ナチュラルワイン 徹底解説 醸造

2025/12/10

ビオとナチュラル | 醸造面から見たその違い

筆者がTwitterで時々、思い出したようにPostしてはそのたびに(筆者のアカウントとしては)軽くバズったような状態になるキラーワードがあります。それが「ナチュラルワイン」です。 最近、特に日本でよく聞くようになったこのワードですが、実はよく分からない、という方も多いのではないでしょうか? 自然派ワインとも呼ばれるため、漠然とビオなどと同じように身体にいい、健康的なワインのこと、と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。 ところが、ビオとナチュラルは同じワインであってもその実態は大きく異なっています。 …

ワイン

2021/12/31

Rieslingに特徴的な香りを考える | モノテルペンとノルイソプレノイド

ドイツワインを代表する白ワイン用ブドウ品種であるリースリング。 引き締まった酸と透明感のある果実味を持つワインを生み出す品種です。熟成をしていくと特徴的なペトロール香が出ることでも知られています。 ブラインドテイスティングの際にはこのペトロール香を頼りに品種を特定していく、という方も多いのではないでしょうか。 一方でリースリング自体はアロマティック系のブドウ品種としても知られています。特徴的な香りは白桃、レモン、アプリコット、白い花、はちみつ、トロピカルフルーツ。産地や造りによって出てくる香りの幅が広いせ …

ワイン 不快臭

2022/4/11

熟成香か欠陥臭か アセトアルデヒドを知る | 醸造と熟成がもたらす香りの要素

アセトアルデヒド、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。エタナール (ethanal) とも呼ばれる物質です。 アルコール (エタノール: ethanol) の最初の代謝物で、お酒を飲むと体内でアルコールが分解されていく過程で生成されてもいます。 二日酔いを避けるために。アルコールの分解を知ろう! https://nagiswine.com/alcohol-01/ 体内でエタノールがアセトアルデヒドに分解される際にはアルコール脱水素酵素 (ADH) と呼ばれる酵素が働きます。この一方で、アセトアルデヒド …

ワイン

2021/3/30

グリューワインの知られざるあれこれ

前回はグリューワインの歴史や作り方を見てきました。 ほっとするような温かさと、ちょっとピリッとするスパイスの風味を感じつつもほのかな甘さで思わず一息ついているとふと疑問に思うことがいくつかあります。グリューワインのアルコール度数ってどれくらいなのか、いつ飲むものなのか、そもそもグリューワインってワインなのか?今回はこんな疑問の数々に焦点を当てていきたいと思います。 グリューワインは”ワイン”なのか? グリューワインはワインをベースにしてはいますが、複数の香辛料や砂糖、もくしはハチミツによって味を整えられた …

ワイン

2021/3/30

ワインの評価方法

このBlogでも時々、ワインに関するランキングや評定結果についての記事を書いています。これらの記事は注目度が比較的高いようで、読んでくださっている方も多くなる傾向があります。 そんな関心の高いワインの評価に関するお話ですが、実際にその内容についてお話をしていると、結果はご存知でもその評価がどのような審査方法を経て付いたものなのかはご存知でない方が多いように感じます。しかし、実際の評価方法を知っておくことはその結果を見ていく上で実は重要です。 今回は先日発表された、Decanter誌の”Decanter W …

ワイン

2021/3/29

[速報] ブドウの収穫が開始 | 2020年ハーヴェストの幕開け

Foto: DWI 熱波の影響で30℃後半の気温が続く暑いドイツですが、本日、さらにホットなニュースが駆け抜けました。 DWI(Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) によると、本日8月10日にプファルツのヴァイゼンハイム (Weisenheim) という町で今年最初のブドウの収穫が行われたというのです。 [circlecard] Erste Trauben für Federweißen gelesen 2019年の最初の収穫はRheinhessen (ライ …

栽培

2022/4/11

植物の未来の姿を知る実験 | FACE

FACE、と呼ばれる実験をご存知でしょうか。 おそらく多くの方は知らないと思います。ですが、それも当然です。この実験、植物の成長や環境から受ける影響を調べる人たちからするともう10年以上にわたって活用されてきたものですが、一般の人が目にしたり耳にしたりすることはまずないものだからです。 FACEとはFree Air Carbon dioxide Enrichmentの略で、大気中の二酸化炭素濃度を人為的に引き上げ、その環境下で植物がどのように反応をするのかを観察する大型実証実験を指しています。 なぜこの実 …

