今日も今日とて芽掻きとワイヤー上げに従事しています。
昨日の記事、”なくなる余裕”を書いていた時点ではまだ芽掻き組とワイヤー上げ組は別れて作業を行っていたのですが、今日はいよいよ余裕がなくなってきたので全員でワイヤーを上げつつ、芽掻きをしながら進んでいく、という作業に変わりました。ぶどうの成長が速すぎて、来週にはもうワイヤーをもう1段階上げるようなのではないかと感じているくらいです。
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ワイヤー作業で避けられないリスク
さて、昨日の記事でも触れましたが、ぶどうの枝はとても脆く、本当に簡単に折れてしまいます。
このため、ワイヤーの上げ下ろし作業中には注意しながら行わないと、折ってはいけない枝があっさりと折れてしまった、なんてことが本当に日常茶飯事で起こってしまいかねません。
メインの枝はその代役である副梢よりも太く、実の付きもいいため、このメインの枝を折ってしまうとその年の収穫に大きく響くことなります。そうなったなら、一大事です。
このため、ワイヤーをいじる作業には注意が必要なのですが、それでもどうにもならずに折れてしまう枝というものは残念ながら存在します。このような枝はどうして折れてしまうのでしょうか?
枝を折らないために
枝が折れてしまう原因は様々です。
作業者の不注意や不慣れによって完全に人為的に折ってしまう、という場合が少なくはない一方で、枝の付け根から副梢が出てしまっていたためにもともとが脆かった、という場合や、風などのストレスを受けてすでに折れかけていた、なんて場合もあり得ます。元が悪かった枝に関してはどんなに作業中に注意して折らずに済ませても、その後に風などの影響であっけなく折れてしまうので、場合によっては先に見切って折ってしまう、ということも必要な対応となります。
ただ、こういったストレスによって枝の付け根がもともと脆くなってしまっていたというケースにおいても、人為的な原因が上げられる場合があります。
それが、誘引による樹形の決定です。
樹形は枝がない時に決まる
誘引とは、秋の収穫を終えた後にぶどうの枝を剪定し、その剪定して残した枝を固定用ワイヤーに沿って曲げて留める作業のことをいいます。
この誘引を行う際に枝にある芽の位置を何も考えずに曲げてしまったり、もともと無理な角度で固定していたりすると、伸びた枝が互いに混み合ってしまったり、その後に伸びてきた枝をさらに無理な角度で曲げないといけないような事態になったりします。そしてこのようなことが起きると、大概、その後の作業中に枝が折れやすくなります。
剪定や誘引を単に枝を切るだけ、曲げるだけ、などと考えてしまうと、ほぼ確実にその後の作業で泣きを見ることになるので、注意が必要です。
実際、夏に畑に出て作業をしていたりすると、この人はどんなことを考えてこの枝をこんな風に誘引したのだろう?ととても疑問に感じることがしばしばあったりします。
ワイヤー作業を通して樹形を整えることは、秋の収穫までぶどうを健全なまま保つためにはとても重要な作業です。ここで中途半端なことをやってしまうと、病気の感染リスクが飛躍的に高まったりもします。ただ、このワイヤー作業を整然と行うための土台は剪定や誘引の時にすでにある程度は決まってくることでもあるのです。
夏に向けての作業で重要な枝を折ってしまって泣きをみることのないように、ぶどう栽培者は年のはじめ、まだ芽が硬い時からその後の作業のことを想像しつつ、その時の仕事を丁寧に行っていくことが重要となるのです。