ワインの勉強を始めると、多くの方が”世界のワイン用ブドウは北緯30 - 50度、南緯30 - 40度の間で行われている”と習うのではないでしょうか?
そしてそのままドイツワインを扱う章に入ったところで、”ドイツのブドウ栽培地は北緯47 - 52度の範囲内に位置し、これは世界のブドウ栽培地の中でも北限にあたる”と聞いたのではないでしょうか?
北に移動した、ブドウ栽培の北限
この情報は残念ながら、すでに時代遅れのものと言わざるを得ません。
世界的な気候変動と温暖化の影響を受けて、ブドウの栽培地は現在、さらに北、さらに南へとシフトしつつあります。そう、”シフト”です。長期的にみれば、”拡大”ではないのですが、それはまた別のお話しなのでここでは省きましょう。
ブドウの栽培地のお話しです。
一昔前までは確かにドイツは世界のブドウ栽培の北限でした。しかし、最近はさらに北のスウェーデンの南部でワイン用ブドウの栽培が始められています。つまり、もうドイツは北限の地ではありません。むしろドイツの気候は温暖になりつつあり、今まで栽培できなかったブドウ品種の栽培が始められようとしているくらいです。
変わるブドウ品種の選定方法
さて、ここで気になるのが、気候変動を受けて従来の北緯や南緯を指針としたブドウの植栽方法が取れなくなりつつあるとしたら、どうやってその地域にあったブドウを選べばいいのでしょうか?また、そもそもその地でブドウを栽培できるかどうかの大まかな判断をどうやればいいのでしょうか?
これにはすでに一つの答えが出されています。主に一定期間の気温など複数の要因を使った計算によって、そもそもワイン用ブドウの栽培に適した土地であるかどうか、さらには、どのようなブドウ品種が適しているかといったことを判断できようになっています。
もっとも、その計算結果から外れた品種がなんだかんだで育っているケースは多く、最終的には植えたブドウが育てばそれでいい、と言ってしまってもいいのかもしれません。
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