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Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#36 | 日本でのワイン造り
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第36回のテーマはrecap 2024。 2024年8月末に日本 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#35 | ワインと温度
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第35回のテーマはワインと温度。 ワイン造りの現場ではブドウを収 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#34 | 乳酸菌
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第34回のテーマは乳酸菌。 ワイン醸造にとって乳酸菌といえば、M ...
気温の上昇に直面するブドウ栽培|温暖化の本当の意味を知る
気候変動。地球の温暖化。そんな話題に触れる機会が増えました。最近ではあまりに日常化しすぎてかえって耳にする機会が減ってきたような印象を受けるほどです。しかしそうした日常の変化は確かに影響を大きくしてきています。 太古の昔、地球上に栄えていた恐竜が絶滅した原因は気温の大幅な変化であった可能性がある。そんな事例を引くまでもなく、気温の変化というものはその環境に存在するすべての動植物に影響を与えます。それはもちろん、ワイン用ブドウの栽培現場においても例外ではありません。 ワイン用のブドウは世界各地で栽培されてお ...
剪定時期をめぐる議論。ブドウの枝はいつ切るべきなのか
ワイナリーの仕事といえばワインを造る醸造がメインの仕事のようにも見えますが、ワインの醸造を中心に行っている期間は長くても3ヶ月ほど。この期間に多くの作業と責任が集約されますのでとても濃密な期間ではありますが、時間的にはそれほど多くの割合を占めているわけではありません。 一方でブドウ畑での仕事はほぼ一年間を通して休みなく続きます。そうした畑での作業でも特に多くの労働量を占めるのが、剪定です。 今回の記事では実務的にも精神的も、そして経済的にもかかる負担が増加してきている剪定についてみていきます。 ブドウの枝 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#33 | ワインとアルコールの意外な関係。アルコールの影響の範囲を考える。
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第33回のテー ...
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ドイツってワインを造っているんですか?
ドイツに住んで、ワイン関係の立場にいるとちょくちょく日本からの観光客の方からこんな質問をいただきます。まぁ、一般的な日本人からすればドイツと言えばビールにソーセージ、そしてサッカー。ワインのイメージなんて殆ど無いですよね。ええ、分かります。ワインと言えばフランス、イタリア、スペインそしてチリじゃないの?と思うその気持ち。 世界上位のワイン生産国、ドイツ でも、ドイツって実はそれなり以上の大きさのワイン生産国です。 OIV (International Organisation of Vine ...
早すぎる程に早いブドウの発芽
2日ほど前、FB上のポストをみて驚きました。まだ3月も半ばだというのに、もうブドウの木に発芽が確認された、というのです。 これは発芽が大幅に早かった去年と比較してもさらに1ヶ月ちかくも早い発芽になります。1981年から2010年の長期観測による発芽時期の平均が4月末であることからみると実に1ヶ月半も早い発芽になります。今年の冬は非常に暖かかったのが原因なのは間違いありません。 早い発芽がもたらすもの さて、この発芽の時期というものはいろいろと大きな意味を持ちます。 ワイナリーは通常、長年の経験に基づいて一 ...
ドイツワイン ベスト50
今回、falstaffというドイツ国内の雑誌上でドイツワイン ベスト50というランキングが発表されました。この雑誌が発表したドイツワイン ベスト50の上位10位は下記のようなものでした。 ざっと見ても納得のビッグネームが並ぶ結果になっているのですが、それ以上に気になるのは上位10位すべてがリースリングであり、実に7点がアウスレーゼもしくはトロッケンベーレンアウスレーゼと極甘口のワインになっていることです。 人気のトレンドは辛口に ここだけを見ると、やっぱりドイツワインは甘口なのね、と思ってしま ...
ワインリストの読み方
今日はNiersteinで行われた、2017年の新酒お披露目のイベントにお手伝いで参加してきました。 普段から触れることの多いラインガウのワインと比較して、明らかに酸の出方の違うこの産地のワインを知ることはリースリングをはじめとした各種品種の違いを知る上でとても興味深いものでした。 ところで、この手のイベントでワイナリーの訪問すると必ずといっていいほど目にするのがワインリストです。このワインリスト、ワイナリーさんごとの考え方というか受け止め方がよく出ていて、たくさんの情報を載せているところもあればワインの ...
ブドウ畑の冷害対策
先日ブドウの芽吹きが早まることにより冷害リスクが高まる、という記事を書きましたが、この冷害への対策にはどんなものがあるかご存知でしょうか? 冷害対策のいろいろ もっとも伝統的な対策は、"焚き火"です。 ブドウ畑のあちこちで火を焚くことで空気を温めるのと同時に、上昇気流を作ることで空気を撹拌することが目的です。昔は火の維持が大変でしたが、最近ではBBQで使うような、長時間にわたって強い火力を維持できる固形燃料が使われるようになっています。 2つ目の手段が、"ヘリコプター"。 ヘリコプターを畑の上空でホバ ...
ドイツはブドウ栽培の北限の地か…?
ワインの勉強を始めると、多くの方が”世界のワイン用ブドウは北緯30 - 50度、南緯30 - 40度の間で行われている”と習うのではないでしょうか? そしてそのままドイツワインを扱う章に入ったところで、”ドイツのブドウ栽培地は北緯47 - 52度の範囲内に位置し、これは世界のブドウ栽培地の中でも北限にあたる”と聞いたのではないでしょうか? 北に移動した、ブドウ栽培の北限 この情報は残念ながら、すでに時代遅れのものと言わざるを得ません。 世界的な気候変動と温暖化の影響を受けて、ブドウの栽培地は ...
ロゼをつくるということ
春が近づいてくると、花見の季節にはキレイな桜色のロゼを、という謳い文句とともにロゼが売りに出されている光景を目にすることが増えるイメージです。本当は美味しいのに、なんとなく中途半端なイメージがつきまとってしまうロゼを押し出していくには、こういった季節感や桜との印象をつなげたマーケティングが大事なのでしょう。 ロゼはどのブドウから造られるのか? さて、イメージに関することはさておいて、ロゼを作る際に使われる原料のブドウが黒ブドウか白ブドウか、またはその両方か、という問いにどう答えますか? ドイ ...
カビネットって甘いんですよね?
ドイツワインでカビネットやシュペートレーゼと聞くと、ほぼ自動的に甘いワインのこと、と思ってしまう方はワインの勉強をしている方でも多いようです。ワインの説明をしていると、たびたび聞かれます。でもこれ、半分正解ですが、半分は残念ながら間違いなのです。 甘いワインがカビネットやシュペートレーゼであることが多いのは事実ですが、カビネットやシュペートレーゼが必ずしも甘いわけではありません。 、、、ややこしいですね。このややこしさの正体を知るためには、ドイツにおけるワインの等級の格付け制度と発酵の基本を知る必要があり ...
ワインの味に関する規定
ワインの味に関する規定、と聞くとなんのことか分からないかもしれませんが、これは単純にどういうワインを辛口といったり甘口といったりするのか、というお話です。 この味に関する規定というものは国ごとに違いがあると思われますが、ここではドイツワインに関してのみ記載します。 ドイツワインにおける味の種類 さて、ドイツ国内でワイン法に基づいて規定されている味の種類は以下のものがあります。 基本的にこれらの味はワインに含まれる糖分の量(残糖)によって規定されていますが、トロッケンとハルプトロッケンに関 ...
存在感増すSauvignon Blanc
2018年2月に行われたMUNDUS VINIの春の国際ワインコンクールには世界44カ国から6,770のワインが出品され、大賞33品、金賞1,102品、銀賞1,575品の合計2,702品がメダルを獲得しました。このうち290品がドイツからの出品であり、大賞が3品、金賞が105品、銀賞が182品という結果となりました。 ちなみに、メダル獲得数はイタリアの640品が最多であり、これにスペイン(590品)、ポルトガル(321品)が続きました。ドイツはポルトガルに次ぐ4位で、フランスは267品の5位でした。 ドイ ...
スパークリングワインの"トロッケン"は辛口か?
Trocken (トロッケン)という表記はドイツワインにおいては辛口のことです。なので、スパークリングワインのエチケットにこの表記があると、やはり辛口のことだろう、と思ってしまいがちですが、実はちょっと違います。 スパークリングワインのtrockenは残糖が多い スパークリングワインにおけるTrockenの表記は、残糖でみれば普通のワインの中辛口から甘口にあたります。なので、辛口だと思ってTrocken表記のスパークリングワインを買ってみたら、思ったよりも甘くて驚いた、というのはある意味当然なのです。 ス ...
スパークリングワインのいろいろ
スパークリングワインといえば、シャンパンがその作り方である瓶内二次発酵という言葉と共にとても有名です。しかし、この瓶内二次発酵という作り方、実はいくつかのヴァリエーションがあることはご存知でしょうか?また、そもそもこの瓶内二次発酵という方法以外にも作り方があること、ご存知でしたか? スパークリングワインってなんだろう? 今日はスパークリングワインの作り方に注目したいと思います。 作り方に行く前に、簡単にスパークリングワインというものについて確認します。 スパークリングワインとは、発泡性ワインともいう通り、 ...
コルクは呼吸をしない?
先日、とあるワイナリーのワインメーカーさんとお話しをさせていただいた際にとても興味深いお話を耳にしました。コルクが”呼吸をする”というのはまったくの間違いだ、というのです。 コルクが呼吸をするというのは古い迷信か? こんな話をすると、ああ一昔前に言ってたあれね、と思われる方もいるでしょう。今ではコルクが完全な空気の遮断性を持っていることが証明されていて、この樫の樹の樹皮の部分から抜き出された、遥か昔から続く容器の栓が呼吸するなんて話はとっくに否定された迷信だったんでしょ、と。 慌てないでください。この話に ...
ワインは菜食主義者に優しくない
ワインはブドウから作られているので菜食主義の方が飲んでも問題ない。そんな風に思っていませんか? ワインにも動物由来のものが使われる可能性 これは必ずしも正しくない認識です。一部のワインではその醸造過程で動物性の製品が使われています。ただ、このことを知らずに無防備にワインを飲んでいる菜食主義の方がいるのもまた事実です。 ここで自体をややこしくしているのが、敢えて”ヴェガン向け”と謳っていなかったとしても、そのすべてのワインが動物性の製品を使っているわけではない、ということです。 基本的にワインはブドウのみか ...
ワインの味わいを作る、ということ
ワインの味はブドウの味であり、その味は畑で作れらます。だからこそワインメーカーは畑での仕事に力を入れるのです。 しかし、ワインの味はケラーで作られるものでもある、ということはご存知でしょうか? ワインの味は作業によって作り込める ワインの味は醸造過程の作業一つで大きく変わります。 発酵にどの酵母を使うのか、酵素を使うのか、樽を使うのか、使うなら新樽の比率、ローストの程度はどのくらいにするのか。また、単純にどの工程にどの程度の時間をかけるのか、なんてことでもその味は大きく変化します。数え上げたら本当にきりが ...
野生酵母の功罪
野生酵母、という言葉に聞き覚えがあるでしょうか? 日本ではこれを天然酵母とか家付き酵母、もしくは蔵付き酵母とも呼んでいるようですが、意味的には同じもののことを指しています。野生酵母の定義は、品質の管理された純粋培養酵母(培養酵母、乾燥酵母ともいいます)以外のすべての酵母のこと、と思っていただければ大まかなところで間違いありません。 培養酵母は”工業的”か? 少し話は離れるのですが、日本でこの手の酵母に関する話題を見ていると、この野生酵母のことを「天然酵母」と呼ぶことでいかにもこれが天然自然のものであり、逆 ...
発酵にとってもっとも怖いこと
ブドウの収穫が終わり、いよいよジュースをワインに変えていく重要な工程である発酵。この時にワインメーカーが最も恐れ、最も気を使うことが何か分かるでしょうか? ワインが微生物に汚染されてしまうこと、作業中にこぼしてしまうこと、発酵温度を管理しきれないこと。すべて間違いではありません。どれに対しても気を使う必要があります。しかし、この工程において最も怖いこと、それは、”発酵が途中で止まってしまう”ことです。 発酵がなかなか始まらない、というのは待てばいいですし、微生物の汚染に対しては事前にきちんとした対策をして ...
二酸化硫黄無添加ワインの作り方
二酸化硫黄、もしくは亜硫酸、という単語は、最近の日本のワイン業界では蛇蝎のごとく忌み嫌われる不健康ワードの代表のようになってしまっている印象を受けます。その一方で、これらの酸化防止剤を添加しない、二酸化硫黄無添加ワインの人気が高まってきており、自然派ワインとかナチュラルワインとかといった名前とともに消費者の関心をかっていることは、おそらくこの業界内にいる人であればすぐに思い当たることなのではないでしょうか。 この酸化防止剤無添加、というキャッチフレーズについては、そもそも二酸化硫黄を添加する目的は決して酸 ...
大豆は大粒、ブドウは小粒
日本を代表する発酵食品である、味噌。味噌の製造過程においては、原料である大豆の体積に占める皮の比率が少ないことが好まれるそうですが、ワイン造りにおいてはこの真逆で一粒の体積あたりに占める果皮の比率が高い、小粒のものほど好まれます。これは、醸造面から言えば、フェノール化合物やアロマ成分の多くがブドウの果実の中でも特に果皮に多く含まれているためです。 ブドウの果皮に含まれる含有成分のいろいろ ブドウに含まれる各種成分はブドウの果肉もしくは果汁、果皮、種の3箇所に大別して分布しており、その分布の程度はブドウの品 ...
ワイン造りに関わる数字の数々
ブドウ畑を見ると、極めて整然とブドウの樹が植えられ、ある一定の間隔でそれらが管理されていることはすぐに分かります。しかし、では実際にブドウ畑を管理する上で必要となる数字、と言われて、いったいどのくらい思いつくでしょうか? ブドウ畑を支配する数字の区分 畑を作る際に考えなければいけない数字は、大まかに2つの視点に区分できると考えています。 1つ目は、ブドウを作るための視点からくる数字。年間平均気温や年間降雨量とそれらの推移、日照時間、土壌に関する各種の数値などがここに当たります。 これに対して2つ目は、作業 ...
ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の壱
先日書いた二酸化硫黄を添加しないワインの作り方の記事について、大変ありがたいことにご質問をいただきましたので、今回はそのご質問にお答えする形でもう少し具体的に二酸化硫黄無添加ワインの作り方についてみていきたいと思います。 このテーマについては内容が長くなりますので、2度に分けて記事にします。第1回目の今回は、ナチュラルワインとはどんなものであるのかについてみていきます。 二酸化硫黄無添加ワインの作り方に関する記事はこちら ⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方 ナチュラルワインってなんだろう? 今回いただいた ...
ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の弐
今日は前回のこちらの記事の続きで、甘いナチュラルワインが存在しうる具体的な理由についてのお話をしたいと思います。前回の記事をまだご覧になっていない方はぜひそちらからご確認ください。 ナチュラルワインの定義に関する記事はこちら ⇒ ナチュラルワインは甘くないんじゃなかったんですか? 其の壱 甘いナチュラルワインは存在し得る 前回、ナチュラルワインに二酸化硫黄を使うことは禁止されていない、というお話をしました。Decanterが定義したナチュラルワインの定義には、さらに、ナチュラルワインが必ずしも辛口でなけれ ...
香りの種類とその区分
ワインに関する記事の中で“香りの種類”と聞いたら、大概の人が想像するのはまずワインから漂う香りの種類のことだと思います。このワインからは青いりんごの香りがする、とか、干し草のような香り、とかいうあれです。しかし、今回のテーマである“香りの種類”というのはこのことではありません。その香りがワインの中に生成されたタイミングで区分された、“香りの種類”です。 香りの分類とその由来 今回テーマにしている意味での香りの種類は、多くの場合以下の3つに分類されることが多いようです。 第1アロマ: ワインの原料となるブド ...
ロゼ?ワインのいろいろ、知っていますか? 其の壱
醸造的な意味から厳密なお話しをすると、ロゼはロゼであっていろいろは基本的にないのですが、それでも2つ、3つはヴァリエーションが存在していますし、さらには醸造的な条件を知らなければロゼとなんの違いもない、むしろ、飲む側のイメージとして持っているロゼに合致しているように感じるものなんてものもあります。この辺り、ドイツの厳密さというか、細かさを感じなくも無いところです。飲む側からすれば、美味しいと感じるかどうかが全てなので、この細かさに意味があるのかはちょっと疑問、という印象も無きにしもあらず、なんですが。 今 ...
ロゼ?ワインのいろいろ、知っていますか? 其の弐
前回、ロゼであってロゼでない、ドイツのこだわりの名称としてRotling (ロートリン) をご紹介しました。今回はロゼであるのにロゼでないように扱われるヴァイスヘルプストとブラン・ド・ノワールをご紹介したいと思います。 ロートリングに関する記事はこちら ヴァイスヘルプストとブラン・ド・ノワール 次にご紹介するのがWeißherbst (ヴァイスヘルプスト) とBlanc de Noir (ブラン・ド・ノワール) です。これらはRotlingとは違い、今度はロゼのヴァリエーションの名前となります。 ヴァイス ...
酵母ってなんですか?
発酵に欠かせないもの、それが酵母です。 酵母とは微生物の一種で、およそ発酵とよばれる工程がともなう場面では非常によく利用されているものになります。ワインや日本酒における発酵はもちろん、パン生地の発酵などにも利用されます。あまり認知度は高くないようですが、チョコレートに必須のカカオ製造にも酵母は無くてはならないものです。一方で発酵は発酵でも、味噌、醤油、ヨーグルト、塩辛、漬物などに利用されている、いわゆる乳酸菌発酵は酵母ではなく、その名前の通り乳酸菌を利用したものとなります (味噌や醤油の発酵には酵母も利用 ...
ワイン酵母を使った日本酒
今更、と言われるかもしれませんが、ワイン用酵母を使用した日本酒というものがあることを知りました。 以前の記事で書いたとおり、日本酒用途に使用されている酵母とワイン用途に使用されている酵母は同じSaccharomyces系統のものです。このため、それぞれの酵母をそれぞれの用途に向けて使用することはさほど難しいことではありません。 酵母に関する記事はこちらもご覧ください。 ⇒ 酵母ってなんですか? ワイン用酵母を使うとフルーティな仕上がりが期待できる 特にワイン用の酵母はおそらく日本酒用酵母よりもフルーティー ...
エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の壱
すでに以前、ロゼやそれに類するワインについて似たような記事も書きましたが、ドイツワインのエチケット上にはまだまだ、正体不明の表記を見かけることがあります。 Classic (クラシック)、Selection (セレクチオーンもしくはセレクション)、Feinherb (ファインヘルプ)、Mild (ミルドもしくはマイルド)、Erstes Gewächs (エアステス・ゲヴェックス)などがこれに当たります。場合によってはこれにCharta (カルタ)、Großes Gewächs (グローセス・ゲヴェックス) ...
エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の弐
前回はエチケットに書かれた見慣れないものの一つして、クラシックとセレクションのお話しをしました。これらはドイツのワイン法によって定められている名称でしたが、今日はそれ以外の動きの中で使用方法が決められているもののお話しをしたいと思います。 前回の記事はこちらから御覧ください ⇒ エチケットに見る正体不明の記載のあれこれ 其の壱 ラインガウ独自の肩書、エアステス・ゲウェックスとカルタ エアステス・ゲウェックスとカルタはいずれもドイツにおけるブドウ・ワインの産地であるラインガウ地方でのみ使用される肩書です。こ ...
二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1
このBlogでも度々話題にしている二酸化硫黄、やはり注目度の高い話題のようで、多くの方に御覧頂いているようです。ただその一方で、この物質を正しく解説したものが少ないからなのか、この二酸化硫黄というものを正しく理解しないまま、健康を害するもの、よくないものと一元的に捉えてしまっている方も多いように思います。今回は数回にわたってこの嫌われ者の持つ、正しい姿を解説していきたいと思います。 以前に投稿された二酸化硫黄に関わる記事はこちら ⇒ 二酸化硫黄無添加ワインの作り方 ⇒ ナチュラルワインは甘くないんじゃなか ...
二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2
前回は二酸化硫黄のもつ効能の一つとして、微生物や細菌に対する作用をご紹介しました。第2回目となる今回は、日本でももっとも代表的な使用例として認識されているであろう、抗酸化作用についてお話しをしたいと思います。 前回の記事はこちらから御覧ください。 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1 二酸化硫黄の持つ抗酸化作用 日本で販売されているワインのほとんどでは、そのラベル内に「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という記述を見つけることが出来るのではないでしょうか?この「酸化防止剤(亜硫酸塩)」という言葉が指している ...
二酸化硫黄、正しく理解していますか? 3
これまで二度に渡り、二酸化硫黄の持つ細菌や微生物の活動の抑制効用と抗酸化作用を説明してきました。しかし、二酸化硫黄の持つ効用はまだこれだけではありません。3回目となる今回も引き続き、二酸化硫黄の持つ効用についてのお話しを続けたいと思います。 二酸化硫黄の効用に関する以前の記事はこちらからご覧いただけます。 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 1 ⇒ 二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2 二酸化硫黄は酵素の活動も抑制する ワイン用ブドウに由来する酵素として、2種類の酸化酵素があることが分かっていま ...
二酸化硫黄、正しく理解していますか? 4
これまで3回に渡り二酸化硫黄の持つ効能の解説と、ワイン内に存在する理由の解説をしてきました。今回はさらに別の側面から二酸化硫黄がワイン中に入ってくる可能性についてお話していきたいと思います。 プロセス中に存在する二酸化硫黄は添加か無添加か 一般的に添加、という言葉はある物質を直接的に別のものに加えることを指しています。では、間接的に入ってきてしまうことを添加と呼ぶでしょうか? 実際に上記の問いに対する答えは、答える側の考えとその際に加わってくる量によって異なるのではないかと思いますが、ここで何を言いたいの ...
ブドウ畑に柱を立てる
ドイツではここに来て急に気温が上がり、春を通り越して一気に初夏、というような様相になっています。 ブドウの木々は芽吹きを早める一方で、今まで固く凍っていた地面も溶け始めました。ついにブドウ畑の仕事が始まります。 今、一部の畑では一気にブドウ畑への苗植えと、そこからの畑の構築作業が始まっています。 この”今日の仕事”というテーマでは日々、其の日に行った畑での作業の様子を伝えていきたいと思います。 [circlecard] 苗植えは半自動化で大幅な速度アップ 最近はブドウの苗を植える作業はそうい ...
ブドウ畑を支える縁の下の力持ち。~アンカー打ち
先日の仕事 (関連記事: ブドウ畑に柱を立てる)の続きとなる今回は、まさに畑を支える重要な部分であるアンカーの打ち込みと、そこにつながるワイヤーを集約する支柱の打ち込みでした。アンカー自体の打ち込みは特に問題なく進むのですが、とにかく時間がかかるのがそこにつながる支柱の打ち込みです。今日の作業だけによらず、柱の打ち込み作業全体に言えることなのですが、ここはとにかく作業者の性格が出るところなのです。 [circlecard] 角度と高さにこだわり抜いた末の美しさ 人によってはある程度の水平と、前後の並び ...
ブドウ畑にワイヤーを張る作業
昨日、畑の柱に通すワイヤーを支える支柱をアンカーとつなげる作業が終わったので、今日はいよいよワイヤー張りです。ところで、ブドウ畑の一列の間には何本のワイヤーが張られているかご存知でしょうか? 5本? 7本?? 惜しい、正解は6本です。 と言っても、これもまた好みに依る部分もあるため絶対というわけではないのですが、一般的には7本です。内訳としては、主にブドウの主枝を固定するのに使うのが2本、ブドウの成長に合わせて枝をまとめるために使うのが2本x2セットで4本、合計6本です。今日はこの枝を固定するための2本の ...
クローン、、、何かに似ていませんか?
ワイン用のブドウの話をしていると、それなりの頻度で耳にするのが”クローン”という言葉。個人的には理解するのに少々手間取ったものだったのですが、皆さんはどうでしょうか? クローンといえば羊のドリー すでに古すぎる話題の振り方、と言われてしまうかもしれませんが、筆者にとってクローンというと未だに羊のドリーという単語が真っ先に頭に浮かびます。人によってはすでにそもそも知らない単語と化しているかもしれませんし、風化してしまって記憶に残っていないかもしれませんが、1997年(すでに20年以上前!)に発表された、世界 ...
柱にみる考え方の違い
先日、”畑に柱を立てる”という記事をアップしました (関連記事: ブドウ畑に柱を立てる)。そちらの記事では触れていなかったのですが、この時に使った柱には、実際は杭といってもいいくらいのものなのですが、素材の違いも含めて多くの種類があります。それぞれの柱には長所や短所があり、どの柱を使っているのかでそのブドウ畑の特徴や、造り手の考え方を知ることが出来ることを皆さんはご存知でしょうか? 一度作ったブドウ畑は30年間変わらない 一度新しい畑を作ると、その畑はよほどの理由がない限りは20年から30年はそのままの形 ...
台木ってなんだ?
先日、クローンに関する記事を書きましたが(関連記事: クローン、、、何かに似ていませんか?)、このクローンという単語と同じくらいブドウ畑の中でよく聞く単語が台木です。今日はこの台木というものに焦点を当ててみたいと思います。 台木とは そもそも台木とは何でしょうか? これは読んで字の如く、台となる木のことです。これだけだとなんの説明にもなっていないですね。しかしその一方で、この言葉が台木の全てでもあるのです。 ブドウはクローンのお話しの際に書いたように、挿し木によって増やすことの出来る植物です。挿 ...
発酵について語ろう
今までに発酵を実質的に引き起こしている存在である酵母などについてはお話をしてきましたが、発酵それ自体については説明をしたことがなかったので、この機会に改めて発酵というものについて書いてみたいと思います。 発酵のメカニズム 上記の関連記事でも書いたとおり、発酵とは糖からアルコールと二酸化炭素を作り出す反応であり、その反応は酵母によって引き起こされます。ワイン造りにおいて酵母が必須、と言われる所以はここにあります。 どれだけ品質のいいブドウを造ろうと、醸造過程において酵母が介在しなければワインは絶対に造ること ...
発酵に酸素は必要か?
以前の記事”二酸化硫黄、正しく理解していますか? 2”で酸化は酸素と結合することではない、という内容のことを書きました。この内容自体は正しいことなのですが、この一方で、酸素の存在が”酸化”という現象を引き起こしやすいことは事実です。 つまり、そこに酸素があることで電子の移動が生じやすくなる、ということです。 酸素を完全に排除すれば酸化は防止できるのか ワイン造りの工程のすべての場所から酸素を排除することができれば、確かにワインの酸化はほぼ防止することが可能です。ただし、酸素の介在がなかったとしても電子の移 ...
