Nagi

ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。本業はドイツ国内のワイナリーに所属する栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーランスとしても活動中

ブドウの品種と病気 白ワイン用ブドウ品種

2019/10/18

MÜLLER-THURGAU | RIVANER - ミュラー・トゥルガウ

概要 1882年にスイスのThurgau (トゥールガウ) 州出身の植物学者Hermann Müller (ヘルマン ミュラー) によってドイツ ラインガウのガイゼンハイム研究所にて交配された品種。Rivaner (リヴァーナー) とも呼ばれる。 長い期間に渡ってSilvanerとRieslingの交配品種と信じられてきたが、近年のDNA調査によって実はRieslingとMadeleine Royaleに交配種であることが明らかになった。 ミュラー・トゥルガウは世界的に最も普及した人工交配品種としても知ら ...

ブドウの品種と病気 白ワイン用ブドウ品種

2019/10/20

KERNER - ケルナー

概要 1929年にドイツのWürttemberg (ヴュルテンベルク) でTrollinger (トロリンガー) とRiesling (リースリング) の交配品種として作られた。大本はWießer Herold (ヴァイサー ヘロルド) と名付けられたが、その後に詩人Justinus Kerner (ユスティヌス ケルナー) の名前にちなんでKernerと改名された。   ドイツでは1970年代に非常に人気を誇った品種であり、Pfalz (プファルツ) からドイツ全土に耕作地が広がった。1992 ...

ワイン ワインあるある

2021/6/11

ワイングラスが変わるとワインの味は変わるのか? | ワインあるある

最近、某有名MW (Master of Wine) がプロデュースしたワイングラスが日本でも発表され話題となっています。 このMWが自身では赤でも白でもワインを飲むときには長年に渡って同じグラスを使っていること、時に白ワインのほうが平凡な赤ワインよりも豊かな芳香を含むにも関わらず白ワインを飲むときには赤ワインよりも小さなグラスを使う、という「一般常識」に疑問を持っていたことなどがこのグラスをプロデュースするきっかけになったそうです。 グラスの大小はともかく、実際にワインの現場では使うグラスを変えると同じワ ...

醸造

2021/3/30

醸造技術 | 低温マセレーションとはなんなのか

ワインの醸造技術の1つである、マセレーション。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 一部では一般用語のようにも使われているこのマセレーション (Maceration) ですが、意外に正確な情報は少ないようです。 今回はこのマセレーションのバリエーションの1つである「低温マセレーション (コールドソーク/Cold Soak)」を軸にこの醸造技術について解説をしていきます。 マセレーションとはなんなのか? 一言で言ってしまえば、マセレーションとは果皮浸漬のことです。 [circlecard] 果皮浸 ...

徹底解説

2021/4/23

徹底解説 | オレンジワインの造りかた

前回、「オレンジワインは自然派ワイン? | ワインあるある」と題した記事でオレンジワインの定義や成り立ち、どうしてオレンジワインが自然派ワインと同一視されやすい環境が出来上がってしまったのかといった点について解説を行いました。 今回はより醸造的な側面からこのオレンジワインというものを解説していきたいと思います。 この記事を読んでいただくことで、醸造における基本的な注意点や特徴である色味の根拠とその抽出方法、適正なブドウ品種などについて知っていただくことが出来ます。 [circlecard] オレンジワイン ...

ワイン ワインあるある

2021/3/30

オレンジワインは自然派ワイン? | ワインあるある

オレンジワイン、という名前を聞いたことがある人は今やもう多いのではないでしょうか? このオレンジワインという単語が聞かれはじめてそれなりの時間が経ちました。そういった流れの中で同じようによく聞くのが、オレンジワインは自然派ワイン、というものです。 実際にこの記事を読んでくださっている方の中にもオレンジワインは自然派ワインの一種だと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? これは実は大いなる誤解です。 オレンジワインは厳密に言えば自然派ワインではありません。 ただここがややこしいところで、ものによっ ...

栽培

2021/3/30

山と川は必要か?ブドウ畑の立地条件

先日、当サイトの記事を読んでくださっている方から「ブドウ畑やワイン生産者における山や川の重要性」についてご質問をいただきました。せっかくですので今回はこのテーマについて筆者の個人的な見解に基づくものになってしまいますが、解説したいと思います。 この記事では といった疑問にインデックスという概念からお答えします。 山や川の役割とはなんなのか、ということをこの記事で理解していただき、ソムリエ試験のための勉強の補助としていただければ幸いです。 [circlecard] 前提条件!山や川は動かせない まず最初にご ...

業務日誌

2021/3/30

雨の日は

[circlecard] 久しぶりの雨 今日は朝から雨模様。 今年のドイツはとにかく降雨が少なく、地面は乾燥しきっている。ブドウ畑としてもこの時期は雨が欲しかったので、ある程度まとまった量の降雨が予想されているこの天気はありがたいことだった。 とはいっても雨が降ると中断されるのが畑作業。 人の手で行う作業であれば多少の雨なら続行するのだが、トラクターでの作業では少し話が変わる。特に斜面での作業はトラクターのタイヤが滑ってしまうため行うことが出来ない。 そのような事情もあって、今日はトラクター作業は一時中断 ...

業務日誌

2021/3/30

草刈りが快感になる日

[circlecard] 作業の前の大仕事 今日はBingenの畑の草刈りということで、朝一番でトラクターの設定をFräseからMulcherに変えてBingenの畑に向かう。 先日Mulcherを使っていたトラクターは同僚がそのまま使うので、こちらはFendtに別のMulcherを取り付ける事になったのだが、これが想定しなかったほどの大仕事になった。というのも、Fräseとトラクターの動力をつないでいるシャフトがまず外れない。ハンマーとスパナまで使ってなんとか外してみると、今度は同じ部分にMulcher ...

業務日誌

2021/3/30

ホコリまみれ

[circlecard] 週末に引き続きFräseで作業を 先週末はBingenという場所にある畑でFräseを使った作業をしたのに引き続き、今日はワイナリーの本拠地があるWallhausenという町で同じ作業を行う。 昨晩多少とはいえ雨が降ったので少しはマシかと思ったのだが、相も変わらずものすごいホコリが立つ。 どうやら今年のドイツは乾燥しすぎていて、ちょっとやそっとの雨では地面を湿らせるには足りないらしい。この作業、むしろ雨の中やった方がいいのではないだろうか。。。 もっともそんなことをしたら細かくな ...