業務日誌

トラクター作業は怖くない

投稿日:

  • 場所: Wallhausen (ヴァルハウゼン) / Bingen (ビンゲン)
  • 天候: 晴れ
  • 気温: 27℃

本日の業務内容

  • 除草剤散布
  • Grubberを使っての鋤き込み作業

 

Terrasseでの除草剤散布

今日はビンゲンにある畑での作業指示が出ていたものの、まずはヴァルハウゼンの畑での作業から1日が始まった。

ヴァルハウゼンには通常の形式の畑の他に、急斜面を横断する形でTerrasseと呼ぶ形式の畑がある。このTerrasseはその形から通常の作業では対応できない、もしくは対応しにくい作業がある。

その一つが、除草剤の散布だ。

 

通常の、ブドウの樹の葉に対して薬剤を撒く作業は何ら問題がない。しかし、除草剤のように樹の根に近い部分に薬剤を撒かなければならないような作業の場合、Terrasseに植えられたブドウの樹はトラクターの走行路面よりも谷側に植えられているためにトラクターに装着した噴霧装置では効率的に薬剤を散布することが出来ない。

そこで必要になるのが、手持ちの噴霧ノズルによる半手作業での散布だ。

Terrasseではブドウの樹はトラクターの走行位置よりかなり谷側に植えられている

 

手持ちのノズルといっても、薬液とそれを入れたタンクはトラクターに装着したものを利用するし、噴霧に必要となる圧力もトラクターの油圧ポンプを使う。

なので噴霧を行う場合は1人がトラクターを運転し、もう1人がその横を歩きながら手に持った噴霧ノズルを適切な高さと角度に維持すればいい。歩行距離は長くなるが、基本的に難しい仕事ではない。

 

ただ稀に樹の上部が枯れてしまって新しい枝を根に近い部分からとっていたり、枯れてしまった樹の代わりに新しい苗を植えていたり、もしくは成長が悪く新芽の多くが地面に近い位置から出ているような樹がある場合には、そこに除草剤をかけてしまわないように避けながら作業を行う必要がある。

Terrasseは場所によって水や栄養分の供給状況が悪く、樹の成長が良くないケースがある。このため何も考えずに噴霧しながら歩いていると枯らしてはいけない樹を何本も枯らしてしまうことになりかねない。作業者は注意が必要だ。

 

なおTerrasseについては「斜面の使い方」「斜面の畑、Terrasseでのお仕事」にも書いている。

斜面の使い方

ドイツのブドウ畑、というと、急斜面に沿って垂直方向に作られた畑をイメージする人が多いようですが、ドイツ語で”Terrasse (テラッセ)"と呼ぶ、斜面に対して水平方向に段々畑を作っていく方法も実際に ...

続きを見る

斜面の畑、Terrasseでのお仕事

昨日の記事でTerrasseに関する記事をあげましたが、今日はそのTerrasseで筆者が最近従事している仕事の内容について書きたいと思います。   とは言っても、Terrasseだから、と ...

続きを見る

 

急斜面で畑を耕す

午前中いっぱいを使ってすべてのTerrasseを回り除草剤の散布を完了した後は、自分自身もトラクターに乗り込んでビンゲンにある畑へ移動。

 

ビンゲンの畑ではGrubberという道具を使って畑を耕す。

Grubberとは耕耘機の意味だが、実際には動力はトラクター側にあるのでイメージ的にはトラクターの後ろにつける大きな爪だ。この爪を地面にめり込ませながらトラクターを走らせることで表層の土をひっくり返すことができる。

 

Grubberの大きな特徴は土をひっくり返すといっても実際には土をほぐしているだけで、表土と深層土を混ぜ合わせることがない点にある。

またGrubberは土をほぐすだけではなく、雑草の除去と鋤き込み、地面に出来たキャピラーと呼ぶ毛細管のような穴を壊す効果もある。

このキャピラーは土中の水分を蒸発させてしまう作用があるため、表土をほぐしてこの構造を壊してしまうことで土壌の保水効果を維持することが出来る。

 

急斜面ではトルクを使ってスピード制御

ビンゲンの畑はとにかく斜面がきつい。

この斜面、特に下り方向に向かって細い列にトラクターを進入させ作業を行うことにはまだまだ苦手意識が強い。

 

特に列に進入する前の場所も整備されているわけではなくひどく凹んでいたりしていて傾いたまま列に入っていく、しかも入り口が一番傾斜が強い、なんてことも珍しくないためどうにも腰が引ける部分があった。トラクターが自重で進んでしまうためコントロールしにくいのだ。

 

そんな苦手意識の中で作業をしていたわけだが、この作業で大事なことはとにかくトルクの大きな低速ギアに入れて下りへの進入時には早々にクラッチを繋いでしまうことだ。

普通乗用車ではそれでも自重で加速してしまうところだが、トラクターのトルクは桁外れに大きいためクラッチを繋いでしまったほうが速度が出なくなり制御がしやすくなる。クラッチを繋ぐときにも中途半端に半クラッチ、なんてことはせずにサクッとつないでしまう。

なにしろ半クラッチをしている間にも車体は自重で加速しながら進んでしまう

 

ちなみにブレーキをかけたいときはフットブレーキではなく、クラッチ操作と同時にハンドブレーキを引いてしまう。これでかなり安定して作業ができるようになった。

 

乾燥がもたらす地面の硬化

左: Grubberによる作業前 / 右: Grubberでの作業後
地面が固くなってしまっており、十分な効果が得られていない部分がある

 

最近のドイツは雨が少なく、かなり乾燥が進んできている。

このため地面も固くなってしまってきており、Grubberを通してもGrubberの爪が十分に土に入っていかず中途半端にしか土を掘り返すことが出来ない場所が多くなってしまっていた。

特に今日使ったGrubberは比較的軽いタイプのものだったこともあり、地面の固さに負けてしまった格好だった。

 

今日の気温は27度。地面の表面温度は30度にもなっていたため土壌の乾燥は進んでいる。

ブドウの芽が開き、成長が始まるこれからの時期は水の消費が増える時期でもある。近い内にまとまった量の雨が降ってほしいところだ。

 



  • この記事を書いた人
  • 最新記事

Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。フリーランスとしても活動中

あなたへのおすすめ記事

1

「ぺトロール香」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?   主にワインのテイスティング、特に年代物のRiesling (リースリング) のワインをテイスティングしている際などに耳にすること ...

2

春が近づいてくると、花見の季節にはキレイな桜色のロゼを、という謳い文句とともにロゼが売りに出されている光景を目にすることが増えるイメージです。本当は美味しいのに、なんとなく中途半端なイメージがつきまと ...

3

前回は主にドイツにおけるEcoとBioの違い、そしてEcoの認証をとるために求められる条件についての説明をしました。   関連 ビオとエコは違うのか?   今回は、ワイナリーが苦労 ...

-業務日誌
-, , ,

Copyright© Nagi's Wineworld , 2019 All Rights Reserved.