ブドウ畑の緑化管理
ブドウ畑における緑化というものを考えてみたいと思います。 ぶどう畑を緑化する、と聞くと少し奇妙な印象を受けるかもしれませんが、単純に言ってしまえばブドウの垣根の間の地面に生える下草をどうするのか、ということです。全面を緑にするのか、除草剤の使用有無はともかくとして、完全に更地にしてしまうのか。実はこの対処方法にも重要な意味と目的があります。 下草の持つ意味 一般に畑の下草を生やすということに対しては、畑における生物多様性を確保するとか、何となく自然に優しいというようなイメージが先行するのではないかと思いま ...
支柱の固定と新梢の除去
今日は新しく作っているぶどう畑で支柱をワイヤーに固定する作業と、2年目以上の畑で芽吹いた新梢の一部を取り除く作業でした。 支柱をワイヤーに固定する作業では、何らかの材料でできているクリップを使って支柱をワイヤーに固定するのですが、この時に使われるクリップの種類はいくつかあり、その種類によって作業負荷が変わってきます。 [circlecard] プラスチックか金属か 多くの場合、この仕事で使われるクリップの種類はプラスチックか金属かに大別されます。 今回の畑で使われていたものは金属でしたが、以前働いた別の畑 ...
保護ネットの設置
今日は昨日に引き続き、新しく作っているぶどう畑で支柱の固定を中心にワイヤー上げなどを行っていましたが、昨日はやっていなかった新しい作業が苗を保護するためのネットの設置でした。これは、主にうさぎなどの動物から苗やそこから出てきた新芽を守ることが目的のもので、グローチューブなどと同じ目的を持ったものです。 [circlecard] チューブか、ネットか 今回の畑ではネットを使っていますが、以前に働いていた畑では塩ビパイプのようなものや、もっと薄手ではあってもやはりプラスチック素材のチューブを使っていました。特 ...
新梢の除去とその意味
今日は先日と同様、新梢の除去作業を行ってきました。 先日の支柱の固定と新梢の除去の記事でも書いたことですが、この作業は主に一つの場所から複数出てしまっている新梢(副梢)を除去するものです。普通は副梢の名の通り、メインの新梢は太く力強い一方で、除去すべき新梢(副梢)の方は細く、メインの新梢の横から生えているような場合がほとんどです。 このような場合には除去すべき新梢を迷うことはありません。このような状況下では、残されるべき新梢は自ずと残すと判断される諸条件を満たしています。 ところが、どちらの新梢も変わらず ...
ビオとエコは違うのか?
世の中のワイナリーを見渡していると、通常のワイナリーの他にビオロジックとエコロジック、ビオディナミッシュ(英語:バイオダイナミクス)というような区分を見つけることが出来ます。 今回はこの中でも、ビオロジックとエコロジックについて注目してみたいと思います。なお、筆者がこれらの単語をカタカナで表記することにどうにもならないほどの違和感を感じるため、以後はそれぞれ、Bio、Ecoと表記することにしたいと思います。 BioとEcoの違いは何か? そもそも日本ではこの辺り、特にEcoの概念に対する定義が曖昧なことが ...
Ecoの隣りにある問題
前回は主にドイツにおけるEcoとBioの違い、そしてEcoの認証をとるために求められる条件についての説明をしました。 今回は、ワイナリーが苦労して取得したEcoの認証が最近ではかえって問題になっているケースについてお話しをしたいと思います。これらの問題は、場合によってはワイナリーの経営自体を揺るがす可能性もある問題であり、決して軽く考えることの出来ないものです。ワイナリーはこの問題に際して、Ecoの認証を守るべきなのか、その認証を捨ててでも対応するのか、重要な決断を迫られています。 物議を醸す、銅の散布量 ...
Sauvignon Blancの躍進
先日の記事、存在感を増すSouvignon Blancで、以前はドイツで栽培される品種としてあまり聞かれることのなかったSouvignon Blancが最近その地位を上げてきている、ということを書きました。 実際にその後に訪れた、4月末にマインツで開かれたVDP主催の試飲会ではヴュルテンベルクをはじめとして複数の産地のワイナリーから、合計で29種類のSouvignon Blancで造ったワインが出展されていました。VDPに加入するワイナリーからこれだけの数の出展があったということに、Souvignon B ...
戦いが始まったぶどう畑
一日の日が長くなり、気温が上がってきたこの時期にぶどう畑での戦い、というと、筆者としては花粉との戦い以外の何ものでもないのですが、当然、今回の話題は違います。 気温が高くなり、日照時間が長くなってくると、ぶどうの発芽が続き、新梢が日に日に大きくなっていきますが、大きくなるのはぶどうだけではありません。様々な場所で越冬をした昆虫は活発に動き始め、育って欲しくない病気の原因となる菌類などもまたその活動を開始します。 新芽は比較的病気にもかかりやすいことから、新梢が伸び始め、葉が茂り始めたこの時期が、ぶどう畑に ...
新芽の除去
すべての畑を歩きながらRAKのディスペンサーを吊るし終わると、今度は新芽の除去の作業がやってきます。 この作業は以前の記事で書いた、副梢の除去作業とは似て非なる作業です。副梢の除去は誘引した枝から出ている余計な芽や新梢を摘む作業でしたが、こちらはむしろ幹の到るところから顔を覗かせる新芽や、すでに伸び始めてしまっている新梢を摘む作業となります。 関連記事 ⇒ RAKディスペンサーについてはこちらから: 戦いが始まったぶどう畑 ⇒ 副梢の除去作業についてはこちら: 新梢の除去とその意味 [circlecard ...
除草剤をめぐって
今日は先日と同様に、幹の部分に出た芽の除去を継続して行ってきました。なにしろこの作業、ブドウ畑に植わったすべての樹を一本、一本相手にしていきますのでとにかく時間がかかります。ブドウの品種や樹齢によっても芽の出方はかなり違うとはいっても、結局、一本一本を実際に視認しながら作業を行っていくことには変わりなく、また、この作業と並行して副梢の除去なども行っているので、時間は飛ぶように過ぎていってしまいます。 ここ数日でそれなりの数をこなしてきているとはいっても、もともとのブドウの本数が多いので、まだしばらくはこの ...
ドイツの赤ワイン
ここしばらく、急にドイツの赤ワインに関する記事を目にすることが増えたように思います。そして、その多くが近年におけるドイツの赤ワインの品質向上と、世界的な地位の向上を伝える内容となっています。 躍進中のドイツ赤ワイン 筆者自身も4月の末にMainzで開催されたVDP主催の試飲会で複数の赤ワインを試してみて、その変化には驚きました。特に、今までSpätburgunder (シュペートブルグンダー、Pinot Noir)の赤を造るには寒すぎる、とされていたMoselのワイナリーにも関わらず、とても品質の高い赤ワ ...
雨降りがもたらすもの
今年のドイツでは降雨量が例年と比較してもかなり少ないのですが、昨日、今日と雷を伴った断続的な雨が続いています。日本で言うゲリラ豪雨ほどの勢いがあるわけではないのですが、それでも二日間の合計ではそれなりの降水量にはなっているようです。 [circlecard] 雨のもたらすもの ぶどうに限らず、植物の成長に雨は欠かせません。雨が降り、それが土壌に吸収されることで初めて植物は根から水分を吸収し、成長を行っていくことができるようになります。 これが樹齢を重ねた樹であれば、根の到達深度がそれなりになっているため水 ...
芽掻きの時期はまだ続く
幹から出てくる新芽の除去をはじめてから今日で一週間になりますが、まだこの作業に終わりはきていてません。 合計で10 haを超える広さの畑を3人で手がけているから、ということがもちろん絶対的な理由としてあるのですが、それ以外にも畑のワイヤーを下げる作業などを並行して行っていることもまたこの作業に時間がかかっている理由の一つとなっています。 [circlecard] 雨のあとは作業量が増える ”雨降りがもたらすもの”という記事で書きましたが、ここに来て断続的ではありながらも降雨が続いています。 この、雨のあと ...
なくなる余裕
昨日の記事、”芽掻きの時期はまだ続く”で複数の作業が並行して行われていることを書きました。 この記事ではあくまでも準備として扱っていたのですが、一部の畑ではすでにぶどうが筆者の身長(約180cm)以上の長さまで成長している樹がちらほらと見え始めたことから、急遽、作業を行っていた畑を変えてワイヤー上げの作業を開始しました。しかもこの畑ではぶどうの品種が比較的成長の遅いものでもあったことから、芽掻き作業も後回しにしており、大慌てで芽掻きも行うという一日になりました。 [circlecard] 成長が約2週間速 ...
ワイヤー上げでの注意点
今日も今日とて芽掻きとワイヤー上げに従事しています。 昨日の記事、”なくなる余裕”を書いていた時点ではまだ芽掻き組とワイヤー上げ組は別れて作業を行っていたのですが、今日はいよいよ余裕がなくなってきたので全員でワイヤーを上げつつ、芽掻きをしながら進んでいく、という作業に変わりました。ぶどうの成長が速すぎて、来週にはもうワイヤーをもう1段階上げるようなのではないかと感じているくらいです。 [circlecard] ワイヤー作業で避けられないリスク さて、昨日の記事でも触れましたが、ぶどうの枝はとても脆く、本当 ...
フィロキセラとの戦いは困難さを増すのか?
以前、ブドウの天敵としてフィロキセラという昆虫がいることを紹介しました。 フィロキセラ対策の一番の方法は台木を使うことなのですが、この一方で一部の薬剤もこの害虫に対して効果があるとして使用されていました。それがネオニコチノイドといわれる系統の薬剤です。 薬剤を使う意味 台木があるのだから薬剤など不要ではないか、そんな声も聞こえてきそうですが、その考え方は残念ながら楽観的に過ぎます。 確かに台木は今のところは有効な手段として利用されていますし、実際にこれによってフィロキセラの被害の拡大は抑えられています。し ...
ぶどうの開花
今日、驚くべき一報が入りました。ドイツの一部地域で、すでにぶどうが開花したというのです。 確かに今年の天候は近年に増して少々異常で、雨が極端に少なく、気温の高い日々が続いていました。今日などは場所によっては最高気温が30度程度まで上がっていたほどです。しかし、だからといって5月のこの時期にすでにぶどうが、しかもリースリングが開花するなど聞いたことがありません。 [circlecard] ぶどうの開花時期 例年のぶどうの開花時期は、ラインガウ地域で6月の半ばです。 ぶどうの開花は大体、その枝に葉が12~13 ...
ナチュラルワインを買う理由
der deutsche Weinbauという雑誌にとても興味深い記事が掲載されたため、その内容を紹介したいと思います。 印象か、感覚か まずこの記事のタイトルは"Image vs. Sensorik"。敢えて少し意訳すると、"印象か、感覚か"となります。 この記事はとある調査結果について書かれたものでした。 その調査の内容は、 というものでした。なお、この調査における被験者はいわゆるワインの愛好家100名で、平均的なワイン消費者ではありませんでした。つまり、平均以上にワインに詳しく、かつワインの消費行動 ...
ぶどう畑の苦難
すでに何度もこのBlogでも書いてきましたが、今年のドイツは本当に暑く、まだ5月だというのに日中の気温が30度を上回る日が続いています。場所によっては洪水が起きるくらいに大雨が降っている一方で、ラインガウ近辺では雨が極端に少ないわりに湿度が高い、雨が降りそうで降らない毎日です。 こんななか、ぶどうは順調すぎるほど順調に成長しています。順調、というと聞こえは良いのですが、実際には速すぎる、というのが実感でもあります。ぶどうの高さはすでに2mを超えるほどになり、ワイヤーは柱の一番高い位置に設定する必要が出てき ...
除葉の季節
2018年のドイツは暑く、ブドウの生育が例年を遥かに超えて早く進んでいます。 その影響を受けて、ブドウ畑ではワイヤーがすでに一番上の位置まで上げられていますし、場所によってはすでにブドウの実の結実も確認され始めています。そんな状況を受けて、一部の畑では除葉作業が始められています。 除葉とはなにか? 除葉とは、文字通りにブドウの樹にある葉の一部を除去してしまう作業のことをいいます。以前はほぼ完全に人の手で行われていた作業ですが、最近は機械で行うことも多くなってきました。 植物にとって光合成を行う上でとても大 ...
成長点をいつ落とすか
ドイツ各地では南部地域を中心に相変わらず雹の被害が報告させており、悲惨としか言いようのない被害を受けた畑の写真なども目にします。特に枝が十分に長くなり、それにあわせてワイヤーを上げ、枝の整理も始めていたらしい畑でそのような被害があった写真をみると、本当に心が痛みます。 このような被害が出ている一方で、雹の被害を受けていない地域では順調すぎるほど順調にブドウは成長を続けており、枝の長さは2メートルをゆうに超えるほどになっています。 そうなると、ブドウ栽培者はいつ枝の先端を切り、高さを揃えるのかの判断をする必 ...
ワインの評価方法
このBlogでも時々、ワインに関するランキングや評定結果についての記事を書いています。これらの記事は注目度が比較的高いようで、読んでくださっている方も多くなる傾向があります。 そんな関心の高いワインの評価に関するお話ですが、実際にその内容についてお話をしていると、結果はご存知でもその評価がどのような審査方法を経て付いたものなのかはご存知でない方が多いように感じます。しかし、実際の評価方法を知っておくことはその結果を見ていく上で実は重要です。 今回は先日発表された、Decanter誌の”Decanter W ...
除葉をどこまでやるか?
2018年のドイツの夏は本当に暑く、雨の降らない日が続いています。このためブドウの生育は例年よりも遥かに早く進んでおり、ワイナリーにおける仕事もその分、前倒し、前倒しで進められています。しかし仕事の前倒しには常に時間と労力の確保が必須であるために、その時間や労力を確保できているワイナリーと、出来てないワイナリーとで現在行っている仕事の内容に差が出てきているのが現状です。 そんな中で現在筆者が日々、畑で行っているのが除葉の作業です。 今やる除葉の目的 以前にも除葉に関する記事は書いたため、除葉そのものに関す ...
ぶどうの日焼け
ブドウも人と同じように日焼けすることはご存知でしょうか? 除葉について書いた記事(「除葉をどこまでやるか?」)でも簡単に触れていましたが、ブドウの果実にあまりに強い陽が当たるとブドウも日焼けをしてしまいます。日焼けくらい、と思われるかもしれませんが、日焼けをした果実が混ざってしまうとワインに焦げたようなニュアンスが入ってしまうため、特に繊細な香りの白ワインなどでは避けるべきことと認識されています。 日焼けとはどのような状況か? 人の肌が日に焼けたとき、色の濃さに段階が出るように、ブドウの実にとってもある程 ...
斜面の使い方
ドイツのブドウ畑、というと、急斜面に沿って垂直方向に作られた畑をイメージする人が多いようですが、ドイツ語で”Terrasse (テラッセ)"と呼ぶ、斜面に対して水平方向に段々畑を作っていく方法も実際には多く取り入れられています。今日はそんな、Terrasseに注目してみたいと思います。 [circlecard] Terrasseとはどんな畑なのか ドイツ語のTerrasseとはそのまま、テラスや段差のある状態のことを意味しています。 ブドウ畑に関しても同様で、山の斜面を段々畑のようにし、その段差の谷側の縁 ...
斜面の畑、Terrasseでのお仕事
昨日の記事でTerrasseに関する記事をあげましたが、今日はそのTerrasseで筆者が最近従事している仕事の内容について書きたいと思います。 とは言っても、Terrasseだから、という類の仕事はそれほど多くありません。Terrasseを新しく作る、という話になればこれは全く別の話ですが、流石にこの作業を人力で行うことはありえませんので、一度作られたTerrasseにおいては日々必要になる作業は他の普通の畑と大きく変わらないのです。成長に合わせて伸びてきたブドウの枝を針金の中に入れたり、その針金の高さ ...
Federweißer(フェーダーヴァイサー)ってなんだろう?
すでに一昨日、8月6日のことですが、ラインヘッセンでフェーダーヴァイサー用のブドウの収穫が始まった、というニュースが出ました。 ブドウの品種はソラリス。果汁糖度は90エクスレだったそうです。ちなみに90エクスレ、という表現は日本では馴染みが薄いかもしれませんが、おおよそで言えば20Brix強というくらいの糖度ですので、相当甘くなっていたことになります。 ソラリスという品種は早熟の品種として知られていますが、それでもこの時期にこれほど糖度が上がることは通常無いことです。 まだ8月上旬といっていいこの時期にブ ...
瓶詰め作業、委託か所有か
今日は一日、ワインの瓶詰め作業に追われました。 ひたすらワインをボトルに充填し、栓がされたボトルをそのまま保管用の鉄製のかごに入れたり、箱詰めするものは箱に入れ、封をし、必要な情報を印刷し、そしてパレットの上に並べていくという作業を延々10時間近く続けていました。と言っても、これらの作業の多くは機械化出来ているので人手が必要になるのはワインが充填され、封がされたボトルを保管用の容器に並べたり、箱詰めしたり、その箱をパレットに並べたり、という作業とあとは必要な瓶や箱の供給をするといった作業になります。言って ...
収穫準備 - タンクの洗浄
ドイツのあちこちですでにフリューブルグンダー (Frühburgunder) などの早熟品種やゼクト (Sekt) 用のシュペートブルグンダー (Spätburgunder、Pinot Noirのドイツ語名) を中心とした各種品種の収穫が始まっています。筆者の勤めるワイナリーでもゼクト用のシュペートブルグンダーを来週早々には収穫する予定になっており、今はケラー(ドイツ語ではケラー <Keller>、英語ではセラー <cellar> となります)の準備に追われています。 ゼクト (S ...
収穫開始
ぎりぎりとはいえまだ8月の今日、筆者が勤めているワイナリーでも最初の収穫が行われました。 品種はSpätburgunder(シュペートブルグンダー)とDunkelfelder(ドゥンケルフェルダー)。Rosé Sekt用のベースワインにするためのぶどうです。ちなみにDunkelfelderという品種はあまり聞いたことがないのではないかと思いますが、Dunkel、つまり、”濃い”、”暗い”、という名前がついている通り絞ったジュースの色が濃い品種で、赤ワイン系のCuvéeを造る際に色味を強くする目的で混ぜられ ...
暑すぎた夏の代償
ドイツの今年の夏が暑かったこと、そのせいでブドウの成長が例年にないほど早く進んだことはこれまでの記事でも折に触れて書いてきました。その結果として、実際に今年の収穫はドイツ各地で未だかつてないほど早く始まることとなり、筆者の勤めるワイナリーでもすでに収穫が開始されています。 よく夏が暑くてブドウの成長が早くなるのは悪いことなのか、と聞かれるのですが、これは簡単に答えるのが難しい質問です。 暑くなるとワインは力強くなる この質問の答えの一つが、ポルトガルやスペイン、イタリアといった南欧の、そのなかでも暑い地域 ...
ダメージを受けたぶどうをどうするか
まだ本格的な収穫はごく一部でその大半がSekt用のベースワイン向け収穫などが中心となっているものの、勤めているワイナリーでも日々、収穫が行われています。 今までは立場的にも収穫の現場にいることが多かったのに対して、現在は主にケラーでの仕事を担当しているため畑には行かないことが増えました。では何をしているのかと言えば、朝からその日の行うプレスの準備をしたり前日に絞ったジュースに対して発酵前に必要となる下処理を進める業務を行っています。 収穫時期に畑に行かない、というとなんとなく楽な仕事をしているようなイメー ...
圧力をどう操作するか
ようやく終わりが見え始めた2018年の収穫。慌ただしい、なんて言葉が生ぬるいほどバタバタだった日常も徐々に、落ち着きを取り戻し始めています。 多い日には5回ほど回していたプレスも2,3回ほどになり、それにともなうフィルターがけなども併せてその回数を減らしています。 多少の落ち着きが出てきたので、ブログの記事執筆を再開しつつ、この収穫中の仕事を振り返ってみたいと思います。 [circlecard] 収穫期のお仕事 ケラー要員として動いていた筆者の収穫期における主なミッションは、畑に出ることではなく、まさにケ ...
醸造に関わる測定項目
ぶどうの収穫から始まるワインの醸造は、知らないとその意外さに驚くほど科学的(化学的)に進めていきます。その代表的なものが、各種項目の測定です。 もちろん醸造家によっては、昔ながらの経験に基づく勘であったり、その意味をわかった上での哲学的もしくは信条的な判断に基づいて細かい測定を行わずにワインを醸造していく場合もありますが、全体から見ればそれはごく少数の、稀なケースに分類されます。 何よりもまず知らなければならないもの まず、もっとも知らなければならない数値、それがぶどうの果汁糖度です。 果汁糖度はぶどうの ...
種蒔きの季節
例年よりも早めのぶどうの収穫が終わり、ケラーでタンクに入れられたジュースが順調に発酵を進めている今、ワイナリーでは休暇気分を味わっている場所も少なくありません。 しかしその一方で、すでに来年に向けた仕事もまた、始まっています。 ぶどう畑に緑を 以前、”ブドウ畑の緑化管理”という記事でぶどう畑における下草管理のことを書きました。 この時の記事でも触れたのですが、ぶどう畑における下草をコントロールすることにはいろいろな意味があります。それは、土壌中の栄養素の管理のみならず、単一植栽のモノトーンな畑における生物 ...
プレスのはなし
ワインを生産するために欠かすことの出来ない装置、というものは複数存在しています。そんな中でも特に重要度の高いものがプレスでしょう。 赤ワインでは多少状況は変わるのですが、概要的にみれば狭義のワイン造りはぶどうを搾り、ジュースを得ることから始まります。この、ぶどうを搾る、という行為に欠かすことの出来ない装置、それがプレスです。 プレスの種類 プレスにはいろいろな種類があります。 これは製造メーカーの種類、という意味だけではなく、その機構の種類、という意味でも同様です。 昔、むかし。プレスの起源の頃に遡れば、 ...
アルコールフリーワイン
ワインを売る立場でお客さんと接していると、そこまで多くはなくとも多少の驚きを感じる程度の頻度でアルコールフリーのワインについての質問を受けます。 筆者個人としては、日本にいた頃から”アルコールフリー梅酒”とか”アルコールフリービール”というものを目や耳にすると、口には出さないまでもそれはもう梅”酒”でもビールでもないだろ、という感想を持っていたこともあり、このアルコールフリーワインというものに対する需要に対しても、それならブドウジュースでいいんじゃないか?というある意味で失礼な感想を心の中で呟いたりしてい ...
SILVANER ‐ シルヴァーナー
Foto: Rebschule Frytag 概要 Grüner Silvaner、Sylvanerとも呼称、表記されるドイツにおいて350年以上栽培され続けている伝統品種。オーストリアが原産と考えられている。トラミナー種とオーストリア系の土着品種であるエスタライヒッシュヴァイス (Österreichisch Wieß) の自然交配種。 安定的に収穫量を見込むことができる品種であるため、1970年代にはドイツにおけるワイン用ブドウの全耕作面積の30%以上を占める最大耕作品種でもあった。 Blauer S ...
プライバシーポリシー
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発酵途中の温度管理 | 液温を下げる
白ワインの発酵は低温でする。 こんな話を聞いたことがある方、多いのではないでしょうか。ではなぜ白ワインは発酵を低温でするのでしょうか。赤ワインでは温度を下げなくてもいいのでしょうか。おそらくこうした疑問は多くの方が一度は持ったことがあると思います。 ワイン造りにおける温度管理の理由や影響はいろいろな要素と密接に関わり合っていて複雑です。温度を上げたり下げたりすると同時発生的にあっちにもこっちにも影響が出ます。そうした影響の内容が、白ワインでは醸造過程で温度を下げることが多いのに赤ワインではあまりやらない理 ...
グリューワインというワインの飲み方
Foto: bitt24/Shutterstock ドイツの冬といえば、グリューワイン(Glühwein)がとても有名です。 特にドイツ各地で開かれるクリスマスマーケットでは無くてはならない定番のものの1つであり、寒い中クリスマスマーケットを訪れたドイツ人たちはこのグリューワインを片手に友人たちと語らいながら時間を過ごしています。最近では日本でもビンに入れたものを売っているところが増えてきているようですし、日本各地で開かれるドイツ式クリスマスマーケットを合わせて少しずつ馴染みが増えてきているのではないでし ...
グリューワインの知られざるあれこれ
前回はグリューワインの歴史や作り方を見てきました。 ほっとするような温かさと、ちょっとピリッとするスパイスの風味を感じつつもほのかな甘さで思わず一息ついているとふと疑問に思うことがいくつかあります。グリューワインのアルコール度数ってどれくらいなのか、いつ飲むものなのか、そもそもグリューワインってワインなのか?今回はこんな疑問の数々に焦点を当てていきたいと思います。 グリューワインは”ワイン”なのか? グリューワインはワインをベースにしてはいますが、複数の香辛料や砂糖、もくしはハチミツによって味を整えられた ...
SYRAH - シラー
Foto: Rebschule Freytag 概要 SyrahもしくはShirazと表記、呼称されるが同一品種。主にSyrahの表記はフランスを中心としたヨーロッパ圏で使用され、ローヌ地方に見られるような黒胡椒のニュアンスを伴ったスパイシーで繊細なスタイルのワインを、Shirazの表記はオーストラリアをはじめとしたニューワールドで主に使用され、Barossa Valleysに代表されるような力強いスタイルのワインをそれぞれ表していることが多い。 DurezaとMondeuse blancheの自然交配品 ...
CABERNET SAUVIGNON - カベルネ ソーヴィニヨン
Foto: Rebschule Freytag 概要 世界中で200,000 haを超える耕作面積をもつ、世界で最も栽培されている品種。フランスのボルドーを原産地とする、Cabernet Franc (カベルネ・フラン)とSauvignon blanc (ソーヴィニヨン・ブラン)との自然交配種。 小粒で厚い果皮を持つため、ワインにすると色が濃く、タンニンの強い味わいとなりやすい。 特徴 房は長めな一方で、粒は小さいか中程の大きさ。丸い形状をしており、果皮は色が濃く厚い。果肉は固め。 厚い果皮から抽出される ...
