ワインと土壌とテロワール | 粘板岩の色とワインの個性
ワインの持つ個性を説明する時、よくテロワールと関連付けて話をされます。 そうしたテロワールを構成する要素の1つが、土壌です。 土壌にはいくつもの種類があります。 粘土や石灰岩と並んで土壌の一角を占めているのが、シーファー (Schiefer) です。日本語では粘板岩、英語ではスレート (slate) やシスト (schist) と呼ばれます。 シーファーの土壌はドイツに多く、ワイナリーではシーファーの種類ごとにワインを分けて仕込んでいる場合も多く見られます。そう、シーファーには種類があります。 シーファー …
[速報] ブドウの収穫が開始 | 2019年ハーヴェストの幕開け
Foto : DWI 昨日、8月13日にドイツで今年最初となるブドウの収穫が行われたとのニュースがDWI (Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) より発表されました。 今回はそちらの記事を簡単にご紹介します。 Erste Trauben für Federweißen gelesen ”Erste Trauben für Federweißen gelesen (フェーダーヴァイサー用の最初のブドウが収穫された)” と題されたこちらので記事では、8月13日に …
熟成香か欠陥臭か アセトアルデヒドを知る | 醸造と熟成がもたらす香りの要素
アセトアルデヒド、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。エタナール (ethanal) とも呼ばれる物質です。 アルコール (エタノール: ethanol) の最初の代謝物で、お酒を飲むと体内でアルコールが分解されていく過程で生成されてもいます。 二日酔いを避けるために。アルコールの分解を知ろう! https://nagiswine.com/alcohol-01/ 体内でエタノールがアセトアルデヒドに分解される際にはアルコール脱水素酵素 (ADH) と呼ばれる酵素が働きます。この一方で、アセトアルデヒド …
ドイツワインを難しくする? VDPとその等級 | もっと優しくドイツワイン
前回、前々回と2度にわたってドイツワインの分かりにくいカテゴリーや等級と味の関係について解説を行ってきました。 これまでの記事を読んでくださった方は何となくでもドイツワインのボトルに張られたラベル (エチケット) を見てもその内容が理解できるようになってきて、いざドイツワインを買ってみようとしても悩まずに済むようになってきているのではないでしょうか? しかしここでそんな皆さんに心苦しいお知らせがあります。 ドイツワインというやつは、実はもう少し分かりにくいやつなのです。 分かりにくいドイツワインを優しく解 …
ワインに品質管理は不要!?半端な自然派という無法地帯が広がる危機感
とある自然派ワイン愛好家の方が書いていた文章で興味深い内容のものを目にしました。 その記事は自然派微発泡ワインである「ペティアン・ナチュール」を説明するものです。その記事で書かれていたことをざっくりと要約すると、 という内容が書かれていました。 なお念の為修正をしておくと、ここに書かれている“瓶内で二次発酵が生じる”という記載は誤りで、正確には一次発酵が瓶詰め後も継続される、です。 このような記事を読むと、「自然派」という言葉が最近のワイン業界における一つの免罪符になりつつあるように感じます。 泡立ってい …
US市場を見通す一つの手段 | TERRY THEISE’S GERMANY VINTAGE REPORT
ワインのマーケットは世界中に存在しています。 その数ある市場の中でも特に存在感が大きいのが英国で、世界中のワインメーカーがこの市場における自身のワインの評価に注目しています。 この一方で、特にドイツワインにとって無視できない市場がアメリカ市場です。ドイツワインの輸出に関する統計を見ると、米国市場は2位以下に金額ベースで倍以上の差をつけての断トツのトップです。 現にアメリカ向けの出荷が多い小規模のワイナリーではその生産のほとんどをこの市場向けが占めており、造ると同時に売り切ってしまう、などという例も決して少 …
Ecoの隣りにある問題
前回は主にドイツにおけるEcoとBioの違い、そしてEcoの認証をとるために求められる条件についての説明をしました。 今回は、ワイナリーが苦労して取得したEcoの認証が最近ではかえって問題になっているケースについてお話しをしたいと思います。これらの問題は、場合によってはワイナリーの経営自体を揺るがす可能性もある問題であり、決して軽く考えることの出来ないものです。ワイナリーはこの問題に際して、Ecoの認証を守るべきなのか、その認証を捨ててでも対応するのか、重要な決断を迫られています。 物議を醸す、銅の散布量 …
