- Nagis Wineworld >
- Nagi
Nagi
ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中
これまで3回に渡り二酸化硫黄の持つ効能の解説と、ワイン内に存在する理由の解説をしてきました。今回はさらに別の側面から二酸化硫黄がワイン中に入ってくる可能性についてお話していきたいと思います。 プロセス中に存在する二酸化硫黄は添加か無添加か 一般的に添加、という言葉はある物質を直接的に別のものに加えることを指しています。では、間接的に入ってきてしまうことを添加と呼ぶでしょうか? 実際に上記の問いに対する答えは、答える側の考えとその際に加わってくる量によって異なるのではないかと思いますが、ここで何を言いたいの ...
これまで二度に渡り、二酸化硫黄の持つ細菌や微生物の活動の抑制効用と抗酸化作用を説明してきました。しかし、二酸化硫黄の持つ効用はまだこれだけではありません。3回目となる今回も引き続き、二酸化硫黄の持つ効用についてのお話しを続けたいと思います。 二酸化硫黄の効用に関する以前の記事はこちらからご覧いただけます。 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2 二酸化硫黄は酵素の活動も抑制する ワイン用ブドウに由来する酵素として、2種類の酸化酵素があることが分かっていま ...
前回は二酸化硫黄のもつ効能の一つとして、微生物や細菌に対する作用をご紹介しました。第2回目となる今回は、日本でももっとも代表的な使用例として認識されているであろう、抗酸化作用についてお話しをしたいと思います。 前回の記事はこちらから御覧ください。 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1 二酸化硫黄の持つ抗酸化作用 日本で販売されているワインのほとんどでは、そのラベル内に「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という記述を見つけることが出来るのではないでしょうか?この「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という言葉が指している ...
このBlogでも度々話題にしている二酸化硫黄、やはり注目度の高い話題のようで、多くの方に御覧頂いているようです。ただその一方で、この物質を正しく解説したものが少ないからなのか、この二酸化硫黄というものを正しく理解しないまま、健康を害するもの、よくないものと一元的に捉えてしまっている方も多いように思います。今回は数回にわたってこの嫌われ者の持つ、正しい姿を解説していきたいと思います。 以前に投稿された二酸化硫黄に関わる記事はこちら ⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方 ⇒ ナチュラルワインは甘くないんじゃなか ...
前回はエチケットに書かれた見慣れないものの一つして、クラシックとセレクションのお話しをしました。これらはドイツのワイン法によって定められている名称でしたが、今日はそれ以外の動きの中で使用方法が決められているもののお話しをしたいと思います。 前回の記事はこちらから御覧ください ⇒ エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の壱 ラインガウ独自の肩書、エアステス・ゲウェックスとカルタ エアステス・ゲウェックスとカルタはいずれもドイツにおけるブドウ・ワインの産地であるラインガウ地方でのみ使用される肩書です。こ ...
すでに以前、ロゼやそれに類するワインについて似たような記事も書きましたが、ドイツワインのエチケット上にはまだまだ、正体不明の表記を見かけることがあります。 Classic (クラシック)、Selection (セレクチオーンもしくはセレクション)、Feinherb (ファインヘルプ)、Mild (ミルドもしくはマイルド)、Erstes Gewächs (エアステス・ゲヴェックス)などがこれに当たります。場合によってはこれにCharta (カルタ)、Großes Gewächs (グローセス・ゲヴェックス) ...
今更、と言われるかもしれませんが、ワイン用酵母を使用した日本酒というものがあることを知りました。 以前の記事で書いたとおり、日本酒用途に使用されている酵母とワイン用途に使用されている酵母は同じSaccharomyces系統のものです。このため、それぞれの酵母をそれぞれの用途に向けて使用することはさほど難しいことではありません。 酵母に関する記事はこちらもご覧ください。 ⇒ 酵母ってなんですか? ワイン用酵母を使うとフルーティな仕上がりが期待できる 特にワイン用の酵母はおそらく日本酒用酵母よりもフルーティー ...
発酵に欠かせないもの、それが酵母です。 酵母とは微生物の一種で、およそ発酵とよばれる工程がともなう場面では非常によく利用されているものになります。ワインや日本酒における発酵はもちろん、パン生地の発酵などにも利用されます。あまり認知度は高くないようですが、チョコレートに必須のカカオ製造にも酵母は無くてはならないものです。一方で発酵は発酵でも、味噌、醤油、ヨーグルト、塩辛、漬物などに利用されている、いわゆる乳酸菌発酵は酵母ではなく、その名前の通り乳酸菌を利用したものとなります (味噌や醤油の発酵には酵母も利用 ...
前回、ロゼであってロゼでない、ドイツのこだわりの名称としてRotling (ロートリン) をご紹介しました。今回はロゼであるのにロゼでないように扱われるヴァイスヘルプストとブラン・ド・ノワールをご紹介したいと思います。 ロートリングに関する記事はこちら ヴァイスヘルプストとブラン・ド・ノワール 次にご紹介するのがWeißherbst (ヴァイスヘルプスト) とBlanc de Noir (ブラン・ド・ノワール) です。これらはRotlingとは違い、今度はロゼのヴァリエーションの名前となります。 ヴァイス ...
醸造的な意味から厳密なお話しをすると、ロゼはロゼであっていろいろは基本的にないのですが、それでも2つ、3つはヴァリエーションが存在していますし、さらには醸造的な条件を知らなければロゼとなんの違いもない、むしろ、飲む側のイメージとして持っているロゼに合致しているように感じるものなんてものもあります。この辺り、ドイツの厳密さというか、細かさを感じなくも無いところです。飲む側からすれば、美味しいと感じるかどうかが全てなので、この細かさに意味があるのかはちょっと疑問、という印象も無きにしもあらず、なんですが。 今 ...