PINOT NOIR | SPÄTBURGUNDER - ピノ・ノワール
Foto: Rebschule Freytag 概要 ローマ時代の文献にすでにその存在を確認することのできる、世界中で最も古くからある赤ワイン用ブドウ品種の一つ。ブルグンダー種。ブルゴーニュを起源とする野生品種の一つと考えられている。 冷涼な地域や海の近い地域に広く分布している。成熟は遅い。Pinot BlancやPinot Grisなど多くの品種の祖先であることが判明している。 特徴 変異しやすい特徴があり、クローンによって極めて多岐に渡る外観の房をつける。その範囲は小さくコンパクトなものから、バラ房気 ...
SAUVIGNON BLANC - ソーヴィニヨン・ブラン
Foto: Rebschule Freytag 概要 フランス、ロワール上流部を原産とするブドウ品種。基本的に冷涼な地域での植栽に適正を持っているが、世界中に広く分布している品種でもある。冷涼な地域で栽培すると、干し草やグリーンピーマンのような野菜的な香りを持つようになることでも知られている。 世界のワイン生産における最も重要なブドウ20品種の一つにも数えられている。 特徴 小型で果実がコンパクトに詰まった房をつける。粒の形状は小さな丸型。完熟すると黄色みの強い黄金色に色づく。 一般的な辛口のスタイルから ...
PINOT BLANC | WEISSBURGUNDER - ピノ・ブラン
Foto: Rebschule Freytag 概要 14世紀から存在するブルグンダー種。ピノ・ノワール (Pinot Noir) からの変異種と見られている。 遺伝子的に不安定な部分があるため、変異しやすいことでも知られている。このことから、数多くのクローンが存在している品種でもある。 特徴 ブルグンダー種の中でも花振るいしにくい品種であり、収穫量を大きくしやすい特徴がある。樹勢は半ばから強めである一方で、副梢の量は少なめ。 典型的とされるブドウの房は中くらいから大きめで、詰まり気味に実をつける。果実に ...
RIESLING - リースリング
Foto: Rebschule Freytag 概要 Gouais blancとトラミナー系の野生ブドウ種 (Vitis-Silvestris) との自然交配によって生まれた品種とみられている。ドイツでの耕作面積が世界全体の耕作面積の半分以上を占めており、ドイツにおけるもっとも重要なワイン用ブドウ品種といえる。熟成が遅い品種として知られる。 特徴 伝統的なクローンでは小型でコンパクトな房をつけるが、一方で最近作られたクローンではバラ房気味でボトリティスに対しても高い耐性を持つようになってきている。 一粒一 ...
CHARDONNAY - シャルドネ
Foto: Rebschule Freytag 概要 ブルグンダー品種の一つであるが、世界中のあらゆる気候帯において植栽されているワイン用ブドウ品種におけるグローバルプレーヤーの一つ。DNAの鑑定結果によればピノ種とGouais Blancとの自然交配種である。 特徴 典型的な円筒形の房をつけ、丸い形状の粒をつける。果皮は薄く、黄色の入った緑色。果実の熟成が進むにつれて色は黄金色からアンバー系に色づいていく。 半ばから強めの樹勢を持つが、副梢の成長は控えめであることに加え、樹が熟成しやすいため寒さにも強い ...
BACCHUS - バフース (バッカス)
Foto: Rebschule Freytag 概要 南プファルツ地方にあるガイルヴァイラーホフにおいて1933年にP. Morio博士とB. Husfeld博士の両者によって交配され、1972年にドイツにて認定を受けた品種。Silvaner (シルヴァーナー) x Riesling (リースリング) の交配品種にさらに Müller Thurgau (ミュラートゥルガウ) を掛け合わせている。ドイツとイギリスが代表的な生産地だが、スイスでも植栽されている。 特徴 早熟な品種で、果汁糖度も上がりやすい特徴 ...
AUXERROIS - オーセロワ
Foto: Rebschule Freytag 概要 中世から存在しているフランス原産のブルグンダー品種の一つ。ブルグンダー種とGouais blancの自然交配による掛け合わせ品種。アルザスなどのフランス北部、ルクセンブルク、ドイツなどで植栽されている早熟品種。 特徴 中ほどの大きさで比較的バラ房気味の実をつける。粒は丸からオパール形状で、黄緑色の果皮を持っているが果実の熟成が進むと茶色くなる。樹勢はそれほど強くない Foto: Rebschule Freytag ワイン 酸が少なく丸みを帯びた味となる ...
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Nagi's Wineworld
「Nagi's Wineworld ‐ 醸造家の視ている世界」はドイツのガイゼンハイム大学でワイン用ブドウ栽培学およびワイン醸造学で学位を取得し、現在はドイツ国内のワイナリーに勤務しているエノログが本職の醸造家としての視点からワイン用ブドウの栽培およびワインの醸造、ワインの品質管手法をはじめ、ワイン全般にまつわる情報を発信することを目的としたサイトです。 ワイナリー関係者の方以外にも、ソムリエの方、関連資格をお持ちもしくは取得に向けて勉強していらっしゃる方、そしてワインがお好きな方皆様に広く利用していただ ...
サイトのご利用について
Q1: サイトに掲載された記事や写真を電子、活字、電波媒体などで引用できますか。 当サイトに掲載されている記事、画像、動画を含むコンテンツはすべて無断転載禁止です。記事の転載をご希望の場合には下記、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。 Q2: サイトに掲載された記事の内容がほかのサイトに記載された内容と異なっているのですが。 当サイトに掲載しております記事の内容の正確性に関しましては細心の注意を払っていますが、記事の執筆時点、国や生産者、時期、統計の種類等によって記載の内容と異なる ...
お仕事のご依頼について
フリーランスの醸造家としてもお仕事をお引き受けさせていただいております。 主にお受けしている内容は以下のようなものですが、これ以外にも何か面白そうなお仕事あれば、ぜひ!お気軽にご連絡ください。 上記に記載している価格は参考価格となります。納期や内容によって変動しますので、予めご了承のほどをお願いいたします。またいずれのご依頼にもご請求書の発行および日本円でのお支払いが可能です。ユーロでのお支払いをご希望の場合には別途ご相談ください。 納期についてコンサルティングやセミナー等の講師以外のご依頼につきましては ...
二日酔いを避けるために。アルコールの分解を知ろう!
日本でもドイツでも年末年始は普段に増してアルコールを飲む機会が増えます。機会が増えれば飲む量も自然と増えるもの。 今回はそんなアルコールの分解と、上手に二日酔いを避けるための方法についてです。 アルコールはどう分解されるのか ワインをはじめとしたアルコール含有飲料を飲むことによって体内に摂取されたアルコールは基本的に肝臓で最終的に水と二酸化炭素にまで分解され、尿として対外に排出されます。この時に実際にアルコールを分解する役割を負っているのが肝臓内に存在する各種酵素です。 なお、アルコールの分解は加水分解反 ...
ブドウ栽培の北限の現在
当サイトの”ドイツはブドウ栽培の北限の地か…?”という記事がありがたいことに非常に多くの方に興味を持っていただき、読んでいただけています。 こちらの記事で指摘したことなのですが、最近のワイン用ブドウの栽培における世界地図を語るうえで、北限、もしくは南限はドイツがブドウ栽培の北限と呼ばれていたころと比較して、気候変動を背景により北へ、南へとシフトしています。今回はこの栽培地シフトの様子を、もう少し具体的な状況を交えつつ、見ていきたいと思います。 以前の記事はこちらから。 昔の北限はドイツだった まずはおさら ...
次代のワイン大国?ポーランドの可能性
この記事は2018年5月21日に旧ブログサイトにて公開したものに一部加筆して転載しています 今日から少し前になるのですが、5月10日にOSNABRÜCKER ZEITUNGというメディア上で、『Polen könnte der größte Weinproduzent in Europa werden』(”ポーランドは欧州における最大のワイン生産国になり得る” 元記事はこちら )と題した記事が掲載されました。 その内容は最近のワインを取り巻く世界の環境を考えればある意味ではそれほど驚くべきことも ...
ドイツワインTOP100
Foto: JAMESSUCKLING.COM すでに昨年のことですが、2018年12月13日にJAMESSUCKLING.COMというインターネットのメディア上で2018年のドイツワインTOP100と題した記事が公開されました。今回はこの記事を紹介します。 2018年のベストはDönnhoffのDellchen Riesling GG 今回発表されたランキングの1位はナーエにある、世界的にも有名なワイナリーの一つであるDönnhoffの2017 Dellchen Riesling trocken Gro ...
世界で最も高価な白ワイン
ランキングに関する話題が連続してしまいますがせっかくなのでこちらの記事、”Die 10 teuersten Weissweine (最も高価な白ワイン10種)”もご紹介したいと思います。 この記事はやはりインターネットメディアであるCaptain Cork Buchというサイト上に公開されたものですが、データ自体はwine-searcherのものを引用しています。Captain Corkはドイツのサイトということもあってドイツワインがランキングされていた白ワインのみの紹介となっていましたが、ここではせっか ...
ブリティッシュ・スパークリングワイン | ブドウ栽培北限の国の戦略
ワインの勉強をしているとほぼ確実に耳にするであろう、”ワイン用ブドウ栽培の北限”と呼ばれる地域が最近、従来北限と言われていた国よりもさらに北にシフトしつつあることを以前の記事で書きました。これは主に世界中に影響を及ぼしている気候変動に伴う温暖化が原因となっており、最近における新たな北限はイギリスであったりスウェーデンであったりしています。 一方でこれら、新たなワイン用ブドウ栽培における北限の国々におけるブドウの栽培は楽なものではありません。ブドウを栽培できることと、ワインとして満足できる品質を確保できるこ ...
マグナムボトルであることの意味
マグナムボトルというものをご存知でしょうか? 主にワイン用に使われるボトルには様々な種類があり、それらは主に内容量によって区別されています。”マグナムボトル”とはまさにこの「内容量」に基づく区分の一つで、通常のワインボトルの2倍の大きさをもつボトルのことを意味しています。ワイン用に使用される最も一般的なボトルのサイズは750mlですので、マグナムボトルはこの2倍、つまり1500mlの内容量を持つボトルのことになります。 一般的にマグナムボトルに詰められたワインは、通常サイズのボトルに詰められた同一のワイン ...
トラクターを転がせ!
「ワイナリーで仕事をする上で、欠かすことのできない道具を一つあげるとしたらそれは何でしょうか?」 もしも人からこんな内容の質問を受けたらまず間違いなく それはトラクターです と即答する自信があります。 ワインを造る上で必須の道具というものは実際のところ無数にあります。タンク、ホース、ポンプ、ハサミ、バケツといったまさに”必須!”というものから、フィルター、樽、長靴、手袋、防寒具などのようなあるに越したことはない、というものまでもうそれは枚挙にいとまがありません。 なのになぜ、トラクターこそが必須!と言って ...
アイスワインを造るというギャンブル。果たして気温は下がるのか
異様なまでに暑く、乾燥した夏を経験した2018年のドイツ。そんな気候から一転して湿度の高い冬に、多くのワインメーカーが頭を抱えています。 最近は世界的にも辛口のワインが存在感を増してきているとは言っても、外から見たらまだまだ甘口ワインの印象が強く残るドイツのワイン。そんなドイツの甘口ワインの中でも毎年その生産の可能性が話題になるのが、アイスワイン(Eiswein)です。 アイスワインは凍らせるものではなく、凍ったもの そもそもこのアイスワインというワイン、”アイス”という名前が付いているがために凍らせるワ ...
アイスワインの収穫
新たな2019年の年が明けて3週間、多くのワイナリーが半分以上も諦めながらそれでも待ちに待っていた情報が流れました。気温が一気に下がったのです。 天気予報が伝えたドイツ各地の最低気温は軒並みマイナス7度を下回り、場所によってはマイナス10度にまでなりました。アイスワイン用のブドウを収穫することが許された瞬間でした。 [circlecard] 一気に下がった外気温 この線グラフはラインガウ (Rheingau) 地方に数あるブドウ産地のなかでも、有名なワイナリーが多く集まっているラインガウの中心地の一つとも ...
徹底解説 | スパークリングワインの造り方
シャンパンに代表されるスパークリングワイン。パーティーなど華やかなシーンでは欠かせない存在です。 この炭酸ガスを含んだ発泡性のワイン、一体どうやって造っているのか疑問に思ったことはないでしょうか? 造り方の説明はよく見かけますが、具体的な工程の流れをおさえて解説している日本語の記事は意外に少ないようです。具体的な造り方を知っているとそれぞれの方法で造られたスパークリングワインの持つ特徴も分かりやすくなります。 そこでこの記事ではそれぞれの製造手法の工程をおさえつつ、そこから生まれる特徴や違いを解説していき ...
ワインに品質管理は不要!?半端な自然派という無法地帯が広がる危機感
とある自然派ワイン愛好家の方が書いていた文章で興味深い内容のものを目にしました。 その記事は自然派微発泡ワインである「ペティアン・ナチュール」を説明するものです。その記事で書かれていたことをざっくりと要約すると、 という内容が書かれていました。 なお念の為修正をしておくと、ここに書かれている“瓶内で二次発酵が生じる”という記載は誤りで、正確には一次発酵が瓶詰め後も継続される、です。 このような記事を読むと、「自然派」という言葉が最近のワイン業界における一つの免罪符になりつつあるように感じます。 泡立ってい ...
品質管理のキホンのキ | 二酸化硫黄の使い方
ワイン醸造における品質管理を考える際にもっとも基本となることは亜硫酸の添加です。 この亜硫酸、亜硫酸塩、酸化防止剤などともラベル上で記載されています。亜硫酸と亜硫酸塩とでは厳密には異なる物質を指しているのですが、基本的には二酸化硫黄 (Sulfur Dioxide: SO2) と表記される物質を意味しています。 筆者が日々の仕事をしていく上ではSO2の表現が最も一般的であり、慣れているためこの記事での表記は"SO2 (亜硫酸) "に統一しています。(純粋な物質として二酸化硫黄 (SO2) を指し ...
発酵途中の温度管理 | 液温を上げるタイミングとその温度
ワインの醸造を行っていく場合に、ブドウを絞ったジュースや発酵後もしくは発酵中のワインの温度を意図的に上げたり下げたりすることがあります。 ジュースやワインの温度を下げるケースに関しては、「発酵途中の温度管理 - 液温を下げる」という記事でまとめました。 今回はこのケースとは逆のケース、温度を上げる場合についてそのタイミングと設定する温度について解説します。 発酵前に液温を上げる手法はもちろん白ワインの醸造においても意味を持つものですが、特に赤ワインの醸造において大きな意味を持ちます。中でもブドウの健康状態 ...
ワインが造れなくなる日
2018年という年は少なくとも欧州におけるワイン業界では極めて良好な、歴史的な大豊作のヴィンテージになったと振り返られています。 確かに2018年は欧州としては考えられないほど暑く乾燥した夏が驚くほど長く続いた年でした。このためブドウは例年以上に健康的な状態のままに熟成期を迎え、そのままに高い糖度を持つに至りました。この傾向はかつてはワイン用ブドウ栽培の北限と言われたほどに気温が低く、ブドウの熟度が上がりにくいとされていたドイツでも同様でした。 収穫が終わった今になって振り返ってみれば、2018年という年 ...
酸化防止剤が頭痛の原因というのは本当か | ワインあるある
最近は耳にすることが幾分か減ってきている気もしますが、ワインに含まれる酸化防止剤、つまり亜硫酸や亜硫酸塩と呼ばれる添加物がワインを飲んだ際に生じる頭痛の原因だとする言説があります。 まことしやかに囁かれ未だに信じている人も多いであろうこの説ですが、本当に正しいのでしょうか? 今回はワインを飲む際に生じる頭痛の原因についてまとめるのと併せて、それらと酸化防止剤との関係についてまとめます。 そもそも酸化防止剤とはなんなのか まずはおさらいです。 ワインに添加される酸化防止剤とは一般的には二酸化硫黄と呼ばれる化 ...
徹底解説 | フィロキセラ
Phylloxera (Viteus vitifoliae). Woodcut engraving from the book "Gartenbau-Lexikon (Encyclopedia of Horticulture)" by Th. Rümpler. Published by Paul Parey, Berlin (1882) 2019年3月5日、オーストラリアのヴィクトリア州ヤラ・ヴァレーのブドウ畑で新たにフィロキセラによる被害が発生した、というニュースが流れました。 フィロキセラといえばブド ...
ブドウの根に差はあるのか | 自根へのこだわり
Quelle: http://www.waxandgrafts.com/wax-and-grafting-process ワイン用ブドウの栽培家にはブドウの「根」に異様なまでのこだわりを見せる人が相当数いらっしゃいます。 彼らの見ているものは、「自根」のブドウです。 ワインの業界にいると相応の頻度で出会うのが、この「自根」を特別視する風潮です。誤解を恐れずに言えば、ワインを勉強している方であればあるほどこの風潮に流される傾向が強いようにも思えます。 では、この「自根」であることは本当に意味があるのでしょう ...
MERLOT - メルロー
概要 フランスのボルドーを原産とする早熟系の赤ワイン用ブドウ品種。14、15世紀にはすでに存在していたとされる、カベルネ・フラン (Cabernet Franc) とマグダレーナ・ノワール・デ・シャラント (Magdeleine Noire des Charentes) の交配品種。 世界中において栽培面積が増加を続けており、2015年には約270,000ヘクタールに及ぶなどカベルネ・ソーヴィニヨンについで第2位の生産量を誇っている。 カベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨン ...
春を目前にしたブドウ畑の大改修 | ワイナリーの仕事
ワイナリーの仕事といえば、一番に思いつくのはブドウの収穫だという人も多いと思います。 ブドウの収穫はワイン造りの一つのハイライト。これはもう別格と言っていいでしょう。 確かにワイン用ブドウの栽培において最大の目玉はブドウの収穫ですが、これ以外の普段は目立たない、あまり知られていない仕事の数々も決して軽んじることのできない仕事です。 今回は、春を間近に控えたこの時期にワイナリーではどんな仕事をしていの?というかなりニッチな疑問にお答えしたいと思います。 [circlecard] 冬の山場は剪定作業 ワイナリ ...
ドイツのベストワイナリー
規模の大きなところから小さなところまで、星の数ほどワイナリーが存在するドイツ。その多くは本当に小規模な家族経営によるもので、すべてを網羅することはほぼ不可能です。 一方でそんな数多あるワイナリーの中でも有名どころというものはやはり固定する傾向にあり、誰による、どんな評価やランキングを紐解いてみても必ず出てくる名前、というものも存在しています。 今回はドイツでも有名なワインガイドの一つが掲載しているドイツワイナリーのベストランキングをご紹介します。 今後、ドイツワインを選ぶ際の参考にしてみてください。 ドイ ...
ワインの天敵、硫化臭の正体と取り除き方
ワインの醸造をしていると、どんなに気をつけていても何らかのエラーが発生してしまうことがあります。 そんなエラーの中でも特に発生頻度の高いものの一つが、硫化臭です。 硫化臭はいわゆる腐ったタマゴの匂いであり、臭いの種類としてとても目立つものでもあります。ボトルを開けたときにこの臭いが出てしまうとそれだけでワインに対するイメージを低下させる可能性の高いものでもありますので、ワインを造る側としては絶対に避けたいオフフレーバーの一つです。 そんなワイン造りにおいて厄介な硫化臭ですが、予防する手段、発生してしまって ...
日がな一日木を切った日
[circlecard] 畑のエイリアンを駆逐する どうにか所有するすべての畑で壊れた柱の入れ替えや切れたアンカーやワイヤーの修理が終わり、仕事は次のステップへと進むことになった。 とはいっても剪定した枝の誘引やワイヤーの引き下ろし作業は基本的に東欧方面からの季節労働者の方にお願いすることになったため、我々はまた別の作業に取り掛かることに。 この時期にやる作業としてはいくつかあるものの、今日はイレギュラーともいえる畑のエイリアン退治をすることになった。そう、どこから出てきたのかわからないけれど、畑のあちこ ...
リアル倉庫番な一日
[circlecard] 効率はパズルのように 「倉庫番」といってどれだけの方に分かっていただけるかはわからないけれど、要は週明けに予定されているボトリングのためにほぼ一日中フォークリフトに乗って倉庫の整理をした一日だった、ということ。 現在勤めているワイナリーではボトリングのための充填設備を自分たちの建屋内には常備しておらず、ボトリングのタイミングに合わせて外部から運び込んでいる。 規模の小さなワイナリーではこのような場合にワイナリーの外に充填設備を設置して作業を行うような場所もあるのだが、それだと天候 ...
ワイヤーヒーター、新しい霜害対策となるのか
ここ20年ほどで欧州においてブドウが遅霜による被害を受ける事例が増えてきています。ドイツで見てみれば、1997年、2003年、2011年、2017年と4度もの大被害を記録しているのです。 今年も4月に入ってフランスやドイツのあちこちで夜間の冷え込みが強くなることが予想され、霜の被害を受ける可能性が高くなったことから畑で火を焚いたり送風機を用意したりという事例が報告されています。 こういった被害の背景にあるのは冬の気温の上昇に伴うブドウの発芽の早期化です。 ブドウの発芽の早期化については「早すぎる程に早いブ ...
ボトリングからのトラクター作業
[circlecard] ボトリングから始まった1日 今日は朝からボトリング。 いつもより1時間早く職場に向かい、ホースやポンプといった器材を準備。ボトリングの装置自体は金曜日に場所を開けておいた倉庫の中に昨晩中に搬入されていたので、今日は熱湯を通して消毒しつつホースなどの接続をするだけですぐに作業を開始できる。 本日のボトリングのノルマは3種類のワインを合計で約9000リットル。内の1種類はちょっと特別なワインなため、使用するボトルもコルクもコルクキャップも、そしてエチケットも完全な別仕様。なので作業中 ...
ドキドキのトレーラー牽引、そしてまさかの剪定作業再び
[circlecard] 器材の洗浄とドキドキのトレーラー牽引 昨日の慌ただしい朝から一転して、今日は静かなスタート。 まずは昨日使いっぱなしになっていた、剪定した枝を破砕するための器材を洗浄することから仕事を始めた。 「器材」といっても実際はトラクターにくっつけているアタッチメントなので気軽に手に持って洗うなんてことは当然出来ない。なのでトラクターにくっつけたまま洗浄しても問題のない場所まで移動し、上げられる最大の高さまでトラクターの牽引用フックを持ち上げた状態で高圧洗浄機を使って洗浄する。 装置の内部 ...
シリーズ記事
シリーズものとして連載しているカテゴリーとその内容は以下のようなものがあります。 徹底解説シリーズ 栽培、醸造、品質管理等の分野を問わずに、一つのテーマに対して専門性の極めて高い内容を解説しています。 専門知識がなくとも理解できるように書いてはいますが、記事の特性上、化学式など内容の理解には時として多少の専門知識が必要となる場合もあります。主に専門家の方やそれに準じる方に向けた記事のシリーズとなります。 ワインあるあるシリーズ 徹底解説シリーズとは逆に、一般のワイン愛好家の方に ...
ライター
Masato Nagasawa (Nagi) ワイン醸造家 / ブドウ栽培家 (エノログ) ワインをきちんと知ったのはドイツに来てからという異色な経歴を持つ醸造家。 「ワインは所詮は酒であり、嗜好品の一つにすぎない」が口癖。嗜好品だからこそワインは美味しくあるべきで、ワインメーカーはそこにこだわりを持たなければならない、というのがワイン造りにおける行動原理。 周りからはアンチ自然派ワイン側にいると思われているが、実際は美味しければ造り方に対する思想的こだわりは全くもっていない。 ワインの”ワ”の字も正確に ...
トラクターは肥料の香りと共に
[circlecard] 小雨の中での誘引作業 今日は朝から雨だった。 ブドウ畑での作業に雨はつきもので、多少の雨なら構わずに畑作業をすることが多い。ただその一方で、雨が降るとその程度に関係なくできなくなる作業もある。 その代表例が各種薬剤の散布だ。 これに対して誘引作業というものは天候は関係ない。むしろ雨が降っていると湿度が高く、ブドウの枝も柔らかくなるので都合がいいとさえ考える。つまり、今日の朝一番の仕事は昨日剪定を完了した畑での誘引作業だった。 誘引作業自体は雨だろうと特に問題ないのだけれど、困るの ...
イースター前は静かな1日
[circlecard] アンカーワイヤーの修理は5分で終わる 明日からドイツではイースターの連休。 そんな連休前の仕事は昨日の自分の失敗の尻拭いから始まった。そう、昨日のトラクターを使っての施肥の途中で切ってしまったらしいアンカーワイヤーの修理だ。 昨日の夕方に同僚から電話で伝えられた場所に行ってみると、確かにアンカーワイヤーが切れている。ただ、どうにもそのワイヤーがある列にトラクターを入れた記憶がない。 なにかおかしいと思いつつ、切れたワイヤーの断面を見てみるとすでに酸化していて昨日今日切れた断面では ...
ワインのボトルは何で閉めるか
棚に並んでいるワインのボトルを見ていると、実に様々な種類の栓を使ってボトルが密閉されていることがわかります。コルク、合成コルク、スクリューキャップなどなど。最近は技術の発展に併せてシリコン系のものも出てきています。 どんなワインにどんな栓を使うのか。 そこにどんな意味があるのか。 もしくはどんなワインにはどの栓を使えばいいのか。 ワインを楽しむ側も、造る側もそんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか? ふと気になってデータを調べていたところ、少し古いですが2017年にドイツで使われていた栓の種類とそ ...
畑の整備も完了間近
[circlecard] 連休明けは畑の案内から 先週の金曜日からドイツはイースターの休みに入り、昨日の月曜日まで4連休。この連休中はとにかく天気が良く、気温も25度近くまで上がるなど春を通り越してすでに初夏の雰囲気となった。 この天気を受け、連休前はまだ固めだったブドウの芽も一気にほころび、休み明けの今日にはすでにほぼすべての畑で芽吹きを確認できる状態になった。 去年は3月末には発芽の記事を書いていたので、それに比べると幾分遅いようにも思えるが、長期平均と合わせればまだ数日から1週間程度速い生育状況とな ...
トラクター作業は怖くない
[circlecard] Terrasseでの除草剤散布 今日はビンゲンにある畑での作業指示が出ていたものの、まずはヴァルハウゼンの畑での作業から1日が始まった。 ヴァルハウゼンには通常の形式の畑の他に、急斜面を横断する形でTerrasseと呼ぶ形式の畑がある。このTerrasseはその形から通常の作業では対応できない、もしくは対応しにくい作業がある。 その一つが、除草剤の散布だ。 通常の、ブドウの樹の葉に対して薬剤を撒く作業は何ら問題がない。しかし、除草剤のように樹の根に近い部分に薬剤を撒かなければなら ...
