予想としては通常品種で9月半ば以降、晩熟のリースリングでは早くても9月末からの収穫となりそうです。
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