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Nagi
ドイツでブドウ栽培学と醸造学の学位を取得。ドイツのワイナリーで醸造責任者を歴任。栽培家&醸造家(エノログ)。 フリーの醸造家兼栽培醸造コンサルタントとして活動中
ぶどうの収穫から始まるワインの醸造は、知らないとその意外さに驚くほど科学的(化学的)に進めていきます。その代表的なものが、各種項目の測定です。 もちろん醸造家によっては、昔ながらの経験に基づく勘であったり、その意味をわかった上での哲学的もしくは信条的な判断に基づいて細かい測定を行わずにワインを醸造していく場合もありますが、全体から見ればそれはごく少数の、稀なケースに分類されます。 何よりもまず知らなければならないもの まず、もっとも知らなければならない数値、それがぶどうの果汁糖度です。 果汁糖度はぶどうの ...
ようやく終わりが見え始めた2018年の収穫。慌ただしい、なんて言葉が生ぬるいほどバタバタだった日常も徐々に、落ち着きを取り戻し始めています。 多い日には5回ほど回していたプレスも2,3回ほどになり、それにともなうフィルターがけなども併せてその回数を減らしています。 多少の落ち着きが出てきたので、ブログの記事執筆を再開しつつ、この収穫中の仕事を振り返ってみたいと思います。 [circlecard] 収穫期のお仕事 ケラー要員として動いていた筆者の収穫期における主なミッションは、畑に出ることではなく、まさにケ ...
まだ本格的な収穫はごく一部でその大半がSekt用のベースワイン向け収穫などが中心となっているものの、勤めているワイナリーでも日々、収穫が行われています。 今までは立場的にも収穫の現場にいることが多かったのに対して、現在は主にケラーでの仕事を担当しているため畑には行かないことが増えました。では何をしているのかと言えば、朝からその日の行うプレスの準備をしたり前日に絞ったジュースに対して発酵前に必要となる下処理を進める業務を行っています。 収穫時期に畑に行かない、というとなんとなく楽な仕事をしているようなイメー ...
ドイツの今年の夏が暑かったこと、そのせいでブドウの成長が例年にないほど早く進んだことはこれまでの記事でも折に触れて書いてきました。その結果として、実際に今年の収穫はドイツ各地で未だかつてないほど早く始まることとなり、筆者の勤めるワイナリーでもすでに収穫が開始されています。 よく夏が暑くてブドウの成長が早くなるのは悪いことなのか、と聞かれるのですが、これは簡単に答えるのが難しい質問です。 暑くなるとワインは力強くなる この質問の答えの一つが、ポルトガルやスペイン、イタリアといった南欧の、そのなかでも暑い地域 ...
ぎりぎりとはいえまだ8月の今日、筆者が勤めているワイナリーでも最初の収穫が行われました。 品種はSpätburgunder(シュペートブルグンダー)とDunkelfelder(ドゥンケルフェルダー)。Rosé Sekt用のベースワインにするためのぶどうです。ちなみにDunkelfelderという品種はあまり聞いたことがないのではないかと思いますが、Dunkel、つまり、”濃い”、”暗い”、という名前がついている通り絞ったジュースの色が濃い品種で、赤ワイン系のCuvéeを造る際に色味を強くする目的で混ぜられ ...
ドイツのあちこちですでにフリューブルグンダー (Frühburgunder) などの早熟品種やゼクト (Sekt) 用のシュペートブルグンダー (Spätburgunder、Pinot Noirのドイツ語名) を中心とした各種品種の収穫が始まっています。筆者の勤めるワイナリーでもゼクト用のシュペートブルグンダーを来週早々には収穫する予定になっており、今はケラー(ドイツ語ではケラー <Keller>、英語ではセラー <cellar> となります)の準備に追われています。 ゼクト (S ...
今日は一日、ワインの瓶詰め作業に追われました。 ひたすらワインをボトルに充填し、栓がされたボトルをそのまま保管用の鉄製のかごに入れたり、箱詰めするものは箱に入れ、封をし、必要な情報を印刷し、そしてパレットの上に並べていくという作業を延々10時間近く続けていました。と言っても、これらの作業の多くは機械化出来ているので人手が必要になるのはワインが充填され、封がされたボトルを保管用の容器に並べたり、箱詰めしたり、その箱をパレットに並べたり、という作業とあとは必要な瓶や箱の供給をするといった作業になります。言って ...
すでに一昨日、8月6日のことですが、ラインヘッセンでフェーダーヴァイサー用のブドウの収穫が始まった、というニュースが出ました。 ブドウの品種はソラリス。果汁糖度は90エクスレだったそうです。ちなみに90エクスレ、という表現は日本では馴染みが薄いかもしれませんが、おおよそで言えば20Brix強というくらいの糖度ですので、相当甘くなっていたことになります。 ソラリスという品種は早熟の品種として知られていますが、それでもこの時期にこれほど糖度が上がることは通常無いことです。 まだ8月上旬といっていいこの時期にブ ...
昨日の記事でTerrasseに関する記事をあげましたが、今日はそのTerrasseで筆者が最近従事している仕事の内容について書きたいと思います。 とは言っても、Terrasseだから、という類の仕事はそれほど多くありません。Terrasseを新しく作る、という話になればこれは全く別の話ですが、流石にこの作業を人力で行うことはありえませんので、一度作られたTerrasseにおいては日々必要になる作業は他の普通の畑と大きく変わらないのです。成長に合わせて伸びてきたブドウの枝を針金の中に入れたり、その針金の高さ ...