慣れるとトラクターは楽しい
[circlecard] ラベリングから始まる1日 今日の朝一番の仕事は急遽、必要になったワインのラベリングから。 このワインはまだリリースを控えているもので、ボトリングは終わっていても保管中にエチケット(ラベル)を汚さないためにまだラベリングしていなかった。 このワインが急遽、20箱ほど必要になったということでまずはこれらのワインのボトルにラベルを貼ることに。とはいってもラベリング自体は機械を通してしまうのでそれほどの手間はかからない。特にトラブルが生じることもなく必要量を完了して次の作業へ。 1人で杭 ...
外国人の特別な事情
[circlecard] ビザのために外国人局へ 海外で生活しているとほぼ確実に切っても切り離せないのが、外国人局とのお付き合い。 滞在許可証や労働許可証といった我々外国人がその国で生活をしていく上で絶対に必要になる書類を管理しているため、ここからのお呼び出しがかかるとまずはよほどのことがなければ最優先で対応をする相手でもある。 今回筆者はそれまでお世話になっていた外国人局の担当区域外に引っ越しをした関係で、新しく住み始めた地域を担当している外国人局からお呼び出しがかかった。 このため今日はまずは朝一番で ...
トラクターを使って草刈り作業
[circlecard] 草刈りもトラクターで Mulcherと呼ばれるトラクター用のアタッチメントがある。Mulcherというのはドイツ語での名前で、英語ではrotary cuttersという。 この名前が示すとおり、装置の下面がむき出しになっておりその中に回転する刃が設置された構造となっている。 なにをするための機械かといえば、ブドウ畑などで雑草を刈るための装置だ。 Mulcherにはトラクターの前につけるタイプのものと後ろにつけて引っ張るタイプのものがある。 トラクターの前に付けるタイプのMulch ...
イベント前日は畑作業も後回し
[circlecard] 1日の最初はお遣いを 今日の最初の仕事は明日のイベントで使うためのグラス、2種類合計600脚のピックアップとクリーニングに出していたテーブルクロスの受け取りから始まった。 明日のイベントは見込み客数が450人を超えるとあってワイナリーにあるグラスだけではとても数が足りないため、ワイン関係のイベント用に各種器材をレンタルしている会社から借り受けることにしたらしい。 このグラスを受け取るために大きめのワゴン車で現地に向かう。 グラス自体はプラスチック製のラックに入れられているため多少 ...
800年記念祭
[circlecard] 800年間所有し続けているブドウ畑 筆者が勤めているワイナリーはNahe (ナーエ) 地方にある個人所有のワイナリーだが、その歴史は個人所有のものとしてはドイツで最も古く、800年以上もの時間を過ごしてきている。 所有者は時代が時代ならとても有力な貴族の家系で、今でもお城を複数所有しているのだから一般庶民の筆者としてはその規模の大きさには驚きを通り越して呆れるしかない。 そんな当ワイナリーで、というよりも、ワイナリー所有者の家を挙げてのお祝いが本日行われた。 その内容は、Fels ...
宴の後は
[circlecard] 宴の後に残るもの 昨日の800年記念祭が終わった後、片付けを放棄して帰った我々が今朝になって目にしたものは当然ながら荒れた会場の後。 幸いなことに紙コップやプラスチックの皿といった使用後に捨てる系統の食器は一切使っていなかったのでゴミがそこかしこに溢れているようなことはなかったのものの、ワインや水、ジュースの空き瓶やグラス、食器類はそれなりにテーブル上に散乱している状態だった。 これらを黙々と片付ける、片付ける。 空き瓶を回収し、開封しなかったワインのボトルを倉庫に戻し、テーブル ...
乾いた地面をほぐす作業
[circlecard] 午前中は雑務を中心に 昨日は一昨日の800年記念祭の後片付けに1日費やしたにも関わらず、今日もまたその関連の作業から仕事が始まった。 まずはイベントの時に入った注文分の出荷作業。 ワインが売れてくれることはありがたいことだが、こうして出荷作業で時間と手を取られることは正直、あまりありがたくない。畑やケラーの担当からしてみれば痛し痒しなところだ。 商品補充はフォークリフトでサクサクと 出荷作業が終われば、次は売れてすかすかになったワイナリー併設のショップ (ドイツではVinothe ...
徹底解説 | 赤ワインはなぜ赤いのか?
赤ワインはなぜ赤いのか? こんな疑問を持ったことがある人は多いのではないでしょうか? この疑問の回答を得るべく調べてみると、割と簡単に得られるのが以下のような情報です。 これは正しい回答です。 赤ワインが赤い理由は確かにアントシアニンを含んでいるからですし、このアントシアンの抽出を補助しているのがマセレーションと呼ばれる果皮も漬け込む醸造手法であることは100%事実です。 一方でこれが完全に正しい理解かというと、少々物足りません。 例えばこの情報だけで以下のような質問に答えられるでしょうか? これらの質問 ...
ホコリまみれ
[circlecard] 週末に引き続きFräseで作業を 先週末はBingenという場所にある畑でFräseを使った作業をしたのに引き続き、今日はワイナリーの本拠地があるWallhausenという町で同じ作業を行う。 昨晩多少とはいえ雨が降ったので少しはマシかと思ったのだが、相も変わらずものすごいホコリが立つ。 どうやら今年のドイツは乾燥しすぎていて、ちょっとやそっとの雨では地面を湿らせるには足りないらしい。この作業、むしろ雨の中やった方がいいのではないだろうか。。。 もっともそんなことをしたら細かくな ...
草刈りが快感になる日
[circlecard] 作業の前の大仕事 今日はBingenの畑の草刈りということで、朝一番でトラクターの設定をFräseからMulcherに変えてBingenの畑に向かう。 先日Mulcherを使っていたトラクターは同僚がそのまま使うので、こちらはFendtに別のMulcherを取り付ける事になったのだが、これが想定しなかったほどの大仕事になった。というのも、Fräseとトラクターの動力をつないでいるシャフトがまず外れない。ハンマーとスパナまで使ってなんとか外してみると、今度は同じ部分にMulcher ...
雨の日は
[circlecard] 久しぶりの雨 今日は朝から雨模様。 今年のドイツはとにかく降雨が少なく、地面は乾燥しきっている。ブドウ畑としてもこの時期は雨が欲しかったので、ある程度まとまった量の降雨が予想されているこの天気はありがたいことだった。 とはいっても雨が降ると中断されるのが畑作業。 人の手で行う作業であれば多少の雨なら続行するのだが、トラクターでの作業では少し話が変わる。特に斜面での作業はトラクターのタイヤが滑ってしまうため行うことが出来ない。 そのような事情もあって、今日はトラクター作業は一時中断 ...
山と川は必要か?ブドウ畑の立地条件
先日、当サイトの記事を読んでくださっている方から「ブドウ畑やワイン生産者における山や川の重要性」についてご質問をいただきました。せっかくですので今回はこのテーマについて筆者の個人的な見解に基づくものになってしまいますが、解説したいと思います。 この記事では といった疑問にインデックスという概念からお答えします。 山や川の役割とはなんなのか、ということをこの記事で理解していただき、ソムリエ試験のための勉強の補助としていただければ幸いです。 [circlecard] 前提条件!山や川は動かせない まず最初にご ...
オレンジワインは自然派ワイン? | ワインあるある
オレンジワイン、という名前を聞いたことがある人は今やもう多いのではないでしょうか? このオレンジワインという単語が聞かれはじめてそれなりの時間が経ちました。そういった流れの中で同じようによく聞くのが、オレンジワインは自然派ワイン、というものです。 実際にこの記事を読んでくださっている方の中にもオレンジワインは自然派ワインの一種だと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? これは実は大いなる誤解です。 オレンジワインは厳密に言えば自然派ワインではありません。 ただここがややこしいところで、ものによっ ...
徹底解説 | オレンジワインの造りかた
前回、「オレンジワインは自然派ワイン? | ワインあるある」と題した記事でオレンジワインの定義や成り立ち、どうしてオレンジワインが自然派ワインと同一視されやすい環境が出来上がってしまったのかといった点について解説を行いました。 今回はより醸造的な側面からこのオレンジワインというものを解説していきたいと思います。 この記事を読んでいただくことで、醸造における基本的な注意点や特徴である色味の根拠とその抽出方法、適正なブドウ品種などについて知っていただくことが出来ます。 [circlecard] オレンジワイン ...
醸造技術 | 低温マセレーションとはなんなのか
ワインの醸造技術の1つである、マセレーション。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 一部では一般用語のようにも使われているこのマセレーション (Maceration) ですが、意外に正確な情報は少ないようです。 今回はこのマセレーションのバリエーションの1つである「低温マセレーション (コールドソーク/Cold Soak)」を軸にこの醸造技術について解説をしていきます。 マセレーションとはなんなのか? 一言で言ってしまえば、マセレーションとは果皮浸漬のことです。 [circlecard] 果皮浸 ...
ワイングラスが変わるとワインの味は変わるのか? | ワインあるある
最近、某有名MW (Master of Wine) がプロデュースしたワイングラスが日本でも発表され話題となっています。 このMWが自身では赤でも白でもワインを飲むときには長年に渡って同じグラスを使っていること、時に白ワインのほうが平凡な赤ワインよりも豊かな芳香を含むにも関わらず白ワインを飲むときには赤ワインよりも小さなグラスを使う、という「一般常識」に疑問を持っていたことなどがこのグラスをプロデュースするきっかけになったそうです。 グラスの大小はともかく、実際にワインの現場では使うグラスを変えると同じワ ...
KERNER - ケルナー
概要 1929年にドイツのWürttemberg (ヴュルテンベルク) でTrollinger (トロリンガー) とRiesling (リースリング) の交配品種として作られた。大本はWießer Herold (ヴァイサー ヘロルド) と名付けられたが、その後に詩人Justinus Kerner (ユスティヌス ケルナー) の名前にちなんでKernerと改名された。 ドイツでは1970年代に非常に人気を誇った品種であり、Pfalz (プファルツ) からドイツ全土に耕作地が広がった。1992 ...
MÜLLER-THURGAU | RIVANER - ミュラー・トゥルガウ
概要 1882年にスイスのThurgau (トゥールガウ) 州出身の植物学者Hermann Müller (ヘルマン ミュラー) によってドイツ ラインガウのガイゼンハイム研究所にて交配された品種。Rivaner (リヴァーナー) とも呼ばれる。 長い期間に渡ってSilvanerとRieslingの交配品種と信じられてきたが、近年のDNA調査によって実はRieslingとMadeleine Royaleに交配種であることが明らかになった。 ミュラー・トゥルガウは世界的に最も普及した人工交配品種としても知ら ...
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栽培技術 | ブドウ栽培における病気への対策 - 防除の方法
本格的な夏が近づき、日々気温が高くなるこの時期、ブドウはぐんぐんと成長していきます。 ブドウの成長が進むと畑では芽掻きやワイヤー上げ、副梢の除去などに加えて下草の刈り込みや土の鋤起こしなどやることが膨大になりますが、その中でもとても重要なのが病気への対策です。 病気への対策方法はいくつかありますが、今回はそのなかでも中心的な位置にある薬剤の散布について取り上げます。 病気の防除として薬剤を散布することをスプレーと呼びます。この記事でも以下、スプレーという単語を使って話を進めていきます。 なおスプレーの内容 ...
気温の上昇で被害が続出 | ブドウの日焼けとはなんなのか
夏の時期を迎え、畑ではブドウの樹が成長を続けています。 これをうけて今畑では伸びた副梢の除去や除葉、そして成長点の切り落としなどの作業が同時並行的に進められています。 そんななか、去る6月26日および6月30日の2日にわたってドイツでは最高気温が40℃に迫る、もしくはところによってこれを超える事態となりました。 もともと冷涼な土地といわれているドイツにおいて6月末のこの時期にこれほど気温が高くなるのは極めて異例なことです。加えてこれ以前から雨が少なく非常に乾燥した状況であったことも災いし、ブドウ畑では若い ...
徹底解説 | ぺトロール香
「ぺトロール香」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 主にワインのテイスティング、特に年代物のRiesling (リースリング) のワインをテイスティングしている際などに耳にすることの多い単語なのではないかと思います。 人によってはテイスティングの試験などでこの香りをかいだ瞬間に、そのワインに使われたブドウ品種をRieslingだと確定した経験をお持ちの方もいるかもしれません。 ワインに関係する特殊な香りの中では比較的有名なペトロール香ですが、これが具体的にどういうもので、何が原因で発生するものなのか ...
ブドウの収量制限とはなんなのか | 考え方、方法、そして注意点
ブドウに限らず果樹や野菜の栽培をしていると、ほぼ必ず出くわす言葉があります。 収量制限 この言葉に聞き覚えはないでしょうか?ブドウの場合においては特にグリーンハーベスト(green harvest)、などと言われたりもします。今回はこの収量制限というものについて解説をしていきます。 収量制限という取り組みは品質の向上を含めた多岐にわたる要素と非常に密接に関連しています。このため、意味をとり間違えてしまっている例も意外に多く見受けられます。 この記事では収量制限というものを少し厳密に規定し、その他の要素と区 ...
US市場を見通す一つの手段 | TERRY THEISE’S GERMANY VINTAGE REPORT
ワインのマーケットは世界中に存在しています。 その数ある市場の中でも特に存在感が大きいのが英国で、世界中のワインメーカーがこの市場における自身のワインの評価に注目しています。 この一方で、特にドイツワインにとって無視できない市場がアメリカ市場です。ドイツワインの輸出に関する統計を見ると、米国市場は2位以下に金額ベースで倍以上の差をつけての断トツのトップです。 現にアメリカ向けの出荷が多い小規模のワイナリーではその生産のほとんどをこの市場向けが占めており、造ると同時に売り切ってしまう、などという例も決して少 ...
[速報] ブドウの収穫が開始 | 2019年ハーヴェストの幕開け
Foto : DWI 昨日、8月13日にドイツで今年最初となるブドウの収穫が行われたとのニュースがDWI (Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) より発表されました。 今回はそちらの記事を簡単にご紹介します。 Erste Trauben für Federweißen gelesen ”Erste Trauben für Federweißen gelesen (フェーダーヴァイサー用の最初のブドウが収穫された)” と題されたこちらので記事では、8月13日に ...
ワインにおけるメトキシピラジン量と環境要因
はじめまして。 読者の中にはもしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。Nagi's Wine Worldのライターとして招待して頂いた奥村嘉之と申します。 私の初投稿となる今回の記事はメトキシピラジンという化合物について。 この化合物に関してはかつて自身のnoteでも取り挙げているのですが、ここでは当時より1回り以上踏み込んだ話ができればと思っています。 そもそもメトキシピラジン(Methoxypyrazines)という化合物をご存知でしょうか。 そういった基本の部分から、その化合物がどのように ...
ワイン醸造の暗部?補糖は悪なのか | シャプタリザシオンをめぐって
日本酒における醸造用アルコールの添加、ワインにおける補糖。 これらは随分と敵視されていることが多いように感じます。行ってみれば醸造酒の暗部、アンタッチャブルな領域、という印象でしょうか。 おそらく日本酒にしてもワインにしても、本来は栽培や醸造の結果として得るはずの糖度やアルコールを外部から補填することに対して、その目的および理由の如何を問わず、なんらかの悪印象を受けている結果からきているのだろうと思います。 もしくは一部の国地域において高品質ワインを謳うカテゴリーで補糖が禁止されている点をもって、補糖する ...
補糖したワインは太るのか? 補糖とカロリーの関係
先立って「ワイン醸造の暗部?補糖は悪なのか | シャプタリザシオンをめぐって」というワインの補糖に関する記事を公開したところ、 補糖の有無よりも補糖することによるワイン内の糖分の量が気になる、ぶっちゃけ、補糖したワインは太る気がする という旨のコメントを複数名の方からいただきました。 先日の記事でワインに補糖していることを告げるともれなくお客様からトーンダウンされることを嘆いてみせたのですが、補糖が原因で太るということならそれも納得です。 間接的とはいえ、このワイン太るよ、と言われて喜べる人はいないですよ ...
カーボニックマセレーションという醸造手法
何かとフランス語の借用が多いため、分かりにくく馴染みにくいのがワインの醸造関連用語。 ですが、そんななかにあって“カーボニックマセレーション”という名前を何となく耳にしたことがある人は意外と多いのではないでしょうか? カーボニックマセレーションとは、一般にはシャンパーニュ(シャンパン)と並んで日本でもひときわ知名度の高いワインである、「ボジョレー・ヌーヴォー」の生産手法として広く知られている醸造手法のことです。 日本ではカーボニックマセレーション (Carbonic maceration) と英語からの訳 ...
嫌気環境下における醸し発酵とは
前回の記事で嫌気環境下における醸し手法の一つとしてMacération carbonique (マセラシオン カルボニック / カーボニックマセレーション)というものを紹介しました。 ただこの手法は若干、特殊なものに分類されており一般的な嫌気環境下における醸しの方法とは言いにくい部分があります。 その一方で、より一般的な嫌気環境下における醸し工程中であっても多かれ少なかれMacération carboniqueが並行して行われている、もしくは意図したわけではなくとも生じている、なんてこともあります。つま ...
優良畑はいつまで優良か | ブドウ畑の立地
先日の9月12日に筆者が勤めるワイナリーで2019年シーズン初となるブドウの収穫がありました。ブドウの成長が異常に早く、それに伴い例年よりも1か月近くも収穫が早まった2018年ほどではないものの、2019年もやはり長期平均の視点から見ればかなり早いシーズンの幕開けとなりそうです。 このようなブドウの成熟の早期化の背景には年間平均気温の上昇があります。 地球全体での気候変動が叫ばれて久しいですが、実際にブドウの成熟過程を通して日々その変化を目にしているとその影響の大きさがまさに身をもって実感できます。 そし ...
もっと発酵を語ろう | 酸素は酵母に必要か
記事をお読みいただく前に この記事では説明の都合上、学術用語としての“発酵”と一般的なアルコール生成手段としての意味での“発酵”が同一文章内に特に断りなく混在して使用されています 何度か発酵についての記事を書いてきました。発酵とはぶどうジュースがワインになるために絶対に欠かすことのできない、とても重要な工程です。 発酵にはいくつか欠かすことのできない要素があります。そのもっとも代表的な存在が、酵母です。 一方で、ワインに対して酸素が大敵であることは周知の事実です。酸素 = 酸化というイ ...
最高級ワインを構成する高貴なカビかブドウを腐らせる大敵か | Botrytisとは何ものか
世界における最高級ワインはなにか、と聞かれたら何と答えるでしょうか? ボルドーやブルゴーニュの赤ワイン? アメリカを中心としたカルトワイン? 多くの人に愛されるシャンパン? それとも今を時めくナチュラルワインでしょうか? ことドイツにおいては法的な格付け上、最高級ワインといえばTBA (Trockenbeerenauslese、トロッケンベーレンアウスレーゼ)、つまり貴腐ワインです。一方でこのような法的な格付けの裏付けがなかったとしても、毎年行われるワインオークションで最高値を付けるのはいつでもTBAであ ...
テイスティングのキーポイント?ティピシテを考えてみる
ソムリエ試験をはじめ、ワイン関連資格を取る際にほぼ欠かすことが出来ないのがテイスティングではないでしょうか? 特にそのワインに関わる情報を開示されないまま目の前のグラスを利いてブドウの品種や産地、年代をはじめ味や香りに言及するブラインドテイスティングなどはその典型です。 ブラインドテイスティングを行う場合、みなさんはどうやってそのワインの品種や産地を特定していっているでしょうか? 過去に飲んだことがあり、記憶に鮮明に残っているワインがドンピシャで出題されればその経験に則って回答することもできるかもしれませ ...
GEWÜRZTRAMINER – ゲヴュルツトラミネル (ゲヴュルツトラミネール)
概要 アロマティック系品種として知られている白ワイン用品種。Pinot Grisと同様に灰色を帯びたようなピンク色の果皮をしているため、レッド・トラミネルなどとも呼ばれる。ドイツのプファルツ、南チロルやアルザスでの栽培量が多い。 11世紀ごろから栽培されている品種であり、プファルツを経由してフランスのアルザスやジュラに広まったと言われている。 名前の由来はドイツ語で香辛料を意味するGewürzと南チロルの街名であるTraminからきているとされる。Savagnin Blanc (Traminer) からの ...
PINOT GRIS | GRAUBURGUNDER – ピノ・グリ
概要 Pinot Grigio、Ruländer (ルーレンダー)の名前でも知られる、灰色がかった赤から紫色の果皮を持つ白ワイン用品種。 Pinot Noirの突然変異種であるが、その歴史は古い。1375年にはすでにカール四世によってハンガリーに持ち込まれていたと言われている。品種としては1711年にドイツの野生化したブドウ畑で再発見された。 特徴 丸形から多少長円形気味の粒で構成された、中ほどの大きさで長円形の詰まり気味の房が特徴的。灰青色から紫がかった果皮の色が名前の由来となっている。 ...
ワインと重金属
飲んでいるワインを表現する方法、言葉使いは本当に人それぞれです。 最近ではワインから受けたイメージを言葉にするのではなくそのまま絵にして表現する、という方法も取られています。 ただワインの表現方法としてはまだまだ言葉を使って行うことが一般的ですし、そういった中で出会う頻度の高い単語というものは存在しています。その筆頭にあるのが「ミネラル」という単語ではないでしょうか? この「ミネラル」という単語をワインの表現として使うことの是非については非常に多くの議論があります。筆者個人としては使うことを極力避けている ...
ワイン醸造 | 優良な酵母は発泡しない?
ワイン好きの皆さんの中には、発酵中のワインの状態を醸造所で直接、もしくは写真などを通して見たことがある方も多いのではないでしょうか? かく言う私のTwitterでもこんな写真を投稿したことがあります。 新しい記事をお待ちいただいている方、申し訳ありません今のところ、酵母の世話で手一杯で自分のことは洗濯も買い物にも行けない状態です気長にお待ちいただければと思います pic.twitter.com/HDNK5OFajh— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) September 26, 2019 ...
増え続けるブドウ品種 | PIWIというカテゴリー
Foto: PIWI International (https://www.piwi-international.de/de/) Cabernet Blanc、Cabernet Jura、Muscaris、Souvignier gris。 これらの単語に聞き覚えはあるでしょうか? Cabernet~やMusca~、Souvi~という辺りからなんとなくワイン用のブドウ品種っぽいと思われた方も多いかもしれません。そうです、これらはすべてワイン用のブドウ品種の名前です。 現在はあまり聞くことはないとは思いますが ...
ドイツワインは難しい? | ドイツワインのカテゴリーを知ろう
ワインの勉強をしていると世界各国のワインの情報に触れます。特にソムリエールやワインエキスパート、WSETといった試験を受けようとする方はその膨大な量の情報に頭を悩ませているのではないでしょうか? そんな中にあって、特に分かりにくいと評判なのがドイツワイン。 JSA、日本ソムリエ協会が管轄しているソムリエやワインエキスパート試験の対策を行う際にはドイツワインは捨て問として最初からなかったものにする、なんて話も聞こえてくる程です。 実際にドイツでワインのことを細かく規定しているワイン法という法律は、非常に難関 ...
Über mich
Hallo, mein Name ist Masato Nagasawa, ich bin gelernter Winzer bei einem VDP-Weingut an der Nahe. Nach meinem Studium Weinbau und Oenologie an der Hochschule Geisenheim University arbeite ich als festgestellter Winzer und auch als Freiberufler. Der Schwer ...
シュペートレーゼなのに甘くない?!その理由を知ろう | ドイツワインの味と等級のルールとは
”甘いと思って飲んだカビネットが少しも甘くなくてびっくりした” こんな経験をお持ちの方は実は多いのではないでしょうか? ドイツワインはカビネットやシュペートレーゼとエチケットに書かれていれば甘くて美味しい、と何となく思っている方は多いと思います。ですので、その味を期待して飲んだワインが酸味が強くて甘くなかったらそれは驚きますよね。 これはなにもドイツワインを全く知らない初めての方だけではなく、ドイツワインの勉強を始めて間もない方でも起こり得ることです。むしろそういう方のほうが経験しやすいことかもしれません ...
ドイツワインを難しくする? VDPとその等級 | もっと優しくドイツワイン
前回、前々回と2度にわたってドイツワインの分かりにくいカテゴリーや等級と味の関係について解説を行ってきました。 これまでの記事を読んでくださった方は何となくでもドイツワインのボトルに張られたラベル (エチケット) を見てもその内容が理解できるようになってきて、いざドイツワインを買ってみようとしても悩まずに済むようになってきているのではないでしょうか? しかしここでそんな皆さんに心苦しいお知らせがあります。 ドイツワインというやつは、実はもう少し分かりにくいやつなのです。 分かりにくいドイツワインを優しく解 ...
ここが分かりにくいよ、ドイツワイン | もっと優しくドイツワイン
これまで分かりにくいドイツワインを優しく解説シリーズと銘打ってドイツワインを解説してきました。 前回はドイツワインを分かりにくくしている大きな原因の一つと思われる、VDPの等級について説明をしました。ここまでですでに皆様、ドイツワインのラベルを見ても何がどういうワインなのかわかるようになってきていらっしゃるのではないでしょうか。 そんななか、今回の分かりにくいドイツワインを優しく解説シリーズは少し踏み込んだ内容に入ります。 今回の記事を読み進めていただくには、少しだけ事前の知識が必要です。そのような知識に ...
アイスワイン | 希少性の上がり続けるその理由とは
まず皆さんに質問です。 世界的に見て、最も造りにくいワインといえばどんなワインかわかるでしょうか? 例えば、ドイツワインを見てみましょう。 今までにも何度か見てきたように、ドイツワインには以下のような等級があります。 等級としてはTBAとも呼ばれるトロッケンベーレンアウスレーゼが最も高い位置に置かれています。等級の高いワインということは取りも直さず希少性の高いワインということでもあります。希少性が高く、等級が最も高いトロッケンベーレンアウスレーゼが一番造りにくいワインなのでしょうか? 実は、違います。 上 ...
ドイツワインランキング | 年間優秀ワイナリーを探す
年の瀬が近づくと活発になるのが、各種ワインガイド等によるワインおよびワイナリーのランキングの発表です。 ワインを点数評価することについては賛否両論ありますが、それでも世の中に星の数ほどあるワインの中から自分の気に入りそうなワインを選ぶ際にはやはり役に立つもの。参考にしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 一方で悩ましいのが、評価媒体の多さです。 それぞれの媒体がそれぞれ独自の基準に基づいて発表している評価・ランキングですので、その内容は一部では共通していながらも、一部では大きく異なっていることが珍 ...