除葉の時期とその効果 | 開花前の除葉がもたらす色への影響
ワイン用のブドウ栽培で重要な作業の1つに除葉があります。 除葉とは読んで字のごとく、ブドウの樹から葉を除去する作業のことです。 葉は植物が光合成をするための重要な器官。にも関わらずその葉を取り除いてしまうなんて、と思われるかもしれません。しかしこの作業はブドウの栽培をするうえで重要な意味を持っています。 除葉についてはいろいろな議論がされています。手で行った方がいいのか、機械でやってしまった方がいいのか。どれくらいの量の葉を除去するのが適切なのか。そして、いつやるべきなのか。 こうした議論のいくつかはすで …
ブドウ栽培の北限と病害圧の北上
ワインベルトと呼ばれる地域があります。ワイン用ブドウ栽培に適した地域とされ、「北緯30〜50度、南緯30〜40度」の範囲を指していました。ドイツのラインガウが北緯50度。この産地はかつてブドウ栽培の北限の地とされてきました。今、その位置づけが揺らいでいます。栽培地が北へ動いているという話自体はすでに広く知られています。しかし、その先で何が起きているかはまだ十分に語られていません。 2024年から2026年にかけて発表された研究は、ブドウ栽培地の北上がどこまで進んだかについて、これまでとは異なる姿を見せてい …
ワイヤーヒーター、新しい霜害対策となるのか
ここ20年ほどで欧州においてブドウが遅霜による被害を受ける事例が増えてきています。ドイツで見てみれば、1997年、2003年、2011年、2017年と4度もの大被害を記録しているのです。 今年も4月に入ってフランスやドイツのあちこちで夜間の冷え込みが強くなることが予想され、霜の被害を受ける可能性が高くなったことから畑で火を焚いたり送風機を用意したりという事例が報告されています。 こういった被害の背景にあるのは冬の気温の上昇に伴うブドウの発芽の早期化です。 ブドウの発芽の早期化については「早すぎる程に早いブ …
ブドウ畑の緑化管理
ブドウ畑における緑化というものを考えてみたいと思います。 ぶどう畑を緑化する、と聞くと少し奇妙な印象を受けるかもしれませんが、単純に言ってしまえばブドウの垣根の間の地面に生える下草をどうするのか、ということです。全面を緑にするのか、除草剤の使用有無はともかくとして、完全に更地にしてしまうのか。実はこの対処方法にも重要な意味と目的があります。 下草の持つ意味 一般に畑の下草を生やすということに対しては、畑における生物多様性を確保するとか、何となく自然に優しいというようなイメージが先行するのではないかと思いま …
ワイン造りに関わる数字の数々
ブドウ畑を見ると、極めて整然とブドウの樹が植えられ、ある一定の間隔でそれらが管理されていることはすぐに分かります。しかし、では実際にブドウ畑を管理する上で必要となる数字、と言われて、いったいどのくらい思いつくでしょうか? ブドウ畑を支配する数字の区分 畑を作る際に考えなければいけない数字は、大まかに2つの視点に区分できると考えています。 1つ目は、ブドウを作るための視点からくる数字。年間平均気温や年間降雨量とそれらの推移、日照時間、土壌に関する各種の数値などがここに当たります。 これに対して2つ目は、作業 …
ワインの香りの秘密
ワインの香り。それはワインを楽しむ上でとても重要な要素です。 ワインに含まれる香りの成分はとても多く、数百種類に及ぶとも言われています。そうした中からそれぞれの香りを拾い上げ、表現する行為はワインを楽しむ醍醐味の1つでしょう。 ワインの香りを探っていると、時として意外な香りに出会うことがあります。ブドウだけから造られているはずなのに、花や木、動物を思わせる香りがあるだけではなく、スパイス、バニラ、チョコレートなんてものも出てきます。 ワインの香りは使われているブドウの品種によっても違います。普段から飲みな …
コンクリートはワイン造りを変えるのか
コンクリートの中で発酵、熟成させるワインに注目が戻ってきています。 コンクリートは現代人にとってとても馴染みのある建築材料です。どちらかといえば建築物の外壁などに使われているイメージの強いコンクリートですが、ワイン造りにおいてはタンク用の素材です。 コンクリートで作られたタンクはかつても使われていました。そのためコンクリートはワイン造りの現場にとって特に新しい存在というわけではありません。ただ、最初に訪れたコンクリートの波はその後に登場したステンレスタンクに置き換えられる形で姿を消していきました。それが今 …
ワイン純粋主義との相克 | 醸造家はパズルを解けるのか