栽培

2026/6/27

ブドウ畑が直面している見落とされた危機|フィロキセラ禍の再来を防止する取り組み

気候変動やそれに伴う温暖化は、ワイン造りにかつてないほど大きな影響を及ぼしています。短く温かい冬はブドウの萌芽時期を早め、遅霜や雹による被害は拡大し続けています。降雨時期と降雨量の変化はブドウの病気を広げる一方で灌漑を必須のものとし、暑すぎる夏は日焼けや着色不良を引き起こしています。糖度が上がっていく中で、下がらない夜温が酸量を低下させ、果汁のpHは上がり続けています。 気候変動、もしくは地球温暖化という話のなかで耳にする多くは、ワインの品質の変化に関する内容です。しかし実際には、そうした地球規模の変化は …

栽培

2025/8/14

土壌というもの

日本でワインの紹介する際に、ワインの個性の1つとしてどのような土壌の畑で栽培されたブドウから造られたワインなのかに言及されることが多いように感じます。こういった傾向はもちろん日本だけに限った話ではないのですが、それでも日本ではその傾向が強いように思えます。 またテイスティング・ノートを見ていても花崗岩が、とか、堆積岩が、という記述に続いて、だからワインの味が、香りが、という所見が語られているのを見かけます。事程左様に日本では土壌というものがワインを見ていく上で重要視されている印象が強いわけですが、この土壌 …

栽培

2021/3/29

ワインにとって土壌とはなんなのか、を考える

さて、突然ですがちょっとブラウザを立ち上げて、「ワイン 土壌」とでもキーワードを入力して検索をかけてみてください。おそらくあっという間に検索結果が画面に表示されていると思います。 それでは、そこに出てきたいくつかのサイトの記事を流し読みでいいので読んでみてください。どうでしょう、粘土質の土壌はボルドーの右岸で有名なのはシャトー・ペトリュス、石灰岩土壌はシャブリやブルゴーニュのPinot Noirが代表的で酸やミネラル感のあるエレガントなワインを生み出す、というようなことが書かれているのではないでしょうか? …

栽培

2021/3/30

フィロキセラとの戦いは困難さを増すのか?

以前、ブドウの天敵としてフィロキセラという昆虫がいることを紹介しました。 フィロキセラ対策の一番の方法は台木を使うことなのですが、この一方で一部の薬剤もこの害虫に対して効果があるとして使用されていました。それがネオニコチノイドといわれる系統の薬剤です。 薬剤を使う意味 台木があるのだから薬剤など不要ではないか、そんな声も聞こえてきそうですが、その考え方は残念ながら楽観的に過ぎます。 確かに台木は今のところは有効な手段として利用されていますし、実際にこれによってフィロキセラの被害の拡大は抑えられています。し …

栽培

2021/7/4

ブドウとワインと気候変動 | 早い発芽のメリット・デメリット

今年はもうブドウの芽が開いた。 ここ最近、毎年のようにブドウが発芽したニュースを前年よりも早いタイミングで聞くようになりました。 2021年のドイツでは4月以降の気温が例年よりも低い状況が続いたためにブドウの萌芽が数年ぶりに長期平均よりも4日ほど遅くなりましたが、2019年は長期平均よりも9日早く、2020年に至っては16日も早い芽吹きが記録されています。 こうした早いシーズンの到来はドイツに限ったものではありません。 ブドウの芽が早く開く原因は多くの場合、気候変動の結果と説明されます。では、ブドウがより …

ワイン 醸造

2025/12/22

ワインと樽と抽出物 | フェノールと樽香

「樽香」 日常生活では聞きなれない単語ですが、ワインをお好きな方にはとても馴染みのある言葉なのではないでしょうか。 「樽香 (たるこう)」とはワインから感じられる、樽に由来する香りを指しています。主にアルコール発酵が終わったワインを木の樽に保管し熟成させることで、本来は樽についていた香りがワインに移るのがワインから樽の香りがする理由です。 樽香は複数の香りの種類をまとめた表現方法です。一般的に樽香には次のような香りが含まれています。 ヴァニラ チョコレート ココナッツ・ミルク スパイス / クローブ アー …

