業務日誌

日がな一日木を切った日

04/12/2019

メモ

新シリーズ”仕事日誌”は通常の記事とは異なり、カテゴリー名の通りにその日に行った仕事をそのまま記録していく日誌形式の記事となります。

難しいことは横に置いておいて、砕けた文体で思ったまま、感じたままに記述していきますので、普段の記事とはかなり印象の異なる文章になるものになるかと思います。

ワイナリーの日常的な仕事とはどんなものなのか知りたいという方、ワイナリーを始めるにあたり他所のやってることを参考にしたいという方などに参考にしてもらえれば幸いです。

  • 場所: Bingen (ビンゲン)
  • 天候: 晴れ、風が強め
  • 気温: 17℃ くらい

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畑のエイリアンを駆逐する

どうにか所有するすべての畑で壊れた柱の入れ替えや切れたアンカーやワイヤーの修理が終わり、仕事は次のステップへと進むことになった。

とはいっても剪定した枝の誘引やワイヤーの引き下ろし作業は基本的に東欧方面からの季節労働者の方にお願いすることになったため、我々はまた別の作業に取り掛かることに。

この時期にやる作業としてはいくつかあるものの、今日はイレギュラーともいえる畑のエイリアン退治をすることになった。そう、どこから出てきたのかわからないけれど、畑のあちこちで背を伸ばしてきている木の伐採作業、それが今日のお仕事だった。

畑にはびこる謎の木

木といっても、流石にブドウ畑のど真ん中に木と聞いて想像するような大木が生えているわけじゃあない。

まだまだ若木で、高いものでも背の高さは1メートルに届くかどうかというところ。ただ幹の太さはまちまちで、太いものだと2センチメートルをゆうに超えるくらいの直径をしているものもあったりする。

そして何より繁殖力が強いのか、1本あったらその周りにはやたらと多くの若芽が顔を出している。その勢いはなかなかで、放っておいたらその一角だけ雑木林にでもなるんじゃなかろうか、などと思ってしまうほど。

雑草ならともかく木は放置してしまうと幹は太くなるし、背は高くなるしでブドウの成長の邪魔になる。そしてなにより、我々が各種作業をする際にもものすごく邪魔になる。なので、幹もまだ太くなる前でかつこの手の作業にまだ時間をかけられる今のうちにできるだけ切ってしまおう、という話になったわけだ。

ハサミを片手にブドウ畑を歩き回る

今回切って回る対象となる木の嫌らしいところはブドウの幹や畑に打ち込んだ柱の根元くらいから顔を出していることが非常に多い、ということ。なので、少し油断をすると新芽の一つや二つはすぐに見過ごしてしまいそうになる。

そのくせして成長が早い木なので見落とすと早晩、しっぺ返しを食らうことになりかねない。発見したらいつでも切れるように電動ハサミを片手に(ところどころ太くなってしまっている枝や幹を切る必要があるので、電動ハサミじゃないとやりきれない)目を皿のようにしながら畑中を歩き回り、あちこちに顔を出している幹や枝、そして新芽を切って回る。

あまりに数が多く、切っても切っても終わりが見えない感覚になる。そうなるたびに眼下に広がる景色を見て息抜きをしつつ、延々と木を探しては切り続ける。

ライン川を挟んで対岸にはラインガウを見晴かす。リューデスハイム、ガイゼンハイム、そしてヨハネスベルクまで見える絶好のロケーション

作業の性質上、どうしてもハサミの刃を地面に入れて根や幹の深いところを切る必要があるのだけれど、その過程で時々石まで挟み込んでしまい、刃がみるみるなまくらになっていく。。。仕方がないとはいえ、なかなか心が痛む。高いハサミなのに。

作業していて気がついた、地下茎という可能性

日がな一日作業をしていると、そう時間がかからない内に木の分布にかなり強い偏りがあることに気がついた。

何よりこの木がやたらと繁殖している畑とまったくそんなことはない畑がある。繁殖している畑でも木が出ているところはある程度、固まる傾向が強いように思える。なにより、同じ種類の木ばかりが繁殖している。

もしかして、と思って一本の木を引っ張ってみると、案の定というべきか根が別の幹とつながっている

どうやらこいつら、ブドウのような蔓系植物と同じで枝が倒れて地面につくと、そこから新しい根をはやし、ついでに枝のあちこちから芽を出して、、、、という嫌な拡散能力を持っているらしい。こうなってしまうともう完全なイタチごっこで、切っても切ってもそうそう終わりは見えないことになる。

そんな絶望感を抱えながらも切らない選択肢はなく、結局、日がな一日ハサミの刃をだめにしながら木の伐採に精を出した一日だった。

今日の仕事で使った道具

電動ハサミは充電式ではなく、バッテリー外付けタイプが動作の持続時間という意味でも力強さという意味でもオススメです。

個人的にとてもオススメなのがこの作業用手袋。素肌に近い感覚で手袋をつけていながらに細かい作業も出来ます。グリップがいいので電動ハサミを使って太い木を切ったりする時の反動にも負けずに切れます。

この季節、すでに紫外線が強くなっているので日焼け止めとツバの大きめのサファリハットは必須です。

農家は真っ黒に日焼けしているもの、なんて考えは古いです。むしろ日頃屋外で長時間の作業をしている農家こそ、紫外線には気を使って皮膚がん等に対するリスクを回避しましょう。

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  • この記事を書いた人

Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

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