土壌というもの
日本でワインの紹介する際に、ワインの個性の1つとしてどのような土壌の畑で栽培されたブドウから造られたワインなのかに言及されることが多いように感じます。こういった傾向はもちろん日本だけに限った話ではないのですが、それでも日本ではその傾向が強いように思えます。 またテイスティング・ノートを見ていても花崗岩が、とか、堆積岩が、という記述に続いて、だからワインの味が、香りが、という所見が語られているのを見かけます。事程左様に日本では土壌というものがワインを見ていく上で重要視されている印象が強いわけですが、この土壌 ...
鉄の味はどこからくるのか | ミネラルの一端に迫る
先日、とあるワイナリーさんで試飲をさせていただいた時のことです。 日本は山梨の塩山。その一角に居を構えていらっしゃるそのワイナリーさんの持つラインナップのうちの数点を試飲させていただいたのですが、その時に強く感じたのが、鉄の味。 造り手の方に聞いてみると、その味を感じたワインに使われているブドウ畑は元々の鉄鉱山の近くにあるということを教えていただきました。近くを流れる川底の土が明確な赤色をしているほど鉄分を含有しているそうです。 こうなるとついつい考えてしまうのが、ブドウの樹の根が土中の鉄分を吸い上げ、そ ...
Bioを再考する | 認証返上の理由とは
先日、休暇で日本に一時帰国した際にひょんなご縁から勤めているワイナリーの紹介を兼ねたワインセミナーをやらせていただける機会をいただきました。 年明けすぐの開催となったそのセミナーには数人、ワインの輸入業に従事していらっしゃる方にもご参加いただきました。その際に我々のワインの日本への輸入の可能性についてもお話をさせていただいたのですが、その際に頂いた回答はすべての方が同じで、「Bioではないから難しい」というものでした。 この回答をドイツに持ち帰り職場のボスに話したところ、「日本ではBioであることがそこま ...
新しい持続可能性への検討 | Bioを再考する
前回の記事「Bioを再考する | 認証返上の理由とは」で最近のBio認証を巡るワイナリー側での動きを紹介しました。 その中で最近の動きとしてBio認証を返上する理由の最たるものが以下の二つであること、また筆者の勤めるワイナリーでは除草剤の部分的な使用を選択したためにそれまで30年にわたって保有していたBio認証を2018年より返上したことを記載しました。 30年もの間保持したBioの認証を返上したことに対してはいろいろとネガティブな憶測も呼んでいますが、実際には我々はむしろポジティブな思考に立ってこの決断 ...
ワインにとって土壌とはなんなのか、を考える
さて、突然ですがちょっとブラウザを立ち上げて、「ワイン 土壌」とでもキーワードを入力して検索をかけてみてください。おそらくあっという間に検索結果が画面に表示されていると思います。 それでは、そこに出てきたいくつかのサイトの記事を流し読みでいいので読んでみてください。どうでしょう、粘土質の土壌はボルドーの右岸で有名なのはシャトー・ペトリュス、石灰岩土壌はシャブリやブルゴーニュのPinot Noirが代表的で酸やミネラル感のあるエレガントなワインを生み出す、というようなことが書かれているのではないでしょうか? ...
ビオとナチュラル | 醸造面から見たその違い
筆者がTwitterで時々、思い出したようにPostしてはそのたびに(筆者のアカウントとしては)軽くバズったような状態になるキラーワードがあります。それが「ナチュラルワイン」です。 最近、特に日本でよく聞くようになったこのワードですが、実はよく分からない、という方も多いのではないでしょうか? 自然派ワインとも呼ばれるため、漠然とビオなどと同じように身体にいい、健康的なワインのこと、と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。 ところが、ビオとナチュラルは同じワインであってもその実態は大きく異なっています。 ...
樽に入ってるワインはいいワイン? | ワインあるある
ワイン、特に赤ワインを飲んでいると、時々 「このワインには樽香が…」 なんてコメントを聞きませんか?もしくは「樽香」というワインから離れるとなかなか耳にしない単語を知らなくても、樽を使っているワインはいいワインだと、なんとなく思っている、もしくは思っていたことはないでしょうか? 同じワイナリーの同じようなワインでも片方は樽を使っていないもの、もう片方は樽を使っているもので飲み比べてみると確かに味が違う。ただお値段も違っていたりして、しかも樽を使っている方はお値段がお高くて。 なんとなく、それだけでも樽を使 ...
ワインは畑ごとに味が違う、は本当か?
ワインの味を話すときによく、「ワインは畑ごとに味が違う」ということを聞いたりしないでしょうか? これ、実はものすごく当然のことです。 というか、この言説に納得している人、誤魔化されています。いろいろと。 え、誤魔化されてる?なにに?? と思った方、ぜひこの記事を読み進めてください。きっとこれからは素直に「畑ごとの」ワインの味を見ることが出来なくなると思います。 何が違って何が同じなのか さて、造り手や売り手、その他のワイン関係者に誤魔化されないようになるためにはまず最初に一つの問いかけに答えてもらう必要が ...
目に見える違いは取り除くべき違い | 栽培の心構え
先日の「ワインは畑ごとに味が違う、は本当か?」と題した記事で、ワインの味はブドウの実一粒単位で味が違うところをたくさん重ね合わせることでその違いを平均化しながら表現したものですよ、と書きました。 こちらの記事をTwitterでシェアさせていただいたところ、拡散してくださる方も何人かいらっしゃり、結果多くの方に読んでいただくことが出来ました。拡散してくださった皆様、どうもありがとうございました。 もしまだ読んでないよー、という方はぜひ一度目を通してみてください。 ところで、前回の記事ではこの「違い」が具体的 ...
ワインがカビ臭いと思ったら | ブショネとTCA
ソムリエさんがワインのサービスをしてくださるレストランなどでワインをボトルで頼むと、コルクを抜いた後でコルクの香りを確かめている姿に遭遇します。なぜソムリエさんはコルクの臭いをかいでいるのでしょうか? 一方で、このようなサービスが提供されていない環境、例えば自宅でワインを飲む場合などにコルクの臭いなど気にせずグラスに注いだワインがカビ臭かった、というような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか? そのカビ臭さ、もしかしたらブショネかもしれません。 レストランではソムリエさんが、そして自宅の場合 ...
記事を読んでくださっている皆様へ
私が管理している当サイトおよびnote等における記事を読んでくださっている方、全員にお伝えしたいことがあります。 現在、私が書いた記事のすべてを登録制、もしくは有料公開といった、クローズドの環境に移行せざるを得ないかと考えさせられています。これはマネタイズの問題ではなく、信用と信頼の問題です。 現在、私が書いて当サイト上やnote上にて公開している記事は一部のものを除き、基本的には全て無料での一般公開とさせていただいています。誰でも自由に読むことが出来ます。これはもともとこういった記事を書き ...
オンラインサークルに参加する
「Nagi's wineworld - 醸造家の視ている世界」にご訪問いただきましてありがとうございます。 こちらのサイトに掲載されている記事をお読みいただき、疑問に思ったこと、不思議に思ったこと、さらに突っ込んだ内容を知りたくなったことなどはなかったでしょうか? 当サイトに掲載している記事の内容からさらに一歩踏み込んで、ワインを中心に、学習や幅広い交流を目的としたオンラインコミュニティ「醸造家の視ているワインの世界を覗く部」を開設しました。 栽培や醸造、マーケティングや器材などにまで目を向け、皆で新たな ...
店舗紹介記事を掲載しませんか?
様々な形でワインを販売していらっしゃる皆様へご提案です。 皆様のお店の紹介をこのサイト (https://nagiswine.com/) 内に掲載しませんか? 店舗運営者の方ご自身からの提供記事として掲載をさせていただきますので、一切、費用はいただきません。2000字程度のお店の紹介記事(目安となりますので、文字数はこれ以上になっても構いません)と数枚の写真をご提供いただければ、その記事をそのまま当サイト内の所定の箇所に掲載させていただきます。 詳細は以下の通りとなりますので、ご興味をお持ちいただけた方は ...
ナチュラルワインの定義とそこに見る意味
先日、フランスでナチュラルワイン、いわゆる自然派ワインとかナチュールと呼ばれている種類のワインが具体的にどういうものであるべきかの定義が公式に決まった、という報道がありました。 https://www.decanter.com/wine-news/natural-wine-receives-formal-recognition-vin-methode-nature-435358/?fbclid=IwAR0s7vQayGJrNC-fWgxTqV4NYCX7EY7Vcpk_RMdzLuTVOK8eGojS_R ...
濁ったワインは何が悪いのか
「濁りワイン」 日本では意外に市民権を得ている印象の強いワインのカテゴリーですが、これは日本独特な動きと言えます。 もちろん世界にも醸造過程を通してフィルターろ過を行わない「unfiltered」のワインは多く存在していますし、一部ではこのようなスタイルがブームのようにもなっています。しかしこれらのワインはあくまでもろ過をしていないことが大事なのであって、「濁っている」ことが重要なわけではないことに注目しなければいけません。 なぜ、世界では「濁り」に焦点を合わせないのか。この点について今回の記事ではお話を ...
変わる販売戦略 オンライン試飲会という新たな取り組み
新型コロナウイルスの影響で不要不急の外出の自粛が世界中で求められるようになり、さらにその感染防止の観点から人が集まり一定時間以上を過ごすようなサービス業態の営業の自粛もしくは禁止が要請されています。 これによりレストランやバーといった飲食業が当面の間営業を見合わせることとなり、さらにはワインショップのような小売り店にまでもその波が押し寄せてきています。 このような状況においてもっとも大変なのは当然、こうした営業自粛の矢面に立たされてしまった飲食業や小売店の方々です。そしてこういった店舗の方の次に大変なのが ...
ワイン純粋主義との相克 | 醸造家はパズルを解けるのか
ワインを造っていると数々の「悩ましい出来事」に直面しますが、その中でもこの時期に多いのがワインを可能な限り「純粋」に保ちたいという想いと、それを実現できない現実との対立です。 世の中、ワインの持つ個性をTerroirといった、ある限定された地域的な特性、つまり独自性に求めることがよくあります。このことの良し悪しはともかくとして、仮にそのような限定された範囲にのみ生じる特性をワインに持たせたいと考えるのであれば、そのワインは少なくともそのような地域から収穫されたブドウで造り、別の個性をもったものとは混ぜ合わ ...
徹底解説 | ロゼワインの醸造手法とその特徴
以前、ロゼのワインは産地や品種が分かっていても内容が想像しづらい、という話題を見かけたことがあります。 これはとても興味深い半面、ワインを実際に造っている側からすると、「あぁ、まぁそうかもしれないな」と納得できてしまう点でもありました。ではなぜ、ロゼは仮に飲む前から産地や品種が分かっていてもそこと実際のワインを結び付けることが簡単ではないのでしょうか? 今回はそんな疑問に対して、「ワイン造りの方法に基づく理由」に焦点を当ててみていきたいと思います。 普段からロゼを飲んでいてどうもモヤモヤすることがある、と ...
ドイツにおける赤ワインと白ワインの混合
Twitter上でPostした、ドイツ国内で赤ワインと白ワインを混ぜてロゼが造れるってお話は間違いですよ、というPostが意外に反応が多かったので、念のため一次情報と合わせて記載しておきます。 あぁ、分かったロゼではないケースの話か...ロゼとして売ってはいけないものはワインとしても”ロゼ”ではないので、これをロゼの製造方式として考えてはダメなやつですね誰が広めたのか知りませんが、完全に解説ミスだと思われます”ロゼ”は赤と白の混合は認められていませんご注意ください— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@G ...
BRONNER - ブロンナー
[circlecard] 概要 カビ菌耐性品種(Piwi品種)の一つ。1975年にドイツのフライブルクにあるワイン研究所にてNobert Beckerによって交配品種として生み出された白ワイン用品種。交配はMerzling x Gm6494 (Saperavi Severnyi x St. Laurent)でPiwi品種同士の掛け合わせとなる。MerzlingがSeyve-Villard 5276 (Seyval Blanc) x (Riesling x Pinot Gris)の交配品種であるため、遺伝的 ...
MUSCARIS - ムスカリス
[circlecard] 概要 1987年にドイツのフライブルクワイン研究所においてNobert Beckerによって交配されたカビ菌耐性品種 (Piwi品種) であり、白ワイン用品種。交配はSolaris x Gelber Muskateller。SolarisはPiwi品種の第一世代に属することから、MuscarisとしてはVitis amurensis, Vitis lincecumii, Vitis rupestris、Vitis viniferaの4種の系統の遺伝子を持っている。 2018年にオ ...
SAUVITAGE - ソーヴィターゲ
[circlecard]
安いワインと頭痛の関係 | ワインあるある
安酒を飲むと頭が痛くなる、というのと同じ論調で、安いワインを飲むと頭が痛くなる、ということを時々聞きます。 安酒を飲むと頭が痛くなる理由はわかりませんが、安いワインを飲むと頭が痛くなる理由は分かります。それは、そこに頭が痛くなる原因の物質が含まれているからです。もしくは単純に量を多く飲みすぎているからです。ちょっと斜め上に行くものでは、単なる思い込み、という可能性も完全には捨てきれなかったりもします。 一方で、これらの理由はどれもワインが高いか安いかには起因しません。 高いワインであっても飲みすぎていたり ...
低コスト醸造が生み出すもの | 安いワインの含有成分を考える
前回の記事、「安いワインと頭痛の関係 | ワインあるある」では値段が手ごろなワインを飲むと頭痛を感じるのは実はこのカテゴリーのワインが「安い、うまい」を備えたワインだからこそ、という話を書きました。これはいわば飲酒量という、量の視点から見た場合のことでした。一方で、頭痛という体調への影響を及ぼす可能性を検討するには量だけではなく、質の面から目を向けることが必要です。 特に、頭痛だけにこだわることなくその他のアレルギー性の反応を対象とするのであればこの点は絶対に避けて通ることは出来ません。 今回の記事ではこ ...
ワイン用ブドウの三大疾病 | べと病の原因と対策
雨の多い年にブドウの栽培農家が特に警戒する病気があります。ベト病です。 ワイン用ブドウに関わらず植物の栽培をしていると避けることが出来ないのが、病気との戦いです。ブドウ畑ではいろいろな病気と出会いますが、その中でも代表的なものがベト病、ウドンコ病、そして灰色カビ病です。 どの病気も特別な病気というわけではありません。毎年とまでは言わないまでも、数年おきには被害が出ている、インフルエンザのような、よくある病気です。 しかし症状が悪化した時の被害は甚大です。年によっては収穫が全く得られなくなってしまうことさえ ...
ワイナリーのリスクヘッジ | 植栽密度を考える
ブドウ栽培をしていくうえで、単位面積あたりに何本のブドウの樹が植えられているのか、という点は畑全体をデザインしていくうえで重要な情報になります。とはいっても畑の形状は千差万別。しかも周囲との状況によって植え付けられるはずの場所に植え付けられず、区画によって面積当たりの本数がまちまち、なんてことは往々にして起こります。 そこで複数の畑の間での比較をしやすくするために使われるのが、植栽密度という単位です。これは、実際の畑に植え付けた本数を面積1haあたりに換算して求められるもので、区画間のバラツキなどに影響さ ...
スパークリングワインとベースワイン
夏の暑い日に暑気払いとして飲みたくなるのは白ワインの炭酸割りですが、食前酒としてなら断然、スパークリングワインです。 スパークリングワインとしておそらく世界で最も有名なのはシャンパンとも呼ばれるシャンパーニュですが、世界中には沢山のスパークリングワインが存在しています。 スパークリングワイン、つまり、炭酸ガスを含んだ発泡性のワインの1番の特徴はこの発泡性。冒頭の白ワインの炭酸割りは通常の白ワインを炭酸水で割ることで後付けで発泡性を持たせますが、スパークリングワインでは醸造方法、つま ...
ワインの移動手段 | ポンプと重力
ワイン造りの現場では果汁やワインを移動するのは日常茶飯事です。こうした際には頻繁にポンプを利用するのですが、最近はこれ以外の方法も使われるようになってきました。Gravity flow (グラヴィティ フロー) です。 Gravity flowとは、Gravity (重力)flow (流す)という名前の通り、機械を使わずに重力で液体を移動させる手法のことを指しています。簡単にいえば、液体を高いところから低いところに流すことで移動させる技術です。 なぜいま重力を使うこの方法に注目が集まっているのかといえば、 ...
ワインとアレルギー
ワインには意外と多くのアレルゲンが含まれている可能性があることをご存知でしょうか。 頭痛の原因となる可能性のあるアセトアルデヒドや生体アミンはワインの種類やその醸造方法を問わず、どのようなワインにでも含まれている可能性があります。一方で、一部の条件に当てはまるワインにのみ含まれる可能性があるのが、カゼインや卵白です。 ワインといえばブドウだけから造られているので、アルコール以外にアレルギーの心配はないと思われがちです。 ところが事実はこのような認識からは少し離れたところにあります。この記事ではまだ一般的に ...
エコロジックのお値段 | 病気の防除価格について考える
最近は健康志向の現われなのか、エコロジックとも呼ばれる有機栽培が人気です。 この潮流はワインの世界にも届いており、有機栽培で育てられたブドウから造ったワインじゃないと取り扱わない、とするワインのインポーターさんは日本にも多数いらっしゃいます。またこのエコロジックに対する考え方がより強くなった、自然派とも呼ばれるナチュラルワインなどは昨今、耳にする機会が増えているのではないでしょうか? エコロジックもしくは有機栽培という考え方は元々は地球環境に対する負荷の低減を目的として行われているものであり、エコロジック ...
ハイブリッド品種は「不味い」のか | フォクシーフレーバーを考える
ワインの旧世界と呼ばれる欧州から日本のワイン業界を見ていると感じる大きな違いの一つに品種に関するものがあります。 国や地域によって栽培しているブドウの品種は違うものの、EU圏内のワイン法によってワインを生産している国では「ワイン」として認められるためには最低限、Vitis viniferaと呼ばれる種に区分される系統のブドウ品種でなければならないとされています。一方で日本ではVitis labruscaなど、アメリカ系品種と呼ばれる品種やこうした品種との直接交雑種であるハイブリッド品種を使ったワインをよく ...
参考図書: ワイン法関連
こちらのサイトやnote上にて公開している記事のいくつかでワイン法に関する内容を取り扱っています。 [sc_Linkcard url="https://note.com/nagiswine/n/n574bcdf4084a"] 一方で、筆者自身は造り手として必要となるワイン法の知識は修めていますが、専門家と言う訳ではありません。また自身が拠点としているドイツ国内で適用されるドイツのワイン法を中心に据えており、周辺諸国の事情に必ずしも明るいわけでもありません。記事の執筆時には事前に必要事項を調べたうえで書くよ ...
[速報] ブドウの収穫が開始 | 2020年ハーヴェストの幕開け
Foto: DWI 熱波の影響で30℃後半の気温が続く暑いドイツですが、本日、さらにホットなニュースが駆け抜けました。 DWI(Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) によると、本日8月10日にプファルツのヴァイゼンハイム (Weisenheim) という町で今年最初のブドウの収穫が行われたというのです。 [circlecard] Erste Trauben für Federweißen gelesen 2019年の最初の収穫はRheinhessen (ライ ...
とても楽しい時代に生きている | アルコール度数はTerroirを表すのか
ワインに関わると避けることのできない単語というものがいくつかあります。残糖量、酸度といった味を表すものから、アロマ、ニュアンスなどといった香りを表す単語。これ以外にもきっと、いくらでも、それこそ時間が許す限り数多くの単語があげられるのではないかと思います そんな中でも筆頭格なのが、「Terroir (テロワール)」ではないでしょうか。 「Terroir (テロワール)」とは今さら言わずと知れたフランス語の語彙で、これに相当する言葉は日本語にも英語にもないと言われています。ドイツ語にもありません。少なくとも ...
AFFINGER5 | カスタム投稿がどうしても上手くいかない話
ブログの運営にAFFINGER5 EXを使っている。 つい最近まではAFFINGER5 WINGだったのだが、一生懸命コードをいじってみても記事のカードデザインでの表示が上手くいかないので折れた。そんなまでして導入したのに実は上手くいっていない。まぁ、その話はまた今度にしよう。今日はカスタム投稿の話だ。 運営しているこちらのサイト、メインの話題はプログラムでもなければサイトの構築でもない。アフィリエイトなんてもってのほかだ。極めてまじめにお堅い話をしているのだけれど、その傍ら、サイト自体はち ...
AFFINGER5 | 記事の文章内にコードをきれいに埋め込む方法
今回、こうしたサイト改造の文章を書くにあたって、必要となったことがある。それが、ブログの文章中にコードをきれいに埋め込む方法。調べてみたら、code syntax コードシンタックスとか単純にシンタックスとかいうらしい。正直、単に文章を書くための準備なのでそこまでこだわりはなかった。なので、簡単にプラグインでどうにかなるならそれでいいか、と思ったのだが、これがまた面倒くさかった。 シンタックスを使ってコードをきれいに見せる サイトの改造の過程で様々なサイトでコードを見ていたので、Wordpressを使って ...
AFFINGER5 | ブログ初心者がWordPressを始めるはじめ方
隠すまでもなく自分はプログラミングの初心者で、エンジニアの卵でさえない。そんな自分がサイトをいじっているのだからいろいろと問題はある。右も左も分からず、適当に手を付けてみては失敗しながらサイトを改造してきているので、コードを書き直す回数も半端がない。最近では、自分でやったことが後から分からなくなっている。 そんなことを項目ごとにまとめて、後から自分自身で確認しやすくしておこうと思って始めたのがこのブログだ。メインブログから見たら完全なサブコンテンツ。誰に見られるものでもないが、誰かしらの役に立ったならそれ ...
自作のショートコードを使えるようにする
サイトを、というかテーマをいろいろいじっているが、その中でも断トツで利用頻度が高いのが、自作ショートコードの呼び出し。これはぜひ使えるようにしておくことをお勧めする。 ショートコードとは アフィンガーにはデフォルトで様々なショートコードがタグという名前で用意されているので、使っている人は多いと思う。例えば書いている記事のカテゴリー一覧を表示させたいときには、 [st-catgroup cat="●●●" page="5" order="desc" orderby="id" child="on" slide ...
ワインのオフフレーバー | UTA / ATA
ワイナリーやワインショップで試飲して気に入った白ワイン。買って帰ってきたけれど、まだ飲み頃には少しだけ早い気がしてもうしばらく自宅のセラーで寝かせることにした。 その後半年経ったある日の食卓。 本当はもう少し寝かせておいた方がいいと分かっていながらもついつい我慢できずに取り出してきたのがこのワイン。まだ早いんだろうなぁ、と頭の片隅で考えながらもコルクを抜いて、さぁお楽しみの時間!と思ったらなんだか違う。 まるで何年も寝かせていたような、酸化したようなニュアンスがある。自分の保管方法が悪かったのだろうか?ち ...
アスコルビン酸の添加がワインに及ぼす影響
先日公開した記事「ワインのオフフレーバー | UTA / ATA」で、まだ若いはずの白ワインで熟成したようなニュアンスを感じたらそれはUTAと呼ばれるオフフレーバーの1つかもしれない、というお話をしました。 またこの際に、UTAを回避するための対策の1つとしてアスコルビン酸を添加する手法を紹介しています。 今回はここに関連して、アスコルビン酸のワインへの添加が及ぼす影響について見ていきます。 なぜアスコルビン酸の添加なのか そもそも、なぜUTAの予防にアスコルビン酸の添加が有効なのでしょうか。 アスコルビ ...
Rieslingに特徴的な香りを考える | モノテルペンとノルイソプレノイド
ドイツワインを代表する白ワイン用ブドウ品種であるリースリング。 引き締まった酸と透明感のある果実味を持つワインを生み出す品種です。熟成をしていくと特徴的なペトロール香が出ることでも知られています。 ブラインドテイスティングの際にはこのペトロール香を頼りに品種を特定していく、という方も多いのではないでしょうか。 一方でリースリング自体はアロマティック系のブドウ品種としても知られています。特徴的な香りは白桃、レモン、アプリコット、白い花、はちみつ、トロピカルフルーツ。産地や造りによって出てくる香りの幅が広いせ ...
ワインにおけるアルコール度数の調整 | 加水を考える
気候変動の影響で地球全体で気温が上がり、それにともなってワイン用のブドウの生長が速くなってきています。 冬が暖かくなったためにブドウの芽吹きが早まり、さらに暑い夏を通して今まで以上に熟したブドウを収穫できる。なんとも夢のある話に聞こえますが、ワイン造りの現場ではこの一見いいことのように思える動きに頭を抱える機会が増えてきています。 それが、ブドウの過熟によるワインのアルコール度数の上昇です。 年々早まる収穫の時期 https://twitter.com/Gensyo/status/130870782014 ...
リースリングにおけるMLFの実施をどう考えるか
先日Twitter上で、リースリングのMLFについてのPostをしました。 行わない、なら分かるけど、行えない、と言ってしまうのは違うかな... <RT実際のところはMLFしているリースリングもあります— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) September 25, 2020 リースリングといえば酸が特徴的なブドウ品種でもあるので、酸を抑えてしまう方向に動くMLFはしないものと思われている方も多いと思います。またMLFによって生じるバタースコッチ様の香りがリースリングとは相性が悪い ...
酵母はワインの味を「変えて」しまうのか
連日、ワインの醸造を続けています。 ドイツ国内、もしくは私が所属するワイナリーと同じ地域のワイナリーでもすでに収穫収量の声があちらこちらで聞こえ始めており、我々も来週には2020年の収穫を完了させる予定でいます。今のペースで行くと、ケラー内のワインがすべて発酵を終えるのは11月末くらいになる予定です。 今年の醸造ではボスの意向もあり、複数のタンクで自然発酵、いわゆる野生酵母を使用した発酵を行っています。 この野生酵母を使った醸造ですが、最近の流行りの一環、という様相です。一部ではいいワインでは部分、もしく ...
ワイン造りを取り巻く環境 | 果たして変わらないものはあるのか
同じ畑で収穫された同じ品種のブドウを使って造った収穫年違いのワインを飲み比べてみるテイスティングの方法を、「垂直試飲」といいます。この垂直試飲の目的は2つです。 1つは新しい年のワインと古い年のワインとを比較して、その畑のブドウから造られたワインの熟成の仕方や癖を知ること。そしてもう1つが、各年の気候の違いなどがブドウに与えた影響と、その結果としてワインにどのような違いが出たのかを知ることです。 私はワインを造っている仕事柄、この垂直試飲を比較的よく行います。そうした中で、最近、自分はこの垂直試飲を通して ...
