二酸化硫黄

二酸化硫黄、正しく理解していますか? 4

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これまで3回に渡り二酸化硫黄の持つ効能の解説と、ワイン内に存在する理由の解説をしてきました。今回はさらに別の側面から二酸化硫黄がワイン中に入ってくる可能性についてお話していきたいと思います。

プロセス中に存在する二酸化硫黄は添加か無添加か

一般的に添加、という言葉はある物質を直接的に別のものに加えることを指しています。では、間接的に入ってきてしまうことを添加と呼ぶでしょうか?

 

実際に上記の問いに対する答えは、答える側の考えとその際に加わってくる量によって異なるのではないかと思いますが、ここで何を言いたいのかというと、二酸化硫黄はワインに直接添加される以外にも使われており、そこで使用されたものの一部がワインの製造過程を通してワイン中に入ってくる可能性がある、ということです。

 

衛生管理に極めて重要な二酸化硫黄

すでにご説明したとおり、二酸化硫黄には細菌や微生物の活動を抑制する効果があります。言ってみれば、殺菌作用のようなものです。そして、この殺菌作用はワイン造りの工程のいろいろな部分で利用されています。

そのもっとも代表的なものが、樽の燻蒸です。

ワイン、特に赤ワインを樽に入れて熟成させることは極めて一般的なイメージとして皆さんの頭の中にあることだと思います。そしてこの樽がいつもいつも新樽だけではないこともよく知られているのではないでしょうか?

 

新樽だけを使わない理由はいろいろありますが、ここで重要なのは、ワインを抜いた後の樽の衛生状態をどうやって維持するのか、ということです。

すでにご存知のとおり、ワインの中には酵母を始めとしたさまざまな微生物などが存在しています。そしてこれらの微生物はワインを通して、そこに触れている樽、より厳密に言うのであれば樽に使われている木材にも移っていきます。木材は微細に観察すれば複数の層を持つ構造をしている上に構成成分としてセルロースを含みますので、木に移った微生物はそこで繁殖することが出来てしまうのが、ここでの大きな問題になります。つまり、使用後の樽は微生物たちにとって絶好の繁殖場所となりうるのです。

 

一般的に使用済みの樽は洗浄し、乾燥した状態で翌年まで置かれますし、使用前にはやはり洗浄し、ワイナリーによっては蒸気を使って殺菌もします。しかし、これだけでは十分ではないのです。そのため、多くの場合は使用後に洗浄し、乾燥させた後で二酸化硫黄を使って燻蒸することでその衛生状態を保つのです。

 

二酸化硫黄は間接的原因にも由来する

この燻蒸は通常はワインを抜いた直後に行うものなので、翌年に再度この樽を使用するまでにはそれなりに時間が空きます。また使用前にも洗浄しているのでその時点でも樽の内部に残っていた二酸化硫黄は洗い流されますが、だからといって絶対にワインに入ってこない、というものでもありません。それに加え、樽の燻蒸以外にもそれなりに多くの場面で二酸化硫黄を希釈したものを使って器材を消毒していたりします。加えて言えば、ブドウ畑における病気の予防と対策のためにも二酸化硫黄は利用されています。

これらのものやことを通して、ワインには”間接的”に二酸化硫黄が入ってくる余地があるのです。

 

樽やその他の器材の衛生管理に関してはなにか別のものを使えばいいのではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、別のものを使った場合には今度はその”別のもの”がワインに入ってきてしまう可能性が出てきます。そうなると、もともとワイン造りに使う可能性のある二酸化硫黄を使うよりもさらに問題が大きくなりますし、そもそもの話として、その”別のもの”が二酸化硫黄よりも大きな悪影響を及ぼすようであれば使う意味さえありません。

 

そういう意味では、もともとのワイン製造プロセスで使われている二酸化硫黄を使うことが、管理面で見てももっとも安全で、信頼性の高い手段ということになるのです。

 

 

以前の記事で、”二酸化硫黄をプロセス全体から排除したいのであれば、新樽のみを使い、古樽は使うべきではない”、とした理由は、このような樽の衛生管理手法に基づいてのお話しとなります。

 

二酸化硫黄を使わないワインの作り方についてはこちらも参考にしてください。

⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方

 

二酸化硫黄はワイン以外にも含まれている

ワインに含まれる二酸化硫黄の量は法律によって明確に定められています。( 法的添加量に関する関連記事: 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1) また、ビオ認証を受けたワインではこの法律によって決められた値よりもさらに少ない量であることが求められています。これらの事実から、全体で見ればワインに含まれる二酸化硫黄の量は決して、驚くほど多い、とは言えません。

むしろ日常生活で口にすることのある食材にもそれなりの量の二酸化硫黄が含まれていることを知っておくべきでしょう。これらの食品はワインよりも頻繁に口にすることがあるため、トータルでみればワイン以上の二酸化硫黄の供給源になっているとも言えるためです。以下にいくつか例を挙げておきます。

  • カリフラワー: 2.43 mg/kg
  • たまねぎ: 24.57 mg/kg
  • いわし: 0.18 mg/kg
  • いりごま: 0.29 mg/kg
  • 切り干し大根: 8.82 mg/kg
  • 干ししいたけ: 4.90 mg/kg

(日本食品分析センター公表の数値より引用)

また、上記以外にもドライフルーツやナッツ類には2000 ppmの二酸化硫黄の含有例があります。ワインに含まれる二酸化硫黄はその他の食品に含まれるものよりも遥かに注目され、非難されていますが、実際には我々の日常に溢れたものであることは、厳然とした事実として知っておいていただきたいと思います。

 

これまでの記事についてはこちらからご確認ください。

⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1

⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2

⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 3


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