Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

ワイン

2021/3/29

補糖したワインは太るのか? 補糖とカロリーの関係

先立って「ワイン醸造の暗部?補糖は悪なのか | シャプタリザシオンをめぐって」というワインの補糖に関する記事を公開したところ、 補糖の有無よりも補糖することによるワイン内の糖分の量が気になる、ぶっちゃけ、補糖したワインは太る気がする という旨のコメントを複数名の方からいただきました。 先日の記事でワインに補糖していることを告げるともれなくお客様からトーンダウンされることを嘆いてみせたのですが、補糖が原因で太るということならそれも納得です。 間接的とはいえ、このワイン太るよ、と言われて喜べる人はいないですよ ...

醸造

2021/3/29

ワイン醸造の暗部?補糖は悪なのか | シャプタリザシオンをめぐって

日本酒における醸造用アルコールの添加、ワインにおける補糖。 これらは随分と敵視されていることが多いように感じます。行ってみれば醸造酒の暗部、アンタッチャブルな領域、という印象でしょうか。 おそらく日本酒にしてもワインにしても、本来は栽培や醸造の結果として得るはずの糖度やアルコールを外部から補填することに対して、その目的および理由の如何を問わず、なんらかの悪印象を受けている結果からきているのだろうと思います。 もしくは一部の国地域において高品質ワインを謳うカテゴリーで補糖が禁止されている点をもって、補糖する ...

栽培

2022/3/29

ワインにおけるメトキシピラジン量と環境要因

はじめまして。 読者の中にはもしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。Nagi's Wine Worldのライターとして招待して頂いた奥村嘉之と申します。 私の初投稿となる今回の記事はメトキシピラジンという化合物について。 この化合物に関してはかつて自身のnoteでも取り挙げているのですが、ここでは当時より1回り以上踏み込んだ話ができればと思っています。 そもそもメトキシピラジン(Methoxypyrazines)という化合物をご存知でしょうか。 そういった基本の部分から、その化合物がどのように ...

ワイン

2021/3/29

[速報] ブドウの収穫が開始 | 2019年ハーヴェストの幕開け

Foto : DWI 昨日、8月13日にドイツで今年最初となるブドウの収穫が行われたとのニュースがDWI (Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) より発表されました。 今回はそちらの記事を簡単にご紹介します。 Erste Trauben für Federweißen gelesen ”Erste Trauben für Federweißen gelesen (フェーダーヴァイサー用の最初のブドウが収穫された)” と題されたこちらので記事では、8月13日に ...

ランキング

2021/3/29

US市場を見通す一つの手段 | TERRY THEISE’S GERMANY VINTAGE REPORT

ワインのマーケットは世界中に存在しています。 その数ある市場の中でも特に存在感が大きいのが英国で、世界中のワインメーカーがこの市場における自身のワインの評価に注目しています。 この一方で、特にドイツワインにとって無視できない市場がアメリカ市場です。ドイツワインの輸出に関する統計を見ると、米国市場は2位以下に金額ベースで倍以上の差をつけての断トツのトップです。 現にアメリカ向けの出荷が多い小規模のワイナリーではその生産のほとんどをこの市場向けが占めており、造ると同時に売り切ってしまう、などという例も決して少 ...

栽培

2021/3/29

ブドウの収量制限とはなんなのか | 考え方、方法、そして注意点

ブドウに限らず果樹や野菜の栽培をしていると、ほぼ必ず出くわす言葉があります。 収量制限 この言葉に聞き覚えはないでしょうか?ブドウの場合においては特にグリーンハーベスト(green harvest)、などと言われたりもします。今回はこの収量制限というものについて解説をしていきます。 収量制限という取り組みは品質の向上を含めた多岐にわたる要素と非常に密接に関連しています。このため、意味をとり間違えてしまっている例も意外に多く見受けられます。 この記事では収量制限というものを少し厳密に規定し、その他の要素と区 ...

不快臭 徹底解説

2021/9/4

徹底解説 | ぺトロール香

「ぺトロール香」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 主にワインのテイスティング、特に年代物のRiesling (リースリング) のワインをテイスティングしている際などに耳にすることの多い単語なのではないかと思います。 人によってはテイスティングの試験などでこの香りをかいだ瞬間に、そのワインに使われたブドウ品種をRieslingだと確定した経験をお持ちの方もいるかもしれません。 ワインに関係する特殊な香りの中では比較的有名なペトロール香ですが、これが具体的にどういうもので、何が原因で発生するものなのか ...

ブドウの病気 栽培

2021/8/21

気温の上昇で被害が続出 | ブドウの日焼けとはなんなのか

夏の時期を迎え、畑ではブドウの樹が成長を続けています。 これをうけて今畑では伸びた副梢の除去や除葉、そして成長点の切り落としなどの作業が同時並行的に進められています。 そんななか、去る6月26日および6月30日の2日にわたってドイツでは最高気温が40℃に迫る、もしくはところによってこれを超える事態となりました。 もともと冷涼な土地といわれているドイツにおいて6月末のこの時期にこれほど気温が高くなるのは極めて異例なことです。加えてこれ以前から雨が少なく非常に乾燥した状況であったことも災いし、ブドウ畑では若い ...

ブドウの病気 栽培

2021/8/21

栽培技術 | ブドウ栽培における病気への対策 - 防除の方法

本格的な夏が近づき、日々気温が高くなるこの時期、ブドウはぐんぐんと成長していきます。 ブドウの成長が進むと畑では芽掻きやワイヤー上げ、副梢の除去などに加えて下草の刈り込みや土の鋤起こしなどやることが膨大になりますが、その中でもとても重要なのが病気への対策です。 病気への対策方法はいくつかありますが、今回はそのなかでも中心的な位置にある薬剤の散布について取り上げます。 病気の防除として薬剤を散布することをスプレーと呼びます。この記事でも以下、スプレーという単語を使って話を進めていきます。 なおスプレーの内容 ...

ブドウの品種と病気 白ワイン用ブドウ品種

2019/10/18

MÜLLER-THURGAU | RIVANER - ミュラー・トゥルガウ

概要 1882年にスイスのThurgau (トゥールガウ) 州出身の植物学者Hermann Müller (ヘルマン ミュラー) によってドイツ ラインガウのガイゼンハイム研究所にて交配された品種。Rivaner (リヴァーナー) とも呼ばれる。 長い期間に渡ってSilvanerとRieslingの交配品種と信じられてきたが、近年のDNA調査によって実はRieslingとMadeleine Royaleに交配種であることが明らかになった。 ミュラー・トゥルガウは世界的に最も普及した人工交配品種としても知ら ...