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Nagi
ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。ドイツのワイナリーで醸造責任者を歴任。栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーの醸造家兼栽培醸造コンサルタントとして活動中
今更、と言われるかもしれませんが、ワイン用酵母を使用した日本酒というものがあることを知りました。 以前の記事で書いたとおり、日本酒用途に使用されている酵母とワイン用途に使用されている酵母は同じSaccharomyces系統のものです。このため、それぞれの酵母をそれぞれの用途に向けて使用することはさほど難しいことではありません。 酵母に関する記事はこちらもご覧ください。 ⇒ 酵母ってなんですか? ワイン用酵母を使うとフルーティな仕上がりが期待できる 特にワイン用の酵母はおそらく日本酒用酵母よりもフルーティー ...
発酵に欠かせないもの、それが酵母です。 酵母とは微生物の一種で、およそ発酵とよばれる工程がともなう場面では非常によく利用されているものになります。ワインや日本酒における発酵はもちろん、パン生地の発酵などにも利用されます。あまり認知度は高くないようですが、チョコレートに必須のカカオ製造にも酵母は無くてはならないものです。一方で発酵は発酵でも、味噌、醤油、ヨーグルト、塩辛、漬物などに利用されている、いわゆる乳酸菌発酵は酵母ではなく、その名前の通り乳酸菌を利用したものとなります (味噌や醤油の発酵には酵母も利用 ...
前回、ロゼであってロゼでない、ドイツのこだわりの名称としてRotling (ロートリン) をご紹介しました。今回はロゼであるのにロゼでないように扱われるヴァイスヘルプストとブラン・ド・ノワールをご紹介したいと思います。 ロートリングに関する記事はこちら ヴァイスヘルプストとブラン・ド・ノワール 次にご紹介するのがWeißherbst (ヴァイスヘルプスト) とBlanc de Noir (ブラン・ド・ノワール) です。これらはRotlingとは違い、今度はロゼのヴァリエーションの名前となります。 ヴァイス ...
醸造的な意味から厳密なお話しをすると、ロゼはロゼであっていろいろは基本的にないのですが、それでも2つ、3つはヴァリエーションが存在していますし、さらには醸造的な条件を知らなければロゼとなんの違いもない、むしろ、飲む側のイメージとして持っているロゼに合致しているように感じるものなんてものもあります。この辺り、ドイツの厳密さというか、細かさを感じなくも無いところです。飲む側からすれば、美味しいと感じるかどうかが全てなので、この細かさに意味があるのかはちょっと疑問、という印象も無きにしもあらず、なんですが。 今 ...
ワインに関する記事の中で“香りの種類”と聞いたら、大概の人が想像するのはまずワインから漂う香りの種類のことだと思います。このワインからは青いりんごの香りがする、とか、干し草のような香り、とかいうあれです。しかし、今回のテーマである“香りの種類”というのはこのことではありません。その香りがワインの中に生成されたタイミングで区分された、“香りの種類”です。 香りの分類とその由来 今回テーマにしている意味での香りの種類は、多くの場合以下の3つに分類されることが多いようです。 第1アロマ: ワインの原料となるブド ...
今日は前回のこちらの記事の続きで、甘いナチュラルワインが存在しうる具体的な理由についてのお話をしたいと思います。前回の記事をまだご覧になっていない方はぜひそちらからご確認ください。 ナチュラルワインの定義に関する記事はこちら ⇒ ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の壱 甘いナチュラルワインは存在し得る 前回、ナチュラルワインに二酸化硫黄を使うことは禁止されていない、というお話をしました。Decanterが定義したナチュラルワインの定義には、さらに、ナチュラルワインが必ずしも辛口でなけれ ...
先日書いた二酸化硫黄を添加しないワインの作り方の記事について、大変ありがたいことにご質問をいただきましたので、今回はそのご質問にお答えする形でもう少し具体的に二酸化硫黄無添加ワインの作り方についてみていきたいと思います。 このテーマについては内容が長くなりますので、2度に分けて記事にします。第1回目の今回は、ナチュラルワインとはどんなものであるのかについてみていきます。 二酸化硫黄無添加ワインの作り方に関する記事はこちら ⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方 ナチュラルワインってなんだろう? 今回いただいた ...
ブドウ畑を見ると、極めて整然とブドウの樹が植えられ、ある一定の間隔でそれらが管理されていることはすぐに分かります。しかし、では実際にブドウ畑を管理する上で必要となる数字、と言われて、いったいどのくらい思いつくでしょうか? ブドウ畑を支配する数字の区分 畑を作る際に考えなければいけない数字は、大まかに2つの視点に区分できると考えています。 1つ目は、ブドウを作るための視点からくる数字。年間平均気温や年間降雨量とそれらの推移、日照時間、土壌に関する各種の数値などがここに当たります。 これに対して2つ目は、作業 ...
日本を代表する発酵食品である、味噌。味噌の製造過程においては、原料である大豆の体積に占める皮の比率が少ないことが好まれるそうですが、ワイン造りにおいてはこの真逆で一粒の体積あたりに占める果皮の比率が高い、小粒のものほど好まれます。これは、醸造面から言えば、フェノール化合物やアロマ成分の多くがブドウの果実の中でも特に果皮に多く含まれているためです。 ブドウの果皮に含まれる含有成分のいろいろ ブドウに含まれる各種成分はブドウの果肉もしくは果汁、果皮、種の3箇所に大別して分布しており、その分布の程度はブドウの品 ...
二酸化硫黄、もしくは亜硫酸、という単語は、最近の日本のワイン業界では蛇蝎のごとく忌み嫌われる不健康ワードの代表のようになってしまっている印象を受けます。その一方で、これらの酸化防止剤を添加しない、二酸化硫黄無添加ワインの人気が高まってきており、自然派ワインとかナチュラルワインとかといった名前とともに消費者の関心をかっていることは、おそらくこの業界内にいる人であればすぐに思い当たることなのではないでしょうか。 この酸化防止剤無添加、というキャッチフレーズについては、そもそも二酸化硫黄を添加する目的は決して酸 ...