Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

ブログ

2021/3/18

WordPressのカスタムフィールドを使ってデータベースを実現する方法

手元のデータ、気が付くと保存場所があちこちに散逸してしまって保存したはずなのにどこにいったのか分からない、ということがよくある。一部のものはGoogleスプレッドシートなどのクラウドサービスを利用して経過を記録しているものの、場合によってはあちこちのシートを行き来する必要が出て非常に見にくい。 そこで、もっと手軽に各データを関連付けたうえで必要な視点からまとめてデータを確認できる方法を考えていたところ、案外、Wordpressで構築するのが手間も少なくかつ目的に沿ったものが作れるのではないかという気になっ ...

ワイン 醸造

2021/3/29

ろ過していれば大丈夫? | 清澄剤の残留とヴィーガンワイン

ワインといえばブドウから造られているので、菜食主義の方であっても安心して飲めるもの。 この考え方は必ずしも正しくはないことをご存じの方は多いと思います。 なぜ正しくないのか。 ワインの原料はブドウであっても、ワインを造る工程の中で動物性由来の材料を利用している可能性があるからです。動物由来の材料の多くは"清澄剤”と呼ばれる種類のものに使われており、その代表例が卵白であり、カゼインです。 こうした材料はヴィーガンにとっての問題としてだけではなく、より深刻なアレルギー物質としてたびたび取り沙汰されています。 ...

Amphora Historically Archaeology  - Makalu / Pixabay

品質管理 醸造

2022/1/31

ワインと伝統と容器の関係 | クヴェヴリやボックスボイテルの意味を考える

伝統的にワイン造りの現場で使われ続けている容器。冷静に考えてみるとなぜ使っているのか分からない、というケースもあるのではないでしょうか。 なぜクヴェヴリを使うのか。ボックスボイテルの何が普通のボトルと比較して優れているのか。こうした問いに即答できるでしょうか。 この問いはとても多角的なもので、一面からだけ判断することにどれほどの意味があるのかは疑問です。ですが、ワイン造りの現場でこうした容器を使うかどうかを判断するためには、少なくとも醸造の面からその意味を考えておくことには意味があります。 今回はこうした ...

品質管理 醸造

2022/1/31

何が違うのフィルターシート

画像引用: https://www.thomasnet.com/profile/10013647/ertelalsop.html 最近はノンフィルターのワインが話題になることが多くなっていますが、それでもやはり世界中で造られているワインのほとんどはフィルターを使ってろ過をしたワインです。 ワインのろ過に使うフィルターはいくつかありますが、そのなかでもダントツの複雑さをほこり、時として造り手さえをも混乱させるフィルターがあります。それが、シート型フィルターです。 シート型フィルター自体はコーヒーに使うペーパ ...

ワイン 品質管理 醸造

2021/12/31

ワインの添加剤と補助剤

醸造に関わらない方にとってはあまり身近な話ではありませんが、ワイン造りの過程において果汁中、もしくは発酵が終わった後のワインに入れられるものは次の2つに大別されます。 傍から見る分にはどちらも果汁中、もしくは発酵後のワインに「添加」されるものであるため大した違いはないように思われるかもしれません。しかしこの両者の間には非常に大きな違いがあります。 添加剤と補助剤の違い 添加剤と補助剤、一体何が違うのでしょうか。 この両者の違いは最終的なボトルの中に「残る」か「残らない」かの違いです。最終的にボトル内に何ら ...

Limited ワイン 醸造

2022/1/31

デザートワインは赤くない?

ワインの好き嫌いは人によりけりですが、デザートワインの持つ深い甘味を嫌う人はあまり多くはないのではないでしょうか。 デュケムとまでは言わなくても、良い年のリースリングのトロッケンベーレンアウスレーゼを思い浮かべると思わず笑顔になってしまいます。 ところで一口にデザートワインと言ってもその種類にはいくつかあります。それぞれの種類によって造り方が違っており、それにともなって味や香りも全く変わってきます。タイプが異なるワインを比べてみると、これを同じデザートワインと括っていいの?、と言いたくなるほどの違いがある ...

ワイン 醸造

2021/9/14

引き算で考えるワイン造り

ワイン造りは難しい。そう思ってはいないでしょうか。 確かにワイン造りを細かく見ていこうとすると、そこには微生物学の知識や化学の知識が必須です。ブドウの栽培からお話を始めると、ここにさらに植物生理学や土壌学、気象学、物理学など必要となる知識は増える一方。とてもワイン造りは簡単です、とはいいにくいのが実情です。 ただそんな細かい知識が求められるのは本職の人間だけ。ワイン造りの基礎を学ぶのであれば、このような知識は実は不要です。 むしろそんな面倒くさい話をされれば、人間、好きなものも嫌いになってしまうのが道理と ...

ブログ

2021/1/2

ショートコードをプラグインにして管理する方法

Affinger6 ActionがAffinger EX版ユーザーに対して限定先行公開された。 こちらのテーマ、これまでにAffinger5でもたびたびおこなわれていたバージョンアップとは違い、子テーマも変わる、いわばモデルチェンジ版。導入にはいろいろと問題が生じる可能性も十分に想定されたが、人柱よろしく早々に切り替えてみた。 今回はこのテーマの切り替えに合わせて行った、ショートコードのプラグイン化とfunctions.phpの軽量化についてだ。 なお、実行環境はエックスサーバーとアフィンガー6 Acti ...

Limited 不快臭 醸造

2021/9/4

ブレットだけではないブレタノマイセス | ネズミ臭

フェノレ、という言葉をご存知でしょうか? ワイン、それも赤ワインをお好きな方なら馴染みのある言葉かもしれません。 また、フェノレには馴染みがなくてもブレットという言葉なら知っている方は多いのではないでしょうか。 これらは一般的に同じワインのオフフレーバーを指しています。 ブレタノマイセスによる「フェノレ」 フェノレ (phénolé) とはワインに生じるフェノール性の異臭 (オフフレーバー) の名前です。原語であるフランス語では「フェノール性の~」を意味する形容詞だそうですが、これがそのまま名詞として使わ ...

醸造

2021/3/29

甘口ワインの造り方

年末年始が近づくにしたがって需要も増えてくるイメージがあるのが、甘口のワインです。 甘口のワインといってもその種類は様々。口に含んでほのかに甘さを感じるくらいのものから、貴腐ワインやアイスワインと呼ばれる極甘口のものまであります。またポートワインなどで知られる、フォーティファイドワイン (酒精強化ワイン)と呼ばれる変わり種のワインにも甘口のものが存在しています。 こうした特に甘いタイプのワインはデザートワインとも呼ばれています。 貴腐ワインやアイスワインはその希少性から比較的造り方も知られていますが、そう ...