自然な?ワインの造り方
先だってこんなTwitter上にこんなPostをしました。 今週はこの2枚の写真に関係する内容で久しぶりにきちんとした醸造関連の記事を書く予定でいます仮題: 「自然?なワインの造り方」 pic.twitter.com/wNDzg58DQh— Nagi@ドイツでワイン醸造家 (@Gensyo) November 7, 2020 この記事を読んでくださっている皆さんは、この2枚の写真の違いがお分かりになるでしょうか? 今日はこの写真とそこに関わる「自然な?」ワインの造り方についてです。なお、この記事ではあくま ...
記事を複数ページに分けるページ送りを導入する
メインのサイトでは一部の記事で閲覧に会員登録を求める仕様にしている。ある一定より先の内容を読みたければ事前に登録した内容でログインしてね、というよくあるあれだ。 このログインのシステム自体はいくつかの方法を検討したが、最終的にプラグインで実現することにした。このプラグインの導入についてはまた別の機会に紹介したい。今回はこのログインシステムの採用にあわせてページネーションを取り入れることにしたので、そのページネーションのやり方について書いておく。 ページネーションとは ページネーションとは、ページ送りのこと ...
発酵が止まってしまったら | 再発酵の方法を考える
ワインを造っていると、さまざまな問題に出くわします。何事もなく、造っている本人も驚くほどスムーズにすべてが終わる時もあれば、何かしらの問題が起きてそれを解決したらすぐさま次の問題が起きる、などという悪夢ような時もあります。 とはいっても、ブドウの果汁がワインになるための一番大事なステップであるワインの発酵段階におけるトラブルは実はそれほど多くありません。 もしかしたら微生物汚染という言葉をお聞きになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれは厳密に言えば発酵の前後の時点で起きるもので、発酵段 ...
ノンアルコールワインの造り方 | ワインがワインであるために
さて皆さんはワインが と呼ばれる場面に出会った経験はあるでしょうか? この呼び方が世界共通のものかどうかは残念ながらわかりません。しかし少なくとも筆者はドイツでワインの教育を受けている期間、何度かワインをこう表現する場面に出会いました。 発酵させたぶどうジュース。なんとも言い得て妙な呼び方です。 個人的にはとても好きな呼び方で、時々使ってもいました。しかし最近ではこの呼び方をすると、ワインではない、別の製品カテゴリーのことだと思われることが増えてきました。 "ノンアルコールワイン" です。 ノンアルコール ...
ブドウ栽培・ワイン醸造の疑問を解決する
ワイン用のブドウの栽培をしていて次のようなお悩みをお持ちではないでしょうか? または現在すでにブドウの栽培を行っている方で、さらにレベルアップを図るために新しい知識を必要としていらっしゃるのではないでしょうか? もしくはワインを造るときに なんて疑問や要望をもったことはないでしょうか? その疑問や要望の解決をNagiがお手伝いさせていただきます。 自分だけでは勉強してみてもやり方がよくわからないし、誰かに手助けしてほしい。でもコンサルティングは高いし、お金はあまりかけられない。そんな方でも大丈夫です。 ご ...
甘口ワインの造り方
年末年始が近づくにしたがって需要も増えてくるイメージがあるのが、甘口のワインです。 甘口のワインといってもその種類は様々。口に含んでほのかに甘さを感じるくらいのものから、貴腐ワインやアイスワインと呼ばれる極甘口のものまであります。またポートワインなどで知られる、フォーティファイドワイン (酒精強化ワイン)と呼ばれる変わり種のワインにも甘口のものが存在しています。 こうした特に甘いタイプのワインはデザートワインとも呼ばれています。 貴腐ワインやアイスワインはその希少性から比較的造り方も知られていますが、そう ...
ブレットだけではないブレタノマイセス | ネズミ臭
フェノレ、という言葉をご存知でしょうか? ワイン、それも赤ワインをお好きな方なら馴染みのある言葉かもしれません。 また、フェノレには馴染みがなくてもブレットという言葉なら知っている方は多いのではないでしょうか。 これらは一般的に同じワインのオフフレーバーを指しています。 ブレタノマイセスによる「フェノレ」 フェノレ (phénolé) とはワインに生じるフェノール性の異臭 (オフフレーバー) の名前です。原語であるフランス語では「フェノール性の~」を意味する形容詞だそうですが、これがそのまま名詞として使わ ...
ショートコードをプラグインにして管理する方法
Affinger6 ActionがAffinger EX版ユーザーに対して限定先行公開された。 こちらのテーマ、これまでにAffinger5でもたびたびおこなわれていたバージョンアップとは違い、子テーマも変わる、いわばモデルチェンジ版。導入にはいろいろと問題が生じる可能性も十分に想定されたが、人柱よろしく早々に切り替えてみた。 今回はこのテーマの切り替えに合わせて行った、ショートコードのプラグイン化とfunctions.phpの軽量化についてだ。 なお、実行環境はエックスサーバーとアフィンガー6 Acti ...
引き算で考えるワイン造り
ワイン造りは難しい。そう思ってはいないでしょうか。 確かにワイン造りを細かく見ていこうとすると、そこには微生物学の知識や化学の知識が必須です。ブドウの栽培からお話を始めると、ここにさらに植物生理学や土壌学、気象学、物理学など必要となる知識は増える一方。とてもワイン造りは簡単です、とはいいにくいのが実情です。 ただそんな細かい知識が求められるのは本職の人間だけ。ワイン造りの基礎を学ぶのであれば、このような知識は実は不要です。 むしろそんな面倒くさい話をされれば、人間、好きなものも嫌いになってしまうのが道理と ...
デザートワインは赤くない?
ワインの好き嫌いは人によりけりですが、デザートワインの持つ深い甘味を嫌う人はあまり多くはないのではないでしょうか。 デュケムとまでは言わなくても、良い年のリースリングのトロッケンベーレンアウスレーゼを思い浮かべると思わず笑顔になってしまいます。 ところで一口にデザートワインと言ってもその種類にはいくつかあります。それぞれの種類によって造り方が違っており、それにともなって味や香りも全く変わってきます。タイプが異なるワインを比べてみると、これを同じデザートワインと括っていいの?、と言いたくなるほどの違いがある ...
ワインの添加剤と補助剤
醸造に関わらない方にとってはあまり身近な話ではありませんが、ワイン造りの過程において果汁中、もしくは発酵が終わった後のワインに入れられるものは次の2つに大別されます。 傍から見る分にはどちらも果汁中、もしくは発酵後のワインに「添加」されるものであるため大した違いはないように思われるかもしれません。しかしこの両者の間には非常に大きな違いがあります。 添加剤と補助剤の違い 添加剤と補助剤、一体何が違うのでしょうか。 この両者の違いは最終的なボトルの中に「残る」か「残らない」かの違いです。最終的にボトル内に何ら ...
何が違うのフィルターシート
画像引用: https://www.thomasnet.com/profile/10013647/ertelalsop.html 最近はノンフィルターのワインが話題になることが多くなっていますが、それでもやはり世界中で造られているワインのほとんどはフィルターを使ってろ過をしたワインです。 ワインのろ過に使うフィルターはいくつかありますが、そのなかでもダントツの複雑さをほこり、時として造り手さえをも混乱させるフィルターがあります。それが、シート型フィルターです。 シート型フィルター自体はコーヒーに使うペーパ ...
ワインと伝統と容器の関係 | クヴェヴリやボックスボイテルの意味を考える
伝統的にワイン造りの現場で使われ続けている容器。冷静に考えてみるとなぜ使っているのか分からない、というケースもあるのではないでしょうか。 なぜクヴェヴリを使うのか。ボックスボイテルの何が普通のボトルと比較して優れているのか。こうした問いに即答できるでしょうか。 この問いはとても多角的なもので、一面からだけ判断することにどれほどの意味があるのかは疑問です。ですが、ワイン造りの現場でこうした容器を使うかどうかを判断するためには、少なくとも醸造の面からその意味を考えておくことには意味があります。 今回はこうした ...
ろ過していれば大丈夫? | 清澄剤の残留とヴィーガンワイン
ワインといえばブドウから造られているので、菜食主義の方であっても安心して飲めるもの。 この考え方は必ずしも正しくはないことをご存じの方は多いと思います。 なぜ正しくないのか。 ワインの原料はブドウであっても、ワインを造る工程の中で動物性由来の材料を利用している可能性があるからです。動物由来の材料の多くは"清澄剤”と呼ばれる種類のものに使われており、その代表例が卵白であり、カゼインです。 こうした材料はヴィーガンにとっての問題としてだけではなく、より深刻なアレルギー物質としてたびたび取り沙汰されています。 ...
WordPressのカスタムフィールドを使ってデータベースを実現する方法
手元のデータ、気が付くと保存場所があちこちに散逸してしまって保存したはずなのにどこにいったのか分からない、ということがよくある。一部のものはGoogleスプレッドシートなどのクラウドサービスを利用して経過を記録しているものの、場合によってはあちこちのシートを行き来する必要が出て非常に見にくい。 そこで、もっと手軽に各データを関連付けたうえで必要な視点からまとめてデータを確認できる方法を考えていたところ、案外、Wordpressで構築するのが手間も少なくかつ目的に沿ったものが作れるのではないかという気になっ ...
ワインのコスト構造と利益の実態を知る
製品を作っているメーカーであれば自分たちが作っている製品の製造コストは誰もが正確に認識しているもの、と思われるかもしれません。 さらに各商品の価格はそうした製造コストに基づいて決めれているものだと思われている可能性は大きいと思います。 実はワインに限っては必ずしもそうではない、と言ったら驚かれるでしょうか。 正直なところ、ワイナリーに所属してワインを造る責任者をしていても「製品1本あたりのコスト」はほぼ把握できていません。 ヴィンテージ全体の生産コストはまだ把握できますが、販売のためのコストを見込む段にな ...
ドイツワイン トップ100 | 2020年版
少し古い話になりますが、昨年、2020年の11月末に Jamessuckling.com にて"TOP 100 WINES OF GERMANY 2020" と題した記事が公表されました。 https://www.jamessuckling.com/wine-tasting-reports/top-100-wines-germany-2020/ 記事のタイトルは2020となっていますが、内容は2019年のワインのテイスティングを中心としたものです。 テイスティングノートは上記サイト内の有料部分に掲載されて ...
CLSを改善させる | アフィンガーでの対策例
アフィンガーを使っているような人はブログの収益化を目指している人が多いのではないだろうか。 そしてそうした人たちはきっと自分のサイトのSEOについても日々、頭を悩ませ対策を講じているのだろう。そうした人たちにはCLS (Cumulative Layout Shift) という単語には馴染みがあると思う。 今回は表のサイトのCLS評価があまりに分かるかったので改善をすることにした顛末を記録として残しておくことにする。アフィンガー、特にアフィンガー6 「Action」を使っていてCLSの評価が低い人は参考にし ...
徹底解説 | ワイン酵母のキホンのキ
ワインを造るために欠かすことのできないモノが2つあります。 1つは原料となるブドウ。そしてもう1つが、酵母です。 酵母はワインやビール、日本酒といった醸造酒を造る以外にもパンの記事を醗酵させる時にも使いますので誰にとっても比較的身近な存在です。イースト (yeast) とも呼びます。 一方で、「酵母ってなに?説明して」といわれたときに皆さんは迷うことなく説明できるでしょうか。 今回は酵母の基本をおさらいします。 酵母とはなにか 酵母は一般的に「菌」と呼ぶ種類の微生物の一種です。 微生物学的にいえば細胞壁を ...
ぶどう栽培と牛乳による病気予防 | ブドウ畑のウドンコ病対策
ブドウが罹る病気はいろいろありますが、その中でも世界中で発生しており、ブドウ栽培における三大疾病ともいえる病気があります。 です。 これらの病気はブドウの品質や収穫量に大きな影響を及ぼすやっかいな病気として知られています。そのため対策方法もいろいろ開発されており、従来型の薬剤による防除だけではなく、ブドウ品種の改良によっても進められています。 増え続けるブドウ品種 | PIWIというカテゴリー 栽培技術 | ブドウ栽培における病気への対策 - 防除の方法 三大疾病のうち灰色かび病だけは他の2つと少し毛色が ...
白ブドウとの混醸がもたらす赤ワインの色への影響
ワイン醸造の手法の1つに混醸 (co-fermentation) と呼ばれるものがあります。 混醸とは2種類、もしくはそれ以上の数の種類の異なるブドウ品種を同じ容器の中でまとめて醗酵させる醸造方法です。醗酵が終わったワイン同士をブレンドする手法に対して醗酵前にブレンドしてしまうことが特徴です。 なお、フィールドブレンドは同じ畑の中に複数の品種のブドウを取り混ぜて栽培する、混植をさします。フィールドブレンドの畑で収穫されたブドウの醗酵は必ず混醸になりますが、混醸自体は別々の畑から収穫された異なる品種のブドウ ...
安ワインとコスパワイン | 造り手の視点から
今の世の中、美味しいものを食べたり飲んだりしたいけれどあまりに高いのはちょっと困る。そう思う方は少なくないと思います。 お手頃なお値段で美味しいものに出会えたなら嬉しいし、それが安いと感じられるものであればなお嬉しい。生活に直結するだけにそのものの価格はそうそう無視できない要素です。 ワインにしてもやはりそう。 世の中で有名なワインはぜひ飲んでみたいと思わせてくれるものの、その価格からとても手が出せないボトルが多くあります。しかもそんな印象が先入観となってワインは高いもの、と思われている場合も少なくありま ...
ワインを原料とする安ワイン | バルクワインの世界
ワインは高いもの、と思われている方は少なくないと思います。しかし、それは極一部の限られたボトルの話。ワインは極端にコモディティ化が進んだ商品セグメントで、価格競争は非常に厳しくなっています。しかも競争相手は世界中から出てきます。 一方でこうした競争の恩恵で市場には低価格のワインが数多く並び、日々の食卓を彩る一役を買っています。 この記事を読んでくださっている皆さんもスーパーで数百円で販売されているワインを目にしたことがあるのではないでしょうか。 こうしたワインの多くにはバルクワインと呼ばれるワインが関わっ ...
3つの視点から捉える振動の影響 | 振動はワインをどう変えるのか
ボトルに入れられワイナリーから出荷されたワインはいろいろな面から影響を受け、その味を変えていきます。この味が変化していく状況を熟成や劣化と表現しています。ワインの熟成や劣化と聞いて思いつくのは、多くの場合、酸化や熱劣化ではないでしょうか。 ワインが影響を受ける要素として挙げられるのが以下の5つです。 これらの中でも温度による影響がもっとも大きいといわれています。 しかし酸素との接触が酸化を引き起こし時としてワインの味も香りもダメにしてしまうことは周知の事実ですし、湿度の変化はコルクの乾燥による液漏れやカビ ...
古くて新しい容器、アンフォラを知る3つの視点
アンフォラ。 ワイン界隈で近年、話題になることの多い単語です。何となく耳にしたことがある、という方も多いのではないでしょうか。 アンフォラ (amphora、複数形は amphorae もしくは amphoras [Wikipediaより]) は簡単に言えば取っ手のついた陶器の壷です。古くは紀元前15世紀ごろのレバノンですでに使われていたそうで、ワインに限らず様々なものを入れる容器として使われていました。 形状は時代や地域によって様々あるようですが、多くは丸い壷の首の部分を長くすぼませて、そこの両端に取っ ...
ワインと酸 | ワインの有機酸を考える3つの視点
ワインには欠かすことのできない要素があります。 アルコール? お酒ですからアルコールは必須です。これがないとせっかくお酒を飲んでいるのに酔えません。 タンニン? 赤ワインには適度の渋みが欲しいですね。赤ワインの色味にも影響しています。フェノール、とまとめて表現する場合もあります。 甘味? デザートワインのように深い甘さを持つワインも絶品ですが、オフドライのほのかな甘みも飲みやすさを増してくれます。ちなみにワインの関係者はよくこの甘味を指して、残糖や残糖分と表現します。 こうした成分はもちろん大事です。そし ...
地理的表示とワインの価値
ワインの出身地とそこに由来する特徴を保証する地理的表示。GI (Geographical Indication) とも呼ばれます。 国や地域、産地で細分化されているので覚える対象が多く、すべてをきちんと把握しようとすると大変です。 しかし一度覚えてしまえばワイン選びにも役に立つ場面が多い知識です。資格の受験を考えたことのない方でも興味を持って調べた経験をお持ちの方は少なくはないのではないでしょうか。 地理的表示の有無は数多くのワインが並んだ棚の中から自分の好みに近いタイプのワインを選び出すための手段の1つ ...
ブドウの日焼け対策 | カオリンは救世主になり得るか
ブドウの芽吹きから2か月弱が過ぎ、畑では新梢が日に日に長くなってきています。これにあわせるように、1日の最高気温が高くなり、すでに夏を思わせるような気温になる日も出てきています。 この6月頭には最高気温が28℃にもなる日が数日続き、今夏の厳しい暑さを早くも予感させています。こうなると心配させるのが、ブドウの日焼けです。 ぶどうの日焼け https://nagiswine.com/winegrape-01/ 特にここ数年は気候変動の影響を受け、ドイツでも夏が非常に暑くなっています。もともとドイツはブドウ栽培 ...
ワイングラスとスワリング | ワインあるある
ワインが注がれたワイングラスをクルクル回す、スワリング。ワインのある場所ではとてもよく目にする光景です。人によってはこれでもか、というくらいにクルクル、クルクルしています。 このスワリング、やった方がいいという方とやらない方がいいという方がいらっしゃいますし、やるにしても最初はダメ、という方もいらっしゃいます。とあるSNS上で時々、思い出したように話題になる程度にはいろいろな意見のある行為です。 スワリングをする、もしくはしない理由はいろいろと耳にしますが、科学的な根拠の話になると話題の盛り上がりの割には ...
数字からみる南アフリカワイン | なぜ南アフリカワインは安くて美味しいか
南アフリカワイン。 安くて美味しいワインとして今や欠かすことのできない存在です。一時期は「安くて美味しい」といえばチリワインが代名詞でしたが、最近は南アフリカがこのカテゴリーの筆頭に挙げられることも増えてきたように思います。 南アフリカワインを語る時によく耳にする三拍子が次のようなものではないでしょうか。 フルーティーで果実味がしっかり感じられる甘さもあるけれど酸味もしっかりしているコスパがいい さらにこれにセットで、ワイン用ブドウの栽培に適した気候、地球最古の土、低コストでプレミアムワインを造る最適な環 ...
ブドウとワインと気候変動 | 早い発芽のメリット・デメリット
今年はもうブドウの芽が開いた。 ここ最近、毎年のようにブドウが発芽したニュースを前年よりも早いタイミングで聞くようになりました。 2021年のドイツでは4月以降の気温が例年よりも低い状況が続いたためにブドウの萌芽が数年ぶりに長期平均よりも4日ほど遅くなりましたが、2019年は長期平均よりも9日早く、2020年に至っては16日も早い芽吹きが記録されています。 こうした早いシーズンの到来はドイツに限ったものではありません。 ブドウの芽が早く開く原因は多くの場合、気候変動の結果と説明されます。では、ブドウがより ...
ワインと土壌とテロワール | 粘板岩の色とワインの個性
ワインの持つ個性を説明する時、よくテロワールと関連付けて話をされます。 そうしたテロワールを構成する要素の1つが、土壌です。 土壌にはいくつもの種類があります。 粘土や石灰岩と並んで土壌の一角を占めているのが、シーファー (Schiefer) です。日本語では粘板岩、英語ではスレート (slate) やシスト (schist) と呼ばれます。 シーファーの土壌はドイツに多く、ワイナリーではシーファーの種類ごとにワインを分けて仕込んでいる場合も多く見られます。そう、シーファーには種類があります。 シーファー ...
ブドウ栽培の基礎知識 | ブドウの樹のとらえ方
エネルギー源は太陽 枝はエネルギーの交通路 幹はエネルギーの貯蔵庫 たった3行。このたった3行がブドウ栽培でもっとも大事なことです。 これさえ知っておけばほかのことは忘れてしまっても大丈夫。だから、この記事もこれで終わり。とはさすがにいかないのでもう少し内容に踏み込んでいきましょう。 今回はブドウの栽培の基礎知識をちょっと普通とは違った視点から解説していきます。キーワードは、エネルギーです。 3つの部分からできているブドウの樹 ブドウの樹は葉、枝、幹の3つの部分からできています。根を入れれば4つです。 こ ...
除葉の時期とその効果 | 開花前の除葉がもたらす色への影響
ワイン用のブドウ栽培で重要な作業の1つに除葉があります。 除葉とは読んで字のごとく、ブドウの樹から葉を除去する作業のことです。 葉は植物が光合成をするための重要な器官。にも関わらずその葉を取り除いてしまうなんて、と思われるかもしれません。しかしこの作業はブドウの栽培をするうえで重要な意味を持っています。 除葉についてはいろいろな議論がされています。手で行った方がいいのか、機械でやってしまった方がいいのか。どれくらいの量の葉を除去するのが適切なのか。そして、いつやるべきなのか。 こうした議論のいくつかはすで ...
ワインの新しいかたち | バッグ・イン・ボックス
大容量で家飲みに最適だとしてバッグ・イン・ボックスが人気です。 バッグ・イン・ボックス (Bag-in-Box: BIB) とはワインが入れられた袋 (Bag) を紙の箱 (Box) に入れたもののこと。容量が2L以上あるものがほとんどで、中には5Lというものも販売されています。その外見からボックスワインとも呼ばれています。 密閉された袋の注ぎ口から飲み大量のワインを注いで飲めるため酸化のリスクが低く、開封後も数週間かけてゆっくり飲めるといわれています。ガラスを使わず紙とプラスチックの袋だけなので軽いほか ...
ブドウの病気 | 黒とう病を知る3つの視点
ブドウは世界中で栽培されている果樹作物で、その栽培面積は地球上でも最大規模だといわれています。 北はイギリスやカナダから南はニュージーランドまで、地球の表面をほぼ覆うほどの規模で栽培されていますのでその栽培条件も様々です。年間通して涼しく乾燥した地域もあれば、一年中暑くて湿度の高い地域でもブドウは栽培されています。 そうした土地の違いを端的に表すのが、病気です。 ワインの旧世界と呼ばれる欧州ではブドウの病気といえば、ベト病、ウドンコ病、そして灰色カビ病です。最近はESCAも無視できない重要な病気として捉え ...
ワインの欠陥臭ブレットを生む酵母 | ブレタノマイセス
楽しみにしていたワインのボトルを開けて、グラスに注ぐ。そこから立ち上るかぐわしい香りを嗅ごうと鼻を近づけると、何かが違う。 こんな経験をお持ちの方は意外と多いと思います。 本来はしないはずの、特に不快に感じる臭いがするワインを欠陥臭 (オフフレーバー) を持つワインといいます。ワインのオフフレーバーにはいくつも種類がありますが、中でも有名なのものの1つがブレット (Brett) です。ブレットは馬小屋の臭い、馬の汗の臭い、動物的な臭い、などと表現される欠陥臭で、赤ワインで特に感じる機会が多いのが特徴です。 ...
ブドウの収穫が開始 | 2021年ハーヴェストの幕開け
ここ数年間の夏と比較すると冷夏と表現できるほどに涼しい日の続くドイツですが、この気候の違いを如実にあらわすように昨年から遅れることおよそ2週間、ついに2021年最初の収穫の報告が入りました。 DWI(Deutsches Weininstitut / Wines of Germany) によると、8月23日にラインヘッセンのリェルツヴァイラー (Lörzweiler) という町で今年最初のブドウの収穫が行われたそうです。また同日中にPfalzでも最初の収穫が行われたとDWIのプレスリリースには記載されていま ...
ワインの個性か汚染か | ブレットを知る
ワインを飲んでいると避けることのできない悲劇がいくつかあります。 真っ白いシャツに赤ワインのシミを作ってしまう。ついつい飲み過ぎて翌日に酷い頭痛に悩まされる。誰にでも経験があると思います。そうした悲劇の1つが、楽しみにしていたワインからおかしな臭いや味がする、というもの。楽しくなるはずの時間が一瞬で崩壊する可能性の高い、とても大きな悲劇です。 ワインから本来はしないはずの臭いや味がすることを一般に、ワインの欠陥臭 (オフフレーバー、不快臭とも) といいます。コルクが原因となってカビのような臭いのするブショ ...
ワインにフェノールとタンニンを増やす是非 | 延長マセラシオン
ワインを造る時に使われる醸造技術の1つにマセラシオン (Maceration, マセレーションとも) があります。日本では「醸し」とも呼ばれる技術で、果汁やワインにブドウの皮や種を数時間から数日、長ければ数か月にわたって漬け込んでおく手法を指しています。 「スキンコンタクト」や「果皮浸漬」と呼ばれる手法も基本的にはこのマセラシオンの別名です。 いろいろな呼ばれ方をするマセラシオンですが、その目的は大雑把にいえば「抽出」です。ブドウの皮や種子からその中に含まれているいろいろな成分を果汁やワインの中に引き出す ...
ワイン醸造|ロゼワインの造りかた
今年もまた、収穫の季節が来ています。 ワイナリーのワインリストや植えているブドウの品種の構成にもよりますが、シーズンの最初に収穫されたブドウで造られることが多いのが、スパークリングワインとロゼワインです。スパークリングワインが多いのは、二次発酵を行うために果汁糖度よりも酸量が重視されるから。ロゼワインが造られやすいのはやはりブドウの熟度との関係や、スパークリングワイン造りとの関係があります。 https://nagiswine.com/sparklingwine-02/ https://nagiswine ...
ワインとサスティナビリティ | ローマ時代のブドウ畑は甦るのか
一見、クラシカルなものの典型にも思えるワインの世界ですが、業界内では様々なブームやトレンドがあります。 長年続いているものもあれば気が付けば翌年には忘れ去られているようなものもあります。 そうした玉石混交ともいえる潮流の中ですでに長い期間にわたって支持され、徐々に存在感を増してきているのが原点回帰思想とでもいうべき一連の流れです。 現代的なワイン造りを否定し、中世に行われていたようなワイン造りのスタイルに戻っていこうとでもいうべきこの動き。古代の壺であるアンフォラの醸造容器としての使用、白ワイン用ブドウを ...