ワインを造っていると数々の「悩ましい出来事」に直面しますが、その中でもこの時期に多いのがワインを可能な限り「純粋」に保ちたいという想いと、それを実現できない現実との対立です。 世の中、ワインの持つ個性をTerroirといった、ある限定された地域的な特性、つまり独自性に求めることがよくあります。このことの良し悪しはともかくとして、仮にそのような限定された範囲にのみ生じる特性をワインに持たせたいと考えるのであれば、そのワインは少なくともそのような地域から収穫されたブドウで造り、別の個性をもったものとは混ぜ合わ …
ワイン酵母を使った日本酒
今更、と言われるかもしれませんが、ワイン用酵母を使用した日本酒というものがあることを知りました。 以前の記事で書いたとおり、日本酒用途に使用されている酵母とワイン用途に使用されている酵母は同じSaccharomyces系統のものです。このため、それぞれの酵母をそれぞれの用途に向けて使用することはさほど難しいことではありません。 酵母に関する記事はこちらもご覧ください。 ⇒ 酵母ってなんですか? ワイン用酵母を使うとフルーティな仕上がりが期待できる 特にワイン用の酵母はおそらく日本酒用酵母よりもフルーティー …
ロゼ?ワインのいろいろ、知っていますか? 其の壱
醸造的な意味から厳密なお話しをすると、ロゼはロゼであっていろいろは基本的にないのですが、それでも2つ、3つはヴァリエーションが存在していますし、さらには醸造的な条件を知らなければロゼとなんの違いもない、むしろ、飲む側のイメージとして持っているロゼに合致しているように感じるものなんてものもあります。この辺り、ドイツの厳密さというか、細かさを感じなくも無いところです。飲む側からすれば、美味しいと感じるかどうかが全てなので、この細かさに意味があるのかはちょっと疑問、という印象も無きにしもあらず、なんですが。 今 …
非サッカロミセス系酵母の基礎的理解:現代ワイン醸造における新たな選択肢
現代のワイン醸造において、技術の選択には絶えず変化が見られます。その中でも特に顕著な変遷を示すのが酵母の選択です。品評会での好成績や業界での推奨により、特定の酵母が注目を集め、次のヴィンテージではその採用が急速に拡大するという現象が繰り返されています。 醸造用酵母の選択肢は多岐にわたり、カタログに掲載されているすべての酵母を網羅的に検証することは現実的ではありません。さらに、野生酵母による自然発酵という選択肢も加わることで、使用される酵母株の多様性は年々拡大し続けています。このような状況において、造り手が …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#22 | ワインの畑 徹底解説
https://www.youtube.com/watch?v=O9hVTlhyZDc 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#4 | ワインと有機栽培
https://youtu.be/e-9WqBsic_E 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#31 | ボジョレー・ヌーボーで有名な手法を醸造家が解説!マセラシオンカルボニックの真実
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第31回のテー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#5 | 気候変動とワインの未来
https://youtu.be/zmiYlbO4pb4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”N …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#32 | ワインに感じる「果実味」の真実。フルーティーってなんだ?
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、”Nagiさんと、ワインついてかんがえる。”。 第32回のテー …
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#24 | 濁ったワインを考える。
https://www.youtube.com/watch?v=OTzEuC5E_YU 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ …


































