Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。ドイツのワイナリーで醸造責任者を歴任。栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーの醸造家兼栽培醸造コンサルタントとして活動中

栽培

2021/3/30

フィロキセラとの戦いは困難さを増すのか?

以前、ブドウの天敵としてフィロキセラという昆虫がいることを紹介しました。 フィロキセラ対策の一番の方法は台木を使うことなのですが、この一方で一部の薬剤もこの害虫に対して効果があるとして使用されていました。それがネオニコチノイドといわれる系統の薬剤です。 薬剤を使う意味 台木があるのだから薬剤など不要ではないか、そんな声も聞こえてきそうですが、その考え方は残念ながら楽観的に過ぎます。 確かに台木は今のところは有効な手段として利用されていますし、実際にこれによってフィロキセラの被害の拡大は抑えられています。し ...

仕事の流儀

2021/3/30

ワイヤー上げでの注意点

今日も今日とて芽掻きとワイヤー上げに従事しています。 昨日の記事、”なくなる余裕”を書いていた時点ではまだ芽掻き組とワイヤー上げ組は別れて作業を行っていたのですが、今日はいよいよ余裕がなくなってきたので全員でワイヤーを上げつつ、芽掻きをしながら進んでいく、という作業に変わりました。ぶどうの成長が速すぎて、来週にはもうワイヤーをもう1段階上げるようなのではないかと感じているくらいです。 [circlecard] ワイヤー作業で避けられないリスク さて、昨日の記事でも触れましたが、ぶどうの枝はとても脆く、本当 ...

仕事の流儀

2021/3/30

なくなる余裕

昨日の記事、”芽掻きの時期はまだ続く”で複数の作業が並行して行われていることを書きました。 この記事ではあくまでも準備として扱っていたのですが、一部の畑ではすでにぶどうが筆者の身長(約180cm)以上の長さまで成長している樹がちらほらと見え始めたことから、急遽、作業を行っていた畑を変えてワイヤー上げの作業を開始しました。しかもこの畑ではぶどうの品種が比較的成長の遅いものでもあったことから、芽掻き作業も後回しにしており、大慌てで芽掻きも行うという一日になりました。 [circlecard] 成長が約2週間速 ...

仕事の流儀

2021/3/30

芽掻きの時期はまだ続く

幹から出てくる新芽の除去をはじめてから今日で一週間になりますが、まだこの作業に終わりはきていてません。 合計で10 haを超える広さの畑を3人で手がけているから、ということがもちろん絶対的な理由としてあるのですが、それ以外にも畑のワイヤーを下げる作業などを並行して行っていることもまたこの作業に時間がかかっている理由の一つとなっています。 [circlecard] 雨のあとは作業量が増える ”雨降りがもたらすもの”という記事で書きましたが、ここに来て断続的ではありながらも降雨が続いています。 この、雨のあと ...

仕事の流儀

2021/3/30

雨降りがもたらすもの

今年のドイツでは降雨量が例年と比較してもかなり少ないのですが、昨日、今日と雷を伴った断続的な雨が続いています。日本で言うゲリラ豪雨ほどの勢いがあるわけではないのですが、それでも二日間の合計ではそれなりの降水量にはなっているようです。 [circlecard] 雨のもたらすもの ぶどうに限らず、植物の成長に雨は欠かせません。雨が降り、それが土壌に吸収されることで初めて植物は根から水分を吸収し、成長を行っていくことができるようになります。 これが樹齢を重ねた樹であれば、根の到達深度がそれなりになっているため水 ...

ランキング

2021/3/30

ドイツの赤ワイン

ここしばらく、急にドイツの赤ワインに関する記事を目にすることが増えたように思います。そして、その多くが近年におけるドイツの赤ワインの品質向上と、世界的な地位の向上を伝える内容となっています。 躍進中のドイツ赤ワイン 筆者自身も4月の末にMainzで開催されたVDP主催の試飲会で複数の赤ワインを試してみて、その変化には驚きました。特に、今までSpätburgunder (シュペートブルグンダー、Pinot Noir)の赤を造るには寒すぎる、とされていたMoselのワイナリーにも関わらず、とても品質の高い赤ワ ...

栽培

2021/3/30

除草剤をめぐって

今日は先日と同様に、幹の部分に出た芽の除去を継続して行ってきました。なにしろこの作業、ブドウ畑に植わったすべての樹を一本、一本相手にしていきますのでとにかく時間がかかります。ブドウの品種や樹齢によっても芽の出方はかなり違うとはいっても、結局、一本一本を実際に視認しながら作業を行っていくことには変わりなく、また、この作業と並行して副梢の除去なども行っているので、時間は飛ぶように過ぎていってしまいます。 ここ数日でそれなりの数をこなしてきているとはいっても、もともとのブドウの本数が多いので、まだしばらくはこの ...

仕事の流儀

2021/3/30

新芽の除去

すべての畑を歩きながらRAKのディスペンサーを吊るし終わると、今度は新芽の除去の作業がやってきます。 この作業は以前の記事で書いた、副梢の除去作業とは似て非なる作業です。副梢の除去は誘引した枝から出ている余計な芽や新梢を摘む作業でしたが、こちらはむしろ幹の到るところから顔を覗かせる新芽や、すでに伸び始めてしまっている新梢を摘む作業となります。 関連記事 ⇒ RAKディスペンサーについてはこちらから: 戦いが始まったぶどう畑 ⇒ 副梢の除去作業についてはこちら: 新梢の除去とその意味 [circlecard ...

仕事の流儀

2021/3/30

戦いが始まったぶどう畑

一日の日が長くなり、気温が上がってきたこの時期にぶどう畑での戦い、というと、筆者としては花粉との戦い以外の何ものでもないのですが、当然、今回の話題は違います。 気温が高くなり、日照時間が長くなってくると、ぶどうの発芽が続き、新梢が日に日に大きくなっていきますが、大きくなるのはぶどうだけではありません。様々な場所で越冬をした昆虫は活発に動き始め、育って欲しくない病気の原因となる菌類などもまたその活動を開始します。 新芽は比較的病気にもかかりやすいことから、新梢が伸び始め、葉が茂り始めたこの時期が、ぶどう畑に ...

ランキング

2021/3/30

Sauvignon Blancの躍進

先日の記事、存在感を増すSouvignon Blancで、以前はドイツで栽培される品種としてあまり聞かれることのなかったSouvignon Blancが最近その地位を上げてきている、ということを書きました。 実際にその後に訪れた、4月末にマインツで開かれたVDP主催の試飲会ではヴュルテンベルクをはじめとして複数の産地のワイナリーから、合計で29種類のSouvignon Blancで造ったワインが出展されていました。VDPに加入するワイナリーからこれだけの数の出展があったということに、Souvignon B ...