誤解だらけの赤ワイン醸造 | Remontage, Pigeageはなんのため
白ワインと赤ワイン。 この両者のもっとも大きな違いはその色にあります。 ほとんど色味を持たない白ワインに対して、赤ワインは目に鮮やかな赤い色をしています。これは赤ワインには赤い色をした成分が含まれているから。 赤ワインを造る時にはブドウからこの赤い色味の成分を取り出すために、果皮や種子を果汁に漬け込んでいます。 徹底解説 | 赤ワインはなぜ赤いのか? https://nagiswine.com/phenol-01/ ワインにフェノールとタンニンを増やす是非 | 延長マセラシオン https://nagis ...
徹底解説 ワインと木樽 | 樽熟成の主役 オーク樽の基礎
ワイン、特に赤ワインに関してよく聞く言葉があります。 新樽比率、フレンチオーク、バッリクでの樽熟成。これらはすべて、ワインの醸造時に使われる木製の樽に関係したものです。 ワインと樽は歴史的にも長い関係を持ってきました。各地で様々な大きさと形の樽が作られ、今でも変わらず使われています。 バリック (Barrique) といえば赤ワイン醸造で使用する代表的なオーク樽ですが、ボルドーでは225L、ブルゴーニュでは228L、コニャックでは300Lとそれぞれサイズが違い、形状も微妙に異なっています。バリックよりも大 ...
ワインと樽と抽出物 | フェノールと樽香
「樽香」 日常生活では聞きなれない単語ですが、ワインをお好きな方にはとても馴染みのある言葉なのではないでしょうか。 「樽香 (たるこう)」とはワインから感じられる、樽に由来する香りを指しています。主にアルコール発酵が終わったワインを木の樽に保管し熟成させることで、本来は樽についていた香りがワインに移るのがワインから樽の香りがする理由です。 樽香は複数の香りの種類をまとめた表現方法です。一般的に樽香には次のような香りが含まれています。 ヴァニラチョコレートココナッツ・ミルクスパイス / クローブアーモンド ...
ワインの味と酸の関係 | ワインを丸くする2つの方法
ワインにとって欠かすことのできない、とても大事な要素の1つが酸です。 国や地域、ブドウの品種を問わず、美味しいワインには必ずと言っていいほどそれなりの量の酸が含まれています。逆に酸がたりないワインではそれがどんなに有名な産地のワインであったとしても高い評価を得ることは難しくなります。ワインの味の中心は糖分と酸とアルコールのバランスで形作られているといえます。 またワイン含まれる酸の量はワインの熟成に対しても少なくない影響を与えます。このため、いいワインであればあるほどそこに含まれている酸の量が重要になるの ...
ワインと酸と乳酸菌 | MLFを知る
ワインにとって酸は欠かせない要素です。 ただ、酸は多すぎても少なすぎてもダメ。全体とのバランスがとても大事です。 ワインには複数の酸が含まれていますが、ワイン造りの視点から見て特に重要なのは酒石酸とリンゴ酸です。この2つの酸はワインに含まれている酸の中でも特に量が多く、ワインの持つ酸味にも強く影響を与えています。 ワインと酸 | ワインの有機酸を考える3つの視点 https://nagiswine.com/acid-01/ ワイン造りの過程で味を調整するために酸味のバランスを取ろうとするとき、多くの場合は ...
マロラクティック発酵とワインの欠陥臭 | MLFの両面性
ワインの酸を減らしたり、独特な香りやニュアンスを持たせるために積極的に活用されるマロラクティック発酵 (Malolactic fermentation: MLF)。ワイン造りにおける微生物を利用した醸造手法です。 化学的な手段に頼らない、より自然的な手法である点も好まれる理由の1つです。 ワインと酸と乳酸菌 | MLFを知る https://nagiswine.com/mlf-01/ ワインの味と酸の関係 | ワインを丸くする2つの方法 https://nagiswine.com/adic-managem ...
除梗がワインにもたらす影響
1年かけて育て上げ、収穫したブドウが醸造所に届いたときに最初に醸造家が頭を悩ますのが、そのブドウをどうやってワインに仕上げていくのか、です。 この「どうやって」にはいろいろな意味が含まれています。 そんな中の1つが、「どうやって搾るか」です。 実はこの問いかけにもさらに多くの内容が含まれているのですが、今回考えるのはそうした中でも最初の方に位置する質問である、「除梗をするのか、しないのか」です。 除梗の意味と目的 除梗とは読んで字のごとく、梗を取り除くことをいいます。ブドウはたくさんの粒が緑色をした茎のよ ...
ワイン用ブドウの栽培 | クローンを知る
ワインの勉強をしていると「ブドウのクローン」という言葉に遭遇することがあります。 クローン。 最近ではワイン以外の分野で耳にする機会も増えてきた単語ですが、まだまだ一般に広く認識されているようなものではありません。しかもワインの分野では醸造面よりも栽培面での意味が大きく、テイスティングの場で注目されることはあまりありません。 クローンがなんなのか、何となくはわかっていても理解しきれていない場合も多いのではないかと思います。一方でこだわる人はこだわり抜くのがこのクローンでもあります。 この記事ではブドウのク ...
熟成香か欠陥臭か アセトアルデヒドを知る | 醸造と熟成がもたらす香りの要素
アセトアルデヒド、という言葉を聞いたことはあるでしょうか。エタナール (ethanal) とも呼ばれる物質です。 アルコール (エタノール: ethanol) の最初の代謝物で、お酒を飲むと体内でアルコールが分解されていく過程で生成されてもいます。 二日酔いを避けるために。アルコールの分解を知ろう! https://nagiswine.com/alcohol-01/ 体内でエタノールがアセトアルデヒドに分解される際にはアルコール脱水素酵素 (ADH) と呼ばれる酵素が働きます。この一方で、アセトアルデヒド ...
植物の未来の姿を知る実験 | FACE
FACE、と呼ばれる実験をご存知でしょうか。 おそらく多くの方は知らないと思います。ですが、それも当然です。この実験、植物の成長や環境から受ける影響を調べる人たちからするともう10年以上にわたって活用されてきたものですが、一般の人が目にしたり耳にしたりすることはまずないものだからです。 FACEとはFree Air Carbon dioxide Enrichmentの略で、大気中の二酸化炭素濃度を人為的に引き上げ、その環境下で植物がどのように反応をするのかを観察する大型実証実験を指しています。 なぜこの実 ...
ワインの量と品質の関係 | 液面の高さは何を語るのか
ワイン、なかでも古酒と呼ばれる、造られてから十数年、長ければ数十年を経たワインではその品質管理の基準の1つに「液面の高さ」が取り入れられていることがあります。 インポーターさんや業者さんの中には独自に液面の高さをチェックして、規定の範囲よりも液面が低い場合には出荷しない、と決めていらっしゃる場合もあるようです。ワインをお好きな方々が集まるワイン会でももしかしたら「このボトルは液面が下がっている」なんて話を耳にするかもしれません。 この「液面が低い」話の特徴は、このセリフが出た場合は十中八九、そのボトルの品 ...
ワインボトルの保管方法 | 縦置きと横置き、どちらが正解なのか
ワインを保管するときにおそらく誰もが一度は疑問に思うこと。それがボトルの置き方でしょう。 ワインのボトルは横置きにしなくてはいけないのか、縦置きにしてはいけないのか。 少し調べてみると、コルクで密閉しているボトルに関してはコルクの乾燥を避けるために横置きにするべき、という説明を多く見かけます。一方でスクリューキャップのものやプラスチック系の樹脂を使った合成コルクを使用しているボトルでは乾燥による劣化が生じないので横置きの必要はないとされています。 こうした、ある意味における世の中の常識とも思われている保管 ...
持ち込みワインボトルの冷やし方とその温度
徐々に気温が暖かくなってきて、春を感じる過ごしやすい季節になってきました。花が開いて世界が明るくなり出すと、お酒を飲む機会も増えてくるもの。 お花見、BBQ、ホームパーティーやワイン会。手持ちのワインを持ち寄ってみんなで楽しく飲みたい、そんな気持ちも盛り上がってきます。 そうした楽しいイベントが仕事の後だったり、日中から外出する予定のある日の夕方以降だったりすると気になるのが、ワインの温度。持ち出すときにはきちんと冷えていたワインも、移動や業務時間中に適切に冷やすことができず温まってしまうことはよくありま ...
お仕事のご依頼・ご相談
フリーランスの醸造家としてもお仕事をお引き受けさせていただいております。 ブドウの栽培やワインの醸造についてのご依頼やご相談、セミナーのご依頼などはこちらからお問い合わせください。
光が変えるワインの香り | 日光臭
日光臭。 青く晴れ渡った空の下にひらめく洗い立ての白いシーツ。そのシーツに包まれたときに感じる、幸せなお日様の香り。と思ってしまいそうな名前ですが、残念ながら違います。 日光臭とはLight-struck taste (LST、Light-struck flavor: LSFとも)、Goût de Lumi`ereとも呼ばれる欠陥臭の1つです。ビールや牛乳で指摘されることの多いオフフレーバーですが、日本酒やワインでも無縁のものではありません。 日光臭は主に保存中に発生する欠陥臭です。その名前の通り、ワイン ...
ワインの安定剤は何を安定させるのか | アラビアガム (アカシア) について
「ワインはブドウだけから造られているもの」。多くの人が思っているはずのことですが、それに反して一部のワインのバックラベルを見ると添加物に関する記載がある場合があります。 添加物にはいくつかの種類がありますが、その中でも有名なのが酸化防止剤と安定剤です。 酸化防止剤は主に亜硫酸とも呼ばれる二酸化硫黄 (SO₂) が使用されています。この物質はごくまれに防腐剤と誤解をされていたり、頭痛の原因のように言われることもありますが、物質としては比較的よく知られています。一方で安定剤はその目的も使用されている物質もあま ...
ワインの発酵期間
誰もがそんな事は知ってるよ、とおっしゃるかもしれませんが、ワインはブドウの果汁を発酵させて造られています。 発酵という工程は醸造酒と呼ばれるアルコール飲料にとって欠かすことのできない、もっとも重要なものです。逆にいえば、原料になるブドウを発酵さえさせられれば他には何もなくてもワインは出来上がります。 発酵について語ろう https://nagiswine.com/fermentation-01/ そんなワイン造りの中心部分を担う発酵ですが、今日摘んできたブドウが明日には発酵を終えてワインになるわけではあり ...
ワインのラベルは味わいを作る
ワインを買いたい。 そう思い立ってワイン売り場に赴くと、そこにはたくさんのラベルが並んでいます。あらかじめ買うボトルが決まっていれば別ですが、そうではなかった場合、あなたはどうやって買うボトルを決めているでしょうか。 国、地域、畑、ブドウ品種、生産者、etc, etc… たくさん並んだボトルの中から欲しい1本を選び出すための絞り込み要素はいろいろあります。試飲ができるお店であれば実際に飲んでみて、味を確かめてから決めることもできます。一方で、必ずしもそうやって悩みながら決めているとは限らないのではないでし ...
ワインの香りの秘密
ワインの香り。それはワインを楽しむ上でとても重要な要素です。 ワインに含まれる香りの成分はとても多く、数百種類に及ぶとも言われています。そうした中からそれぞれの香りを拾い上げ、表現する行為はワインを楽しむ醍醐味の1つでしょう。 ワインの香りを探っていると、時として意外な香りに出会うことがあります。ブドウだけから造られているはずなのに、花や木、動物を思わせる香りがあるだけではなく、スパイス、バニラ、チョコレートなんてものも出てきます。 ワインの香りは使われているブドウの品種によっても違います。普段から飲みな ...
酸化をさせて酸化から守る手法 | ハイパーオキシデーション
ワインと酸化。これはとても相性の悪い組み合わせです。 飲み始めたワインのボトル。美味しいのだけれど1本は飲みきれず、翌日飲もうと思って栓をして冷蔵庫に保管。ところが翌日から仕事が忙しかったり体調が優れなかったりでワインを飲む気になれず、気がついたら抜栓から1週間。ようやく落ち着いて、ワインでも飲もうかと冷蔵庫から取り出したボトルをグラスに注いで口に運んだら味が違う… こんな経験は誰にでもあると思います。 ワインの味を変えてしまった犯人は酸素です。ワインをグラスに注いだ分、ボトルに入ってきた空気に含まれてい ...
ナチュラルワインの現在地
注意 この記事では内容の関係上、ほかの記事のように、ナチュラルワイン、自然派ワイン、ヴァン・ナチュール、ナチュールなどの用語の使い分けは行っていません ナチュラルワインの人気が続いています。身の回りを見回してみても、ナチュラルワインを専門に扱うワインショップやワインバー、レストランも比較的簡単に見つかるようになりました。 もしかしたら飲むワインはナチュラルワインだけ、という方もいらっしゃるかもしれません。 ワイン業界内でも存在感を見せるナチュラルワインですが、未だにその定義は曖昧です。任意の団体が組織され ...
全房発酵のウソ、ホント | ブドウの茎がワインに与える影響
ワイン造りの方法で、除梗もしくは全房発酵という言葉を聞いたことはあるでしょうか。 どちらもワインを造るときにブドウをどういう状態で使うのかを表した言葉です。 ブドウの房は緑色をした茎のようなものにブドウの粒がたくさんついた形をしています。この茎の部分のことを果梗 (かこう)、もしくは単に梗 (こう) といいます。 ワイン造りの現場では、ワインを造るときにこの梗を取り除いてブドウの粒の部分だけを使う造り方を除梗といい、梗も含めて房ごと使うことを全房といいます。全房発酵とは、梗を含めた房の全てを入れた状態で果 ...
ワインとpH | pHの変化はワインに何をもたらすか
ワインを造るときにとても重要といわれる要素にpHがあります。 pH。中学校の時の理科や高校の化学で習った記憶のある方も少なくないと思います。でもこれがワインになると、何がどう関係しているのか分かりにくいのではないでしょうか。 ワインとpHの関係は調べてみると大量に出てきます。ただそうした中には少し勘違いしているものや、もう少し整理してほしい、というものもあります。こうした状況のせいか、ワインの造り手でも時々勘違いをしている場合があります。 そこで今回はワイン造りの基礎であり、かつ極めて重要なpHとワインの ...
消費者から見たナチュラルワイン
ドイツの専門誌 'der deutsche weinbau' に大変興味深い調査に関する記事が掲載されました。記事のタイトルは 'Bewusst Geniessen (意識して楽しむ)'。調査された場所はオーストリア。調査テーマはナチュラルワインの購買理由です。 ナチュラルワインをはじめ、ワインの購買行動についてはすでに様々な調査が行われています。先行調査の多くは調査対象者にブラインドでワインの試飲をしてもらい、その後にそのワインを買いたいと思うかどうかを尋ねる方法がとられています。以前、別の記事で紹介し ...
ワイン造りの新技術 | 超音波の可能性
超音波。耳にする機会はそれなりにあっても実際に利用している場面はなかなか思いつかないものの1つではないでしょうか。 眼鏡をお使いの方はもしかしたら、超音波式の洗浄槽を使ってレンズの汚れを落としていらっしゃるかもしれません。またワイン好きの方はもしかしたら、数年前に話題になった超音波でワインを短時間で熟成させると謳っていた商品を覚えていらっしゃるかもしれません。 超音波は比較的簡単に、かつ非加熱、非接触で加工ができるという特徴から食品加工の分野で利用価値が高いのではないかと注目されてきました。ワインに関係す ...
ワインのミネラリティ | "味","香り","感触" ミネラル感の正体を探る
ワインを飲んでいると、いつかどこかで必ず出会うであろう表現があります。「ミネラル感」もしくは「ミネラリティ」です。まだ聞いたことがない、という人もきっと比較的近い未来に出会うことになるだろうと断言できる程度には頻繁に使われている表現です。 このミネラル感という表現はこれまでにも様々な議論がされてきている、いわくつきの表現でもあります。そもそも「ミネラル感」とは一体どんな感覚なのでしょうか。 ミネラル感という表現が頻繁に使われるようになったのは2000年ごろからのことと言われています。すでに20年を超える期 ...
ワインのアルコールフリー化 | ワイナリーの新戦略
最近のワイン業界のトレンドというとナチュラルワインやオレンジワインが思い浮かびますが、実はそうしたワイン以上に、ノンアルコールワインに熱い視線が向けられていることはご存じでしょうか。 アルコールを含まないノンアル酒類はビールに日本酒、カクテルなどで市場が拡大しています。いまや”アルコールフリー”は酒類業界全体に共通するトレンドワードです。 こうした流れは日本に限った話ではありません。例えばドイツ。ドイツはビールの国としての印象がとても強いと思いますが、ノンアルコールビールの開発、販売が活発に行われておりど ...
ワインとタンパク質 | 濁りやアレルギーの原因への対処法
ワインにはタンパク質が含まれています。意外と知らない人も多いことですが、事実です。 知ってるよ、清澄剤として添加するのでしょう?と言われる方もいらっしゃるかもしれません。その通りです。ただ、清澄剤に由来しないタンパク質もワインには含まれます。 ワインを飲めばタンパク質まで摂取できるのであれば健康的でいいじゃないか、と言いたいところですが、ワインにおいてタンパク質は厄介者です。入っていていいことは残念ながらほとんどありません。 ワインにとって大きな問題となる可能性を持つタンパク質。由来と対処方法について整理 ...
1からわかる還元臭 | ワイン最大の欠陥臭を理解する
ワインには時に不快臭や欠陥臭、オフフレーバーと呼ばれる好ましくない、時には明確に嫌な匂いがするものがあります。 数あるワインの不快臭の中でも代表的なものが、還元臭です。 誤解を恐れずにいえば、還元臭を含むワインとの出会いは日常茶飯事です。ワインの世界的なコンテストの1つであるInternational wine challenge (IWC) で2006年から2008年の間に欠陥臭があると判断されたワインのうちの実に26 ~ 29%が還元臭だったそうです。またOIVによる報告では、2015年の全世界におけ ...
ブドウの香りとワインの香りはどうして違う | 揮発性化合物と前駆体
ワインを楽しむうえで欠かすことのできない要素。香りは間違いなくその重要な要素の1つです。 ワインをグラスに注ぐ。いきなり口に含むことはせず、まずはグラスを鼻に近づけて立ち昇ってくる香りを楽しむ。時にはグラスを回してさらに香りの変化に集中する。そうしてからやっとワインを口に含んで味をみる。 この一連の流れはもはやワインを味わうときの儀式といってもいいかもしれません。 ワインには数百種類を超える種類の香りが含まれているといわれています。とんでもない量と思われるかもしれませんが、ヒトの嗅覚器官はその十倍、数千種 ...
酵母のチカラ | ワインの熟成と滓の関係
ワイン造りでは酵母の存在が欠かせません。酵母がいるおかげでブドウのジュースはワインになることができます。 ワイン造りの主役ともいえる酵母ですが、その活躍の場はアルコール発酵中だけに限らないことはご存知でしょうか。酵母はアルコール発酵という大役を終えた後も、滓となってワインの熟成に大きな影響を与えています。 例えばシュール・リー (Sur Lie) と呼ばれる醸造方法は、アルコール発酵後の熟成期間中もワインを滓と一緒にしておくことでワインが滓からの影響をより強く受けるようにするものです。シャンパーニュに代表 ...
ワイン造りの新常識! 酵素を知るための一問一答
ワイン造りの現場で、酵素が注目を集めています。 酵素はヒトの生体活動から日々の生活にまで広く利用されています。消化酵素や酵素剤という単語を日常生活の中で耳にしたことのある方も多いと思います。さらに酵素は洗濯洗剤や鉱物の掘削にまで利用されています。まさになくなると生活が成り立たなくなる存在。それが酵素です。 そんな酵素がワイン造りの現場でどう利用されているのか。一問一答形式で解説していきます。 酵素は結局なんなのか そもそも酵素とはなんなのか。成分的な意味での答えは、ほとんどの場合はタンパク質、です。酵素は ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#1 | いいワインとはなにか
https://youtu.be/Tybv0uQkHAE 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#2 | ワインと土壌
https://youtu.be/TR6KBoMKLv8 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#3 | ワインと栽培
https://youtu.be/S_zzTaGs4B4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#4 | ワインと有機栽培
https://youtu.be/e-9WqBsic_E 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#5 | 気候変動とワインの未来
https://youtu.be/zmiYlbO4pb4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#6 | ワインと添加物
https://youtu.be/3vpP23Xs-YU 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#7 | ワインと収穫
https://youtu.be/3FNIs7iowf8 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
ワイン造りと清澄 | デブルバージュの意味と方法
ワインの勉強を始めると普段の生活ではあまり耳慣れない言葉に出会うことがあります。その1つが「清澄」ではないでしょうか。 清澄という単語を辞書で調べてみると、「澄みきっていて清らかなこと。また、そのさま」(デジタル大辞泉より引用) と出てきます。ワイン造りの現場でこの言葉を使う時には主に、濁った状態の果汁やワインを何らかの方法で濁りのない状態、もしくは濁りの少ない状態にすることを意味しています。清澄剤とはこの清澄作業の際に補助剤として果汁もしくはワイン中に添加するもののことです。ちなみに濾過もこの清澄作業の ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#8 | ブドウの発酵前処理
https://youtu.be/oyUoBADN1s0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
ワインの輸送と保管と温度管理 | 熱の影響を考える
夏の暑い時期、ワインの配送はクール便指定にするのが半ば当たり前のことになっています。自宅に届いたワインの保管、可能な限りワイン用のセラーに入れておくことが推奨されています。 こうした「温度」に関係した取り扱い方法や注意事項がよく言われる理由は、ワインという飲み物がとても温度に対して敏感だからです。 温度に敏感とは具体的にはどういうことでしょうか。それは、高い温度がかかることで味や香りが容易に変わってしまう、ということです。こうした影響の出方は多くの場合、あまり好ましくない傾向を持っているため熱の影響を受け ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#9 | 発酵
https://youtu.be/aFW2RzrAOW4 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
亜硫酸のはなし | 亜硫酸なのか、二酸化硫黄なのか、亜硫酸塩なのか
ワインに入っている代表的な添加物である酸化防止剤。ある時には防腐剤といわれ、またある時には漂白剤といわれ、またまたある時にはワインを飲んで感じる頭痛の原因ともいわれています。 いかにもネガティブな印象を受ける情報が多い一方で、実は酸化防止剤ってこういうもの、という、その役割や重要さ、ワインに使われる範囲での量における人体有害性の低さを丁寧に説明している情報もまた多く存在しています。結局のところどうなのかといえば、感情的な好悪と一部のアレルギーを持った人に対して以外であれば、使い方をきちんと理解して使う分に ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#10 | SO2 (二酸化硫黄 / 酸化防止剤)
https://youtu.be/OMwS6tzC0zs 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
ワインと生体アミンの関係を知る基礎講座
生体アミンという単語に聞き覚えはなくても、ヒスタミン、チラミン、もしくはドーパミンという名前を知っている方は多いのではないでしょうか。 最近、ワインに関連して生体アミン (biogenic amine: BA) の話題を耳にすることが増えてきました。 生体アミンはオフフレーバーのような、ワインにおける欠陥の類とは少し違った場所に位置付けられている物質です。生体アミン自体はその人体有害性により食品安全の視点からすでに長期にわたって研究が進められてきています。ワインについてもかなり以前から研究は存在していまし ...
デブルバージュ | ワインの用語集
表記 Settling (英), Sedimentation / Absetzen (独), débourbage (仏) 意味 収穫後、圧搾したブドウの果汁に混ざっている固形物を取り除くための醸造工程。タンクに入れた果汁内の固形物がタンクの底へと沈む沈殿の工程から、その後にキレイになった上澄みの部分だけを取り出す工程までを含める。白ワインの醸造で主に行われるが、赤ワインの醸造でも行われないわけではない。 果汁の清澄は基本は重力による自然な沈降によって行われるが、二酸化硫黄やベントナイト、ペクチナーゼなど ...
還元臭 | ワインの用語集
原因物質 揮発性硫化化合物類 (Volatile sulfur compounds: VSCs) hydrogen sulfide (H₂S) methanethiol (MeSH) dimethyl sulfide (DMS) など 意味 ワインを酸素と触れない還元的な状態に置くことで発生するとされている欠陥臭 (オフフレーバー)。ワインにおける欠陥臭としては代表的なものの1つ。還元臭といわれるが実際には硫化臭のことを指す。 現代のワイン造りは還元的に行われる傾向が強くなっているため、軽度の還元臭はさほ ...
二酸化硫黄 | ワインの用語集
表記 sulfur dioxide (英), Schwefeldioxid (独), dioxyde de soufre (仏) 化学式: SO₂ 意味 常温常圧下では気体状の化学物質。ワインの衛生維持および酸化防止を目的に添加される添加剤。ワインのラベルには酸化防止剤、亜硫酸、亜硫酸塩とも表記される。 1つの成分で微生物の繁殖を抑制したりワインの酸化を防止できる優れた添加剤である一方、硫黄を完全燃焼して得る化学物質でありそれ自体が人体に対して有害であることから無添加を謳う製品も増えてきている。自然派ワイ ...
亜硫酸塩 | ワインの用語集
表記 Sulfites (英), Sulfit (独), Sulfite (仏) ※ 亜硫酸塩は個別の物質を対象としてないカテゴリーとしての名称 化学式: 物質によって異なる 意味 化学式SO₃²⁻で表される亜硫酸イオンを含む化合物類。亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウムなどを含む。 ワインに二酸化硫黄を添加することによってワイン中に存在するほかの成分と二酸化硫黄の一部が化学的に結合することで作られる物質。これらの物質が酸化防止剤としてワインに添加されることはない。 詳細 ...
亜硫酸 | ワインの用語集
表記 sulfurous acid (英), Schweflige Säure (独), Acide sulfureux (仏) 化学式: H₂SO₃ 意味 二酸化硫黄の水溶液中に存在するとされる物質。広義では二酸化硫黄の水溶液のことを指す。 ワインに二酸化硫黄を添加する場合、多くは粉状のものを一度水に溶き亜硫酸の状態にしてからワインに加えるため裏ラベルにはこの名前で表記される場合もある。 詳細は二酸化硫黄の項を参照 もっと詳しく https://nagiswine.com/so2-06/
生体アミン | ワインの用語集
表記 biogenic amine (英), Biogene Amine (独), Amine biogène (仏) 意味 ヒスタミン、チラミンといった人体に対して有毒性が高い物質を含む有機窒素化合物類。ヒトを含む動植物や微生物によって作られ、多くの食品に含まれている。発酵食品ではその量が相対的に多くなる傾向が強い。 ワインにおいてはワイン中に含まれるアミノ酸をもとに酵母やバクテリアの代謝を通して生産、蓄積される。 ワインを飲んで感じる頭痛などの原因物質とされている。 もっと詳しく https://na ...