醸造

2025/7/25

カーボニックマセレーションという醸造手法

何かとフランス語の借用が多いため、分かりにくく馴染みにくいのがワインの醸造関連用語。 ですが、そんななかにあって“カーボニックマセレーション”という名前を何となく耳にしたことがある人は意外と多いのではないでしょうか? カーボニックマセレーションとは、一般にはシャンパーニュ(シャンパン)と並んで日本でもひときわ知名度の高いワインである、「ボジョレー・ヌーヴォー」の生産手法として広く知られている醸造手法のことです。 日本ではカーボニックマセレーション (Carbonic maceration) と英語からの訳 …

ナチュラルワイン 徹底解説 醸造

2025/12/10

ビオとナチュラル | 醸造面から見たその違い

筆者がTwitterで時々、思い出したようにPostしてはそのたびに(筆者のアカウントとしては)軽くバズったような状態になるキラーワードがあります。それが「ナチュラルワイン」です。 最近、特に日本でよく聞くようになったこのワードですが、実はよく分からない、という方も多いのではないでしょうか? 自然派ワインとも呼ばれるため、漠然とビオなどと同じように身体にいい、健康的なワインのこと、と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。 ところが、ビオとナチュラルは同じワインであってもその実態は大きく異なっています。 …

Limited 不快臭 醸造

2026/3/29

ブレットだけではないブレタノマイセス | ネズミ臭

フェノレ、という言葉をご存知でしょうか? ワイン、それも赤ワインをお好きな方なら馴染みのある言葉かもしれません。 また、フェノレには馴染みがなくてもブレットという言葉なら知っている方は多いのではないでしょうか。 これらは一般的に同じワインのオフフレーバーを指しています。 ブレタノマイセスによる「フェノレ」 フェノレ (phénolé) とはワインに生じるフェノール性の異臭 (オフフレーバー) の名前です。原語であるフランス語では「フェノール性の~」を意味する形容詞だそうですが、これがそのまま名詞として使わ …

ワイン 不快臭 栽培 醸造

2025/10/11

ワインのオフフレーバー | UTA / ATA

ワイナリーやワインショップで試飲して気に入った白ワイン。買って帰ってきたけれど、まだ飲み頃には少しだけ早い気がしてもうしばらく自宅のセラーで寝かせることにした。 その後半年経ったある日の食卓。 本当はもう少し寝かせておいた方がいいと分かっていながらもついつい我慢できずに取り出してきたのがこのワイン。まだ早いんだろうなぁ、と頭の片隅で考えながらもコルクを抜いて、さぁお楽しみの時間!と思ったらなんだか違う。 まるで何年も寝かせていたような、酸化したようなニュアンスがある。自分の保管方法が悪かったのだろうか?ち …

醗酵

2021/3/30

香りの種類とその区分

ワインに関する記事の中で“香りの種類”と聞いたら、大概の人が想像するのはまずワインから漂う香りの種類のことだと思います。このワインからは青いりんごの香りがする、とか、干し草のような香り、とかいうあれです。しかし、今回のテーマである“香りの種類”というのはこのことではありません。その香りがワインの中に生成されたタイミングで区分された、“香りの種類”です。 香りの分類とその由来 今回テーマにしている意味での香りの種類は、多くの場合以下の3つに分類されることが多いようです。 第1アロマ: ワインの原料となるブド …

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2023/12/10

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#25 | ワインの酸

https://www.youtube.com/watch?v=qD2os2_2jmo 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …

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2022/10/31

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#10 | SO2 (二酸化硫黄 / 酸化防止剤)

https://youtu.be/OMwS6tzC0zs 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …

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2022/12/23

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#12 | ワインの「熟成」の真実

https://youtu.be/qf4EbX5JysQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …

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2025/5/30

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#37 | ワインの多様性を語ろう – そのワイン、本当に「ワイン」ですか?

聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyoサイト: Nagi wines Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。 …

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2023/7/30

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#19 | ワインの色と発酵の条件

https://www.youtube.com/watch?v=zyZrKqCUdG0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …

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2023/5/21

Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#18 | ワインの栓

https://www.youtube.com/watch?v=n3zMZ20Y9eI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …

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食品は衛生的であるべき。 現代を生きる私たちにとっては当たり前のように感じていることです。しかし、実際に日本で食品衛生法が施行されたのは1948年のこと。今から75年前のことです。2018年にはこの食 …