Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。ドイツのワイナリーで醸造責任者を歴任。栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーの醸造家兼栽培醸造コンサルタントとして活動中

栽培

2021/3/30

クローン、、、何かに似ていませんか?

ワイン用のブドウの話をしていると、それなりの頻度で耳にするのが”クローン”という言葉。個人的には理解するのに少々手間取ったものだったのですが、皆さんはどうでしょうか? クローンといえば羊のドリー すでに古すぎる話題の振り方、と言われてしまうかもしれませんが、筆者にとってクローンというと未だに羊のドリーという単語が真っ先に頭に浮かびます。人によってはすでにそもそも知らない単語と化しているかもしれませんし、風化してしまって記憶に残っていないかもしれませんが、1997年(すでに20年以上前!)に発表された、世界 ...

仕事の流儀

2021/3/30

ブドウ畑にワイヤーを張る作業

昨日、畑の柱に通すワイヤーを支える支柱をアンカーとつなげる作業が終わったので、今日はいよいよワイヤー張りです。ところで、ブドウ畑の一列の間には何本のワイヤーが張られているかご存知でしょうか? 5本? 7本?? 惜しい、正解は6本です。 と言っても、これもまた好みに依る部分もあるため絶対というわけではないのですが、一般的には7本です。内訳としては、主にブドウの主枝を固定するのに使うのが2本、ブドウの成長に合わせて枝をまとめるために使うのが2本x2セットで4本、合計6本です。今日はこの枝を固定するための2本の ...

仕事の流儀

2021/3/30

ブドウ畑を支える縁の下の力持ち。~アンカー打ち

先日の仕事 (関連記事: ブドウ畑に柱を立てる)の続きとなる今回は、まさに畑を支える重要な部分であるアンカーの打ち込みと、そこにつながるワイヤーを集約する支柱の打ち込みでした。アンカー自体の打ち込みは特に問題なく進むのですが、とにかく時間がかかるのがそこにつながる支柱の打ち込みです。今日の作業だけによらず、柱の打ち込み作業全体に言えることなのですが、ここはとにかく作業者の性格が出るところなのです。 [circlecard]   角度と高さにこだわり抜いた末の美しさ 人によってはある程度の水平と、前後の並び ...

仕事の流儀

2021/3/30

ブドウ畑に柱を立てる

ドイツではここに来て急に気温が上がり、春を通り越して一気に初夏、というような様相になっています。 ブドウの木々は芽吹きを早める一方で、今まで固く凍っていた地面も溶け始めました。ついにブドウ畑の仕事が始まります。 今、一部の畑では一気にブドウ畑への苗植えと、そこからの畑の構築作業が始まっています。 この”今日の仕事”というテーマでは日々、其の日に行った畑での作業の様子を伝えていきたいと思います。 [circlecard]   苗植えは半自動化で大幅な速度アップ 最近はブドウの苗を植える作業はそうい ...

二酸化硫黄

2021/3/30

二酸化硫黄、正しく理解していますか? 4

これまで3回に渡り二酸化硫黄の持つ効能の解説と、ワイン内に存在する理由の解説をしてきました。今回はさらに別の側面から二酸化硫黄がワイン中に入ってくる可能性についてお話していきたいと思います。 プロセス中に存在する二酸化硫黄は添加か無添加か 一般的に添加、という言葉はある物質を直接的に別のものに加えることを指しています。では、間接的に入ってきてしまうことを添加と呼ぶでしょうか? 実際に上記の問いに対する答えは、答える側の考えとその際に加わってくる量によって異なるのではないかと思いますが、ここで何を言いたいの ...

二酸化硫黄

2021/3/30

二酸化硫黄、正しく理解していますか? 3

これまで二度に渡り、二酸化硫黄の持つ細菌や微生物の活動の抑制効用と抗酸化作用を説明してきました。しかし、二酸化硫黄の持つ効用はまだこれだけではありません。3回目となる今回も引き続き、二酸化硫黄の持つ効用についてのお話しを続けたいと思います。 二酸化硫黄の効用に関する以前の記事はこちらからご覧いただけます。 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2 二酸化硫黄は酵素の活動も抑制する ワイン用ブドウに由来する酵素として、2種類の酸化酵素があることが分かっていま ...

二酸化硫黄

2021/3/30

二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2

前回は二酸化硫黄のもつ効能の一つとして、微生物や細菌に対する作用をご紹介しました。第2回目となる今回は、日本でももっとも代表的な使用例として認識されているであろう、抗酸化作用についてお話しをしたいと思います。 前回の記事はこちらから御覧ください。 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1 二酸化硫黄の持つ抗酸化作用 日本で販売されているワインのほとんどでは、そのラベル内に「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という記述を見つけることが出来るのではないでしょうか?この「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という言葉が指している ...

二酸化硫黄 醸造

2021/3/30

二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1

このBlogでも度々話題にしている二酸化硫黄、やはり注目度の高い話題のようで、多くの方に御覧頂いているようです。ただその一方で、この物質を正しく解説したものが少ないからなのか、この二酸化硫黄というものを正しく理解しないまま、健康を害するもの、よくないものと一元的に捉えてしまっている方も多いように思います。今回は数回にわたってこの嫌われ者の持つ、正しい姿を解説していきたいと思います。 以前に投稿された二酸化硫黄に関わる記事はこちら ⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方 ⇒ ナチュラルワインは甘くないんじゃなか ...

ワイン

2021/3/30

エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の弐

前回はエチケットに書かれた見慣れないものの一つして、クラシックとセレクションのお話しをしました。これらはドイツのワイン法によって定められている名称でしたが、今日はそれ以外の動きの中で使用方法が決められているもののお話しをしたいと思います。 前回の記事はこちらから御覧ください ⇒ エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の壱 ラインガウ独自の肩書、エアステス・ゲウェックスとカルタ エアステス・ゲウェックスとカルタはいずれもドイツにおけるブドウ・ワインの産地であるラインガウ地方でのみ使用される肩書です。こ ...

ワイン

2021/3/30

エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の壱

すでに以前、ロゼやそれに類するワインについて似たような記事も書きましたが、ドイツワインのエチケット上にはまだまだ、正体不明の表記を見かけることがあります。 Classic (クラシック)、Selection (セレクチオーンもしくはセレクション)、Feinherb (ファインヘルプ)、Mild (ミルドもしくはマイルド)、Erstes Gewächs (エアステス・ゲヴェックス)などがこれに当たります。場合によってはこれにCharta (カルタ)、Großes Gewächs (グローセス・ゲヴェックス) ...