ワインの知識
徹底解説シリーズ オフフレーバー解説シリーズ ワインを学ぶための用語集 より深く、より詳しく知る | 徹底解説シリーズ ワインの不快臭を学ぶ | オフフレーバー解説シリーズ ワインを学ぶ時、言葉に迷ったら | ワインを学ぶための用語集
マグナムボトル | ワインの用語集
表記 Magnum bottle (英), Magnum Flasche (独) 意味 一般的なワインボトルのサイズである750mlの2倍の容量となる1.5Lのサイズを持つボトルのこと。 パーティーシーンなどで人気の一般ボトルよりもサイズの大きいボトルはビッグボトル (big bottle) と呼ばれるが、このマグナムボトルのことを指していることが多い。 ボトルへのワインの充填量に対するヘッドスペース内の空気の量が通常ボトルに比べて少なくなるためワインの熟成がゆっくり進む特徴がある。 ボトルのサイズとその ...
ボトルの規格 | ワインの用語集
ボトル規格と名称 ワイン、もしくはスパークリングワインを入れるためのボトルにはサイズに関する規格があり、各サイズには名前が付けられている。それぞれのサイズおよびその名前は以下の通り。 ボトル名容量通常ボトル比Split187.5 ml0.25Piccolo250 ml0.33Demie375 ml0.5Jennie500 ml0.66Bouteille / Standard750 ml1.0Magnum1.5 L2.0Jéroboam* / double Magnum3.0 L4.0Jéroboam*4. ...
ブレタノマイセス | ワインの用語集
表記 Brettanomyces bruxellensis Dekkera bruxellensis 意味 ブレットやネズミ臭と呼ばれる不快臭の原因となる腐敗酵母。通常のアルコール発酵に使われるSaccaromyces系の酵母とは別の系統に属する酵母であり、アルコールの生成能を持ってはいるがSaccaromyces系よりも低く、またワインにとってはデメリットが大きいためアルコール発酵用の酵母として使われることはまずない。 汚染された木樽を使うことで被害が拡大していくことが知られている。二酸化硫黄を使用する ...
カビネット | ワインの用語集
表記 Kabinett 意味 ドイツのワイン法によって定められた格付けの1つ。 ブドウが収穫された時の果汁に含まれている糖分の量 (果汁糖度) に応じて定められた6種類の格付けのもっとも下のもの。この格付け以上のワインはプレディカーツワインと呼ばれるようになる。この格付けを得るための条件は3つ。QbAとしての条件を満たしていること、ワインに含まれるアルコール度数が7% vol. (アルコール量が56 g/l) 以上であること、そして各生産地域ごとに定められている果汁糖度の値を満たしていること。 カビネット ...
クーベーアー (QbA) | ワインの用語集
表記 Qualitätswein bestimmter Anbaugebiete : QbA 意味 ドイツのワイン法によって定められた格付けの1つ。 ワイン法によって指定されている13の生産地域で栽培・収穫されたブドウから造られたワインのみが対象となる。仮に13の指定地域内で栽培・収穫されたブドウであっても、2つ以上の異なる地域のものを混ぜた場合にはQbAの対象とは見なされない。また使われるブドウはヴィティス・ヴィニフェラ (Vitis vinifera) 種のブドウのみであること、ワインに含まれるアルコ ...
マセレーション / 醸し | ワインの用語集
表記 Maceration (英), Mazeration (独), Macération (仏) 意味 収穫したブドウを圧搾して果汁と果皮や種子を別々にすることをせず、粒を軽く破砕したうえで果汁内に果皮や種子を漬け込む醸造手法。果皮や種子に含まれているフェノール類をはじめとしたエキス分を果汁中に抽出することを目的として行われる。日本では醸しと呼ばれる。 主に赤ワインの醸造時に行われるが、最近ではオレンジワインと呼ばれる白ワインの醸造にも使われるほか、白ワインであっても短時間であれば実施されることも多い。 ...
カーボニックマセレーション | ワインの用語集
表記 Carbonic maceration (英), Kohlensäuremaischung (独), Macération carbonique (仏), 炭酸浸漬 (日) 意味 通常ブドウを破砕して流出してくる果汁に果皮を浸漬するマセレーションとは異なり、ブドウの粒を破砕せず果汁に浸漬されない状態で無酸素環境下にブドウを静置することで抽出を行う醸造手法。酸素の代わりに炭酸ガスで容器内を充填することからカーボニックマセレーションと呼ばれている。 ブドウの周囲から酸素をなくすことで果粒内における酵素的 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#11 | ワインの「容れ物」徹底解説!
https://youtu.be/7LK4jS0kSRk 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
コンクリートはワイン造りを変えるのか
コンクリートの中で発酵、熟成させるワインに注目が戻ってきています。 コンクリートは現代人にとってとても馴染みのある建築材料です。どちらかといえば建築物の外壁などに使われているイメージの強いコンクリートですが、ワイン造りにおいてはタンク用の素材です。 コンクリートで作られたタンクはかつても使われていました。そのためコンクリートはワイン造りの現場にとって特に新しい存在というわけではありません。ただ、最初に訪れたコンクリートの波はその後に登場したステンレスタンクに置き換えられる形で姿を消していきました。それが今 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#12 | ワインの「熟成」の真実
https://youtu.be/qf4EbX5JysQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
熟成の化学 | メイラード反応の基礎知識
メイラード反応 (Maillard reaction) という化学反応があります。アミノ・カルボニル反応とも呼ばれる反応です。肉を焼いて焼き色がつくのも、クッキーやトーストを焼いて美味しそうなキツネ色になるのも、みりんを使った魚の照り焼きがいかにも食欲をそそる色目になるのも、すべてはこの化学反応のおかげです。 メイラード反応は褐変反応とも呼ばれており、食品の色が茶色く変わる原因の大きな部分を占めています。その一方で、人体をはじめとした生体内でも発生しており、AGEs (Advanced Glycation ...
泡の秘密 | スパークリングワインの魅力の裏側を知る
クリスマスや年末年始に限らずパーティーやお祝い事に欠かせないのがスパークリングワイン。フルートグラスに立ち昇る泡を見ているだけで華やいだ気持ちになれます。 スパークリングワインは世界中で造られています。最近ではイギリスで造られているイングリッシュ・スパークリングが注目されているほか、ドイツのゼクトも売り上げを伸ばしています。そうした中でも不動の地位を気づいているのが、シャンパーニュ。フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインです。日本はアメリカ、イギリスに次いで輸入量が多く、シャンパンの名 ...
「Nagiさんワイン会」開催のお知らせ
おかげさまをもちまして満席となりました。キャンセル待ち等のお問い合わせは下記の問い合わせ先までお願いします。 2月11日にNagiの造るワインを楽しんでいただけるイベントを東京渋谷のBouteilleさんにて開催させていただきます。 普段からこちらのサイトやYoutube liveを通してワインに関する記事やお話をさせていただいていますが、Nagiの所属するプリンツザルム醸造所 (Weingut Prinz-Salm) のワインは日本には輸入されておらず、ご興味をお持ちいただいても実際に飲んでいただくこと ...
泡が抜けてもスパークリングワインが美味しい理由 | ワインの小噺
フランスのシャンパーニュ、ドイツのゼクト、スペインのカヴァ。世の中にはたくさんの美味しいスパークリングワインがあります。華やかな印象があり気分を盛り上げてくれるスパークリングワインはお祝いやパーティーには欠かせない存在です。 スパークリングワインの一番の特徴はなんといってもその泡。フルートグラスのなかで立ち昇る泡は見た目にも美しいものですが、口に含んだ時の爽快感もスパークリングワインの醍醐味です。 https://nagiswine.com/bubble-01/ ところでこの泡、抜けてしまった後でもそのス ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#13 | 自然派ワインの真実
https://youtu.be/Z-SccwUyehI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"N ...
グラスの形状とワインの味 | グラスの形はワインの楽しみを変えるのか
自宅の食器棚を眺めてみると、数多くのワイン用グラスで溢れている、そんな方も実は少なくないのではないでしょうか。もしくはいくつも異なる種類のグラスでワインを提供してくれるワインバーに好印象を持っている、なんて方もいるかもしれません。 世の中には本当に数多くのワイングラスがあります。ボルドー用、ブルゴーニュ用、リースリング用、ニューワールドのピノノワール用…。それぞれ異なる形状をしたグラスがあり、さらには手吹きとマシンメイドの差もあります。中には何が違うのかちょっとよくわからない、なんてものもあったりします。 ...
加水しない低アルコールワインの造り方
ここ数年、世界の冬は温かく、夏は暑すぎるようになりました。以前は30℃でも暑いと言っていた日常が、今では40℃で暑いという日常に変わりました。 世界の温暖化、気候変動。そうした単語を聞く機会が端的に増え、そろそろこうした日常は”異常”なものではなくまさに”日常”的なものになりつつあります。そしてこうした恒常的な変化は確実にワイン造りを変えてきてもいます。 例えばフランス。使用できる品種に厳格な規定を持っているAOCボルドーが2019年に新しい品種の使用を正式に認可したことが大きなニュースになりました。理由 ...
ワインの味覚研究 | 苦いワインはなぜ苦い
ワインを飲んで「苦い」と感じたことはないでしょうか。日本酒を飲んで「苦い」と感じたことは? お酒を飲んでいると時々感じる苦味。どうして苦いのか考えたことはあるでしょうか。もし、より熟度の高いブドウから造ったワインの方が苦くなる可能性があるといわれたらどう思うでしょうか。 苦味という「味」には実は多くの種類があります。コーヒーを飲んで感じる「苦味」とビールを飲んで感じる「苦味」は同じ苦味という味覚ですが、その種類は違います。コーヒーの苦味はカフェインによって感じる苦味で、ビールの苦味は主にα酸の1種であるフ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#14 | スパークリングワインの真実
https://www.youtube.com/watch?v=vpIPCHWLtME 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ワインと酵素|酵素でつくる低アルコールワイン
ワインに限らず、アルコール度数が高すぎるお酒というのものは飲みにくい場合が多くなります。世の中には蒸留酒のように極端にアルコール度数の高いお酒もありますが、ワインでいえば白ワインで12~13%、赤ワインでも14~15%くらいまでがワインらしく飲めるアルコール度数の上限ではないでしょうか。 一方で最近は低アルコール度数のワインへの注目がより大きくなりつつあります。ノンアルコールワインも世界中で販売され人気が出始めています。最近はワイナリーの製品リストにノンアルコールワインを見かける機会も増えてきました。ワイ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#15 | ロゼワインの秘密
https://www.youtube.com/watch?v=9UvZKM8BR2g 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ロゼワインの味や香りと色の関係|ロゼの醸造を考える
ワインにはいくつかの分類方法がありますが、その中の1つが色を使った分類です。代表的なのは白ワイン、赤ワイン、そしてロゼワインの3種類。しかしこれ以外にも黄ワイン (ヴァン・ジョーヌ) や黒ワイン、さらには最近ではオレンジワインやアンバーワインの名前がよく聞かれるようになりました。また紫色や水色をした製品も販売されはじめています。黄ワインはジュラ、黒ワインはルーマニア、アンバーワインはジョージアで造られています。 ワインの色のバリエーションを支えているのはその造り方の違いです。使われているブドウの色は白か黒 ...
No-Low時代の到来!世界の飲酒文化における新たな風潮とその背後にあるムーブメントとは?
NO-LOW市場が注目されています。 アルコール度数が低い、もしくはアルコールを含まないお酒を対象としたこの市場は、健康志向の高まりとともに需要が高まってきています。その牽引役はミレニアル世代やそれに続くZ世代の若者たち。彼らの飲酒傾向に合わせ世界的に新たな飲酒文化の風潮が生まれつつあります。 この記事では、今後より重要性が増していくと考えられているNo-Low市場について各種数字をもとにその姿を追っていきます。 CAGR 10%に迫る成長市場 No-Lowとはノンアルコールや低アルコール濃度の酒類をまと ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#16 | 甘口ワイン Deep解説
https://www.youtube.com/watch?v=N6K5gBKPHHA 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ビオディナミ基礎講座|3つの質問から知るビオディナミ
ビオディナミもしくはバイオダイナミック(Biodynamic)という単語が近年、急速に市民権を持つようになりました。特にワインの関連では世界的に高い評価を得ている生産者がこの手法を取り入れているケースが多く、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 一方でビオディナミに関してはその特徴からか多くの偏った情報が存在しています。そうしたなかには正確性を欠くものもあります。そこで今回はビオディナミとはなんなのか、その基礎を3つの質問をもとに解説していきます。 ビオディナミとはワイン造りの方法の1つ? 試 ...
甘口ワインを造る3つの方法
ワインには多様な味わいがあります。辛口のワインが注目されることが多いですが、そうした中でも甘口ワインは昔から変わらない人気を誇るジャンルです。質のいい甘口ワインは口に含むと甘さやフルーティーな香りが広がり、酸とのバランスのなかで心地よい余韻を残します。それは辛口ワインで感じることのできるものとはまた違った多幸感をともなった感覚です。 甘口ワインを飲むのが好きな方は、その甘い味わいがどのようにして実現されるのか気になるのではないでしょうか。実は、甘口ワインを造る方法はいくつかあります。この記事では、甘口ワイ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#17 | オレンジワイン
https://www.youtube.com/watch?v=Mcpyp04qzCQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ワインの味とグリセロール
ワインはとても味と香りの多様性に富んだ飲み物です。同じ年、同じ産地のワインであっても全く同じ味や香りのするものはありません。さらには同じ生産者が同じ年に同じ畑から収穫してきたブドウを2つの容器を使って同じように造り上げたワインでさえ、それぞれの味や香りには何らかの違いが出るものです。 こうした違いはワインに含まれるさまざまな化学物質の種類や量の違いから生まれています。時にはワイン中の含有量が全体の1%にも遠く及ばないほどでしかない成分が決定的な違いを生み出している場合さえあります。 それほど微量にしか含ま ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#18 | ワインの栓
https://www.youtube.com/watch?v=n3zMZ20Y9eI 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ブドウを凍らせる醸造手法
果物は新鮮さが命。ワインを造るにしてもそれは一緒。だからこそ、収穫したブドウは1分でも1秒でも早くワインにするための加工をするべき。 ワイン造りにはこんなイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。今回取り上げるテーマはそんなイメージの180度逆をいくお話です。新鮮なブドウを敢えて凍らせる。今回はそんな醸造手法について見ていきます。 鮮度を維持するためではない凍結処理 果物や野菜を新鮮なうちに凍らせる、という考え方は日本で生活していればそれほど違和感を持たないのではないでしょうか。冷凍技術に優 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#19 | ワインの色と発酵の条件
https://www.youtube.com/watch?v=zyZrKqCUdG0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ブドウの開花と栽培面における意味
ブドウ畑における収穫量を決める重要なポイントは選定である、とよくいわれます。確かに剪定は重要です。ブドウの果実は枝になります。しかも1本の枝につく実の数は大体、決まっています。つまり、枝の数が予めわかっていれば、1本の樹から収穫できるブドウの量はおおよそ決まります。その年に1本の樹から何本の枝を伸ばすのかを決めるのが剪定という作業ですので、剪定がその年の収穫量の大枠を決める、というお話には納得です。 一方で、いくら剪定を通してその年の収穫量の大枠を決めていたとしても、そのまま素直に予定通りにさせない存在が ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#20 | ワインの劣化と欠陥
https://www.youtube.com/watch?v=DPSM7Aviq_o 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ブドウの樹齢とワインを巡る事実と誤解|高樹齢は品質を担保しない
ワインの品質はブドウが決める、とよく言われます。そうした中でも特に強く信じられているのが、ブドウの樹の樹齢が高くなるに従ってワインも高品質になる、というものではないでしょうか。 市場もこの考えを肯定しています。ラベルに"Vieilles Vignes (V.V.)"や"Old Vines"、もしくは"alte Rebe"と記載があると大概はボトル価格が高くなります。これらはいずれも「古木」という意味の記載です。ここでも「高樹齢のブドウ樹はより高品質のワインを生み出す (だから価格も高くなる)」という理屈が ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#21 | ブドウの樹齢とワインの品質
https://www.youtube.com/watch?v=E0wQKhRQPcA 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#22 | ワインの畑 徹底解説
https://www.youtube.com/watch?v=O9hVTlhyZDc 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ブドウの台木を知る基礎講座
OIV (International Organisation of Vine and Wine) という団体の発表している統計情報によれば、ワイン用ブドウだけではなく、生食用、ドライフルーツ用、ジュース用などすべての用途を含めた2022年時点における世界のブドウの植栽面積は730万ヘクタールだとされています。730万ヘクタールと言われてもピンときませんが、例えば北方四島を除いた北海道の面積がおよそ78400平方キロメートル、784万ヘクタールですので北海道本島よりもやや小さいくらいの面積でブドウが栽培さ ...
スパークリングワインのサプライズ|泡が吹きこぼれる真相
ちょっと日々の仕事に疲れたとき。日々の日常をちょっと華やかな時間で彩りたいとき。気のおけない仲間たちとちょっと豪華な時間を過ごしたいとき。あまりの暑さに耐えかねてちょっとリフレッシュしたいとき。そんな時々にぴったりなのが、スパークリングワインです。よく冷やしたスパークリングワインはその味わいと美しい泡立ちで気分を華やかに、そして爽快にしてくれます。何気ない生活の中の一場面であったとしても、シャンパーニュのボトルを開ければその瞬間からちょっと豪華な気分を味わえます。どんな瞬間であっても、その瞬間を一段華やか ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#23 | 徹底解説 ワインと糖
https://www.youtube.com/watch?v=4Vh-uAzcqQE 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ワインと衛生管理|ワインの個性の在り方を考える
食品は衛生的であるべき。 現代を生きる私たちにとっては当たり前のように感じていることです。しかし、実際に日本で食品衛生法が施行されたのは1948年のこと。今から75年前のことです。2018年にはこの食品衛生法等の一部が改正され、すべての食品事業者がHACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point) に基づいた衛生管理を実施することが求められるようになりました。食品衛生という概念は私たちが考えるよりもよりもかなり新しい概念だといえます。 一方でワイン造りはそ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#24 | 濁ったワインを考える。
https://www.youtube.com/watch?v=OTzEuC5E_YU 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
増えるワインの欠陥臭、スモークテイントとはなんなのか
いま注目を集めているワインの欠陥臭があります。スモークテイント (Smoke taint) です。 スモークテイントとはブドウが煙に暴露されることで生じる欠陥臭で、テイスティングでは「スモーキー」、「焦げたゴム」、「ベーコン」、「消毒剤」、「灰」のようなニュアンスとしてコメントされます。焚き火やバーベキューの傍らで感じる、燻したような香りをイメージしてみるとわかりやすいと思います。 通常、ワインからそうした香りを感じることはありませんので、欠陥としての臭い、オフフレーバーとして扱われています。ローストを効 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#25 | ワインの酸
https://www.youtube.com/watch?v=qD2os2_2jmo 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#26 | アイスワイン
https://www.youtube.com/watch?v=W10iU7sxgR0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
逆浸透技術とワイン|No-Low、濃縮、香りの補正への新しいアプローチ
ワイン造りにおいて、ろ過は重要な工程の1つです。最近ではろ過を行わずに仕上げる無濾過ワインも人気を集めていますが、そうした中にあっても多くのワインは変わらずろ過工程を経て仕上げられています。 ワインのろ過に対する意見は様々です。ろ過をすることでワインの中に存在していたなにがしかの存在が取り除かれるのは間違いありません。これを嫌う造り手がいることは理解できます。一方で、ろ過する前のワインに含まれているすべての存在がワインの品質に対して良い影響だけを持つわけではないことも事実です。 https://nagis ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#27 | ワイン醸造のすべて
https://www.youtube.com/watch?v=Jlv9JRVw9JQ 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ワインの酸化|ワインに含まれる金属の影響
飲むのを楽しみにしていたワインを開けたら硫黄のような臭いがする。そんな経験をしたことはないでしょうか。 軽いものであれば火打ち石などと表現され、一部のブドウ品種から造られるワインでは好意的に受け止められることもある香りですが、強くなってくると腐った卵のようにも感じるこの臭いの原因の多くはワインの酸素不足です。 軽度のものであれば抜栓からしばらくおいておくことで自然と臭いが薄くなりますが、もっと手っ取り早く無くす方法もあります。金属を利用するのです。 この記事ではワインの酸化作用を促す、金属について解説をし ...
ワインと酸化防止剤|亜硫酸は除去できるのか
ワインに含まれている成分の中で最も話題に事欠かないのが亜硫酸、二酸化硫黄 (SO2) ではないでしょうか。最近ではずいぶんと減った印象ではありますが、ワインを飲んで感じる頭痛の原因といわれていた時期も長く、亜硫酸=悪という構図がかなりしっかりと出来上がってしまっている部分もあります。 ワインを飲んで感じる頭痛の多くは実際には亜硫酸ではなく生体アミンとよばれるアレルギー性の強い成分を原因としている可能性が高いことが分かってきている一方で、亜硫酸自体が物質としてはアレルゲンであり人体有害性がゼロではないことな ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#28 | 未来のワインの話をしよう。
https://www.youtube.com/watch?v=643ux6CPr4w 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
ワインの未来を担う品種?|PIWIを徹底解説
ワイン関係者の間で話題に上ることが増えているテーマの1つがブドウの品種です。ブドウの品種を巡っては以前から販売価格との関係や栽培地との適正、栽培難度とコストとの関連などで常に一定の頻度で話題にはなってきましたが、ここにきてその内容に少し変化が出てきています。話の多くにPIWIという単語が頻繁に混ざるようになってきたのです。 PIWIとはドイツ語のPilzwiderstandsfähige Rebsortenという単語の略で、カビ菌耐性ブドウ品種のことです。「ピーヴィー」と発音します。ドイツ語由来の単語です ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#29 | ワインが開くって、なに?
https://www.youtube.com/watch?v=StnuV_Cv-T0 聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#30 | なぜやるのか?なにが起こるのか?醸造家が徹底解説 MLF
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第30回のテー ...
ワインと酸素|ワインの酸化とはなんなのか。酸化を理解するための基礎講座
ワインにとって酸素は不倶戴天の敵である。なぜなら酸素はワインを酸化させ、その品質を劣化させるから。醸造中のワインであろうとボトリングされた後のワインであろうと、酸素は可能な限り排除すべき対象である。そんな風に思ってはいないでしょうか。 実際には酸素はワインに関わるいくつものタイミングで利用されています。例えば発酵前の果汁に酸素を供給することで強制的に酸化させるハイパーオキシデーション (hyperoxidation、hyperoxygenationとも)。酸化によって変化する可能性のある要因を先に酸化させ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#31 | ボジョレー・ヌーボーで有名な手法を醸造家が解説!マセラシオンカルボニックの真実
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第31回のテー ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#32 | ワインに感じる「果実味」の真実。フルーティーってなんだ?
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第32回のテー ...
濁りワインに酸化防止剤はいらない?|ワインを酸化から守るもう1つの方法
ワインが劣化する原因の1つとしてよく知られているのが酸化です。ボトルを開栓してワインが酸素に触れやすい環境になるとより顕著にこの化学反応が進むことから、酸化の原因は酸素であると思われがちです。 一方でワインの酸化には酸素が直接かかわらない酵素的酸化と、酸素が直接の原因となっている非酵素的酸化とがあります。我々がワインの劣化として出会うほとんどの酸化は酵素的酸化といわれる化学反応によるものです。この反応の過程では酸素よりも酵素のほうが重要な役割を担っており、酸素は我々が一般に思っているほど重要な直接的原因と ...
アルコールとワインの味や香りの感じ方の関係
ワインのテイスティングをするとき、皆さんはどの要素に最も注目しているでしょうか。多くの方が味わいよりもより香りに中心をおいたテイスティングをされているかもしれません。また造り手の方であれば、残糖量や酸量といったワインの構成要素そのものにより注目されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ところでワインのテイスティングで人気の方法の1つにブラインドテイスティングがあります。事前にワインの情報を開示されないままワインを味わってみて、そのワインの素性を探っていくやり方です。このテイスティングでは産地やヴィ ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#33 | ワインとアルコールの意外な関係。アルコールの影響の範囲を考える。
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) Twitter: https://twitter.com/hima_wine サイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) Twitter: https://twitter.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第33回のテー ...
剪定時期をめぐる議論。ブドウの枝はいつ切るべきなのか
ワイナリーの仕事といえばワインを造る醸造がメインの仕事のようにも見えますが、ワインの醸造を中心に行っている期間は長くても3ヶ月ほど。この期間に多くの作業と責任が集約されますのでとても濃密な期間ではありますが、時間的にはそれほど多くの割合を占めているわけではありません。 一方でブドウ畑での仕事はほぼ一年間を通して休みなく続きます。そうした畑での作業でも特に多くの労働量を占めるのが、剪定です。 今回の記事では実務的にも精神的も、そして経済的にもかかる負担が増加してきている剪定についてみていきます。 ブドウの枝 ...
気温の上昇に直面するブドウ栽培|温暖化の本当の意味を知る
気候変動。地球の温暖化。そんな話題に触れる機会が増えました。最近ではあまりに日常化しすぎてかえって耳にする機会が減ってきたような印象を受けるほどです。しかしそうした日常の変化は確かに影響を大きくしてきています。 太古の昔、地球上に栄えていた恐竜が絶滅した原因は気温の大幅な変化であった可能性がある。そんな事例を引くまでもなく、気温の変化というものはその環境に存在するすべての動植物に影響を与えます。それはもちろん、ワイン用ブドウの栽培現場においても例外ではありません。 ワイン用のブドウは世界各地で栽培されてお ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#34 | 乳酸菌
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第34回のテーマは乳酸菌。 ワイン醸造にとって乳酸菌といえば、M ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#35 | ワインと温度
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第35回のテーマはワインと温度。 ワイン造りの現場ではブドウを収 ...
Nagiさんと、ワインについてかんがえる。#36 | 日本でのワイン造り
聞き手: ヒマワイン (ワインブロガー) X: https://x.com/hima_wineサイト: ヒマだしワインのむ。 話し手: Nagi (醸造家) X: https://x.com/Gensyo Youtubeチャンネル | Nagiさんと、ワインについてかんがえる。 ワインブロガーであるヒマワイン氏と当サイトの運営者であるワイン醸造家のNagiがワインについて語り合うオンライン企画、"Nagiさんと、ワインついてかんがえる。"。 第36回のテーマはrecap 2024。 2024年8月末に日本 ...